婚約保留!?私が貴方に劣るとでも?!!いざ尋常に勝負ですわ!

りっか

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レーバンと皇太子の出会い(番外編)

レーバンのもと婚約者5

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ケールマン侯爵は有言実行通り、家に戻ってきたエミリアを学校には行かせず、ずっと部屋に閉じ込めていた。
部屋の外に護衛と言う名の見張りを二人立たせ、食事や必要最低限移動が必要な時も常に両サイド護衛が立つようにして退路を塞いだ。
手紙で協力者を募れないように中身は全てチェックするようにした。
屋敷の中、屋敷の外も警備を増やし逃げ出されても対象出来るように徹底した。

その間に大騒動になった娘の大捜索の収集に奔走していた。
出来る限り箝口令を強いて、クロックベル公爵にも嘘偽りなく経過と現状の説明をし、捜索に協力してくれたことへの感謝のお礼と、娘の独断で無理やり帝国にいるレーバンに許可なく会いに行こうとしたことには謝罪とお詫びをした。

他にも変な噂にならないようにといろいろ火消し活動をしていたが、そんな時に渦中のレーバンから侯爵宛に手紙が届く。

そこには既にエミリアから手紙を貰っていて、返事も送ったと書かれていた。
一緒にエミリアの手紙が入っており、レーバンが返事をした内容も書き印されている。
日付を見る限り、エミリアがレーバンに送った最初の手紙は失踪一ヶ月前に出されたものだった。

どうやら今回の失踪事件を知って、レーバンなりに気を使って知らせてくれたようだ。
ケールマン侯爵は心配してくれる優しい婚約者婿に少しだけほっこりする。
本当に娘には勿体ないほどの素晴らしい男だ。
クロックベル公爵を羨ましく思うとともに、そう言えばケールマン侯爵の嫡男も誠実で優しい自慢の息子だったなぁと、暖かい気持ちになる。

だからこそ、今回の失踪事件、娘のあまりの身勝手さに頭が痛くなる。
本当にいつからこんなに我が儘になり、周りに気を使わなくなってしまったのか。
今更考えても始まらないが、婚約者婿の為にも再教育をしなければ……とケールマン侯爵は頭を抱える。

取り合えず、今は目の前の届けられたレーバンの手紙を見なければと詳しく内容を読み込んでいく。
レーバンに送られた娘の手紙を見る限り、そこにも詳細は書かれておらず、ただ家族にも内緒でというのが気になった。


(婚約者にしかできない相談事とはなんだ?私達家族にも話せないことなんてあるのか?)


答えが見つからず、ケールマン侯爵はやはりエミリアに聞くしかないかと結論付けた。
今夜にでもエミリアの部屋に訪ねてみるかと執務を再開する。

その前に手紙で教えてくれたレーバンの心遣いに感謝と心配をかけたお詫びの手紙をしたためた。
それから、イスペラント帝国にも迷惑をかけるところだったので、レーバンから伝えられるだろうと、謝罪も書き加えておく。
その手紙を執事に手渡し最速で送るように指示をした。


それから3時間たった頃、1通の手紙が届けられる。



💮💮💮⛄️💮💮💮



エミリアが部屋に閉じ込められて一ヶ月が過ぎていた。
その間に何度か脱出を試みたことも、レーバンにもう一度手紙を出そうとしたことも、全て失敗に終わった。
屋敷の警備は増やされ部屋の前に見張りが二人立ち、いつでも何処でもその見張りがついてくる。
手紙を出そうにも全て父のチェックが入るので、秘密にしたい事が書けず、そもそもレーバン行きの手紙は全て父の所で止められる。


(これじゃ部屋からも抜け出せないし、手紙も全部チェックされるから下手なことは書けないし、そもそもレーバンへの手紙は取り上げられるから送りようがないし!!何も出来ないじゃないのよ!!)


時間だけがこく一刻と迫ってくる。
ドルテア王立学園に通わずに済むのは不幸中な幸いだった。
そろそろ妊娠して4ヶ月になる。
さすがにお腹の膨らみから細身の制服を着るのが苦しくなるころだ。
着れたとしても誤魔化すには難しくなっていただろう。

なんとか、『反省の意味を込めて使用人に甘えず、身支度も自分でしてみようと思うの』と言って、着替えを一人でしたり、入浴も一人でするようにして、なんとか裸を見られないように頑張った。
少し太ったと言い訳して、ゆったりした服を着るようにもした。

けれど、それもそろそろ限界だ。
これ以上お腹が大きくなれば、どんな服を着たって誤魔化しようがない。
それに、今更レーバンと会えたとしても遅すぎるだろう。
いよいよ覚悟を決めなければいけない。


(……もう無理よね。今夜正直に話そう……)


そう思った時、バン!!と、エミリアの部屋の扉が勢いよく開いた。


「お、お父様?」


そちらに振り替えって見れば、表情のない真顔の父がこちらをじっと見ていた。
その父と目線がぶつかりゾクリとする。
なんだか、国境付近の村で怒られた時よりも恐怖を感じた。


(な、何!?もしかしてバレたの?でもまだ、レーバンにだって何も話していないし、それに今朝の朝食の時だって、家族と共にしたけれど誰も気づいた様子は……)


考えを遮られるように、父が無言ですっとエミリアの前に何かを差し出す。
そちらに視線を落とせば、ある物が目に入る。


(え?手紙……)


訳がわからず受けとると、差出人が誰かを確認した。


(うそ……この家紋は!?)


見覚えのある、とある子爵家の家紋が手紙に押されていた。
既に封を開けられ中身も確認されているのだろう。
エミリアはがたがたと震えだす。

何故なら、妊娠が発覚するよりも最悪な事がバレてしまったのかもしれない。
父が中身を確認するように目線で施してくる。
エミリアはごくりと唾を飲み込んで、震えるてで手紙を開ける。
そこには……


「いやああああぁ!!!!!!」


エミリアは見たくない現実を目の当たりにして、奇声を上げながら、その場に崩れ落ちたのだった。



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