深夜のコンビニバイト始めたけど魔王とか河童とか変な人来すぎて正直続けていける自信がない

ガイア

文字の大きさ
68 / 96

深夜のコンビニバイト六十八日目 戦隊ヒーロー&ライダー来店

しおりを挟む
 深夜のコンビニバイト六十八日目。

ピロリロピロリロ。

「いらっしゃ...」

またか...昨日と同様に五人でぞろぞろと来店する戦隊ヒーローの方達に俺はなんとなくこの方達が来店してきた目的を察した。

「ん、今日は真面目に働いているようだな青年。昨日も聞いたのだが、ほ、本当に怪獣を知らないか?青年!」

「知りませんよ」

「レッド、やっぱり嘘を言っているようには見えないよ~」

「グリーン、甘いぞ。青年はライダー派の人間だからな、俺達に嘘をついている可能性もある」

いや敵と戦えよ。なんでレッドはそんなにライダーに敵対心むき出しなんだよ。

「冷静になれレッド。この青年が怪獣をかくまっていたとして、彼にどんなメリットがある?」

冷静な口調でブルーは腕を組みながらレッドを見る。
そうだよ!ブルーは話がわかる!

「この青年がライダーか俺達が今戦っている怪人達の手下だったり、もしくは操られてたりしたら、怪獣をかくまって育ててるかもしれないだろ?」

一般人を怪人の手下にするな!何で操られてる奴がコンビニで普通にこんな深夜にバイトしてんだよ!ライダーに何の恨みがあるんだよレッド!!
話が通じそうなブルー!レッドにお前何馬鹿なこと言ってんだって言ってやってくださいよ!!

「.....まぁ、つまりはそういう事だな。おい貴様。怪人の手下じゃないって証拠を見せてみろ」

ブルーも馬鹿なんだけど...何納得してんだよ庇えよ俺を!!

「まぁまぁ、もしかしたら一般人かもしれないじゃない~善良な市民かもしれないじゃない~」

まぁまぁと俺の間に入ってくれるグリーン。とても優しい。この人を俺は応援する。

「じゃあ、いないって事でいい?あたし、帰っていいかな?」

イエローは終始腕を組んでイライラしている様子だった。

「...私も、夜更かしはお肌に悪いしぃ」

ピンクは、困ったわと頰に手を当ててイエローと一緒に入り口付近に歩き出している。

「くっ.....あのクローン怪獣、一刻も早く見つけないといけないのに!!」

レッドが子供のようにどすどす足踏みをした。

「その、怪獣ってそんなにやばいんですか?」

「いや、だってその怪獣がこの世界を滅ぼす新たな脅威なんだよ?今は子供みたいだからさ子供のうちに倒しておかないと、地球が滅びてしまうんだよ?」

いや無駄に壮大だな。
あんな小さい怪獣にそんな力があると思えないんだが。

ピロリロピロリロ。

「いらっしゃ...」

お客様が来た為、五人のヒーロー達は入り口から各々避ける。
現れたのは、コンビニの天井の少し下くらいにまで成長した俺が昨日見た怪獣だった。

「なっ...お前は!?怪獣じゃないか!?」

ブルーが指をさして叫ぶ。

「クソでかくなってんじゃねぇか!?」

レッドも驚きのあまり口が悪くなる。

「だ、大丈夫だよ~僕達五人で力を合わせればこんな怪獣倒す事ができちゃうよ~」

グリーンが、おーっと右手をつきあげ、

「イエローもピンクも行くぞ!」

終始やる気のない女子組イエローとピンクを巻き込み五人は戦闘態勢に入る。

「よいしょ」

だが、怪獣の後ろから現れたのは昨日来店してきた黒いコートにロングヘアーの男性。顔を隠すように黒いシルクハットをかぶっている。
30代前半くらいで、大人の雰囲気を醸し出しながらいつから入ってきたのか怪獣の後ろからぬっと現れた。

「あれあれあれぇ?ライダーじゃん?虚空の戦士(笑)のライダーさんじゃありませんか?」

レッドがいきなり絡みに行く。
ライダー?え?ライダー?もしかしてこの人...。

「あぁ、いかにも俺は虚空の戦士。お前達みたいに群れないと戦えねえほど弱くねえよ」

低く、格好いい声でボソリというライダーと呼ばれた男性。

「はーん?友達少ないだけじゃないのー?」

やめて差し上げろ醜いぞレッド!!

「仲間ってのは...いいもんだぜ」

格好良くキメるブルー、

「君も仲間に入れてあげるよ~おいでおいで~前から君の事は誘おうと思ってたんだ~僕達は世界を守るヒーローとしてさ、こんな風に仲違いするんじゃなくて、仲良くするべきだと思うんだ~」

グリーンが、絡むレッドとライダーの間に入りとてもいい事を言った。その通りだ。本来仮面ライダーも戦隊ヒーローも種類は違えど目的は同じなはず。グリーンのいう通り協力してこの世界を守ってくれ。それが俺達ただの一般市民のただ一つの願いなんだ。

「そんなダサいヒーロースーツなんて着れるか。目がチカチカすんだよ。仮面ライダースーツは目に優しくて毎回毎回個性的で、格好いいだろう」

仮面ライダーだった!!仮面ライダーだったんだ!!やった!サイン欲しい。でも言ってる事すごく酷い。

「ハッ全然わかってないな!戦隊ヒーローは歴代のスーツの統一感を大事にしてんの!この中で一番ヒーローオタクのピンクがこのスーツデザイン考案してんだぞ!?そんな事言っていいんか?お?」

レッドがもうヒーローらしからぬ口調になってるんですが、大丈夫なんですか絵面的に。

「わ、私は別に全然気にしてないよ」

「ププ」

「おいてめぇイエローこら。何笑ってんだクソぶっ殺すぞ」

ピンクも崩壊してきた。待って、ついていけない。

「はっそれが本性よね?あんたのヒーロー志望理由聞いたわよ~男ヒーロー達の紅一点になりたかったからよねぇ?残念でしたぁーぶりっ子がみ、え、み、えなんだよぉー?」

舌を出し煽るイエロー。マジでやめてくれ二人とも。

「はーん?イエローあんた、ピンクになりたかったんですってねぇ?私のような愛らしさ、可愛さ、女の子らしさの無いが、さ、つ、な性格だからイエローになっちゃったんじゃないのぉ?イエローは家でカレーでも食べてなさいよ?」

やめてくれ戦隊ヒーローの女子二人で醜い争いを繰り広げないでくれ。

「やめてよ!皆!もっと仲良くしようよ!皆!」

グリーンが必死に叫んで止めようとする。

「グリーン、もうこうなってしまったからにはいつものお約束だ」

ブルーがグリーンの肩にポンと手を乗せる。
諦めてる...しかもお約束なのかよ。

「ところで、何でその、どうして仮面ライダーさんは怪獣の後ろから現れたんですか?」

俺の問いに、仮面ライダーさんは平然と答えた。

「いや、バイク壊れちゃって。飼ってたこいつが大きくなったから背中に乗って移動してるんだ結構乗り心地よくていい感じ」

いや何言ってんのこの人。
仮面ライダーってバイクで颯爽と走って怪人追いかけるところが格好いいし、ライダーである所以だよねいいのそれ。怪獣に背負ってもらって走るライダーってそれいいの?

「とりあえず怪獣は俺達に渡してもらおうか」

レッドがじりじりと怪獣に近寄る。

「それはだめだ。ぽてちは俺のバイク代わりだ」

バイクの代わりにとんでもなく可愛い名前をつけないでくれ。
仮面ライダーは、ひょいとぽてちの後ろに飛び乗ると、

「行こう、ぽてち。コーラとポテチはまた別のコンビニで買ってやる」

とまるで馬に乗る騎士のように颯爽とコンビニを後にした。

「追いかけろ!!」

五人はバタバタと走る。
グリーンだけくるりと振り返って俺にお騒がせしましたとお辞儀した。
苦労するなぁ...グリーン。



しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。 王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。 だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。 行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。 冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。 無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――! 王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。 これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

白苑後宮の薬膳女官

絹乃
キャラ文芸
白苑(はくえん)後宮には、先代の薬膳女官が侍女に毒を盛ったという疑惑が今も残っていた。先代は瑞雪(ルイシュエ)の叔母である。叔母の濡れ衣を晴らすため、瑞雪は偽名を使い新たな薬膳女官として働いていた。 ある日、幼帝は瑞雪に勅命を下した。「病弱な皇后候補の少女を薬膳で救え」と。瑞雪の相棒となるのは、幼帝の護衛である寡黙な武官、星宇(シンユィ)。だが、元気を取り戻しはじめた少女が毒に倒れる。再び薬膳女官への疑いが向けられる中、瑞雪は星宇の揺るぎない信頼を支えに、後宮に渦巻く陰謀へ踏み込んでいく。 薬膳と毒が導く真相、叔母にかけられた冤罪の影。 静かに心を近づける薬膳女官と武官が紡ぐ、後宮ミステリー。

後宮の手かざし皇后〜盲目のお飾り皇后が持つ波動の力〜

二位関りをん
キャラ文芸
龍の国の若き皇帝・浩明に5大名家の娘である美華が皇后として嫁いできた。しかし美華は病により目が見えなくなっていた。 そんな美華を冷たくあしらう浩明。婚儀の夜、美華の目の前で彼女付きの女官が心臓発作に倒れてしまう。 その時。美華は慌てること無く駆け寄り、女官に手をかざすと女官は元気になる。 どうも美華には不思議な力があるようで…?

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

処理中です...