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第2章~ジロー、人里へ出る~
閑話 とあるオコジョの戦い。
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今回はユキを第三者視点で見たお話しです。
技名などは雰囲気で書いていますので意味は考えないでいただけると幸いです。
……………………………
その日のユキは一味違っていた。熱い思いをその小さな胸に秘めていた。
ついにあの宿敵を倒す日が来たのだ。
洞窟から東へ50メートル、木が生い茂る中、ポツンと日の当たるスポットがあるのだ。そこはユキが見つけた最高の日向ぼっこスポットだった。
もちろんアシナにもジローにも言っていない秘密の場所だ。ここでご飯の時間になってジローに呼ばれるまで過ごすのが今までのユキの日課だった。
そう、やつが来るまでは…。
その日もユキは、そこで日向ぼっこをしていた。優しい陽光の中、眠りにつこうとウトウトしていると、突然ガサガサと茂みから物音がした。驚きつつ物音をした方向を見るとやつがいたのだ。
それは、ユキの宿敵となるタヌーだった。
姿形はタヌキそのもの。
しかしユキから見た姿は、その獰猛な目付き(愛くるしい黒目)、凶悪な牙(小さい歯)、鋭く尖った武器(地面を掻いて丸くなった爪)を持った残酷なハンターそのものだった。
やつも絶好の日向ぼっこスポットを探し求める探求者だった。
お互いに聖地(最高の日向ぼっこスポット)を求めるもの同士、戦うことは避けられなかった。
もちろんユキもその場所を簡単に譲り渡すつもりもなく、タヌーと全力で戦った。だが、ユキの3倍はありそうなその体格と意外にも俊敏なステップで防戦一方となってしまった。
そしてやつの最終奥義ファイナルインパクト(体当たり)が炸裂した瞬間に勝敗は決した。
聖地の住民が交代した瞬間だった。
敗者のユキは、ただその場から去ることしかできなかった。
だが、ユキは諦めてはいなかった。いずれここに戻って来ると誓っていた。
その日からユキの修行の日々が始まった。やつを倒すためならどんな苦難も乗り越えるつもりだった。
来る日も来る日も自分をイジメ抜く日々が続いた。
ジロー達に言えばすぐに解決してくれるかもしれない。きっとタヌーくらい簡単に追い出してくれるだろう。それはとても楽な選択だ。
だけどユキは自問自答する。
本当にそれでいいのかと。
人に与えられたものになんの価値があるんだと。
自分で勝ち取って手に入れたものにこそ意味があるんじゃないかと。
だからこそ自分一人でやつを倒してやるんだと。
え?
ユキは精霊なんだから魔法を使えばいいじゃないかって?
魔法を使ったら余裕で勝てるんじゃないかって。
ユキはそれは違うと思った。
なぜならこれは男と男の戦いだ。拳と拳の戦いだ。
魔法なんて無粋なものは必要ない。ガチンコで戦ってやつを負かすんだ。
きれいごとだと人は笑うかもしれない。だけど笑われたっていいじゃないか。自分自身が自分に嘘をつかないことが重要なんだ。
血の滲むような特訓の末に、ユキは無尽蔵のスタミナと必殺技を編み出した。
ユキは確信した。
…これで勝てると。
決闘の朝、ユキは誰にも行き先を告げずに歩き出した。
「ユキ、どこ行くの?」
必死に語り掛ける友に、ユキは顔を向け目だけで返す。
止めてくれるなと。男にはやらねばならない時があると。
「散歩?昼御飯までには帰ってきてね。」
追いすがる友の声を背に受けて、ユキは決戦の地へと歩き出す。
全てはやつとの決着を付けるために。
ユキが近付くとタヌーも気付いたようで立ち上がりユキを見る。しかし、その目はあの時の飢えたハンターの面影はなかった。
ただその目には、一度勝っている相手への侮りしかなかった。
教えてやるぜ。
それが命取りだってことをな。
駆け出すと同時に始まりのゴングが鳴り響く。
ユキは鍛えたフットワークでタヌーを翻弄しながら距離を詰める。やつはその動きに完全についてこれていない。隙を突いて攻撃を加える。それだけでやつはすでにグロッキーだ。
その瞬間を逃すまいとユキは編み出した必殺技シャイニングスマッシュ(右足の爪)をお見舞いする。
攻撃は見事にタヌーの顔面にヒットする。タヌーは「キャウ!」と泣いて後退りする。ユキの血の滲むような特訓が身を結んだ瞬間だった。
その攻撃で戦意喪失したタヌーはその場から去っていく。あの時のユキのように敗者はその場を去るしかないのだ。再びユキが聖地に君臨したのだった。
手に入れた聖地(日向ぼっこスポット)に腰を下ろす。これが勝ち取ることで得る達成感か。感動にユキの小さな胸が打ち震える。
だか、これで戦いが終わった訳ではない。これは始まりなのだ。
この世に日向ぼっこを求める悪がいる限り、ユキの戦いが終わることはないのだ!
そう心に強く誓ったのだ。
遠くから友の声が聞こえて来る。
「ユキー!ご飯だよー!どこにいるのー?」
…さぁ、ご飯を食べに行こう。
技名などは雰囲気で書いていますので意味は考えないでいただけると幸いです。
……………………………
その日のユキは一味違っていた。熱い思いをその小さな胸に秘めていた。
ついにあの宿敵を倒す日が来たのだ。
洞窟から東へ50メートル、木が生い茂る中、ポツンと日の当たるスポットがあるのだ。そこはユキが見つけた最高の日向ぼっこスポットだった。
もちろんアシナにもジローにも言っていない秘密の場所だ。ここでご飯の時間になってジローに呼ばれるまで過ごすのが今までのユキの日課だった。
そう、やつが来るまでは…。
その日もユキは、そこで日向ぼっこをしていた。優しい陽光の中、眠りにつこうとウトウトしていると、突然ガサガサと茂みから物音がした。驚きつつ物音をした方向を見るとやつがいたのだ。
それは、ユキの宿敵となるタヌーだった。
姿形はタヌキそのもの。
しかしユキから見た姿は、その獰猛な目付き(愛くるしい黒目)、凶悪な牙(小さい歯)、鋭く尖った武器(地面を掻いて丸くなった爪)を持った残酷なハンターそのものだった。
やつも絶好の日向ぼっこスポットを探し求める探求者だった。
お互いに聖地(最高の日向ぼっこスポット)を求めるもの同士、戦うことは避けられなかった。
もちろんユキもその場所を簡単に譲り渡すつもりもなく、タヌーと全力で戦った。だが、ユキの3倍はありそうなその体格と意外にも俊敏なステップで防戦一方となってしまった。
そしてやつの最終奥義ファイナルインパクト(体当たり)が炸裂した瞬間に勝敗は決した。
聖地の住民が交代した瞬間だった。
敗者のユキは、ただその場から去ることしかできなかった。
だが、ユキは諦めてはいなかった。いずれここに戻って来ると誓っていた。
その日からユキの修行の日々が始まった。やつを倒すためならどんな苦難も乗り越えるつもりだった。
来る日も来る日も自分をイジメ抜く日々が続いた。
ジロー達に言えばすぐに解決してくれるかもしれない。きっとタヌーくらい簡単に追い出してくれるだろう。それはとても楽な選択だ。
だけどユキは自問自答する。
本当にそれでいいのかと。
人に与えられたものになんの価値があるんだと。
自分で勝ち取って手に入れたものにこそ意味があるんじゃないかと。
だからこそ自分一人でやつを倒してやるんだと。
え?
ユキは精霊なんだから魔法を使えばいいじゃないかって?
魔法を使ったら余裕で勝てるんじゃないかって。
ユキはそれは違うと思った。
なぜならこれは男と男の戦いだ。拳と拳の戦いだ。
魔法なんて無粋なものは必要ない。ガチンコで戦ってやつを負かすんだ。
きれいごとだと人は笑うかもしれない。だけど笑われたっていいじゃないか。自分自身が自分に嘘をつかないことが重要なんだ。
血の滲むような特訓の末に、ユキは無尽蔵のスタミナと必殺技を編み出した。
ユキは確信した。
…これで勝てると。
決闘の朝、ユキは誰にも行き先を告げずに歩き出した。
「ユキ、どこ行くの?」
必死に語り掛ける友に、ユキは顔を向け目だけで返す。
止めてくれるなと。男にはやらねばならない時があると。
「散歩?昼御飯までには帰ってきてね。」
追いすがる友の声を背に受けて、ユキは決戦の地へと歩き出す。
全てはやつとの決着を付けるために。
ユキが近付くとタヌーも気付いたようで立ち上がりユキを見る。しかし、その目はあの時の飢えたハンターの面影はなかった。
ただその目には、一度勝っている相手への侮りしかなかった。
教えてやるぜ。
それが命取りだってことをな。
駆け出すと同時に始まりのゴングが鳴り響く。
ユキは鍛えたフットワークでタヌーを翻弄しながら距離を詰める。やつはその動きに完全についてこれていない。隙を突いて攻撃を加える。それだけでやつはすでにグロッキーだ。
その瞬間を逃すまいとユキは編み出した必殺技シャイニングスマッシュ(右足の爪)をお見舞いする。
攻撃は見事にタヌーの顔面にヒットする。タヌーは「キャウ!」と泣いて後退りする。ユキの血の滲むような特訓が身を結んだ瞬間だった。
その攻撃で戦意喪失したタヌーはその場から去っていく。あの時のユキのように敗者はその場を去るしかないのだ。再びユキが聖地に君臨したのだった。
手に入れた聖地(日向ぼっこスポット)に腰を下ろす。これが勝ち取ることで得る達成感か。感動にユキの小さな胸が打ち震える。
だか、これで戦いが終わった訳ではない。これは始まりなのだ。
この世に日向ぼっこを求める悪がいる限り、ユキの戦いが終わることはないのだ!
そう心に強く誓ったのだ。
遠くから友の声が聞こえて来る。
「ユキー!ご飯だよー!どこにいるのー?」
…さぁ、ご飯を食べに行こう。
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