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吸血鬼の殺し方
Ⅱ
しおりを挟む闇ヨリ出デテ、生キ血ヲススル悪魔の王…
美シキ姿デ誘惑シ、血ヲ吸イテ同胞二変エン
吸血鬼を語るとき…。
人はこのようにこの悪魔を表現した。
優れた知識と魔力、そして高いプライドを持ち…
人間はおろか、全ての悪魔からも恐れられている存在。
絶対的な悪魔。
完璧な悪魔。
しかし、ジェイスとディページの前に現れた彼は…
ただうなだれた、どこにでもいる青年のようにも見えた。
「俺を…殺してくれ…」
その言葉を聞いて…
ジェイスは剣を鞘におさめ、彼の話を聞いてみることにする。
「殺してくれ…だと…?」
「…」
「吸血鬼ッぽくないね…それ」
「…」
「順を追って説明してくれないか?まずは…そうだな…名前は?」
「デューダ・リオンコート・ウー…ヴィンドール国にあるリオンコート家の吸血鬼だ」
「ヴィンドールか…ここまではさぞ長旅だったろう…『デイウォーカー』だな?」
「あぁ…」
吸血鬼には2種類いる。
太陽の下を歩くことができる『デイ・ウォーカー(陽の下を歩く者)』…
そして太陽が弱点とされる『ナイト・ウォーカー(闇の中を歩く者)』である。
『デイウォーカー』は『ナイト・ウォーカー』に比べ魔力や肉体は弱いものの、太陽の下を人間と同じように歩くことができ、定期的に拠点を移す。
逆に『ナイト・ウォーカー』は太陽の下を歩けないため長旅をすることができず、数百年にわたって一つ所に居を構える。
吸血鬼は10~20体程度の『一家(ファミリー)』というコミュニティを形成することで知られている。
少なく感じるかもしれないが、これは彼らの性格と深い関わりがある。
永遠の時を生きると言われている吸血鬼は、自分達が高尚な存在であると自負しており…
無駄に数を増やすことを良しとしていない。
そのため一家を維持する以上の同胞をむやみやたらと増やすことを無粋な行為だと思っており…
ごく稀に人間に噛みついて、仲間を増やすのみだ。
よって、吸血鬼の全体数は他の悪魔や怪物よりもずっと少ない。
しかしそれでもなお、同胞以外の者には決して殺すことができないと言われる吸血鬼は『全ての生物にとって最大の天敵』とも言われており…
恐怖の対象として知られている。
「その…名前の下についている『ウー』って言うのはなんだ?そこまでがファミリーネームなのか?」
「いや…違う…これは、一家を破門された者に付けられる蔑称だ…」
「蔑称…?…破門だと?」
「あぁ…俺は一家にとって…いや、吸血鬼最大の禁忌を犯して一家を破門されたのだ」
「…」
「なぜ破門されたのか…聞いてもいいか?」
「あぁ…俺が死にたい理由でもあるからな…」
「…」
プライドの高い吸血鬼が…
愚かだと馬鹿にする人間に殺してくれと頼む…。
これはあまりに異様な事態だった。
謎の吸血鬼・デューダ・リオンコート・ウーは…
どうしてジェイスにこんなことを言うことになったのか…順を追って説明していく。
「俺は…人間の女性を愛してしまった…」
「…」
「人間との恋愛か…吸血鬼にとっては同胞殺しと同じタブーだったな…」
「あぁ…吸血鬼が人間の女性を妻にしたければ、その女性に噛みついて吸血鬼にしなくてはならない…吸血鬼は血を重んじるからな…」
「…」
「彼女の名はケイト…栗色の髪が美しい女性だった…俺たちは心の底から愛し合っていたんだ」
「…」
「彼女との出会いは10年も前になる…彼女は当時まだ14の少女だった…」
…
吸血鬼が他の悪魔と大きく違うのは…
『美しさ』を理解し、感動できるという点だと俺は思っている。
ワイン、絵画、女性…
ありとあらゆるものを『美しい』と思う俺達の感受性は…
時に自らを滅ぼす結果になりかねない。
初めて彼女を見たとき、彼女に惹かれている自分に気づくとともに…
俺は自分が吸血鬼として滅びる運命にあることを感じた。
「…」
俺は人間の恰好をして、街に美味しいワインを探しに行くのが好きだった。
フードを深くかぶれば、血の色に光る瞳を隠すことができたしな。
ケイトは街はずれの薬草医の娘だった。
少女だったが吸血鬼よりも整った顔立ち…
それでいて人間らしい、鮮やかな肌色。
まるで全ての悲しみを包むような笑顔。
彼女は、俺が知る何よりも美しかった。
「…」
俺は彼女に話しかけることができなかった。
恥ずかしかった…のもある。
しかしそれよりも嫌われるのが怖かったのだ。
俺が吸血鬼と知った時…
恐ろしい怪物を見るような目で見られるのが本当に、本当に恐ろしかった。
私はそっと影から彼女を見ているだけで良いと思った。
8年間…
それから俺は彼女をただただ見守る日々が続いた。
彼女は年齢を重ねるにつれ…
みるみる美しくなっていった。
色気を増し、少女から女性になっていったのだ。
私は、もう戻れなくなるほど夢中になっていたが…
それでも話しかけようとは思わなかった。
そんなある日…
いつものようにワインの買い物を済ませ、彼女の店の前を通った。
すると、彼女はなにやら大柄の男性客数名と揉めているようだった。
「だから…あんたに言われて買った薬…ぜんぜん効かなかったって言ってるんだよ…ケイト嬢」
「本当に申し訳ありません…代金もお返しいたします…どうか許してください」
彼女は…ひどく怯えていた。
笑顔があんなに美しい彼女の顔が…
恐怖に飲み込まれそうになっているように、俺は感じたんだ。
「ごめんなさいで次の展開に進むのはおとぎ話の中だけだ…現実だって謝って済むのはガキくらいなもんだぜ…まぁ俺はガキでも許したりしねぇがな…」
「…」
「大人とガキの違いってのは『誠意』を示せるかどうかだと俺は思うんだ…違うか?ガキは自分のためにわめき散かすが、大人ってのは他人を思いやる『誠意』が必要なんだよ」
「誠意……あの、私は…どうすれば許していただけるのでしょうか…」
「服を脱げ…」
「…え?」
「裸になって土下座するんだ…これが大人の誠意の見せ方ってもんだ…土下座は相手がバカでも理解できるし、俺みたいに頭の良い人間にだって優越感を与えてくれる…それともお前は客に不良品を売りつけて、誠意を持って謝ることもできねぇ…ガキなのかな?」
「…それは」
彼女は…
自分のブラウスのボタンに手をかけたが…
その手は震えていた。
怖いんだろう…
恐ろしいんだろう…
かわいそうに…
屈辱だろうに…
俺は…
ボタンをはずすことができない彼女をただ見ていた。
「ボタンの外し方もしらねぇのか…?」
「…」
「やっぱり教育が必要な…クソガキだなッ!」
そう言って…男が彼女の腕をつかんだ時。
俺の視界が、真っ赤になった。
バシュッッ!!!
ザンッ!ザザザッ!
気づけば…
俺の牙と爪が、男たちをバラバラにしていた。
店中が真っ赤な血に染まり…
俺は同じように真っ赤な瞳でそれを見ていた。
彼女は返り血を浴びてただおびえて座り込んでいた。
さっきあの男達に向けていた…
恐怖の瞳で俺を見つめて。
やってしまった…
俺はそう思った。
吸血鬼だとバレたこと…
彼女をあんな薄汚れた男たちの血で汚してしまったこと…
そして彼女から向けられる視線が…
とてもとても辛かった。
しかし…
「!」
「…」
彼女は俺の脚を弱々しく抱きしめて…
ぽろぽろと涙を流した…
そして震えた声で俺にこう言うんだ。
「怖かった…怖かった…」
「…」
「本当に…ありがとう…」
彼女は俺の正体を知ってもなお…
俺の理想の女性であり続けた。
俺はしゃがんで、彼女に視線をあわせ…
彼女を優しく抱きしめた。
「もう…大丈夫だ…これからは俺がずっと守ってやる」
「ーーー…」
「ずっと…ずっとだ…」
俺はこの時二つのことを決意したんだ。
彼女をずっと守り続けると…
そして、吸血鬼であることを…やめると。
…
「それでリオンコート家を破門されたってことか…」
「あぁ…俺たちは隠れるように田舎へ越した…そこで過ごした2年は、本当に本当に楽しかった」
「…」
ジェイスはその話を美しい話だと思った。
しかし、それがなぜ自分自身を殺してくれと願うに至ったのかはわからなかった。
デューダは少し呼吸を整えて…
話のつづきを始める。
「しかし…半年前、彼女は病気にかかってしまった」
「…重い病気か?」
「俺にはよく理解できなかったが…人間にとってはとても辛い病気のようだった…医者に見せたが彼女は全然良くならなかった…」
「…」
「そんな闘病生活が続いたある日…俺が彼女の入院している病院へ行くと…」
デューダは、ポケットから何やら紙のようなものを取り出してジェイスに見せた。
「こんな書き置きを残して…どこかへ消えてしまった」
ーーーーーー
デューダへ…
私の病気はもう治ることはないでしょう。
最後は故郷のフュリーデントに、この身を埋めて死なせて下さい。
わがままな私を、どうか許してください。
ケイト・リフォーレンス
ーーーーーー
手紙の文字はひどく震えていた。
「…」
この時点でジェイスは…
すこしづつ違和感を感じ始めていた。
「俺はとても嘆いた…しかし彼女が望んだことならば、それを受け入れようとも思った…」
「…」
「しかし…彼女がいなくなった後…俺は彼女に裏切られていることに気付いたのだ」
「…裏切られていた?」
「あぁ…」
すると…
穏やかだったデュークの顔が…
徐々に本来の悪魔の顔を取り戻すように怒りに満ちていった。
「ケイトは…浮気をしていたのだ…」
「浮気…?」
「ありゃ…良い話かと思ったけど、面白い展開だね…」
ジェイスはディページの肩を肘でつつき…
声には出さず「だまってろ」と忠告をした。
しかしディページはひょうひょうとした顔つきで、彼に尋ねる。
「それで、どんな浮気されてたのー?」
「俺達が住んでいた村の…ほとんどの男と関係を持っていたんだ…」
「…」
「わお!やり手だねぇ彼女!…具体的にはどんなことしてたのー?」
ディページの顔が活き活きしはじめる。
不幸な話が好きな、悪魔の悪い癖だ。
「ケイトは村中の男と…」
「うんうん」
「…」
「俺のいないところで…会話をしていたんだ」
「…」
「…」
「…」
「それだけ?」
ディページの顔が、一気にシラケはじめた。
しかし、その言葉を聞いたデューダの方は…
徐々に瞳が血の色に染まり始める。
「それだけ…だと…?」
「ん…?」
「俺のいないところで…俺という男がありながら…」
「…」
ジェイスもディページも…
デューダの異様さに気付き始める。
「他の男と会話するなどッ!あってはならんのだッ!!」
「!」
デューダの顔は恐ろしい吸血鬼に変わっていた。
そして、ディページに飛びかかるように牙と爪を伸ばし、足に力をいれる。
しかし…
「アクシリオス」
ジェイスはとっさに、デューダに心を落ち着かせる魔法を使った。
一瞬で洞窟内が緊張感に包まれる。
ジェイスは剣を抜くのが遅れたことを一瞬悔やんだが…
落ち着きを取り戻し、へたりと地面に座り込むデューダを見てほっとした。
「すまん…つい…カッとなってしまって…」
「…」
吸血鬼と人間が相いれないのは…これが理由だ。
吸血鬼は高いプライドと豊かな感受性を持つがゆえ…
少しのことで動揺し、それはすぐに怒りへと変貌する。
感情の起伏が激しい…
この一言でぬぐえないほど過激に。
しかもその価値観は人間とは違う。
彼自身の中にある基準なのだ。
時には同胞すら殺すこともある。
「本当は…そんなことどうでもいいんだ…俺は、彼女を愛している」
「…」
ジェイスは油断した自分を奮い立たせるように…
今度は警戒しながらデューダの話を聞いた。
「それで…?」
「あぁ…彼女はもうすでに死んでいるだろうが…せめて俺も彼女の生まれた地で死にたいと、この国へやってきたんだ」
「なるほどな…」
「…」
デューダの話がひと段落したところで…
ジェイスは、今度は自分たちの目的について尋ねた。
「しかし…どうしてニンニクなんか盗んでいたんだ?」
この問いに対して返ってきた返答は…
予想していたものとはだいぶかけ離れていた。
「それは…どうやっても死ぬことができなかったからだ…」
「…?」
「首をはねても、心臓に刃を突き立てても…俺はどうしても死ねなかった」
「それとニンニクがどういう関係があるの?」
「旅の途中である人から聞いたんだ…『吸血鬼はニンニクが弱点』だと…」
「…」
ジェイスは少しあきれた。
「本物の吸血鬼がよく信じたな…そんな迷信…」
「…やはり迷信…なのか…」
「ニンニクで吸血鬼が死ぬのなら、おそらくもうこの世に吸血鬼はいないだろうな…」
「試す価値はあると思ったんだ…藁にもすがるような思いだった」
「そんな迷信をいまだに言いふらしている奴がいることすら驚きだ」
「…誰に聞いたの?」
「バージニア・フェンスターという名の吟遊詩人だ」
「…うける」
「…あいつ…いい加減なこと言いふらしやがって」
「知り合いか…?」
「まぁ、そんなところだ…俺たちはそいつを探しにこの国へやってきた」
これで、海外の吸血鬼が『吸血鬼殺しのジェイス』を知っていた理由がうなづける。
バージニア・フェンスターという超がつくほど優秀な吟遊詩人が彼に歌って聞かせたのである。
つまりは俺。
「そうだったのか…」
「奴と会ったのはどこだ?いつ頃か覚えているか?」
「フィジールの酒場だ…旅をしながら色々な伝説やモンスタースレイヤーの歌を歌っていた…酒場で歌い終わった彼に、私から声をかけたんだ…彼ならもしかしたら吸血鬼が死ねる方法を知っているかもと思ってな」
「そいつ、母親を連れて旅をしていただろ?」
「…母親?…いや、友人の男と2人だけで旅をしていると言っていたが…」
「…え?」
「友人の男…?」
イーストレア村のプルーシェ村長は「元気な母親と旅をしていた」と言っていた。
ここにきて食い違う、2人の目撃者の証言。
ジェイスが黙り込んで考えていると…
デューダは口を開いた。
「なぁ…教えてくれ」
「…」
「あんたは知っているんだろ?…吸血鬼が死ぬ方法を…」
「…」
「なぁ頼むよ…教えてくれモンスタースレイヤー…どうやったら吸血鬼は死ぬんだ…?」
「…」
ジェイスは…
少し考え込んだ後。
彼の目をみて、まっすぐに答えた。
「吸血鬼を殺す方法は…一つだけだ」
「…」
「なんだ?」
「人間と恋愛し、両想いになることだ…」
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