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会議
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第3回の家族会議は娘の部屋で行うことになった。
大きめの机と人数分の椅子を用意した。
すでに参加者は全員着席している。
3度目にもなるとみんな慣れたものだ。
ちなみに、一回目の議題は娘のそばに置く使用人の厳選、2回目の議題は娘の部屋に置く家具の厳選だ。
参加者は私を合わせて5名だ。
1人目は妻、カティ。
今日は髪とお揃いの鮮やかな赤いドレスを着ている。背中が大きく開いていて、結い上げられた髪の後れ毛がとても色っぽい。
その色気に今日は3人のメイドが鼻血を出したと聞いた。
2人目は息子、ルーク。
今年6歳になった息子は、親の贔屓目なしでとてもしっかりしている。
今日はネクタイをきちんと閉めていて、いつもより気合が入っているようだ。
成長が感じられて嬉しい。
3人目はメイド長だ。
名前はアンナ。
本来なら家族しか参加できない会議のはずなのにしれっと紛れ込んでいる。
前回、家族会議なのになんでいるんだと尋ねたら、緑色の目でキツく睨まれた。
そして裏に連れていかれ「参加させなかったらどうなるかわかってるよな」と脅された。
私、当主なのに、、、。
アンナは娘が生まれるまでは真面目な普通のメイドだった。
しかし、娘を一目見てからとんでもなく優秀なメイドに化けてしまった。
娘に異常な執着をしていることはわかっているが、こちらとしては娘の身の回りに優秀な人材が揃うのはありがたいので放っておいている。
4人目は執事だ。
名前はバルッサ。
こいつもアンナと同じで家族でもないのにしれっと混ざっている。
彼は灰色の髪と目を持っていて、とても優秀だが、存在感が薄い。
前回はアンナに指摘されるまで隣に座っていることに気づかなかった。
あのときは本当に背筋が凍った。
娘を幸せにするためには自分が必要だという彼の言葉を信じ、特別に会議に参加させている。
別に断ったら暗殺されそうだからとか、そういうわけではない、たぶん。
そして5人目は私な訳だが、今回は議題が議題なだけに、皆前日から目を血走らせていた。
この私も名前をずっと考えていたので3日は寝ていない。
5人とも娘への愛情が振り切れている私達が娘の名付け親を祖父や祖母なんかに譲るはずがない。
「さぁ、会議を始めよう。」
私の発言と同時に静かだった4人が話し出す。
「それで、誰から発表するの?」
カティはちらりと周りを見回す。
「僕からだとすぐ決まっちゃうから、ここはアンナからがいいんじゃない?」
ルークはすごい自信だ。
「いいでしょう。」
アンナはにっこり微笑んだ。
「私の考えた名前は『イザベラ』です。
彼女の高貴なパープルにぴったりな響きでしょう。
それだけではありません。
この名前には「神に捧げる」という意味が含まれております。
神に1番近い存在、これこそが彼女の名前です。」
緑色の瞳を自信で煌めかせ、彼女は一息で言い切った。
最初から渾身の一撃に、4人が黙る。
これは厳しい戦いになりそうだ。
「皆さん黙られてしまったということは、これで決定でしょうか。」
ウフフ、とメイドとは思えない妖艶な笑みを浮かべるアンナ。
彼女の発言に場がざわめく。
「そんなわけがないだろう。」
フンと不満げに息を漏らしながらバルッサが反論する。
「あら、あなたの考えた名前の方が素晴らしいと?
お聞かせ願えるかしら。」
微笑みながら話すアンナの圧がすごい。
大きめの机と人数分の椅子を用意した。
すでに参加者は全員着席している。
3度目にもなるとみんな慣れたものだ。
ちなみに、一回目の議題は娘のそばに置く使用人の厳選、2回目の議題は娘の部屋に置く家具の厳選だ。
参加者は私を合わせて5名だ。
1人目は妻、カティ。
今日は髪とお揃いの鮮やかな赤いドレスを着ている。背中が大きく開いていて、結い上げられた髪の後れ毛がとても色っぽい。
その色気に今日は3人のメイドが鼻血を出したと聞いた。
2人目は息子、ルーク。
今年6歳になった息子は、親の贔屓目なしでとてもしっかりしている。
今日はネクタイをきちんと閉めていて、いつもより気合が入っているようだ。
成長が感じられて嬉しい。
3人目はメイド長だ。
名前はアンナ。
本来なら家族しか参加できない会議のはずなのにしれっと紛れ込んでいる。
前回、家族会議なのになんでいるんだと尋ねたら、緑色の目でキツく睨まれた。
そして裏に連れていかれ「参加させなかったらどうなるかわかってるよな」と脅された。
私、当主なのに、、、。
アンナは娘が生まれるまでは真面目な普通のメイドだった。
しかし、娘を一目見てからとんでもなく優秀なメイドに化けてしまった。
娘に異常な執着をしていることはわかっているが、こちらとしては娘の身の回りに優秀な人材が揃うのはありがたいので放っておいている。
4人目は執事だ。
名前はバルッサ。
こいつもアンナと同じで家族でもないのにしれっと混ざっている。
彼は灰色の髪と目を持っていて、とても優秀だが、存在感が薄い。
前回はアンナに指摘されるまで隣に座っていることに気づかなかった。
あのときは本当に背筋が凍った。
娘を幸せにするためには自分が必要だという彼の言葉を信じ、特別に会議に参加させている。
別に断ったら暗殺されそうだからとか、そういうわけではない、たぶん。
そして5人目は私な訳だが、今回は議題が議題なだけに、皆前日から目を血走らせていた。
この私も名前をずっと考えていたので3日は寝ていない。
5人とも娘への愛情が振り切れている私達が娘の名付け親を祖父や祖母なんかに譲るはずがない。
「さぁ、会議を始めよう。」
私の発言と同時に静かだった4人が話し出す。
「それで、誰から発表するの?」
カティはちらりと周りを見回す。
「僕からだとすぐ決まっちゃうから、ここはアンナからがいいんじゃない?」
ルークはすごい自信だ。
「いいでしょう。」
アンナはにっこり微笑んだ。
「私の考えた名前は『イザベラ』です。
彼女の高貴なパープルにぴったりな響きでしょう。
それだけではありません。
この名前には「神に捧げる」という意味が含まれております。
神に1番近い存在、これこそが彼女の名前です。」
緑色の瞳を自信で煌めかせ、彼女は一息で言い切った。
最初から渾身の一撃に、4人が黙る。
これは厳しい戦いになりそうだ。
「皆さん黙られてしまったということは、これで決定でしょうか。」
ウフフ、とメイドとは思えない妖艶な笑みを浮かべるアンナ。
彼女の発言に場がざわめく。
「そんなわけがないだろう。」
フンと不満げに息を漏らしながらバルッサが反論する。
「あら、あなたの考えた名前の方が素晴らしいと?
お聞かせ願えるかしら。」
微笑みながら話すアンナの圧がすごい。
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