R18 硝子少女は夢を見る

きゃっさば

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一同衝撃

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母親という圧倒的な愛が披露され、父は焦りに焦っていた。

こんなものに勝てるわけがない。

ちらりと横を見るとルークは余裕のある表情だった。

なぜ慌てていないのだ息子よ!?

意味が分からない。

できることならば、あと三日は考える時間が欲しいし、正直、カティ以上の案が思いつく気がしない。

でもこのまま負けを認め自分の意見も伝えず引き下がるなど私のプライドが許さない。

「皆さんほかに案がないようなので、私の案で決まりでよろしいですか?」

カティが静かにそう尋ねた。

勝ち誇る、とまではいかないが圧倒的自信の見える笑顔に冷や汗が出てきた。

自分の妻はこんなに冷ややかな殺気を見せる女性だっただろうか。

娘が生まれてからまだ幼い息子も含めてみんな様子がおかしくなってしまった。

自分も人のことは言えないのだが。

私は覚悟を決めて発言する。

「私の意見を発表する。私が考えた名前は

オーロラ

だ。

夜明けの女神オーロリル様から頂いた名前で、輝き、さまざまな色に変わることのできる女性になってほしいと思ったのが理由だ。」

一息で言い切ったので息が切れてしまった。

王に謁見するときよりも緊張したぞまったく。

「なるほど、綺麗な響きです。確か、300年ほど前にアレヌに生まれた傾国の美女もそんな名前でしたね。」

バルッサが呟く。

なかなか悪くない反応でほっとする。

「あの、僕も発表していいですか。」

ルークがこの会議が始まって久しぶりに口を開いた。

愛する息子が頑張って考えてきたと聞いているのでカティはとろけるように微笑み頷いた。

ルークは全く緊張していないような、涼しげな表情を浮かべていた。

まるでルークだけ別の場所から発言しているかのような不思議な感覚だった。

「この会議で僕が考えた名前と同じ名前が出たらそれに賛成しようと思ってたけど、出なかったから発表するね。」

ルークは微笑んだ

「僕が考えた名前はクラリッサだよ。光り輝いていて魅力的っていう意味があって妹にぴったりだと思ったんだ。」

思っていたよりもしっかり考えてある名前に一同驚いた。

ルークはまだ六歳なのにだ。

皆、六歳だぞ、私は六歳の頃は本に出てくる勇者にあこがれ暴れまわっていた記憶しかない。

もしかしたら、私たちの息子天才かもしれない。

ほろりと出てきそうな涙をこらえていたら、息子がとんでもないことを言ってきた。

『実は僕、夢で昨日神様に会ったんだよね』

「「「「え????????????????」」」」

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