婚約保留!?私が貴方に劣るとでも?!!いざ尋常に勝負ですわ!

りっか

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レーバンと皇太子の出会い(番外編)

レーバンとアルジオ8

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レーバンは先に、自分の両親に感謝の手紙を書いてから婚約者の両親宛に手紙を書いた。

どうやら彼女には悩み事あるらしく、両親にも話せない深刻な問題のようで、婚約者の自分に助けを求めてきたこと。
けれど、自分は今イスペラント帝国にいて直ぐに帰国するというのは流石に難しいから、不安かもしれないがご両親はとてもお優しい方達なのだから、一度信じて相談してみてはどうか、と提案した手紙を彼女に送ったのだが……と書き綴った。

その手紙を婚約者の両親に送った後、彼女からの手紙が来ることはなくなった。
たぶん手紙も監視対象になって、送ることが出来なくなったのだろうなというのが、レーバンの予想だった。
それから暫くして、婚約者の両親から丁寧な謝罪と感謝の言葉を綴ったお詫びの手紙が届いた。
レーバンの婚約者が最初に相談があると手紙を送ってきてから、二ヶ月半ほどたっていた。



「婚約者のご両親からは何と返事が来たんだい?」


いつも通り帝都学園の生徒会室の応接間で、アルジオとレーバンは二人だけで話し合う。


「娘がご迷惑をかけて申し訳ないという丁寧な謝罪文を頂きました。また、皇帝と皇太子にもお詫びの言葉と、宜しく伝えて欲しいと」

「国境にたどり着く前に捕まえられたのに、わざわざ僕達にも謝罪文をくれたのか。正直者とうか生真面目というか。レーバンから婚約者についてのことを僕が聞いたのかもしれないと危惧したのかもしれないけれど。どうやら両親はまともそうだね。とてもきちんとした両親に見えるのに、不思議だね」

「それには同意します。少なくとも兄の方は既に結婚して夫婦になっいますが、今も妻を大切にする、誠実で気さくで優しい人ですから」

「同じ両親から生まれても、正反対に育つこともあるんだね」

「もともとの性格と本人の資質の問題な気がします。他の貴族でも、そういうことはよくありますから」

「確かに」


兄弟でも所詮は他人だし、人など十人十色それぞれだ。
アルジオにしても皇太子だからこそ、貴族の中で仲良し家族の方が珍しいことは知っているし、場合によっては兄弟で政権や親の跡継ぎをめぐってを争ったりするのをその目で見てきたのだ。
ただ、アルジオとレーバンは、お互いに一人っ子だから争うことなく親の跡を継ぐことが出来るし、両親も息子想いで優しく仲良しだからこそ、本当の意味で兄弟姉妹の関係というのはよく分からないし、複雑で難しいのかもしれない。


「また返事を書くのかい?」

「謝罪を受け入れたことについては」

「なら、僕達も受け入れたことを追加して欲しいかな。娘については考えものだけど、そのご両親と争うつもりはないし、きちんと対処もしてくれそうだしね」
    
「わかりました。皇帝と皇太子も謝罪を受け入れたと書き加えておきます。対処については私もそう思います。だから、私から何かをするつもりはありません」

「そうか。それなら一言更に付け加えててみてはどうかな?」


アルジオの助言の元、レーバンは再度、婚約者の両親に謝罪を受け入れた手紙を送った。
それから約1カ月後、ドルテア王立学園卒業まで2ヶ月も満たない頃、今度は婚約者の両親とレーバンの両親の2通の手紙が届けられた。

そこには、意外な結末が書かれていた。
いつもの応接間にて、アルジオから質問する。


「2通同時とは。さすがに限界だろうし、バレたのだろうと見るべきだけど、両方いっぺんにくるということは、婚約解消までいってるのかな」

「というより、別の貴族令息からのリークにより発覚したみたいです」

「え?!」


それにはアルジオにも予想外の展開だった。


「彼女と学園で戯れていた令息の一人が、女遊びと素行の悪さで婚約が決まらず、しかも三男と家を継げるわけでもなく家との縁も切られそうになったので、切羽詰まったゆえの行動みたいですね。」

「え……まさか、脅したの?侯爵家に?確か戯れてた貴族令息って、第一王子以外は下位貴族ばかりだったよね?しかも次男や三男の……」

「その通りです、当時調査した時点では。その後増えてなければですが」

「なんとまぁ、無謀な」

「その切羽詰まった令息の一人が、家を追い出される前にお金を確保しようと侯爵家に脅しをかけたようです。家族関係も良好で侯爵夫妻が子供達想いの愛情深い人達であることは有名でしたし、公爵家の嫡男と婚約しているのも有名な話でしたから、自分との関係をばらすと言えば娘の為に醜聞を恐れて金を騙しとれると思ったみたいです」

「けれどご両親はそれに屈することなく、娘の方を断罪したんだね」

「同時に子供を妊娠していたことも発覚したみたいで、誰の子かは分からないみたいです。生まれてみないと調べようがないようで」

「漸くか。婚約者殿はかなり粘ったんだねぇ」

「複数の男達と戯れていたときも、私も含め彼女の家族の誰も気づけなかったので、隠すのが巧妙に上手いのだと思います」

「そんな才能があってもねぇ……諜報活動とかには役に立ちそうだけど。それで婚約関係はどうなったの?予想はつくけど」

「彼女の両親からは正式な謝罪と彼女有責で婚約破棄したからと連絡がきました。一応子供が生まれたら彼女は修道院に送られるそうです」

「まぁ、そうだよね。で、肝心の子供はどうするって?」

「兄の子供にするそうです。既に嫡男が今年の始めに生まれましたから跡継ぎは安泰ですし、男でも女でも問題ないから養子にして引き取るそうです」

「そうなんだ。後は慰謝料問題や事業提携についてか」

「それについては両親からも手紙で、私が帰国してからどうするか決めようとありました。とりあえずはこの事実を知ってショックだろうから、帝都学園も暫く休んでイスペラント帝国で気持ちの整理をつけたらどうかと」

「相変わらず優しい両親だね。その手紙の通りに暫く学園を休んでおく?」

「そうですね、それなりの体裁は保っておいた方が良いと思うので、二週間程休もうかと」

「二週間か、長いなぁ。その間に防波堤がないのは辛いけど」

「あと少しなんですから、それくらい自分で何とかしてください。問題のある令嬢はほぼ退場してるのだし」

「まぁ、確かに。わかった、ゆっくり休んで。今後どうするのか考える必要もあるだろうしね」

「そうですね。大体は決まってますが。その間に両親と婚約者の両親にも手紙を送ります」

「そうだね、どちらも安心するだろうし。因みに帰国したら婚約者には会うの?」

「それについては、まだ決めてません」

「そっか。何にしても、自分に後悔のないようにね」

「はい。いつもありがとうございます」



こうして、一応のレーバンの婚約者問題は、ほぼ因果応報な形で終結に向かった。



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