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五章 帝国の洗礼
百六十一話 情報の得方
しおりを挟む俺達はいくつかの手続きを終え、国境を超えて遂に帝国の国土を踏む。
正式名書は『イーテス帝国』であり、帝族を頂点として国営されており、『実力主義』を掲げる人族の国の一つだ。
実力主義とは文字通り実力が全てという主義であり、実力さえあれば何をしても許される……という訳では無い。
気に入らない相手は殺す。なんてことは当たり前だが犯罪だ。そんなことが許されてしまえばただの蛮族集団だ。
実力主義とは帝族が定めた法律や実力を発揮する場所の規則を守った上で、誰よりも優れた者にそれ相応の権利や報酬を与える、という主義の事だ。
そして帝国と言えば、王国や宗教国とは違って多くの種族が共存しているというのも有名な話だ。
王国は法律で禁止している訳では無いが、国風的にあまり良くは思っておらず、宗教国に至ってはほぼ完全に拒絶している。
王都には人族以外もいくらか居たが、帝国の比では無いはずなので実はかなり期待していたりする。
「やっぱり冒険者も実力主義なのかな~?」
「そういう噂を良く聞くな。だから、王国以上に依頼の競争率も高いし、高ランク冒険者も多いらしい」
「へ~♪あ、ご飯とかも美味しかったり?」
「ああ。その分値段も高いかもしれないが、小さな町でもレベルの高い飯屋もあるかもしれないな。それに食べたことの無い食べ物もあるはず」
「お~、楽しみ~♪」
隣国とは言えど、食文化も環境も違う。言語こそ同じものの、常識すら違うのだ。
きっと驚きと発見に満ち溢れてること間違いなしだろう。
まぁ、あまり期待しすぎるのも良くないとは思うが、期待しすぎて少し残念に思ってしまってもそれはそれで旅の醍醐味だ。
そんな事を考えていると、馬車の速度が少しずつ遅くなっていくのを感じ取る。
どうやら帝国に来て初めてであり目的地でもある街に無事到着いたようだ。
街を囲う外壁には対しては違いを見受けられなかったが、中に入ればその差は歴然。
これは先程も言ったが明らかに他種族が多い。なんなら人族以外の種族がこの国を守る仕事をしていた。
街に漂う匂いに誘われて訪れた露店にも見たことの無い食材を見つけたり、衣服に使われている素材や武器等の種類の偏り。
この街で見たありとあらゆる物が俺達には新鮮に感じた。
「凄~い♪国が変わるだけでこんなにも変わるんだね~♪」
「ああ、もしかしたら王国からの観光客を釣るのが目的なだけかもしれないが、そうだとしても種類の多いのは間違いない」
「ね~♪」
目につくものを全て買いたい気持ちをグッと押え、情報集めのために冒険者ギルドに向かう。
因みにだが、今後の目的についてはあまり決まっていない。
帝国の首都である帝都に行くのもいいが、都会だけがいい場所とは限らないからな。
この街でも数日滞在した後、帝都を含め他の場所にも巡った後に次の国へ行く予定だ。
まだ気が早いが、次は人族の国以外に行くのもいいかもな。
今後の旅について思いを馳せながら、俺達は冒険者ギルドを探しながら歩く。適当に歩いている内にそれらしい建物を見つかるだろう。
そこまで急ぐことでもないので俺達は観光しながらゆっくりギルドを探す。
小腹がすいたので買った食べたことの無い露店の串焼きを買ったりしながら、ついでにこの街の情報も集めておく。
「はいよ、串焼き二本だ」
「ありがとう。俺達は今日来たばかりなんだが、何か知っておいた方がいいこととかあるか?」
「ありがと~♪」
「知っておいた方がいい事ねぇ。そういえば、最近は窃盗が流行ってるらしいな。俺達のような露店やあんたらみたいな海外客も被害にあってるらしい。気をつけるんだな」
「そうなのか。情報助かった」
「うま~♪」
「はっはっはっ!良いってことよ!」
露店の店主は美味そうに串焼きを食べるシエに気分を良くし、タダでもう一本串焼きをくれた。
やはり可愛らしいというのはおじさんに効果抜群なのだろう。
そんなしょうもないことを考えながら、店主から聞いた話の事を考える。最近窃盗が増えている、か。
窃盗事件なら何処だって起きてもおかしくないが、噂になるほどならかなり頻発しているのだろう。
荷物は殆ど紋章に収納しているためそこまで心配しなくてもいいだろうが、気をつけておいて損は無いか。
「おっ、これって王国でユーミーちゃんが売ってた雑誌みたいなやつじゃない~?」
「ああ、そうみたいだな。なぁ、これは売り物か?」
「ん?ああ、売り物だが対してタメにならん情報や噂ばっかだぜ。まぁ、観光目的なら多少は為にならんことも無いが」
「そうなのか。買っとくか?」
「うん!買う~♪」
「……あんまり信用はすんなよー」
串焼きの露店から離れた別の露店で、シエは雑貨屋的な露店で見覚えのあるような雑誌を見つけた。
どうやら店主の言うように、雑誌の内容は真偽不明の噂や最新ファッション。食べ物やら占いやらが書かれているものだった。
発行日が最近なのでさっき店主が言っていた情報も載っているあたり、俺のように片っ端から情報が欲しいタイプには合ってるかもしれない。
所詮噂でしかないし、興味を引いてもらうために大袈裟に書いてあるだろうから真面目に読み耽る意味は無いだろうが。
俺は雑誌の隅の方に書いてある冒険者ギルドへの道筋をみつけ、それを辿ってギルドに向かう。
こういう思いもよらぬ形で欲しい情報が手に入る事もあるので無駄遣いは楽しかったりするのだ。
「ここが冒険者ギルドで間違いない……って、うお!?」
「すんません!どいてくださいでやんす~!」
「おっと~?突然危ないな~」
「本当にな。まぁいい、今度こそギルドの中に……」
俺達がギルドに入ろうとした直後、突然ギルドの中から少年が勢いよく飛び出してくる。
俺は咄嗟に回避しようとしたが間に合わず、軽くぶつかってしまうが少年は気にせずそのまま走って行った。
別にお互いに怪我をした訳でもないし、あの少年は急いでいるようだったので俺は気に止めることはせずギルドに入ろうとした時、俺はその違和感に遅れて気がつく。
俺の体の一部が……紋章の器が離れていくことに。
「器を盗られた!!」
「えぇぇ!?!?」
♦♦♦♦♦
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