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次の食料は、愛する人──
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「行ってくるわね」
夕方、ベニータとセレンナは、いつものようにエリザベッタの部屋を訪れた。
「いってらっしゃい、ベニータお姉さま。セレンナ」
「さっさと捕らえて早く帰ってくるわねェ」
セレンナは、エリザベッタの体調をまだ心配しているようだった。エリザベッタはそんなセレンナに心配かけまいとぐっと手を握って、
「ええ!待ってるわ」
にっこり微笑み、元気であることをアピールした。そんなエリザベッタに、セレンナは少しほっとした様子だった。
「くれぐれも、外に出ないようにね」
ベニータは、念を押すように、エリザベッタにしっかり目線を合わせてそう言った。
「ええ、出ないわよ」
「・・・じゃあ行ってくるわね」
エリザベッタは、ベニータにしっかり答えた。もう二度と、この部屋からは出ない。
窓から町へと向かう、ベニータとセレンナの後ろ姿を見つめながらエリザベッタは自分に誓った。
ベニータお姉さまの言いつけを守らなかったからこんなことになったんだわ。エリザベッタは、しっかり反省していた。
わたくしは、体も弱いし人間と出会っただけでこんな風になってしまう。それをなんとなくわかっていたから、お母さまやお父さまは、わたくしに人間の捕らえ方や調理の仕方を教えてくださらなかったのかもれないわ。
エリザベッタは、人間の町に行ってから、後悔と反省ばかりしていた。
もう忘れましょう、無意識に握りしめていた角笛を襟元から出す。
「これも捨てましょう」
エリザベッタは、自分のぬくもりの残るつるつるした角笛を握りしめた。
エリザベッタにとってこの角笛は、人間の町に行った時の唯一の形としての思い出であり、初めてベニータとセレンナ以外からもらったプレゼントだった。
これを大事に持っているから、あの人たちのことを思い出して人間が食べれなくなってしまうんだわ。元の生活に戻る為には、これを捨てなくては。
エリザベッタは、角笛をぎゅっと握りしめた。そして、ゴミ箱に捨てようと拳を振り上げた。
『よしよし』
『不安そうな顔するなよ』
『また会おうな』
リアンと子供たちの顔が浮かんだ。エリザベッタはぐっと唇を噛んだ。そして、だらんと振り上げた手を下ろすと、角笛をまた胸にかけてベットに戻った。
***
エリザベッタが目を覚ますと、もう明るかった日は暮れかけていた。
どれくらい時間が経ったにかしら。エリザベッタが時計を確認すると、ベニータと、セレンナが家を出てから1時間程が経っていた。
「ベニータお姉さまとセレンナは、まだ帰ってきていないのかしら」
エリザベッタは、ベットからゆっくり起き上がり、カーテンの隙間から外を見た。
灯りが見えた。ああ、ベニータお姉さまセレンナが帰ってきたんだわ。エリザベッタは、安心したように微笑んだ。
だが―。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
衝撃で、声も出ないとはまさに今のような状況なのだろう。
エリザベッタは、しゃっとカーテンを勢いよく閉めると、叫びだしたい気持ちを両手で抑え込み、その場にしゃがみこんだ。
リアンがいたのだ。
ベニータと、セレンナに連れられて、お屋敷に入るところだった。入口の扉前の灯りで顔がはっきりわかった。
そして、あろうことかそのリアンと目が合った気がしたのだった。
エリザベッタは、胸がきゅうと締め付けられるように痛くなり、動悸で苦しくなった。どうしてリアンが!しかも、ベニータお姉さまとセレンナは言っていたわ!これから食料を取りに行くと!元気のないわたくしの為に!
エリザベッタは、服の上から角笛を祈るように握りながら、小さくうずくまっていた。
どうしたらいいの・・・。
わたくしが彼を開放するように言えば、優しいベニータお姉さまや、セレンナはきっとリアンを開放してくれるでしょう。でも、それだとわたくしが外に出たことがバレてしまう。2人を裏切って嘘をついて、約束を破ったことがバレてしまう。
でも、今はそんなことを言っている場合ではないわ。
エリザベッタは、勇気を出して部屋から出るという決断を出した。
エリザベッタは、つかつかと部屋の前まで歩き、深呼吸を1つした。
よし。そう思った矢先、扉の向こうに人の気配がした。
扉が開いて、飛び込んできたのは、
「リアン・・・」
エリザベッタは、驚愕して後ずさった。リアンは、エリザベッタの部屋に勢いよく入ると、おっとっと、と2、3歩歩みを進めた後、くるりと振り返った。
「エリザベッタ!久しぶりだな!」
夕方、ベニータとセレンナは、いつものようにエリザベッタの部屋を訪れた。
「いってらっしゃい、ベニータお姉さま。セレンナ」
「さっさと捕らえて早く帰ってくるわねェ」
セレンナは、エリザベッタの体調をまだ心配しているようだった。エリザベッタはそんなセレンナに心配かけまいとぐっと手を握って、
「ええ!待ってるわ」
にっこり微笑み、元気であることをアピールした。そんなエリザベッタに、セレンナは少しほっとした様子だった。
「くれぐれも、外に出ないようにね」
ベニータは、念を押すように、エリザベッタにしっかり目線を合わせてそう言った。
「ええ、出ないわよ」
「・・・じゃあ行ってくるわね」
エリザベッタは、ベニータにしっかり答えた。もう二度と、この部屋からは出ない。
窓から町へと向かう、ベニータとセレンナの後ろ姿を見つめながらエリザベッタは自分に誓った。
ベニータお姉さまの言いつけを守らなかったからこんなことになったんだわ。エリザベッタは、しっかり反省していた。
わたくしは、体も弱いし人間と出会っただけでこんな風になってしまう。それをなんとなくわかっていたから、お母さまやお父さまは、わたくしに人間の捕らえ方や調理の仕方を教えてくださらなかったのかもれないわ。
エリザベッタは、人間の町に行ってから、後悔と反省ばかりしていた。
もう忘れましょう、無意識に握りしめていた角笛を襟元から出す。
「これも捨てましょう」
エリザベッタは、自分のぬくもりの残るつるつるした角笛を握りしめた。
エリザベッタにとってこの角笛は、人間の町に行った時の唯一の形としての思い出であり、初めてベニータとセレンナ以外からもらったプレゼントだった。
これを大事に持っているから、あの人たちのことを思い出して人間が食べれなくなってしまうんだわ。元の生活に戻る為には、これを捨てなくては。
エリザベッタは、角笛をぎゅっと握りしめた。そして、ゴミ箱に捨てようと拳を振り上げた。
『よしよし』
『不安そうな顔するなよ』
『また会おうな』
リアンと子供たちの顔が浮かんだ。エリザベッタはぐっと唇を噛んだ。そして、だらんと振り上げた手を下ろすと、角笛をまた胸にかけてベットに戻った。
***
エリザベッタが目を覚ますと、もう明るかった日は暮れかけていた。
どれくらい時間が経ったにかしら。エリザベッタが時計を確認すると、ベニータと、セレンナが家を出てから1時間程が経っていた。
「ベニータお姉さまとセレンナは、まだ帰ってきていないのかしら」
エリザベッタは、ベットからゆっくり起き上がり、カーテンの隙間から外を見た。
灯りが見えた。ああ、ベニータお姉さまセレンナが帰ってきたんだわ。エリザベッタは、安心したように微笑んだ。
だが―。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
衝撃で、声も出ないとはまさに今のような状況なのだろう。
エリザベッタは、しゃっとカーテンを勢いよく閉めると、叫びだしたい気持ちを両手で抑え込み、その場にしゃがみこんだ。
リアンがいたのだ。
ベニータと、セレンナに連れられて、お屋敷に入るところだった。入口の扉前の灯りで顔がはっきりわかった。
そして、あろうことかそのリアンと目が合った気がしたのだった。
エリザベッタは、胸がきゅうと締め付けられるように痛くなり、動悸で苦しくなった。どうしてリアンが!しかも、ベニータお姉さまとセレンナは言っていたわ!これから食料を取りに行くと!元気のないわたくしの為に!
エリザベッタは、服の上から角笛を祈るように握りながら、小さくうずくまっていた。
どうしたらいいの・・・。
わたくしが彼を開放するように言えば、優しいベニータお姉さまや、セレンナはきっとリアンを開放してくれるでしょう。でも、それだとわたくしが外に出たことがバレてしまう。2人を裏切って嘘をついて、約束を破ったことがバレてしまう。
でも、今はそんなことを言っている場合ではないわ。
エリザベッタは、勇気を出して部屋から出るという決断を出した。
エリザベッタは、つかつかと部屋の前まで歩き、深呼吸を1つした。
よし。そう思った矢先、扉の向こうに人の気配がした。
扉が開いて、飛び込んできたのは、
「リアン・・・」
エリザベッタは、驚愕して後ずさった。リアンは、エリザベッタの部屋に勢いよく入ると、おっとっと、と2、3歩歩みを進めた後、くるりと振り返った。
「エリザベッタ!久しぶりだな!」
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