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第4章 にぎやかなイカれた町
不可能とは言わせない
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アキトがディーラーを務めたゲームは思っていたよりも早く終わり。待っていたリオンは人の目を掻い潜りながら、二人はカジノから離れたスタッフルームに着いた。
「ホントに大丈夫かよ、誰か来ねぇのか?」
「大丈夫だよ、この部屋使ってるのほとんど僕だけだから」
壁に張り付けてあるシフト表を見ると、どうやらこのカジノではポーカーの人気があまり無いらしく、専門のディーラーは彼といま表に出ているもう一人しかいないらしい。
扉を開けると、こじんまりとした事務所のような部屋に机とパイプ椅子が置かれている。
「リオン、座っていいよ」
「いや、俺は……」
「もう一個あるから」
「……そうかよ」
用意した椅子に座り、お互い少し離れた位置から話し初める。
「何か掴めたのか?」
「うん、色々とね」
「……仕事はえーな」
どうして何も言わずに一人で行ってしまったのか、何故ディーラーとして潜入したのか、聞きたいことは他にもあるが、今は情報が最優先だと判断し口をつぐむ。
「えっと、ここは悪徳カジノではあるんだけど、操っているのはお金じゃなくて、人の記憶なんだ」
(なるほど…… あれはそういうことだったのか)
リオンは先ほど見た酔っ払い釣り客を思い出す、彼はカジノスタッフに連れ出され、そして帰って来た後、明らかにこれまでの記憶が飛んでいたように見える。
「目星は……」
「この部屋出て右にまっすぐ行った、オーナーの部屋だよ。だって、オーナー以外の人たちは、みんな記憶を消されしまってるみたいだから」
衝撃的な発言に、リオンはパイプ椅子から音を立てながら立ち上がる。
「それ以外の人って── お前は大丈夫なのか!?」
「そうだね、今のところは」
「なッ──」
誰かに見つかってはマズイと、張り上げてしまいそうになった声をを咄嗟に抑える。それに……
(これじゃ、昨日と同じになっちまう)
あの時のアキトの表情が目に浮かび、リオンは大人しく椅子に座り直す。
「それで、俺はどうすればいい」
「オーナーの部屋から証拠をとってきて欲しい、"僕じゃ入れないんだ"」
「あー、そういう仕組みか……」
「僕は、昨日おじさんたちに頼まれた装置を壊してくる。この仕事のやり方も教えてもらったし、それにちょうどいいかなって」
「……俺がいない間に、そんなことしてたのかよ」
どんな風に教えられていたのか少し気になるが、アキトの言わんとすることを理解し、リオンはもう一度立ち上がって、伸びをした。
「りょーかい、んじゃ、そっちは派手に頼んだぞ」
「うん、そっちも気をつけて」
二人はスタッフルームから出た後、リオンは目的の部屋へと一直線に走っていく。
その背中を少し見届けたアキトは、お互い別の方向へと走っていった。
同じ頃──
グラスに入った酒を飲みながら、初めて来たにしては妙に馴染むような…… とカジノでポーカーをしている青年はふと思う。
初めてやるこのゲームだって、普段はなかなかルールを覚えられない自分が、何故かスポンジのようにすんなりと体にやり方が染み込んでくる。
(もしかして、自分にはこのゲームの才能があるのか……!)
ウキウキで"コール"と言ったやさき、突如後ろの方から悲鳴が聞こえてくる。
慌てて後ろを振り向けば、カジノ内の装飾が次々と怪しげな炎で燃やされ、一人また一人とパニックになり、店内は混乱状態になっていた。
(クソッ──! 誰だよこんなことする奴は!!)
別のテーブルでもゲームどころではなくなり、黒スーツのスタッフたちが安全な場所へと避難を進める。
「何なんだよ! このままじゃ…… 」
(折角揃った、ロイヤルストレートフラッシュのチャンスはどうしてくれる!!!)
前にいるディーラーが避難を初めていても、青年は四枚のうちスペードの10とQが並ぶテーブルに伏せたKとAのカードを手放せずにいた。
───────────────
オーナーの部屋まで走り続け、無事にたどり着いたリオンは、恐る恐るその扉を開けた。
(うわっ!? 入ってすぐに魔石装置かよ…… 壊してからどころじゃねぇな)
開いた扉のあちらこちらに、古い魔石装置が仕組まれ、机を挟む向かい合ったソファの奥には、いかにもお偉いさんが座っていそうな、仕事机と椅子が置かれていた。
(でもまぁ、魔力だけ探知してても、俺には意味ねぇんだけど)
リオンは急いで仕事机の引き出しを開けて、証拠となる情報を探し初める。
中々見つからず手こずっていると、手前の引き出しが細工され、底がもう一つあることに気づき、置かれていた資料を確認した。
(あった! これだろ──!)
目的の資料を手に入れたリオンは、すぐに転送魔法で脱出しようとする。しかし──
(魔法が、発動しない!?)
すると警報が鳴り響き、周りの壁紙の中から攻撃用の魔石装置がいくつも現れ、数え切れない程の魔弾がリオンは向かって乱射されていく。
「クソッ! わけわかんねぇ仕掛け作りやがって!!」
リオンは目の前に飛んできた魔弾を間一髪で避け、その後も迫りくる魔弾の嵐を潜り抜けながら進む。
(とにかく、ここから離れねぇと──!)
しかし、窓を叩き割ろうとしてもヒビすら入らず、扉には鍵がかかってしまい、壊そうとしてもびくともしない。
「……意地でも逃がす気はねぇってか」
(だったら手段は一つ──!!)
追い詰められたリオンは鞘から剣を抜き、ひたすら魔弾を放ち続ける魔石装置へと立ち向かっていった。
(ちがう、これもちがう──)
アキトはカジノ内の注意を引くと同時に、装飾に擬態する目当ての魔石装置を破壊するため、懸命に探していた。
(んー、どれなんだろう? 聞いたとおりなら、形はもっと……)
どれを壊せばいいか迷っていると、突然こことは別の方向から警報音が鳴り、再び辺りが騒然とし始める。
(向こうの方角……まさか)
「リオンが、危ない──」
考える間もなく、アキトは鳴り響く警報音の方へと走りだす。その時、破壊した際に飛び火した大きなシャンデリアが目の前で道をふさぐように降ってくる。
「どいてよ!」
降ってきたそれを一瞬で灰に変えながら、勢いを止めることなく、アキトはリオンがいるであろう場所へと向かっていった。
「ホントに大丈夫かよ、誰か来ねぇのか?」
「大丈夫だよ、この部屋使ってるのほとんど僕だけだから」
壁に張り付けてあるシフト表を見ると、どうやらこのカジノではポーカーの人気があまり無いらしく、専門のディーラーは彼といま表に出ているもう一人しかいないらしい。
扉を開けると、こじんまりとした事務所のような部屋に机とパイプ椅子が置かれている。
「リオン、座っていいよ」
「いや、俺は……」
「もう一個あるから」
「……そうかよ」
用意した椅子に座り、お互い少し離れた位置から話し初める。
「何か掴めたのか?」
「うん、色々とね」
「……仕事はえーな」
どうして何も言わずに一人で行ってしまったのか、何故ディーラーとして潜入したのか、聞きたいことは他にもあるが、今は情報が最優先だと判断し口をつぐむ。
「えっと、ここは悪徳カジノではあるんだけど、操っているのはお金じゃなくて、人の記憶なんだ」
(なるほど…… あれはそういうことだったのか)
リオンは先ほど見た酔っ払い釣り客を思い出す、彼はカジノスタッフに連れ出され、そして帰って来た後、明らかにこれまでの記憶が飛んでいたように見える。
「目星は……」
「この部屋出て右にまっすぐ行った、オーナーの部屋だよ。だって、オーナー以外の人たちは、みんな記憶を消されしまってるみたいだから」
衝撃的な発言に、リオンはパイプ椅子から音を立てながら立ち上がる。
「それ以外の人って── お前は大丈夫なのか!?」
「そうだね、今のところは」
「なッ──」
誰かに見つかってはマズイと、張り上げてしまいそうになった声をを咄嗟に抑える。それに……
(これじゃ、昨日と同じになっちまう)
あの時のアキトの表情が目に浮かび、リオンは大人しく椅子に座り直す。
「それで、俺はどうすればいい」
「オーナーの部屋から証拠をとってきて欲しい、"僕じゃ入れないんだ"」
「あー、そういう仕組みか……」
「僕は、昨日おじさんたちに頼まれた装置を壊してくる。この仕事のやり方も教えてもらったし、それにちょうどいいかなって」
「……俺がいない間に、そんなことしてたのかよ」
どんな風に教えられていたのか少し気になるが、アキトの言わんとすることを理解し、リオンはもう一度立ち上がって、伸びをした。
「りょーかい、んじゃ、そっちは派手に頼んだぞ」
「うん、そっちも気をつけて」
二人はスタッフルームから出た後、リオンは目的の部屋へと一直線に走っていく。
その背中を少し見届けたアキトは、お互い別の方向へと走っていった。
同じ頃──
グラスに入った酒を飲みながら、初めて来たにしては妙に馴染むような…… とカジノでポーカーをしている青年はふと思う。
初めてやるこのゲームだって、普段はなかなかルールを覚えられない自分が、何故かスポンジのようにすんなりと体にやり方が染み込んでくる。
(もしかして、自分にはこのゲームの才能があるのか……!)
ウキウキで"コール"と言ったやさき、突如後ろの方から悲鳴が聞こえてくる。
慌てて後ろを振り向けば、カジノ内の装飾が次々と怪しげな炎で燃やされ、一人また一人とパニックになり、店内は混乱状態になっていた。
(クソッ──! 誰だよこんなことする奴は!!)
別のテーブルでもゲームどころではなくなり、黒スーツのスタッフたちが安全な場所へと避難を進める。
「何なんだよ! このままじゃ…… 」
(折角揃った、ロイヤルストレートフラッシュのチャンスはどうしてくれる!!!)
前にいるディーラーが避難を初めていても、青年は四枚のうちスペードの10とQが並ぶテーブルに伏せたKとAのカードを手放せずにいた。
───────────────
オーナーの部屋まで走り続け、無事にたどり着いたリオンは、恐る恐るその扉を開けた。
(うわっ!? 入ってすぐに魔石装置かよ…… 壊してからどころじゃねぇな)
開いた扉のあちらこちらに、古い魔石装置が仕組まれ、机を挟む向かい合ったソファの奥には、いかにもお偉いさんが座っていそうな、仕事机と椅子が置かれていた。
(でもまぁ、魔力だけ探知してても、俺には意味ねぇんだけど)
リオンは急いで仕事机の引き出しを開けて、証拠となる情報を探し初める。
中々見つからず手こずっていると、手前の引き出しが細工され、底がもう一つあることに気づき、置かれていた資料を確認した。
(あった! これだろ──!)
目的の資料を手に入れたリオンは、すぐに転送魔法で脱出しようとする。しかし──
(魔法が、発動しない!?)
すると警報が鳴り響き、周りの壁紙の中から攻撃用の魔石装置がいくつも現れ、数え切れない程の魔弾がリオンは向かって乱射されていく。
「クソッ! わけわかんねぇ仕掛け作りやがって!!」
リオンは目の前に飛んできた魔弾を間一髪で避け、その後も迫りくる魔弾の嵐を潜り抜けながら進む。
(とにかく、ここから離れねぇと──!)
しかし、窓を叩き割ろうとしてもヒビすら入らず、扉には鍵がかかってしまい、壊そうとしてもびくともしない。
「……意地でも逃がす気はねぇってか」
(だったら手段は一つ──!!)
追い詰められたリオンは鞘から剣を抜き、ひたすら魔弾を放ち続ける魔石装置へと立ち向かっていった。
(ちがう、これもちがう──)
アキトはカジノ内の注意を引くと同時に、装飾に擬態する目当ての魔石装置を破壊するため、懸命に探していた。
(んー、どれなんだろう? 聞いたとおりなら、形はもっと……)
どれを壊せばいいか迷っていると、突然こことは別の方向から警報音が鳴り、再び辺りが騒然とし始める。
(向こうの方角……まさか)
「リオンが、危ない──」
考える間もなく、アキトは鳴り響く警報音の方へと走りだす。その時、破壊した際に飛び火した大きなシャンデリアが目の前で道をふさぐように降ってくる。
「どいてよ!」
降ってきたそれを一瞬で灰に変えながら、勢いを止めることなく、アキトはリオンがいるであろう場所へと向かっていった。
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