R18 硝子少女は夢を見る

きゃっさば

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拳を固く握りしめ

「私、ナナシャにします。」

『わかったわ。次は外見と身分を決めてもらうわ~。』

リティアさんはうふふ~と笑いながら、今までスクリーンになっていた壁に手をズボッと突っ込んでゴソゴソ漁り始めた。

あれでもないこれでもないと物を引っ張り出しては後ろへ投げ捨てていく。

不思議なことに、投げ捨てたものは床についた瞬間ぽちゃんと沈んだ。

(ほぇー、すごい仕組みだわぁ)

とそれを眺めながらぼーっとしてると、

『あ!?!?あった!!!』

とリティアさんが壁から何かを勢いよく引き摺り出した。

『ごめんなさいね~、すぐ物なくしちゃうのよ。』

はい、と渡されたそれはどう見ても地球にあるスマホと同じ姿をしていた。

受け取りながら
「スマホとかってこっちの世界にもあるんですね。」

と呟くと、

『あー、こっちの世界にあるわけじゃないのよ。

ここからは貴方の転生先の細かい設定を決めなきゃいけないの。

でも私が入力するの面倒だったから、あなたが使い慣れた物で入力してもらおうと思って勝手に用意しちゃった。』

えへっと誤魔化したように笑っているがそれでいいのか??まぁリティアさんがいいならいいのだろう。

『あ、この部屋にいる意味無くなったから戻すね~。』

リティアさんがそう言った瞬間、周りの壁に映っていた景色が絵具が滲むように消え、パッと壁や家具が出現した。もともとそこにあったかのように。

ここにきてから不思議なことばかりでもう驚かなくなってきた。

とりあえずソファに座り、スマホを開く。

すると、ゲームで最初にアバターを設定する時と同じような画面が出てきた。

髪の色、目の色、顔のバランス、輪郭、身体

などなど、細かい設定がたくさんある。

「すごい....!」

リティアさんが机の上に大きめの鏡を出現させた。

『今のりさは身体と顔がそのスマホと連動してるから、バランスとかよく見て決めてね~。』

ポチポチといろいろ変えて確かめてみる。

「本当に変わった...!?」

いままで、美形は見る専だったけれど、これなら自分の理想の美形を作れてしまうのでは...!とかなりわくわくする。

でも気になることが一つ。

「リティアさん。転生といったら、赤子からのスタートだと思うんですけど、これで設定した姿になるのは私が何歳になった時ですか?」

『うーん、そうね、18歳くらいと思って
おいて頂戴。』

「わかりました!」

つまり私は自分好みの美形がどんな成長をするのか赤子から見守れるということだ!

変な笑みが止まらないしよだれが出そうふふ。

そんな邪な考えを巡らせていると

『あ、そういえば、男と女どっちになるか決めた?』

リティアさんがとんでもないことをぶっ込んできた。

「男っていう選択肢もあるんですか..?」

『あるわよ。』

当然でしょって顔で言われて困惑する。

『りさは見る限り可愛い女の子が好きみたいだから、それもアリかなー?と思ったんだけど。』

うーん、、どうだろう。

可愛い女の子は大好きだが、決して恋愛対象ではない。

恋愛対象は男だと思う。

男の美形は好きだけど、女の美形の方がもっと好きだ。

つまり観察して見たいのは女の子!!

「いえ、女にしようと思います。」

『そうなの、残念だわ。りさならきっとかっこいい男の子になれると思ったんだけど。』

しゅんとし落ち込んでいるリティアさん可愛すぎる。

かっこいい男の子、か。

あまり思い出したくないが、私は男にいい思い出がない。

というかかなり苦手だ。父のせいで。

自分が男に生まれた時に自己嫌悪で死にたくなってしまうのではないかというくらい苦手だ。

あー、やめやめ。

暗い気持ちになっていてもしょうがない。

ここはもう、自分好みの可愛い女の子を作るのに集中しようと思います。

髪の毛から決める。

うあー、迷う迷うぞ!!髪の色で儚げにするかキツめにするか決まるからうーん、、

正直、地球にいた頃は髪色なんて黒、茶、金、白くらいしか見たことがない。

色まで自分で決められるなんて可能性は無限大だ。

『あ、言い忘れていたけど、目とか髪とか、黒色と赤色、白なんかはお勧めしないわね。』

!?

「どうしてですか??」

『そもそもあんまりその色の人を持っている人がいないのよ。

あと、

200年前に転生した男の子が不幸な目に合わされた話はしたでしょ?

その時報復した私の兄弟が持つ色なのよね。

見せしめに王様とかをボコボコにしたんだけど、目撃者がその色を持つ奴らがやばいって言いふらしたのよね笑

その影響で

宗教によっては不吉とされているし、赤子のうちに捨てる家庭があるくらいよ。

加護やスキルを調べるのは10歳になったらという決まりがあるから、まだ幼いうちは、たとえ加護があったとしても迫害の対象になるわ。

物心つく前に死んでたなんて嫌でしょう?』

「イヤデス。。。」

カラフルな髪が選べる中であえて黒髪のクールビューティ!なんて考えてたのが恐ろしい。

「あの、逆に大切にされる色ってあるんですか?」

『あるわよ。』

気付いた?とにやっと笑われた。
もしかして誘導された?

『創造神、つまり私の父ね。父の髪色が紫なの。

これは私の世界では常識よ。』

大事にされるのはいいことだ。

とりあえず、髪色は紫にしよう。


そうしなければ、いけない気がした。


紫に設定した髪は角度や、光の具合によって輝き濃淡が変わる表情豊かな物だった。


そこから先はなぞるように簡単だった。

鏡の中に映る自分を見ながら、その紫にぴったりとはまるパーツを見つけていく。

肌は透き通るくらい白く、

目はやや大きめの二重で色は悩んだが、上から下に行くにつれてピンクに染まる色素が薄めの紫にした。


鼻はやや高く、小ぶりに。

唇は薄く目の色と同じピンク色に。

まさかの、毛穴ありかなしか選べるのを見て驚きでひっくり返った。

もちろんなしだ。

ファンデーションいらずですごい。

身体は昔から憧れていた巨乳にした。と言っても大きくしすぎるとバランスが悪いのでEカップ。

ウエストは細め、形のいいお尻。

脚はすらっと長く。

身長は170センチくらいに設定し、奈々頭身から八頭身に見えるように顔の大きさを慎重に調節した。

全ての設定が終わっとき、私は立ち上がり鏡の前に立った。

前世でもそこそこ顔のいい方だったけれど(?)今回は規格外だ。

神々しい。素直にそう思った。

リティアさんと隣に並んでも遜色のない容姿。

「はわわわわわ。」

正直、自分の映っている鏡を舐めまわしたいくらい好みの容姿になった。


そんな私を見ながらリティアさんは満足そうに微笑んでいた。








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