あー婚約破棄ではなく単なるお断りの現場、けれどその後中心に立つのは、同じくらい重圧がかかってくるので、このお話、ご遠慮したいのですが…

kitahara

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何度も…同じ展開が繰り返されるとは誰も思うまい…

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…うん。
ひたすら平行線を辿っているが聞きようによっては痴話喧嘩のような話し合い。
…実情はストーカー被害だね。



「そんなぁ…何故そのような酷い事ばかりおっしゃるんですか?私は大事な話があると言付けを頂いて…。ジルバルト様から正式に申し込みを頂けるものと思ってこのように寂しい場所にも供も連れずひとり参りましたのに…」

ただでさえ楚々とした儚げな令嬢の悲し気に訴える姿はその風情だけで憐れみを誘う。
…例え問題ある…令嬢であっても…。


 「まさかそのような荒唐無稽お話をなさて婚約破棄なんて…。あんまりですぅ」

詰る姿も儚げに。
一方通行の想いからでも…。

うん…確かに彼女の言うように断るにしてももう少し場所を選んでもいいと思う。

…まあ、それもある程度常識が通用する相手ならばの話だが。


しばらくやり取りを聞いた限りでも彼女及び彼女の家はかなり強引な手段でごり押し通常のお断りでは引き下がらなかったようだし。

実際彼女は内容的にかなり辛辣にすげなくされているのにも関わらずまだ諦めようとしていない。



 通常運転の彼を知っている身としては何故そこまで彼にこだわるのか不思議に思うところだが。

 (……それでもなあ)


それからも何度かのやり取りをするうちに埒が明かないと彼も業を煮やしたのか…かなりキツイことを言い放って…一発もらった。

令嬢の細腕のわりに派手に音が響いた。

…うん。
これはそれなりに痛いね。

まあ…男だ。
甘んじて受けるしかないね。

これで終わるなら安いものだ(後でその分も上乗せで請求したもいいし…)



あっ…。

令嬢が泣きながら走り去っていく。

… 少々問題のある令嬢だったがどこか本気の想いがあったように感じた。
…つい同情を覚えてしまった。

 (「ああ、かわいそうに…」)

木の上で走り去る姿に思わず身を乗り出して見送り…奴の頭が見えて動くのを止めた。
知られる訳にはいかない自分の状況を思い出した。

 (!あっぶな)


さあ!後は彼が立ち去ってくれれば…と(早く立ち去れ!)期待して待っていると…。


2分も経たずに新手が…。


 「ジルバルト様…」

と可憐な声と共に先ほどの令嬢とは別の可愛らしい少女が現れた。

 「お待ちになって?エミリア、参りましたわ」



 以下…同様な展開が繰り返される事3回…。


 段々見慣れてきた令嬢たちの。

 相手に詰る姿が様になって少々演技がかっている。
と思うのは穿ち過ぎに見てしまっているのだろうか…。



普段不人気な場所に何故令嬢は次々に現れるのか…?
そんな疑問をもちつついい加減疲れてきた頃。


今度の相手はなかなかしぶといらしく流石の彼も手を焼いているようだ。

ああ…とうとう縋りついて身を投げ出さんばかりに懇願しだしたぞ…。

見ている方が辛いなぁ。
勘弁してくれよ…。


ここじゃなかったら知らない所で起こっていたならスルーできたものを…。

だってね。
彼女で4人目なんだよ。
絶えることなく次から次へと令嬢が現れて…。


かれこれ1時間以上こんな事が木の下で繰り広げられて…降りるに降りれないんだよ。


どんだけ奴はモテるんだ。

もう…いい加減にしてくれないだろうか。
そろそろこちらも諸事情から限界が近い…。



しかも…また新手が控えている様で離れているけれど柱の陰からドレスの裾がチラチラとみえている…。


…何人呼んだ?



 木の上からしっかり周りが見えてしまう自分の運のなさを嘆く。

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