2 / 18
レーバンと皇太子の出会い(番外編)
レーバンとアルジオ2
しおりを挟む
💮
「何故あなたはご存じだったのですか?」
レーバンは朝早くに登校して先に生徒会の仕事を終らせ、昼休みに聞きたいことがあるから放課後屋上に来てほしいと隣国の皇太子アルジオに伝え、待っていた。
少しして、アルジオ皇子が屋上の扉をあけた。
そして先程の質問。
ちなみに生徒会の仕事は、自分の持ち分は朝来てやったからと他の役員に伝えて、今日は行けないと話してある。
「君に言う義務はある?」
「……ないですね」
簡単に教えてくれるとはレーバンも思っていない。
そもそも本題は別にあるので、こちらはひとまず諦める。
「でも、その質問をするってことは行ってみたのかな」
「愚問でしょ」
「はは、そうだね。で、どうするか決めたのかい?」
「それについて相談したくて呼び出したんです。投げ掛けた責任はとってください」
そう、こっちが本命だ。
そもそも婚約者の浮気をわざわざ教えてくれたことに何か意味があるような気がした。
「なるほど、一理あるか。で、僕に何を聞きたい?」
「今後の私の選択です。あなたなら、答えを知ってる気がしたので」
「一つ聞きたいのだけど、婚約者と継続する意志はあるの?」
「ないですね。本当は婚約破棄を突きつけたいけど、諸々の事情で穏便に済ませたいんです。ですが、今の私には良い考えが浮かばず……」
「なら、僕からの提案なんだけど、帝国に留学してみない?帝都学園の卒業の年齢は王国と同じだから、3学年のうちに4学年までを飛び級で合格して、残りの一年をイスペラント帝国の帝都学園で勉強したらどうだろうか?」
突然の提案にビックリした。
流石に帝国への留学を進められるとはレーバンも思っていなかった。
「それで解決するのですか?問題を先送りしてる気が……」
「その留学してる一年で、勝手に問題解決することになるからさ」
「それはどういうことですか?」
「彼女は第一王子の子を身ごもるから。今は3学年の始め頃だから約一年半年後かな」
「え!?」
今度こそ唖然とした。
信じられない返答に思考回路が停止する。
これも婚約者の浮気を言い当てたことと関係しているのだろうか。
「ちなみに、留学しないと君と関係したように偽装工作されて、逃げられなくなる可能性があるよ。睡眠薬なんか飲まされて、次の日に裸で二人同じベットにいるところを誰かに見せつければ、既成事実の出来上がりだ。実際に何もなくても周りの目は騙されるだろうね。それに君は王族の血も引いているし第一王子と同じ金髪碧眼だから、自分の子と偽られても騙し通せてしまう可能性も高い」
「まさか、そこまでするなんて……」
「悪いけど、僕のアドバイスと提案はここまでだよ。信じる信じないは君しだい。どうする?」
また、あの時のように、どこまでも見透かされているように聞いてくる。
普通に考えれば信じがたい内容だし、まだ二度しか会ってない人を信用するには時間が短すぎる。
それでも、レーバンは最初から決めていた。
「イスペラント帝国の帝都学園に留学をします」
そうはっきり告げると、アルジオは少しだけ驚いた顔をした。
「まさか、即答するとは思わなかった。もう少し迷うかと思ったのに」
「信じがたい内容でもあなたにアドバイスを貰えたのなら、それに従うと決めていましたので」
「そんな簡単に決めてしまって良いのかい?」
「これでもけっこう悩んだんですよ。でも考えすぎて頭がパンクしそで……それならいっそ自分の勘を信じてみようかと」
「やっぱり単純じゃないか」
「これでもあなたを信頼してるんですよ」
「こんな短時間でかい?」
「私の勘がそう告げているので」
「結局、勘なんだね!それでも信頼してくれるのなら嬉しいけれど」
「なので、改めて婚約者の不貞を教えてくださりお礼を申し上げます。それと、まだ正式なご挨拶をしていなかったので。私はドルテア王国の公爵家嫡男、レーバン.クロックベルと申します。どうぞ、レーバンとお呼びください」
レーバンは正式な挨拶をし王国正式のお辞儀をする。
「これはご丁寧に。なら此方も。私はイスペラント帝国皇太子、アルジオ.エルドラ.イスペラントだ。私のことも、アルとお呼びください」
アルジオも正式な挨拶をして帝国式のお辞儀をする。
二人はどちらともふっと笑って、手を差し出し握手をする。
「よろしく、レーバン」
「こちらこそ、よろしくお願いします、アル」
こうしてレーバンは家族に許可をもらい、3学年のうちに4学年の飛び級を終えドルテア王立学園を1年早く卒業し、イスペラント帝国に留学することになった。
両親には帝国の皇太子と学友になったのと、彼に誘われたから帝国の帝都学園に留学したいと言ったら。
「他国に繋がりを持つことは良いことだ。それに皇太子からのお誘いなら断れないからな。陛下も許してくれるだろう」
「とても光栄なことね。次期皇帝と仲良しだなんて、心強いし人脈も増えるし良いこと尽くしだわ」
と母も父も諸手を挙げて喜んでくれた。
そして婚約者にも3学年が終わる頃、告げたのだった。
「何故あなたはご存じだったのですか?」
レーバンは朝早くに登校して先に生徒会の仕事を終らせ、昼休みに聞きたいことがあるから放課後屋上に来てほしいと隣国の皇太子アルジオに伝え、待っていた。
少しして、アルジオ皇子が屋上の扉をあけた。
そして先程の質問。
ちなみに生徒会の仕事は、自分の持ち分は朝来てやったからと他の役員に伝えて、今日は行けないと話してある。
「君に言う義務はある?」
「……ないですね」
簡単に教えてくれるとはレーバンも思っていない。
そもそも本題は別にあるので、こちらはひとまず諦める。
「でも、その質問をするってことは行ってみたのかな」
「愚問でしょ」
「はは、そうだね。で、どうするか決めたのかい?」
「それについて相談したくて呼び出したんです。投げ掛けた責任はとってください」
そう、こっちが本命だ。
そもそも婚約者の浮気をわざわざ教えてくれたことに何か意味があるような気がした。
「なるほど、一理あるか。で、僕に何を聞きたい?」
「今後の私の選択です。あなたなら、答えを知ってる気がしたので」
「一つ聞きたいのだけど、婚約者と継続する意志はあるの?」
「ないですね。本当は婚約破棄を突きつけたいけど、諸々の事情で穏便に済ませたいんです。ですが、今の私には良い考えが浮かばず……」
「なら、僕からの提案なんだけど、帝国に留学してみない?帝都学園の卒業の年齢は王国と同じだから、3学年のうちに4学年までを飛び級で合格して、残りの一年をイスペラント帝国の帝都学園で勉強したらどうだろうか?」
突然の提案にビックリした。
流石に帝国への留学を進められるとはレーバンも思っていなかった。
「それで解決するのですか?問題を先送りしてる気が……」
「その留学してる一年で、勝手に問題解決することになるからさ」
「それはどういうことですか?」
「彼女は第一王子の子を身ごもるから。今は3学年の始め頃だから約一年半年後かな」
「え!?」
今度こそ唖然とした。
信じられない返答に思考回路が停止する。
これも婚約者の浮気を言い当てたことと関係しているのだろうか。
「ちなみに、留学しないと君と関係したように偽装工作されて、逃げられなくなる可能性があるよ。睡眠薬なんか飲まされて、次の日に裸で二人同じベットにいるところを誰かに見せつければ、既成事実の出来上がりだ。実際に何もなくても周りの目は騙されるだろうね。それに君は王族の血も引いているし第一王子と同じ金髪碧眼だから、自分の子と偽られても騙し通せてしまう可能性も高い」
「まさか、そこまでするなんて……」
「悪いけど、僕のアドバイスと提案はここまでだよ。信じる信じないは君しだい。どうする?」
また、あの時のように、どこまでも見透かされているように聞いてくる。
普通に考えれば信じがたい内容だし、まだ二度しか会ってない人を信用するには時間が短すぎる。
それでも、レーバンは最初から決めていた。
「イスペラント帝国の帝都学園に留学をします」
そうはっきり告げると、アルジオは少しだけ驚いた顔をした。
「まさか、即答するとは思わなかった。もう少し迷うかと思ったのに」
「信じがたい内容でもあなたにアドバイスを貰えたのなら、それに従うと決めていましたので」
「そんな簡単に決めてしまって良いのかい?」
「これでもけっこう悩んだんですよ。でも考えすぎて頭がパンクしそで……それならいっそ自分の勘を信じてみようかと」
「やっぱり単純じゃないか」
「これでもあなたを信頼してるんですよ」
「こんな短時間でかい?」
「私の勘がそう告げているので」
「結局、勘なんだね!それでも信頼してくれるのなら嬉しいけれど」
「なので、改めて婚約者の不貞を教えてくださりお礼を申し上げます。それと、まだ正式なご挨拶をしていなかったので。私はドルテア王国の公爵家嫡男、レーバン.クロックベルと申します。どうぞ、レーバンとお呼びください」
レーバンは正式な挨拶をし王国正式のお辞儀をする。
「これはご丁寧に。なら此方も。私はイスペラント帝国皇太子、アルジオ.エルドラ.イスペラントだ。私のことも、アルとお呼びください」
アルジオも正式な挨拶をして帝国式のお辞儀をする。
二人はどちらともふっと笑って、手を差し出し握手をする。
「よろしく、レーバン」
「こちらこそ、よろしくお願いします、アル」
こうしてレーバンは家族に許可をもらい、3学年のうちに4学年の飛び級を終えドルテア王立学園を1年早く卒業し、イスペラント帝国に留学することになった。
両親には帝国の皇太子と学友になったのと、彼に誘われたから帝国の帝都学園に留学したいと言ったら。
「他国に繋がりを持つことは良いことだ。それに皇太子からのお誘いなら断れないからな。陛下も許してくれるだろう」
「とても光栄なことね。次期皇帝と仲良しだなんて、心強いし人脈も増えるし良いこと尽くしだわ」
と母も父も諸手を挙げて喜んでくれた。
そして婚約者にも3学年が終わる頃、告げたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!
志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」
皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。
そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?
『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!
家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。
水垣するめ
恋愛
主人公のミア・スコットは幼い頃から家の仕事をさせられていた。
兄と妹が優秀すぎたため、ミアは「無能」とレッテルが貼られていた。
しかし幼い頃から仕事を行ってきたミアは仕事の腕が鍛えられ、とても優秀になっていた。
それは公爵家の仕事を一人で回せるくらいに。
だが最初からミアを見下している両親や兄と妹はそれには気づかない。
そしてある日、とうとうミアを家から追い出してしまう。
自由になったミアは人生を謳歌し始める。
それと対象的に、ミアを追放したスコット家は仕事が回らなくなり没落していく……。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
【完結】公爵令嬢は、婚約破棄をあっさり受け入れる
櫻井みこと
恋愛
突然、婚約破棄を言い渡された。
彼は社交辞令を真に受けて、自分が愛されていて、そのために私が必死に努力をしているのだと勘違いしていたらしい。
だから泣いて縋ると思っていたらしいですが、それはあり得ません。
私が王妃になるのは確定。その相手がたまたま、あなただった。それだけです。
またまた軽率に短編。
一話…マリエ視点
二話…婚約者視点
三話…子爵令嬢視点
四話…第二王子視点
五話…マリエ視点
六話…兄視点
※全六話で完結しました。馬鹿すぎる王子にご注意ください。
スピンオフ始めました。
「追放された聖女が隣国の腹黒公爵を頼ったら、国がなくなってしまいました」連載中!
悪役令嬢として断罪? 残念、全員が私を庇うので処刑されませんでした
ゆっこ
恋愛
豪奢な大広間の中心で、私はただひとり立たされていた。
玉座の上には婚約者である王太子・レオンハルト殿下。その隣には、涙を浮かべながら震えている聖女――いえ、平民出身の婚約者候補、ミリア嬢。
そして取り巻くように並ぶ廷臣や貴族たちの視線は、一斉に私へと向けられていた。
そう、これは断罪劇。
「アリシア・フォン・ヴァレンシュタイン! お前は聖女ミリアを虐げ、幾度も侮辱し、王宮の秩序を乱した。その罪により、婚約破棄を宣告し、さらには……」
殿下が声を張り上げた。
「――処刑とする!」
広間がざわめいた。
けれど私は、ただ静かに微笑んだ。
(あぁ……やっぱり、来たわね。この展開)
《本編完結》あの人を綺麗さっぱり忘れる方法
本見りん
恋愛
メラニー アイスナー子爵令嬢はある日婚約者ディートマーから『婚約破棄』を言い渡される。
ショックで落ち込み、彼と婚約者として過ごした日々を思い出して涙していた───が。
……あれ? 私ってずっと虐げられてない? 彼からはずっと嫌な目にあった思い出しかないんだけど!?
やっと自分が虐げられていたと気付き目が覚めたメラニー。
しかも両親も昔からディートマーに騙されている為、両親の説得から始めなければならない。
そしてこの王国ではかつて王子がやらかした『婚約破棄騒動』の為に、世間では『婚約破棄、ダメ、絶対』な風潮がある。
自分の思うようにする為に手段を選ばないだろう元婚約者ディートマーから、メラニーは無事自由を勝ち取る事が出来るのだろうか……。
これで、私も自由になれます
たくわん
恋愛
社交界で「地味で会話がつまらない」と評判のエリザベート・フォン・リヒテンシュタイン。婚約者である公爵家の長男アレクサンダーから、舞踏会の場で突然婚約破棄を告げられる。理由は「華やかで魅力的な」子爵令嬢ソフィアとの恋。エリザベートは静かに受け入れ、社交界の噂話の的になる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる