紋章斬りの刀伐者〜無能と蔑まれ死の淵に追い詰められてから始まる修行旅〜

覇翔 楼技斗

文字の大きさ
163 / 223
五章 帝国の洗礼

百六十一話 情報の得方

しおりを挟む


 俺達はいくつかの手続きを終え、国境を超えて遂に帝国の国土を踏む。

 正式名書は『イーテス帝国』であり、帝族を頂点として国営されており、『実力主義』を掲げる人族の国の一つだ。

 実力主義とは文字通り実力が全てという主義であり、実力さえあれば何をしても許される……という訳では無い。

 気に入らない相手は殺す。なんてことは当たり前だが犯罪だ。そんなことが許されてしまえばただの蛮族集団だ。

 実力主義とは帝族が定めた法律や実力を発揮する場所の規則を守った上で、誰よりも優れた者にそれ相応の権利や報酬を与える、という主義の事だ。
 
 そして帝国と言えば、王国や宗教国とは違って多くの種族が共存しているというのも有名な話だ。

 王国は法律で禁止している訳では無いが、国風的にあまり良くは思っておらず、宗教国に至ってはほぼ完全に拒絶している。

 王都には人族以外もいくらか居たが、帝国の比では無いはずなので実はかなり期待していたりする。

「やっぱり冒険者も実力主義なのかな~?」
「そういう噂を良く聞くな。だから、王国以上に依頼の競争率も高いし、高ランク冒険者も多いらしい」
「へ~♪あ、ご飯とかも美味しかったり?」
「ああ。その分値段も高いかもしれないが、小さな町でもレベルの高い飯屋もあるかもしれないな。それに食べたことの無い食べ物もあるはず」
「お~、楽しみ~♪」
 
 隣国とは言えど、食文化も環境も違う。言語こそ同じものの、常識すら違うのだ。
 きっと驚きと発見に満ち溢れてること間違いなしだろう。

 まぁ、あまり期待しすぎるのも良くないとは思うが、期待しすぎて少し残念に思ってしまってもそれはそれで旅の醍醐味だ。

 そんな事を考えていると、馬車の速度が少しずつ遅くなっていくのを感じ取る。
 どうやら帝国に来て初めてであり目的地でもある街に無事到着いたようだ。

 街を囲う外壁には対しては違いを見受けられなかったが、中に入ればその差は歴然。
 これは先程も言ったが明らかに他種族が多い。なんなら人族以外の種族がこの国を守る仕事をしていた。

 街に漂う匂いに誘われて訪れた露店にも見たことの無い食材を見つけたり、衣服に使われている素材や武器等の種類の偏り。

 この街で見たありとあらゆる物が俺達には新鮮に感じた。

「凄~い♪国が変わるだけでこんなにも変わるんだね~♪」
「ああ、もしかしたら王国からの観光客を釣るのが目的なだけかもしれないが、そうだとしても種類の多いのは間違いない」
「ね~♪」
 
 目につくものを全て買いたい気持ちをグッと押え、情報集めのために冒険者ギルドに向かう。
 
 因みにだが、今後の目的についてはあまり決まっていない。
 帝国の首都である帝都に行くのもいいが、都会だけがいい場所とは限らないからな。

 この街でも数日滞在した後、帝都を含め他の場所にも巡った後に次の国へ行く予定だ。
 まだ気が早いが、次は人族の国以外に行くのもいいかもな。

 今後の旅について思いを馳せながら、俺達は冒険者ギルドを探しながら歩く。適当に歩いている内にそれらしい建物を見つかるだろう。

 そこまで急ぐことでもないので俺達は観光しながらゆっくりギルドを探す。
 小腹がすいたので買った食べたことの無い露店の串焼きを買ったりしながら、ついでにこの街の情報も集めておく。
 
「はいよ、串焼き二本だ」
「ありがとう。俺達は今日来たばかりなんだが、何か知っておいた方がいいこととかあるか?」
「ありがと~♪」
「知っておいた方がいい事ねぇ。そういえば、最近は窃盗が流行ってるらしいな。俺達のような露店やあんたらみたいな海外客も被害にあってるらしい。気をつけるんだな」
「そうなのか。情報助かった」
「うま~♪」
「はっはっはっ!良いってことよ!」

 露店の店主は美味そうに串焼きを食べるシエに気分を良くし、タダでもう一本串焼きをくれた。
 やはり可愛らしいというのはおじさんに効果抜群なのだろう。

 そんなしょうもないことを考えながら、店主から聞いた話の事を考える。最近窃盗が増えている、か。

 窃盗事件なら何処だって起きてもおかしくないが、噂になるほどならかなり頻発しているのだろう。
 荷物は殆ど紋章に収納しているためそこまで心配しなくてもいいだろうが、気をつけておいて損は無いか。

「おっ、これって王国でユーミーちゃんが売ってた雑誌みたいなやつじゃない~?」
「ああ、そうみたいだな。なぁ、これは売り物か?」
「ん?ああ、売り物だが対してタメにならん情報や噂ばっかだぜ。まぁ、観光目的なら多少は為にならんことも無いが」
「そうなのか。買っとくか?」
「うん!買う~♪」
「……あんまり信用はすんなよー」

 串焼きの露店から離れた別の露店で、シエは雑貨屋的な露店で見覚えのあるような雑誌を見つけた。
 
 どうやら店主の言うように、雑誌の内容は真偽不明の噂や最新ファッション。食べ物やら占いやらが書かれているものだった。

 発行日が最近なのでさっき店主が言っていた情報も載っているあたり、俺のように片っ端から情報が欲しいタイプには合ってるかもしれない。

 所詮噂でしかないし、興味を引いてもらうために大袈裟に書いてあるだろうから真面目に読み耽る意味は無いだろうが。

 俺は雑誌の隅の方に書いてある冒険者ギルドへの道筋をみつけ、それを辿ってギルドに向かう。
 こういう思いもよらぬ形で欲しい情報が手に入る事もあるので無駄遣いは楽しかったりするのだ。

「ここが冒険者ギルドで間違いない……って、うお!?」
「すんません!どいてくださいでやんす~!」
「おっと~?突然危ないな~」
「本当にな。まぁいい、今度こそギルドの中に……」

 俺達がギルドに入ろうとした直後、突然ギルドの中から少年が勢いよく飛び出してくる。
 俺は咄嗟に回避しようとしたが間に合わず、軽くぶつかってしまうが少年は気にせずそのまま走って行った。

 別にお互いに怪我をした訳でもないし、あの少年は急いでいるようだったので俺は気に止めることはせずギルドに入ろうとした時、俺はその違和感に遅れて気がつく。

 俺の体の一部が……紋章の器が離れていくことに。

「器を盗られた!!」
「えぇぇ!?!?」

 
♦♦♦♦♦


 面白い!続きが読みたい!と思ったら是非お気に入り登録をよろしくお願いします!

『【短編】殺戮に嫌気が刺した死神様は、純白少女に契約を持ち掛けられる』という作品も投稿してみました。
 二千文字程度なので良ければ見てみてください!

 
 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。 突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。 しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。 魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。 英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。 ========================= <<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>> 参加時325位 → 現在5位! 応援よろしくお願いします!(´▽`) =========================  S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。  ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。  崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。  そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。  今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。  そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。  それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。  ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。  他サイトでも掲載しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

処理中です...