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第2章 港と船と海の町
剣を持つ手に込められた秘密
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港にたどり着いた二人の目に映ったのは。
魚竜の群れが次々と大波を生み出し、それより小型の魔物たちがその波に乗って炎の壁を飛び越えていく光景だった。
「どおりで数が減らないと思った」
「いや、デカ過ぎるあいつらは乗り越えられないんだろうな」
「ならよかった、今あんまり魔力ないから」
「マジかよ…… 魔力回復薬買っときゃよかった……」
荒れ狂う海の前、やや項垂れるリオンを心配するように、アキトが尋ねる。
「ねぇ、どうすればいいの?」
「……デカイ船を探してくれ」
「んー、あれじゃない?」
周りを見渡したアキトは、海岸に打ち上げられていた一つの巨大な帆船を見つけ、二人はその船に向かって駆け出した。
「一体、なにが判ったの?」
「"音"だ、おそらくあの魔物は、音に魔法を乗せることが出来るんだと思う、首に着けているのはマイクで、花に入っていた装置は超音波スピーカーだったんだ」
二人は操舵の見える船の先頭に向かう。
「だから、それよりも大きな音を出してやれば……」
「そっか、汽笛だね」
その周りには魔物たち必死に守りを固めていた。
「よっしゃ! 確定演出!!」
リオンは剣を抜き、魔物を一掃していく。だが──そこで思わぬ事態が発生した。
「おいマジか…… これ、魔石が無ぇと動かねぇのかよ!」
周りを見てもそれらしきものは無く、既にもぬけの殻となっていた。
「魔石? あるよ」
「へ!?」
「これ……」
そう言ってアキトが取り出したのは、船に乗る前、道具屋で見つけた赤色の魔石だった。
「欲しかったんじゃないの?」
色も形も、自分が手に取って眺めていた、あの魔石で間違いなかった。
「それ──」
「使えるかどうかは、わからないけど…… 」
「と、とにかくやってみるぞ!」
魔石をはめ込み、起動させようとしたその瞬間──背後から水弾が襲いかかる。
咄嗟に汽笛を庇う、その瞬間、アキトが炎を放ち、爆ぜるように相殺した。
「しまった…… 罠か!」
「ウフフフフッ、いらっしゃい、ようやく来たのね、可愛い我が子」
振り返ると、蒼碧の翼を広げた魔将が、愉悦に濡れた声を響かせる。
「あの時…… 俺が乗っていた船を襲わせたのもお前だな」
「アッハハハ! ええ、そうよ、……だって、あなたが欲しかったのだもの」
「……そんな事だろうと思った」
魔将が言った言葉を思い出す。
脳裏に浮かんだあの違和感の正体は、誰かに向けられたものではなく、最初から自分に向けられたものだったからだ。
「何故、俺を狙う……」
「もちろん可愛らしいからよ、魔力が一切無いなんて、魔法の一つも覚えられないなんて…… ウフフッ、そんなの、可愛らしくて仕方がないじゃない──!!」
「──は?」
リオンは驚いた。
言われた通り、自分には魔力という魔力が全く無い。
誰にも言ったことのなかったこの秘密を、どうやらこの魔物は知っているらしい。
(そういうの、魔物には分かるんだろうか……)
「……案外そうでもないんだな、これが」
「アッハハハ、強がるところも可愛いわ!! 」
その時──
──ボォォォォォォォォン!
汽笛の重低音が海と大気を震わせた。
「鳴らしたよ! 」
「よしっ──!」
魔法の掛かりが弱くなり、海の魔物たちの動きが鈍くなっていき、陸にいるものは苦しみ始める。
「あら、少しおしゃべりし過ぎたかしら」
「狂化で無理矢理にでも動かさない限り、海の魔物は、海でしか生きていけない、そうだろ?」
「……ええ、そうね」
リオンは魔将に向けて剣を構える。
「これで終わりだ……!」
「ウフフッ……でも…… 一つの世界でしか生きられないのは人間だって同じでしょう? 」
次の瞬間、魔将は稲妻のように加速し、リオンは身体を鷲掴みにされ、海へと連れ去られてしまう。
「ぐっ……!? 離、せ」
「さあ、一緒に帰りましょう、魔力の無い可愛い我が子。あなたが動かなくなるその時まで、たっぷり可愛がってあげるわ。ウフフフフッ……アッハハハハハハ! 」
「──それはヤダ!」
アキトは即座に置いていた槍を構え、飛び去って行く魔将に向かって投げた。
数メートル先に投げた槍は翼に命中。
魔将は体制を崩し、リオンは拘束から解放され、海へと落下していく。
(リオン──!!)
アキトは躊躇なく海へ飛び込み、すぐに救出へと向かった。
足から水流の魔法を放ちながら、ジェットエンジンのように水中を進んでいたアキトだったが、ついた先にリオンの姿は無かった。
(リオンが、いない……?)
「愛しい我が子…… 何処へ行ったの──」
海の中から現れた魔将は翼を持たず、上半身は女性、下半身は魚の姿になって、探し泳いでいた。
「おまえのせいだ……」
魔将がアキトの存在に気づき、怒りの眼光を向けながら言い放つ。
「おまえのせいで── 我が子が──!!」
両手にある鋭い爪を煌めかせ、敵を狩ろうと迫り来る。
(もう魔力がほとんど無い、それに…… 僕の予想があたってるなら、多分──)
再び足に魔法陣を描き、攻撃を避けながら、ある場所へと移動した。
「おのれ、逃がさない──!!」
目的地まで来たアキトは向きを変え──
(ここだ……!)
海中でも煌々と燃える、魔王の炎が繰り出した。
「当、た、る、かぁぁぁ!!」
しかしその勢いが収まることはなく、魔将は体を躱しながら、アキトに追いすがって来る。
(ねぇ、いるんでしょ──?)
隙を見せた魔将は、真下に仕込んであった水流の魔方陣に気付かず、直撃した。
魔将の身体は押し上げられ、海面を突き破って宙へと放り出される。
その先には──
「ああ、よく気付いた……!!」
昼間、船を降りた港の上、そこにいたのは──集中力を極限まで高めた、剣を構えるリオンの姿だった。
「──我が子!? どうし、て……!!」
渾身の一閃。
蒼白の月光を反射しながら、剣は魔将の身体を両断した。
戦闘が終わり、アキトが海面から顔を出す。
「転送魔法、一応、魔力を使わなくても使える魔法だよね」
そして魔将は力尽き、海底へと沈んでいった。
魚竜の群れが次々と大波を生み出し、それより小型の魔物たちがその波に乗って炎の壁を飛び越えていく光景だった。
「どおりで数が減らないと思った」
「いや、デカ過ぎるあいつらは乗り越えられないんだろうな」
「ならよかった、今あんまり魔力ないから」
「マジかよ…… 魔力回復薬買っときゃよかった……」
荒れ狂う海の前、やや項垂れるリオンを心配するように、アキトが尋ねる。
「ねぇ、どうすればいいの?」
「……デカイ船を探してくれ」
「んー、あれじゃない?」
周りを見渡したアキトは、海岸に打ち上げられていた一つの巨大な帆船を見つけ、二人はその船に向かって駆け出した。
「一体、なにが判ったの?」
「"音"だ、おそらくあの魔物は、音に魔法を乗せることが出来るんだと思う、首に着けているのはマイクで、花に入っていた装置は超音波スピーカーだったんだ」
二人は操舵の見える船の先頭に向かう。
「だから、それよりも大きな音を出してやれば……」
「そっか、汽笛だね」
その周りには魔物たち必死に守りを固めていた。
「よっしゃ! 確定演出!!」
リオンは剣を抜き、魔物を一掃していく。だが──そこで思わぬ事態が発生した。
「おいマジか…… これ、魔石が無ぇと動かねぇのかよ!」
周りを見てもそれらしきものは無く、既にもぬけの殻となっていた。
「魔石? あるよ」
「へ!?」
「これ……」
そう言ってアキトが取り出したのは、船に乗る前、道具屋で見つけた赤色の魔石だった。
「欲しかったんじゃないの?」
色も形も、自分が手に取って眺めていた、あの魔石で間違いなかった。
「それ──」
「使えるかどうかは、わからないけど…… 」
「と、とにかくやってみるぞ!」
魔石をはめ込み、起動させようとしたその瞬間──背後から水弾が襲いかかる。
咄嗟に汽笛を庇う、その瞬間、アキトが炎を放ち、爆ぜるように相殺した。
「しまった…… 罠か!」
「ウフフフフッ、いらっしゃい、ようやく来たのね、可愛い我が子」
振り返ると、蒼碧の翼を広げた魔将が、愉悦に濡れた声を響かせる。
「あの時…… 俺が乗っていた船を襲わせたのもお前だな」
「アッハハハ! ええ、そうよ、……だって、あなたが欲しかったのだもの」
「……そんな事だろうと思った」
魔将が言った言葉を思い出す。
脳裏に浮かんだあの違和感の正体は、誰かに向けられたものではなく、最初から自分に向けられたものだったからだ。
「何故、俺を狙う……」
「もちろん可愛らしいからよ、魔力が一切無いなんて、魔法の一つも覚えられないなんて…… ウフフッ、そんなの、可愛らしくて仕方がないじゃない──!!」
「──は?」
リオンは驚いた。
言われた通り、自分には魔力という魔力が全く無い。
誰にも言ったことのなかったこの秘密を、どうやらこの魔物は知っているらしい。
(そういうの、魔物には分かるんだろうか……)
「……案外そうでもないんだな、これが」
「アッハハハ、強がるところも可愛いわ!! 」
その時──
──ボォォォォォォォォン!
汽笛の重低音が海と大気を震わせた。
「鳴らしたよ! 」
「よしっ──!」
魔法の掛かりが弱くなり、海の魔物たちの動きが鈍くなっていき、陸にいるものは苦しみ始める。
「あら、少しおしゃべりし過ぎたかしら」
「狂化で無理矢理にでも動かさない限り、海の魔物は、海でしか生きていけない、そうだろ?」
「……ええ、そうね」
リオンは魔将に向けて剣を構える。
「これで終わりだ……!」
「ウフフッ……でも…… 一つの世界でしか生きられないのは人間だって同じでしょう? 」
次の瞬間、魔将は稲妻のように加速し、リオンは身体を鷲掴みにされ、海へと連れ去られてしまう。
「ぐっ……!? 離、せ」
「さあ、一緒に帰りましょう、魔力の無い可愛い我が子。あなたが動かなくなるその時まで、たっぷり可愛がってあげるわ。ウフフフフッ……アッハハハハハハ! 」
「──それはヤダ!」
アキトは即座に置いていた槍を構え、飛び去って行く魔将に向かって投げた。
数メートル先に投げた槍は翼に命中。
魔将は体制を崩し、リオンは拘束から解放され、海へと落下していく。
(リオン──!!)
アキトは躊躇なく海へ飛び込み、すぐに救出へと向かった。
足から水流の魔法を放ちながら、ジェットエンジンのように水中を進んでいたアキトだったが、ついた先にリオンの姿は無かった。
(リオンが、いない……?)
「愛しい我が子…… 何処へ行ったの──」
海の中から現れた魔将は翼を持たず、上半身は女性、下半身は魚の姿になって、探し泳いでいた。
「おまえのせいだ……」
魔将がアキトの存在に気づき、怒りの眼光を向けながら言い放つ。
「おまえのせいで── 我が子が──!!」
両手にある鋭い爪を煌めかせ、敵を狩ろうと迫り来る。
(もう魔力がほとんど無い、それに…… 僕の予想があたってるなら、多分──)
再び足に魔法陣を描き、攻撃を避けながら、ある場所へと移動した。
「おのれ、逃がさない──!!」
目的地まで来たアキトは向きを変え──
(ここだ……!)
海中でも煌々と燃える、魔王の炎が繰り出した。
「当、た、る、かぁぁぁ!!」
しかしその勢いが収まることはなく、魔将は体を躱しながら、アキトに追いすがって来る。
(ねぇ、いるんでしょ──?)
隙を見せた魔将は、真下に仕込んであった水流の魔方陣に気付かず、直撃した。
魔将の身体は押し上げられ、海面を突き破って宙へと放り出される。
その先には──
「ああ、よく気付いた……!!」
昼間、船を降りた港の上、そこにいたのは──集中力を極限まで高めた、剣を構えるリオンの姿だった。
「──我が子!? どうし、て……!!」
渾身の一閃。
蒼白の月光を反射しながら、剣は魔将の身体を両断した。
戦闘が終わり、アキトが海面から顔を出す。
「転送魔法、一応、魔力を使わなくても使える魔法だよね」
そして魔将は力尽き、海底へと沈んでいった。
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