深夜のコンビニバイト始めたけど魔王とか河童とか変な人来すぎて正直続けていける自信がない

ガイア

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深夜のコンビニバイト二十三日目 かぐや姫再来店

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深夜のコンビニバイト二十三日目。

ピロリロピロリロ。

「いらっしゃ...」

ツインテールを揺らし来店して来たのは、目を真っ赤にはらし、赤と黒のフリフリゴスロリの着物を着たかぐや姫だった。

心底不機嫌そうに、休憩スペースに座って机に突っ伏して、

「うっ...えっ...うっ」

と突如泣き出したかぐや姫。

「どうしたの?」

休憩スペースまで歩いていって膝をついてかぐや姫に優しく声をかける。

「....うっ...あ、あんたに言っても...しょうがないわよ...うっ...」

お年頃の女の子の悩みというやつなのだろうか、確かに俺なんかに言っても仕方ないんだろうな。
店長を呼んでくるか...でも店長に怯えてたからなぁ...でもこのまま放っておくわけにもいかないし。

ピロリロピロリロ

「お兄さーん!会いにきたよー!」

向日葵のような明るい笑顔で来店してくるや否や俺の方に小走りで走ってきたのは、いつぞやの天使、ハムエルちゃんだった。
可愛いオブ可愛い。

「天使ちゃん!?どうしたの?」

「実はね、しー、っだよ。マニーシャちゃんに、お家から出るとまた変な人に誘拐されるからってずっとお家から出してもらえなかったんだけど、マニーシャちゃんに、ミルクティーを買ってきてもらってる間にこうして家から飛び出してお兄さんに会いに来たんだよ!」

要約すると、マニーシャちゃんに監禁されてたから、脱走して俺に会いにきたって事?
めちゃくちゃ俺心配なんだけどこの子が。でも俺の為に健気可愛い...。

「マニーシャちゃんが帰ってくるまでだけどお兄さん、ボクと遊んでよ!」

「あー...うん、と言いたいところだけど」

ハムエルちゃんと話している間かぐや姫が起き上がり、「何で私を無視して他の子と話をしてるの」という禍々しいオーラを放ちながらこっちをガン見してる。
ごめん。悪かったって。

「どうしたの?」

俺がかぐや姫を見ると、かぐや姫はサッと机に突っ伏す。

「あぁ、いや、俺は今この子と話さなくちゃいけない事があってね」

「何をお話しするの?ボクも一緒にお話し聞いてもいい?」

ハムエルちゃんは、突っ伏したかぐや姫に近寄って耳の近くで、優しく声をかけた。

「ボクは、ハムエル。具合でも悪いの?大丈夫?」

「.....別に」

冷たく返すかぐや姫。

「心配してくれたハムエルちゃんに、それはないんじゃないか?」

「うるさい!このロリコン!可愛い女の子に優しくするんだ!ボケ!タコナス!」

余計にいじけてしまった。
俺とハムエルちゃんは、顔を見合わせた。

ピロリロピロリロ

「見つけましたわ...」

「ひゃっ!!」

低く、重く怒りが込められた聞き覚えのある声に、ハムエルちゃんは体を震わせた。

「ひーっぜーっはーっ、はぁ、はぁ、ハムエルを誘拐したのは貴方ですわね。この変態ロリコン、ぶち殺しますわよ」

息を切らしながら膝に手を当ててこちらを睨みつける悪魔、マニーシャちゃんは物凄く物騒なことを言いながら俺の方にズカズカ近寄ってきた。
だが、それを天使ちゃんが俺の前に出て
両手を広げて庇ってくれた。

「やめて、マニーシャちゃん。ボクが勝手にお兄さんに会いに来たんだ。またお兄さんに会いたくて」

「ハムエルはこの変態ロリコンに洗脳されているのですわ。さぁ、帰りますわよ。あ、そう、変態ロリコン!言っておきますけど、ハムエルは"男の子"なんですからね。手を出そうったって無駄ですわよ」

「嘘...」

起き上がったかぐや姫が小さく声を漏らした。何気に話を聞いてるのかよ。

マニーシャちゃんは、ハムエルちゃんの手を掴んで連れて行こうとするが、ハムエルちゃんがそれを拒んだ。

「ダメだよ。ボクはやる事があるんだ」

「やる事...何ですの?」

「この子、ちょっと様子が変なんだ。心配だから、放っておけないよ」

かぐや姫を指して、眉をハの字にしていうハムエルちゃんに、マニーシャちゃんもかぐや姫に注目する。かぐや姫はまたサッと机に突っ伏した。

「赤の他人の事なんて構ってられませんわ。わたくしはハムエルさえいればいいんですの」

「ダメだよ。ボクは困ってる人を放っておけない。ボクを助けてくれたお兄さんみたいに」

なんていい子なんや...ハムエルちゃん。俺の心がシュワァアと浄化されていくのがわかる。これが天使の力か...。

「む...こうなるとハムエルは聞きませんからね...仕方ないですわね。じ、じゃあわたくしもその子の件が解決するまで一緒にいる事にしますわ」

「ありがとうマニーシャちゃん。ねぇ、君、ボク達に何があったのか話してみてよ。お兄さんも合わせて三人でお話し聞くからさ」

ハムエルちゃんがかぐや姫の肩に手を置いてまた優しく声をかけると、体をびくりと震わせたかぐや姫は、

「...知らない人に言っても仕方ない事だ」

相変わらずいじけた様子のかぐや姫。
流石にそろそろ注意するべきか?

「何ですの?この子。ハムエルが折角話を聞いてあげるって言ってあげているのに、そんなのだとまともにお友達もできませんわよ」

マニーシャちゃんの一言に、かぐや姫は跳ねるように勢いよく起き上がった。

「黙れ!黙れ黙れ!!赤の他人のあんたに何がわかるっていうのだ!友達なんていらぬわ!馬鹿!」

「馬鹿ぁ?貴方、誰に向かってそんな口を聞いていますの?」

かぐや姫は立ち上がってマニーシャちゃんの前に立つ。

「そうやって外でお友達を作れば?なんで友達ができないのか考えてみてって、何で普通に聞いてくるのだ!聞くな!!うるさいのだ...我の気持ちも知らぬくせに」

「あら、そうですの。貴方は、友達ができなくて周りになんで友達ができないのかを指摘されたから、そうやっていじけてるんですわね」

「いろんな先生が...聞いてくる..ぐすっ、最近学校に通いだして、私は真剣に...うっ...悩んで...何で...うっ、我の事を変な子って言うのぉ。お母さんとお父さん月にいるって言ったら嘘つきって言うのぉ...確かに我はかぐや姫で他の人と違うけどぉ...違うからって何で普通の人と違うからってさけるのぉ...」

俺は、目頭を押さえ、鼻水をすすりあげた。

「友達...欲しいよ。でも、できないもん、どうしたらいいか、分からないもん...ずっと、おばあちゃんとおじいちゃんと暮らして来て、同世代の友達なんて、いなかったもん」

泣き出してしまった。
俺はどうしたらいいのか分からずおどおどしていると、

「5人の公達は、我の学校生活を心配して最近学校まで隠れて見に来て、グラウンドでやるキャッチボール...1人だけペアができなかった我を心配して今日の夜友達ができたのか?って聞いて来たのだ。我は、それで泣きながら飛び出して来てしまった」

「くだらないですわ」

「くだらないとか言うなぁ...我は真剣に...真剣に悩んでおるのだ...それなのに」

俯いたかぐや姫の肩にそっとマニーシャちゃんは手を乗せた。

「そんなあんたの事を変とか嘘つきとか言うやつらと無理して友達になろうかと悩んでるのがくだらないって言ってるのよ」

ハムエルちゃんが、かぐや姫を後ろからそっと抱きしめた。

「そっかぁ...辛かったね。悲しかったね。ごめんね、泣かせちゃって。大丈夫だよ。ボク、決めたよ。ボクが君のお友達になるよ」

「なっ...ハムエル!」

「マニーシャちゃんも、友達になってあげるよね?」

当たり前でしょ?と大きく目をガン開いて言うハムエルちゃんに、マニーシャちゃんは、一瞬怯えた表情を見せ、諦めたように笑った。

「まーた、世話を焼かされそうな子が増えましたわね。いいですわよ。ハムエルの友達はわたくしのお友達。わたくしがお友達になってあげますわ」

「とも...だち?」

かぐや姫がゆっくり顔を上げるとハムエルちゃんとマニーシャちゃんが、微笑んで、かぐや姫の手を取った。

「そう、友達だよ。年も近そうだしボク達と今度一緒に遊ぼうよ」

「ハムエルにあんまり近づきすぎたらストップをかけますけれどね。たまに遊んであげるくらいはいいですわ」

「本当.....いいの?」

「勿論だよ。ボクはハムエル。ハムエルでいいよ。そして、この子はマニーシャちゃん、君の名前は何ていうの?」

「我は...か、かぐや姫」

自己紹介に慣れてないというように自信がなさそうにいうかぐや姫に、

「じゃあかぐちゃんだ!よろしくね」

ハムエルちゃんが天使の如く微笑みかけると、かぐや姫も先程の泣き顔が雲から光がさすように、微笑んだ。

「かぐちゃん...うん、うん、我は、かぐや姫。は、ハムエル、マニーシャちゃん!よろ..よろしく」

「よろしく!」

「よろしくしてあげますわ」

三人で手を繋いで笑う姿を見て、俺は親心のようなものが芽生えたのか、静かに涙を流し、拍手していた。
自動ドアが開かない休憩スペース側の壁に抱き合って声を出さないように気をつけながら大号泣している5人の公達が張り付いている。

あぁ、何だよ。いいなぁ、小さい女の子達って。
違うよ、またこういう事言ったら絶対ロリコンとか言われるんだろうな。

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