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第51話 流石の

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果てあった僕達は食卓についた。化粧が崩れかけているえりかさんは熱々の特大ハンバーグを僕の前に置いた。それはファミレスの特大よりも大きく、おそらく500g以上あるだろう。えりかさんが食べる普通サイズのハンバーグが赤ちゃんのように見えた。

「すごく大きいですね。美味しそう」

「いっぱい食べると思ったから特大にしたよ。さあ食べて、食べて」

「いただきます」

「どう?」

「すごく美味しいです。何個でも食べれちゃいそう」

「それはよかった」

「普段もご飯作るんですか?」

「残業がない日は作るよ。ご飯作るの好きでお料理教室も通ってるの。最近は魚も上手く捌けるようになったんだ」

「すごいですね。実は僕も魚捌けるんです。釣りが好きでシーズンになったら毎週捌いてます」

「へー釣りするんだね。待ってる時間暇じゃない?」

「意外と暇じゃないんですよ。餌を変えたり、狙う層を変えたりで忙しいです」

「今度連れて行ってね」

「ぜひぜひ」

ハンバーグを食べ終えあれやこれやと話していたら帰る時間が近づいてきた。

「そろそろ帰りますね」

「うん。本当にありがとうね」

流石のえりかさんも今回は、僕が帰るのを止めようとしない。

「こちらこそありがとうございました。ハンバーグ美味しかったです」

「またいつでも作るよ」

靴を履きドアを開けようとした。

「ちょっと待って」

えりかさんはスマートフォンをポケットから取り出した。

「メールアドレス交換してないじゃん」

「ほんとですね。うっかりしてました」

メールアドレスと電話番号を交換して扉を開けた。駅まで送ると言われたが断った。あの男や僕の友達に見られたらまずいという気持ちからだ。

駅へ向かう道中、早速メールが来た。

「本当にありがとうね!また来週も会ってほしいなあ。気をつけて帰ってね~」

僕は電車に乗り、席は空いていたが座らずに立っていた。外の景色を眺めながら物思いにふけっていた。

どうしようかなあ

メールフォルダを見るとまなみと美保さんからも新着メッセージがあった。とりあえず内容だけ確認して返信はしなかった。

まなみは相変わらず誘ってくる。平日のどこかでまなみの家にでも行こうかと思った。ただ『それ』をするためだけにだが。

電車に揺られた後、最寄駅に着いた。

ゆっくりとした足取りで家に帰った。

「おかえり。楽しかったかい?」

「ただいま。みんな元気やから疲れたわ」

母には友達の家に泊まるとあらかじめ言っておいた。多分嘘だとバレているが……

風呂に入らず自分の部屋に直行した。部屋の扉を開けた瞬間、疲労感に襲われた。それも無理はない。考えてみればこの2日間で、何回『それ』をしたのだろうか。いくら体育会系の高校生でも限度を超えている。

疲れからかすぐに布団に入り、眠りに落ちた。





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