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第1章 商人の街
手掛かりはひとつ
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町のあちこちを歩き回り、聞き込みを重ねたが、リオンたちは何も手がかりを見つける事が出来なかった。
「もう~、なんで見つからないのー!?」
武道家が両手を上げながら、空に向かって叫ぶ。
「……もう、調べられることは尽きましたね。私たちに解決できるのでしょうか……」
「アタシお腹空いたー。何か買ってきていい?」
「いえ、駄目ですよ、駄目ですけど……」
(いやいや、飽きるの早くない?)
リオンはそんな二人をちらりと見て、心の中で──
(大体、お前らが言い出したんだろ、もう少し責任持てよ)
──と言いたくなるのを、グッと堪えた。
「構わないよ。ユリア、一緒に行ってやってくれないか?」
「えっ、ですが……」
「俺はもう少しだけ調べてみる。昨日みたいにミカが買いすぎないよう、見張っててほしいんだ」
(……結局、財布はすっからかんにされたが、一人になれる機会を逃すわけにはいかない)
僧侶は申し訳無さそうな表情を浮かべながらも、どこか安心した様に頷く。
「わかりました……そういうことでしたら──っ!?」
その時、僧侶の目に映ったのは、すでに屋台へ向かって駆けていく武道家の後ろ姿だった。
「ええ!? ちょっと、待ってくださーい!」
噴水が吹き上がる街の中心。
全く手掛かりの掴めない状況の中、リオンは一人、街に取り残されていた。
(さてと……どうするか)
「──何かお困りごとですか?」
「うわっ!?」
思案に沈んでいたその時、不意に背後から声をかけられ、思わず驚いてしまう。
「誰だ……?」
「申し遅れました。ワタクシ、この町で商いをしているバクと申します」
後ろを振り向くと、そこには大きなリュックにつばのついた帽子、そして目元に怪しげな仮面を着けた見るからに怪しい雰囲気の背の高い男が立っていた。
(この声どこかで……)
疑念と同時に警戒心が走るが、逆にこれはチャンスだと考える。
「……この町で起きている悪夢について調べてるんだ。何か知らないか?」
「おや……ということは、もしや貴方様が“勇者様”でございますか!?」
すると商人は、どこか感激したかように両手を合わせてみせた。
「この町の問題を解決してくださるという噂、まことでしたか! お会いできて光栄です!」
「……あ、ああ、どうも」
「悪夢は町中皆の悩みの種ですから。……ワタクシは隈が酷くて、ご覧の通りですよ」
商人は目元の仮面を掛け直す、確かに理屈は通る、通るのだが……
(……いや、どう考えても怪しい)
「ところで勇者様、“神父様”にはお会いになりましたか?」
「神父? この街に教会はなかったはずだが……」
「そんな事ありません、ほら、あちらをご覧ください」
商人はリオンの肩に手を置き、街の奥を指差す。
すると、霞んでいた風景がゆっくりと形を変えていき──
──やがてそこに現れたのは、風見鶏を掲げる古ぼけた教会だった。
「マジか!? なんで今まで気づかなかったんだ!?」
「神父様も、町の悪夢について調査なさっております。きっと力になってくれるかと」
商人はそう言った後、何かを思い出したかのように、声を上げる。
「おっと、こんな時間。ワタクシこの辺りで失礼致しますね、それでは!」
そう言い残し、町の陰へと走り去っていった。
勇者はしばらくその場に立ち尽くしていたが、やがて苦笑する。
「……絶対、罠だよな」
だが、他に手がかりも無く、むしろ一番手っ取り早い方法だと感じていた。
「やるしかないかぁ……」
そう呟き、仕方なく武道家と僧侶を呼びに向かった。
「もう~、なんで見つからないのー!?」
武道家が両手を上げながら、空に向かって叫ぶ。
「……もう、調べられることは尽きましたね。私たちに解決できるのでしょうか……」
「アタシお腹空いたー。何か買ってきていい?」
「いえ、駄目ですよ、駄目ですけど……」
(いやいや、飽きるの早くない?)
リオンはそんな二人をちらりと見て、心の中で──
(大体、お前らが言い出したんだろ、もう少し責任持てよ)
──と言いたくなるのを、グッと堪えた。
「構わないよ。ユリア、一緒に行ってやってくれないか?」
「えっ、ですが……」
「俺はもう少しだけ調べてみる。昨日みたいにミカが買いすぎないよう、見張っててほしいんだ」
(……結局、財布はすっからかんにされたが、一人になれる機会を逃すわけにはいかない)
僧侶は申し訳無さそうな表情を浮かべながらも、どこか安心した様に頷く。
「わかりました……そういうことでしたら──っ!?」
その時、僧侶の目に映ったのは、すでに屋台へ向かって駆けていく武道家の後ろ姿だった。
「ええ!? ちょっと、待ってくださーい!」
噴水が吹き上がる街の中心。
全く手掛かりの掴めない状況の中、リオンは一人、街に取り残されていた。
(さてと……どうするか)
「──何かお困りごとですか?」
「うわっ!?」
思案に沈んでいたその時、不意に背後から声をかけられ、思わず驚いてしまう。
「誰だ……?」
「申し遅れました。ワタクシ、この町で商いをしているバクと申します」
後ろを振り向くと、そこには大きなリュックにつばのついた帽子、そして目元に怪しげな仮面を着けた見るからに怪しい雰囲気の背の高い男が立っていた。
(この声どこかで……)
疑念と同時に警戒心が走るが、逆にこれはチャンスだと考える。
「……この町で起きている悪夢について調べてるんだ。何か知らないか?」
「おや……ということは、もしや貴方様が“勇者様”でございますか!?」
すると商人は、どこか感激したかように両手を合わせてみせた。
「この町の問題を解決してくださるという噂、まことでしたか! お会いできて光栄です!」
「……あ、ああ、どうも」
「悪夢は町中皆の悩みの種ですから。……ワタクシは隈が酷くて、ご覧の通りですよ」
商人は目元の仮面を掛け直す、確かに理屈は通る、通るのだが……
(……いや、どう考えても怪しい)
「ところで勇者様、“神父様”にはお会いになりましたか?」
「神父? この街に教会はなかったはずだが……」
「そんな事ありません、ほら、あちらをご覧ください」
商人はリオンの肩に手を置き、街の奥を指差す。
すると、霞んでいた風景がゆっくりと形を変えていき──
──やがてそこに現れたのは、風見鶏を掲げる古ぼけた教会だった。
「マジか!? なんで今まで気づかなかったんだ!?」
「神父様も、町の悪夢について調査なさっております。きっと力になってくれるかと」
商人はそう言った後、何かを思い出したかのように、声を上げる。
「おっと、こんな時間。ワタクシこの辺りで失礼致しますね、それでは!」
そう言い残し、町の陰へと走り去っていった。
勇者はしばらくその場に立ち尽くしていたが、やがて苦笑する。
「……絶対、罠だよな」
だが、他に手がかりも無く、むしろ一番手っ取り早い方法だと感じていた。
「やるしかないかぁ……」
そう呟き、仕方なく武道家と僧侶を呼びに向かった。
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