義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日

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姉妹の三日間

三日目の朝

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 夢の中にお姉ちゃんが出てきた。
 何をしていたか、と言われたら覚えていない。
 お姉ちゃんが出てきたという、その事実だけ覚えている。
 夢なんて、大抵そういうものだ。
 起きた直後には覚えているものだけど、いざ頭が覚醒して夢のことを思い出そうとした時には大体忘れている。
 印象が強すぎる夢は覚えているものだけど。
 今回は覚えていない。つまり、大した夢ではなかった。そういうことだ。

 現在時刻は午前9時。
 って、寝すぎだろ私。
 昨日、結局寝付いたのは20時半だったと思う。
 ということは、12時間以上寝ている。
 12時間以上は異常。うん。つまんない。

 まぁ。ひとまず風呂かな。
 ちょっと頭皮に痒みもあるし。さっぱりするとしよう。
 それでその後は、プレスタとかで遊ぶのも悪くない気もする。
 だけど、宿題がな~。最終日でも間に合うとは思うけど、やはり最終日はゆっくり過ごしたいし……。まぁ、今日は宿題かな。
 こんな晴れ晴れとした朝だし、宿題だって少しは前向きな気持ちで取り組めるだろう。

 ベッドから体を起こす。
 服も昨日のままだったと気づき。
 洗濯もしないとな、と余計なことにまで思考が行ってしまう。
 とりあえず、風呂へと向かおう。

 まだ少しぼーっとする頭を押さえながら、風呂場へ歩みを向ける。
 お姉ちゃんはまだ寝てるのかな。そう思いながら、お姉ちゃんの部屋の前を通る。
 階段を降り、台所を通る。
 というか、これがこの家での初風呂となるわけか。
 これを頭の中に、記憶しておこう。
 後々、この出来事をしみじみと思う日が来るかもしれない。いや、ないか。
 じゃあ、記憶しないでおこう。

 そう訳のわからないことを思案していると、いつの間にか目的地に前に辿り着いた。

 脱衣所の引き戸を開ける。
 その瞬間、目に飛び込む驚くべき光景。
 服を脱ぎ脱ぎしている人物がそこにいる。
 その人物は、服を脱がしていた手を止め、膠着状態でこっちを見つめた。
 もう何も言わずに引き戸を閉めた。
 まぁ、お姉ちゃんがいた。うん。ごめんなさい。

「ご、ごめんなさい!」

 扉に向かって謝った。
 しかし、返って来るのは沈黙のみ。

「お、お姉ちゃーん? 生きてますかー?」

 ……。
 やはり沈黙だった。
 少し待ってみる。だがシーンとしている。

 今度は慎重に、数センチだけ、引き戸を開いてみる。
 お姉ちゃん……固まっている。

「っは! て、てんちゃん! て、て、ててて、てんちゃんもお風呂ですか⁉︎」

 こんな大声を聞いたのは初めてかもしれない。
 慌てて、自分のさらけ出している部分を隠す。

「おぅ。ようやく気づかれましたか。まぁ、お姉ちゃんお先にどうぞー」
「てんちゃんも一緒にお風呂はいろ!」
「お姉ちゃん。どおどお。落ち着いて」

 お姉ちゃん。いくらなんでもテンパりすぎじゃ。
 一緒に風呂はどう考えてもおかしい。
 自分の「キス未満は普通理論」に置き換えてみても普通じゃない。
 家族で風呂に入る時だって、一緒に入るのは小学生までだろう。私たちは中学生。13歳だ。

 13歳……意外と微妙なラインな気が。
 いや、いやいやそんなことはない。これは私基準でいくと「おかしい」。

「てんちゃん。私の母さんは一緒に風呂に入ってくれてましたよ」
「お姉ちゃん。私、妹ね?」
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