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第3章 ~ジロー、学校へ行く?~
アリス、ジローを勧誘する。
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「アリス、ちゃんとおれの話聞いてたの?おれ魔法学校には行かないよ。魔法学校に入学したら軍人になっちゃうんでしょ?だったらおれは魔法学校はいいよ。」
するとアリスはにやにやしながら
「別に通うと言っただけで入学するとは言っとらんじゃろ。」
学校に入学しない?不法入学?
「どういうこと?」
「わしは学校で魔法を教えとるじゃろ?じゃがわしは王国に所属しとる訳ではない。魔法学校におるエルフも然りじゃ。
魔法使いには国や軍、貴族などに雇われておる者と、冒険者や傭兵などといったフリーの者がおるのじゃ。しかし、その中でも実力がそれなりにある者は以外と少ないんじゃ。そして強い魔法使いほど軍などにおるよりも冒険者として活動した方が自由であるし、遺跡探索や未開地などで活動した方が金回りがいいんじゃな。じゃから進んで国や軍に入ろうと思うものは実力者ほど少ないのじゃ。」
「んーつまり?」
「つまりじゃな。魔法学校に入学する者はおっても、それをしっかりと指導出来る者は不足がちなんじゃ。教える者まで軍に入れようとするとな、外の世界では生きていけなかったような中途半端な魔法使いしか残らずに、実力のある者は違う場所、国に行ってしまうんじゃ。
国としても強き者が他の国に流出するのは面白くないからの。ならば軍には入らずともただの講師として雇っておいて手元に置いておいた方がマシということじゃな。そうすれば、他の国の力が上がる訳でもないし、学生の質の向上にも繋がるからの。」
国からすれば強い魔法使いが、たとえ味方にならずとも敵になるのだけは防ぎたい訳だ。
学生からしても教え方に上手い下手はあるかもしれないけど、実力のある人から教えてもらった方がいいんだろうな。
「でもおれが学校に通う理由にはならなくない?学生はもれなく軍人になっちゃうんでしょ?」
「そうじゃの。学生はの。」
アリスはにやっと笑う。
「ん?」
「だからじゃ。ジローも教える側とした学校に通えばよいのじゃ。そうすれば軍に入らずとも大丈夫じゃろ。」
教える側?
講師として学生に魔法を教えるってこと?
「いや無理無理無理無理。無理だって。おれに学生に魔法を教えるなんて無理だって!
この世界の魔法がどんなものかもあんまりわかってないのに人に魔法なんて教えられないよ!
それに講師になったら学生の悩みを解消しなきゃいけないんでしょ?おれにそんな人生経験ないよ!
しかも女子学生もいるんだし告白されたらどうするの!おれ断れる自信ないよ!」
「最後のはジローの願望じゃの。安心せい。別にジローにそこまで望んどらんわい。さすがにアシナやわしに魔法を教えて貰っとるとはいえ、森からほぼ出ておらんジローに教鞭を取れとは言わんよ。
ジローには講師としてではなく、わしの助手として講義に参加してほしいのじゃ。」
「助手?」
「そうじゃ。学校で他の講師に頼もうにもの、半端なやつが多いのじゃ。わしがちょっと本気を出すと怪我してしまうようなの。
エルフのやつに頼んでもわしは無茶苦茶するから嫌だと言うんじゃ。」
それはなんとなくわかる。アリスって夢中になってくると周りが見えなくなるところあるから。
「校長に頼む訳にもいかんからの。そこで考えたらジローなら、中々の適任じゃと思ったのじゃ。それなりの実力もあり頑丈じゃ。そして何より怪我をさせても後腐れがない!ジローが怪我をしたとしてもわしが跡形もなく治してやるわい。」
それ、怪我する前提で話してるよね?跡形もなくっておれまでなくなっちゃいそうなんですけど。
「助手かー。でも、もし助手として学校に行くとしてもさ、おれはどう勉強したらいいの?誰かに頼んでくれたりするの?」
「それはじゃの。助手というても四六時中わしの手伝いをせいという訳ではない。講義の時やわしの手伝ってほしい時に少しだけ手を貸してほしいというのじゃ。それでそれ以外の時間に関しては他の座学などの講義を特別に受講できるように調整してやろうと思う。そうすればジローは空いた時間で魔法のことやこの国、世界のことを学ぶことができるじゃろ?」
なるほど。確かにそれだったらおれは好きな時に勉強出来て好きなことを学べる訳だ。そしてアリスとも稽古出来るとしたら一石二鳥どころではない。
でもちょっとおれに良い条件過ぎないだろうか。
「それだと助手どころかいっそのこと入学しろとか言われない?」
「おそらくじゃがそれは大丈夫なのじゃ。基本的に入学するのは自分の意思であり国がどうこうしている問題ではない。あくまでも軍人としての強制力が発生するのは入学してからの話じゃ。
それに今回に関しては、ジロー自身が希望したものではなく、わしがジローを無理に誘ったものとして話を持っていく。それであれば学校側としても、先も言った通り入学させようとして貴重な人材を逃がすよりは、わしの助手として学校に置いておくことに了承するはずじゃ。」
「んーそんなに上手くいくかな。」
「並の実力ならば無理かもの。じゃがジローの実力を見せれば学校側も納得せざるを得んと思うのじゃ。何かしらの制約は掛けられるやもしれんがあとはわしの交渉次第かの?」
学校か。
正直ちゃんとしたところで魔法やこの世界のことを勉強できるならそれに越したことはない。しかも、軍人にならずともそれができるのであれば。
色々な問題はありそうだけどそこはこれから煮詰めていけばいいのかもとも思う。
問題はユキやアシナかな。
ユキはいいとしてもアシナはどうするだろ。やっぱりここに残るって言うかな。
その視線に気付いたのか、
「アシナ達のことを気にしておるのか?ユキは別として、アシナのことなら心配無用じゃぞ。一緒に連れて行けばいいんじゃからな。アシナなら体を小さくするぐらい造作もないじゃろ。」
「む?私は行かぬぞ。そんな人でごった返したようなところに何故好き好んで行かねばならぬのだ。わざわざこの森を離れようとも思わぬ。」
「ふっふっふ。アシナよ。本当にそのようなことを言ってもよいのか?」
アリスがアシナに意味深な笑みを向ける。
「ジローがいなくなればもう鳥の唐揚げが食べれんくなるぞ?」
「なっっ!!」
アシナさん、あまりの衝撃だったのか、全身の毛が逆立ってる。
「鳥の唐揚げだけじゃない。今までジローが作ってきたあれやこれも食べれんくなるぞ?舌の肥えてしまったお主がそれに耐えれるのかの?それともお主だけであの味が再現できるとでも言うのかの?」
「むむむ…。どこにでも連れて行け!!」
……チョロい。チョロすぎる。
本当にこの狼さん。伝説の魔狼なんだろうか。今のおれには食い意地をはった狼にしか見えない……。
「どちらにしてもじゃ、ジローがこの世界で生きていくとしたら早く文字を覚えるに越したことはないと思うのじゃ。」
ん?
なんか意味深な言い方だな。
「やっぱり文字は覚えた方がいい?」
「というよりもの、ジローが検問所で書いた文字の方が問題なのじゃ。」
するとアリスはポケットからくしゃくしゃになった紙を取り出して広げた。それは以前、おれが検問所で書いた用紙だった。
「あの時ジローが検問所で書いたこの文字、これは漢字じゃろ?」
するとアリスはにやにやしながら
「別に通うと言っただけで入学するとは言っとらんじゃろ。」
学校に入学しない?不法入学?
「どういうこと?」
「わしは学校で魔法を教えとるじゃろ?じゃがわしは王国に所属しとる訳ではない。魔法学校におるエルフも然りじゃ。
魔法使いには国や軍、貴族などに雇われておる者と、冒険者や傭兵などといったフリーの者がおるのじゃ。しかし、その中でも実力がそれなりにある者は以外と少ないんじゃ。そして強い魔法使いほど軍などにおるよりも冒険者として活動した方が自由であるし、遺跡探索や未開地などで活動した方が金回りがいいんじゃな。じゃから進んで国や軍に入ろうと思うものは実力者ほど少ないのじゃ。」
「んーつまり?」
「つまりじゃな。魔法学校に入学する者はおっても、それをしっかりと指導出来る者は不足がちなんじゃ。教える者まで軍に入れようとするとな、外の世界では生きていけなかったような中途半端な魔法使いしか残らずに、実力のある者は違う場所、国に行ってしまうんじゃ。
国としても強き者が他の国に流出するのは面白くないからの。ならば軍には入らずともただの講師として雇っておいて手元に置いておいた方がマシということじゃな。そうすれば、他の国の力が上がる訳でもないし、学生の質の向上にも繋がるからの。」
国からすれば強い魔法使いが、たとえ味方にならずとも敵になるのだけは防ぎたい訳だ。
学生からしても教え方に上手い下手はあるかもしれないけど、実力のある人から教えてもらった方がいいんだろうな。
「でもおれが学校に通う理由にはならなくない?学生はもれなく軍人になっちゃうんでしょ?」
「そうじゃの。学生はの。」
アリスはにやっと笑う。
「ん?」
「だからじゃ。ジローも教える側とした学校に通えばよいのじゃ。そうすれば軍に入らずとも大丈夫じゃろ。」
教える側?
講師として学生に魔法を教えるってこと?
「いや無理無理無理無理。無理だって。おれに学生に魔法を教えるなんて無理だって!
この世界の魔法がどんなものかもあんまりわかってないのに人に魔法なんて教えられないよ!
それに講師になったら学生の悩みを解消しなきゃいけないんでしょ?おれにそんな人生経験ないよ!
しかも女子学生もいるんだし告白されたらどうするの!おれ断れる自信ないよ!」
「最後のはジローの願望じゃの。安心せい。別にジローにそこまで望んどらんわい。さすがにアシナやわしに魔法を教えて貰っとるとはいえ、森からほぼ出ておらんジローに教鞭を取れとは言わんよ。
ジローには講師としてではなく、わしの助手として講義に参加してほしいのじゃ。」
「助手?」
「そうじゃ。学校で他の講師に頼もうにもの、半端なやつが多いのじゃ。わしがちょっと本気を出すと怪我してしまうようなの。
エルフのやつに頼んでもわしは無茶苦茶するから嫌だと言うんじゃ。」
それはなんとなくわかる。アリスって夢中になってくると周りが見えなくなるところあるから。
「校長に頼む訳にもいかんからの。そこで考えたらジローなら、中々の適任じゃと思ったのじゃ。それなりの実力もあり頑丈じゃ。そして何より怪我をさせても後腐れがない!ジローが怪我をしたとしてもわしが跡形もなく治してやるわい。」
それ、怪我する前提で話してるよね?跡形もなくっておれまでなくなっちゃいそうなんですけど。
「助手かー。でも、もし助手として学校に行くとしてもさ、おれはどう勉強したらいいの?誰かに頼んでくれたりするの?」
「それはじゃの。助手というても四六時中わしの手伝いをせいという訳ではない。講義の時やわしの手伝ってほしい時に少しだけ手を貸してほしいというのじゃ。それでそれ以外の時間に関しては他の座学などの講義を特別に受講できるように調整してやろうと思う。そうすればジローは空いた時間で魔法のことやこの国、世界のことを学ぶことができるじゃろ?」
なるほど。確かにそれだったらおれは好きな時に勉強出来て好きなことを学べる訳だ。そしてアリスとも稽古出来るとしたら一石二鳥どころではない。
でもちょっとおれに良い条件過ぎないだろうか。
「それだと助手どころかいっそのこと入学しろとか言われない?」
「おそらくじゃがそれは大丈夫なのじゃ。基本的に入学するのは自分の意思であり国がどうこうしている問題ではない。あくまでも軍人としての強制力が発生するのは入学してからの話じゃ。
それに今回に関しては、ジロー自身が希望したものではなく、わしがジローを無理に誘ったものとして話を持っていく。それであれば学校側としても、先も言った通り入学させようとして貴重な人材を逃がすよりは、わしの助手として学校に置いておくことに了承するはずじゃ。」
「んーそんなに上手くいくかな。」
「並の実力ならば無理かもの。じゃがジローの実力を見せれば学校側も納得せざるを得んと思うのじゃ。何かしらの制約は掛けられるやもしれんがあとはわしの交渉次第かの?」
学校か。
正直ちゃんとしたところで魔法やこの世界のことを勉強できるならそれに越したことはない。しかも、軍人にならずともそれができるのであれば。
色々な問題はありそうだけどそこはこれから煮詰めていけばいいのかもとも思う。
問題はユキやアシナかな。
ユキはいいとしてもアシナはどうするだろ。やっぱりここに残るって言うかな。
その視線に気付いたのか、
「アシナ達のことを気にしておるのか?ユキは別として、アシナのことなら心配無用じゃぞ。一緒に連れて行けばいいんじゃからな。アシナなら体を小さくするぐらい造作もないじゃろ。」
「む?私は行かぬぞ。そんな人でごった返したようなところに何故好き好んで行かねばならぬのだ。わざわざこの森を離れようとも思わぬ。」
「ふっふっふ。アシナよ。本当にそのようなことを言ってもよいのか?」
アリスがアシナに意味深な笑みを向ける。
「ジローがいなくなればもう鳥の唐揚げが食べれんくなるぞ?」
「なっっ!!」
アシナさん、あまりの衝撃だったのか、全身の毛が逆立ってる。
「鳥の唐揚げだけじゃない。今までジローが作ってきたあれやこれも食べれんくなるぞ?舌の肥えてしまったお主がそれに耐えれるのかの?それともお主だけであの味が再現できるとでも言うのかの?」
「むむむ…。どこにでも連れて行け!!」
……チョロい。チョロすぎる。
本当にこの狼さん。伝説の魔狼なんだろうか。今のおれには食い意地をはった狼にしか見えない……。
「どちらにしてもじゃ、ジローがこの世界で生きていくとしたら早く文字を覚えるに越したことはないと思うのじゃ。」
ん?
なんか意味深な言い方だな。
「やっぱり文字は覚えた方がいい?」
「というよりもの、ジローが検問所で書いた文字の方が問題なのじゃ。」
するとアリスはポケットからくしゃくしゃになった紙を取り出して広げた。それは以前、おれが検問所で書いた用紙だった。
「あの時ジローが検問所で書いたこの文字、これは漢字じゃろ?」
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