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閑話
隊長と娘の幸せを、国王は願う
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べレ国・国王執務室。
「…では」
国王 レイノルド・オブ・べレは、べレ国軍・総隊長ダグラス・ギールズを前にして、
「ああ。ダグ、今年こそは嫁の一人ぐらいみつけてこいよ」と、軽ーく言い放つ。
憮然とした表情のまま、「…」言葉もなく慇懃に頭を下げて彼は退室していく。
「大丈夫でしょうか…」
共に見送った宰相が不安そうに呟いた。
「さあねぇ…。どうだろうねぇ」
にこやかに、顎に手をあて答える。
「…まあ、物事はやってみなければ判らない。後はアリーシャの頑張り次第だね」
国王の無責任とも聞こえる言葉を言われた宰相は…
「アリーシャ様…本当によろしかったのですか?」
「何?」
「いえ、本当にダグラス隊長で…年も違いますし…」
「…それは、仕方ないんじゃない。生まれたのが遅かったんだしね…何。反対かい?」
「…いえ、反対というより…」珍しく言いよどむ宰相に。
「ん?何?縁談の事、気にしてるのかい?」
「…はい。」
「うーん…考えるもなく、あそことは、ないなぁ…」
「…しかし…かの国では、強硬に推し進めてきていますが…特にエドモンド様が…」
麗しの王女を巡っては、各国の方々から縁談が舞い込んでいて、その中でも特に熱心なのが、隣国の皇太子エドモンドだった。
幼い頃から、王城に来ては、アリーシャを追いかけまわし、避けられても、何処風吹くという感じで…かなりの執着心で捕まえようとするので、両国にとって、困った存在となっていた。皇太子の執着は、幼い頃はもちろん一貫してその行動は常軌を逸した。
成人前なんかお構いなし。
既成事実を作ってでも手に入れる気満々なのが、垣間みえる…ダダ漏れで、それを危惧した隣国から、国家間の問題が起こる前に、是非、王女の輿入れをと懇願という目一杯入った願いを込めた縁談を押し進めてきていたからだ。
本人は、もちろん何度それともなしに国を通して断ったが、諦めないし、特にここ数年は、訪問の打診が酷くて、もし、うっかり王城に招いたりしたら、王女の寝室に夜這いをかける事なんか朝飯前の、それこそ会った途端に襲い掛かるんじゃないかと危惧するほどになっていたから…断固阻止していた。
成人を迎える直前にも、隣国から使者が来て、日をおかずに国境付近で、皇太子一行の姿を確認してからは、危機感がまして、今まで以上に王女の警備を頑強にした経緯があった。
「うん。そうだね…断ったのにね。しつこいねぇ…」
「はい…」
困ったもんだとため息を漏らしても…
「どんなに欲しがられても。ダグがいる限り、アリーシャが、うんとは言わない。この話は、はなっから、ないんだよ」
「はい…」
なんやかんや言っても、自国の王女の幸せを願うもので…。
総隊長ダグラス・ギールズは、確かに見た目は強面でガタイもごつくて大きく、恐れられてはいるが心根の正しい、優しい御仁であった。
まだ結婚をしていないのが不思議なほどに…。臣下としては、年が違っても王女の相手としては、総隊長の方が好ましかった。
それに比べて、見るから憧れの王子という容姿をを持つ皇太子エドモンドを思い浮かべ…王女に固執するあの歪さが恐ろしいという思いが捨てきれず、何も起こらなければいいが…と心配する宰相だった…。
そんな苦悩する宰相を見ながら…
考えている事はよく解る。
ダグは、あーいう見た目で損してるからね。
怖い見た目の割に優しくて繊細だ。そう、繊細だ。あの図体で繊細。軍の総隊長が繊細…。ある意味致命的。けれど愛すべき点でもある。
国王は、そんな友と愛娘の幸せを願う…
「…では」
国王 レイノルド・オブ・べレは、べレ国軍・総隊長ダグラス・ギールズを前にして、
「ああ。ダグ、今年こそは嫁の一人ぐらいみつけてこいよ」と、軽ーく言い放つ。
憮然とした表情のまま、「…」言葉もなく慇懃に頭を下げて彼は退室していく。
「大丈夫でしょうか…」
共に見送った宰相が不安そうに呟いた。
「さあねぇ…。どうだろうねぇ」
にこやかに、顎に手をあて答える。
「…まあ、物事はやってみなければ判らない。後はアリーシャの頑張り次第だね」
国王の無責任とも聞こえる言葉を言われた宰相は…
「アリーシャ様…本当によろしかったのですか?」
「何?」
「いえ、本当にダグラス隊長で…年も違いますし…」
「…それは、仕方ないんじゃない。生まれたのが遅かったんだしね…何。反対かい?」
「…いえ、反対というより…」珍しく言いよどむ宰相に。
「ん?何?縁談の事、気にしてるのかい?」
「…はい。」
「うーん…考えるもなく、あそことは、ないなぁ…」
「…しかし…かの国では、強硬に推し進めてきていますが…特にエドモンド様が…」
麗しの王女を巡っては、各国の方々から縁談が舞い込んでいて、その中でも特に熱心なのが、隣国の皇太子エドモンドだった。
幼い頃から、王城に来ては、アリーシャを追いかけまわし、避けられても、何処風吹くという感じで…かなりの執着心で捕まえようとするので、両国にとって、困った存在となっていた。皇太子の執着は、幼い頃はもちろん一貫してその行動は常軌を逸した。
成人前なんかお構いなし。
既成事実を作ってでも手に入れる気満々なのが、垣間みえる…ダダ漏れで、それを危惧した隣国から、国家間の問題が起こる前に、是非、王女の輿入れをと懇願という目一杯入った願いを込めた縁談を押し進めてきていたからだ。
本人は、もちろん何度それともなしに国を通して断ったが、諦めないし、特にここ数年は、訪問の打診が酷くて、もし、うっかり王城に招いたりしたら、王女の寝室に夜這いをかける事なんか朝飯前の、それこそ会った途端に襲い掛かるんじゃないかと危惧するほどになっていたから…断固阻止していた。
成人を迎える直前にも、隣国から使者が来て、日をおかずに国境付近で、皇太子一行の姿を確認してからは、危機感がまして、今まで以上に王女の警備を頑強にした経緯があった。
「うん。そうだね…断ったのにね。しつこいねぇ…」
「はい…」
困ったもんだとため息を漏らしても…
「どんなに欲しがられても。ダグがいる限り、アリーシャが、うんとは言わない。この話は、はなっから、ないんだよ」
「はい…」
なんやかんや言っても、自国の王女の幸せを願うもので…。
総隊長ダグラス・ギールズは、確かに見た目は強面でガタイもごつくて大きく、恐れられてはいるが心根の正しい、優しい御仁であった。
まだ結婚をしていないのが不思議なほどに…。臣下としては、年が違っても王女の相手としては、総隊長の方が好ましかった。
それに比べて、見るから憧れの王子という容姿をを持つ皇太子エドモンドを思い浮かべ…王女に固執するあの歪さが恐ろしいという思いが捨てきれず、何も起こらなければいいが…と心配する宰相だった…。
そんな苦悩する宰相を見ながら…
考えている事はよく解る。
ダグは、あーいう見た目で損してるからね。
怖い見た目の割に優しくて繊細だ。そう、繊細だ。あの図体で繊細。軍の総隊長が繊細…。ある意味致命的。けれど愛すべき点でもある。
国王は、そんな友と愛娘の幸せを願う…
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