義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日

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始まりの初めまして

私の義妹

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 父が再婚すると言った日のことを、今でも鮮明に覚えている。
 言うても、それは先月のことだったが。

 カーテンを閉め切った私の部屋に侵入した父は、「再婚するから」と一言。
 交通事故で亡くなった母を裏切る様な行為に、私は腹立ちを覚えた。
 もちろん反論もした。
 しかしその私の新しい母になる人というのは、本当に良い人らしく。
 同じ境遇に置かれているから気があっただとか。
 そんなの。私に言われても知らないよ。
 父の言葉は、後半から聞き流していた。

 今日。その新しい母親が家に来る様だ。そうメールがあった。
 おそらく棲みつくのだろう。
 だが、どうだっていい。

 またメールが来た。
 『部屋に来たから挨拶しなさい』
 はぁ。面倒臭いな。
 『分かった』

 気怠げな体を踏ん張って起こし、部屋のドアを開けた。
 一人の女性。一人の少女。

「は、初めまして! よろしくお願いします! お、お姉ちゃん!」

 部屋の外は、眩しかった。
 二つの意味で。

 美人だった。
 母親も。
 前のめりに挨拶した妹も。
 前にのめり込み過ぎて、むしろこけそうになっていたくらいだけど。

 妹が出来たらしい。
 同年代の、美人で可愛らしい妹だ。
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