あー婚約破棄ではなく単なるお断りの現場、けれどその後中心に立つのは、同じくらい重圧がかかってくるので、このお話、ご遠慮したいのですが…

kitahara

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否定できない状況におかれて…

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(あん?何言ってんだ?)

 抱きしめたまま訳の解らないことを言うジルバルトをにらみ付けると。

令嬢に見せつけるかのように更に口唇を耳に寄せると囁いた。

(ジーナさん。頼みがあります)
(ん、頼み?)
 (はい。僕を助けると思って話を合わせてください)
(あ?)

(これから騒がしくなります)
(騒ぎ?なんで?)
(今は…時間がないので頼みます。)
(?)
ジルバルトは令嬢に目を向ける。

(後で必ず埋め合わせしますから)
(埋め合わせ?)
(はい。ジーナさんは俺に合わせてください)
(ふうん…分かった)
(言質頂きました)
(言質?え?)
なんか不穏な事を囁いてからジルバルトがさりげなく目線で合図を送る

(何が起こっても。よろしくお願いしますね)

誰かがパタパタと走ってくる音がして先ほどより大きな悲鳴が上がった。

 「きゃあああ…」

これでもかというぐらい下手な悲鳴がそれもかなりの声量で響き渡った。

2度の女性の悲鳴に何処からかワラワラと人が現れいつもは静かな場所が騒然となる。


 (…なんだこれは?)


あまりの人で入り口は塞がれ逃げ道をも失ったジーナ。
それからの騒ぎはジーナにとって生涯で一番最悪な出来事となった。






 (回想)

 悲鳴で集まった大勢の者たちの前で好機と捉えた令嬢バーバラが嘘の既成事実をでっち上げようとした。
しかしそんなバーバラを遮ったジルバルトの行動はす早かった。
皆に向かってあろうことか彼女がジーナに襲い掛かってきて防衛をしたら服を破いてしまったと言い放ったからだ。
 

 
上司であるジーナと秘密裏に付き合っていた。

ここは秘密の逢瀬の場所。
ジーナを待っているとバーバラが現れ自分を婚約者にしろと迫ってきた。
それはできないと断ると腹を立てたバーバラがちょうどやってきたジーナに掴みかかってきた。
二人を引きはがそうとして抵抗したバーバラの服を破いてしまった。
それを偶然通りかかったバーバラの友人が驚いて悲鳴を上げたと。
なんとも荒唐無稽な話をジルバルトは見事にでっち上げたのだ。



しかもジーナを大切そうに腕に囲った状態で皆に話をするものだから。

見せつけられた者たちはその話を信じた。


あまりにもの内容に黙っているという約束を反古にしようとしたジーナ。
行動に移す前ににジルバルトの濃厚な口づけによって強制的に黙らせた。

行き絶え絶えに呆然としているジーナを相手に凄まじく艶を含んだ甘い声と言葉で告白する。
稀代の役者ジルバルト周囲を騙くらかした。




そしてこの一連の行動によってジーナはジルバルトの恋人と周囲に認識されることとなった。

 居合わせた皆は麗しい(胡散臭い)やつの笑顔に騙されたのだ。
 
笑顔で皆を煙に巻いたジルバルトはその後バーバラに近寄ると無表情でくぎをさした。
二度とこのような事がないように国王に進言すると。

 全ての責任を負わされたバーバラは反論も出来ず悔しそうにジーナを睨みつけていた。

 「バーバラ様…」

 悲鳴を上げた少女がスカーフを手に胸元を押さえたバーバラに近づくと彼女から(役立たず)と小さな声で罵られていた。
 少女はその声に怯えたように震えている。

その様子とバーバラをみる冷め切ったジルバルトの目がすべてを語っていた。

つまり頑として縁談を受け入れないジルバルトに業を煮やしたバーバラというこの令嬢は…。
人気のない場所に呼びつけられたことを逆手にとって確実に結婚へ持ち込むため最初から自ら服を破き襲われたことにして彼を嵌める計画を立てていた。

 用意周到にご丁寧にも彼女という目撃者を用意して。

チラチラとドレスの裾がみえていた令嬢は様子を伺っていた既成事実をでっち上げる為の…バーバラが用意した援助要員。




…おもいっきしタイミングを誤ったが。





それは解った。
しかしそれはジーナの否定も封じられてしまう事でもあった。





なぁ…ジル。
お前…まともな求婚者はいないのか?

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