堕ちる犬

四ノ瀬 了

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俺とお前で徹底的に壊してやろうじゃないか。

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神崎はフォークの柄から手を離し、美里の顔を見た。照明の下で色素の薄い瞳が、薄く緑がかって見えた。小さく開いた口から、息が漏れている。元々の顔の作り、ウィッグ、化粧と相まって、作り物のようだ。

「嬲り、殺される?」

歪な半笑いをして彼は言った。顔に薄っすらと汗が浮かんでいる。マスカラの一部が、瞳の下に涙のように落ちている。艶めかしく、彼を人間らしく見せている唯一の点だった。

「そうなる前に俺が何とかするから、アンタは何も気にしなくていいよ。外野は黙って見てなよ。」

さっきまでの誤魔化すようなまくし立てるような感じではなく、落ち着いた、鐘のような声で彼は言った。

「神崎さんこそ、俺に黙っていることがあるでしょう。」

美里の瞳が一瞬挑発的に輝いて、元に戻る。本来なら容姿と合わないような低い声だと言うのに、何故か違和感がない。そういう生き物のように見える。神崎が口を開く前に美里が続けた。

「貴方ばかり。俺から毟るだけ毟って。ポイと捨てるんじゃないですか。屑だけに。」 

ふ、と薄く紅い唇が笑いかける。彼は、緩慢な仕草で、テーブルの上に置いたままになっていた煙草ケースから1本取り出し火をつけた。紫煙がたちこめ、煙のベールができる。

神崎は黙って彼を眺めていた。彼が自分から続きを言い出すのを待とうと思った。ここで余計なことを言うのは得策ではない。

彼はしばらく紫煙の登っていくのを酔った瞳で眺めていたが、まだ半分は残っていた煙草を灰皿の上でもみ消し、たった今存在を思い出したように、また神崎の方を向いた。

「犯した罪の重さに見合うだけの罰を受けてもらっているだけのこと……。当然のことだと思わないか。俺に恨みを向けるなよ。なぜ、罰せられているかが知りたいんだったか?もう、この際面倒くせぇから言ってやる。死に値する、いや、それ以上の罪を犯したからだよ。どうだ、察したか?……察したらしいな。お前の思っている通りだ。ひとつ先に忠告しておいてやる。お前が勝手に、奴をどうこうしようものなら、どんな手を使ってでも先に俺が奴を殺すからな。俺がこうしてアンタと話しているのも奴を責める材料が少しでも見つかればと思ってのことだ。アンタも奴の調教には随分苦労したらしいから、わかるだろう。俺の気持ちがな。」

神崎の拳銃を握っている方の手が、ぐいと引っ張られた。美里が神崎の手首を掴んで、自らの腹部の方へ押し込んでいた。彼は目を見開いて神崎の方へ顔を寄せた。

「撃ちたければ、撃つがいい。何も得られず、唯一の手がかりさえ失って途方に暮れるのはアンタの方だからな。勝手にしな。ほら、ここだよ、ここ。外さないように持っててやるからよ……。」

銃の先端が衣服の上から臓器の上に確実に押し付けられ、彼自身が神崎の方に身を乗り出し、キスでもするように顔を近づけた。

「やれない?そうだ……俺とアンタが決定的に違うところを教えてやろうか?」

彼の手首を握る手の表面が汗で濡れていた。

「お前はアイツを捨てたようだが、俺はお前とは違う。お前のようにはならない。わかるかな?お前は、奴を捨てた癖に未練がましく、くだらねぇ、虚実混じった思い出話ばかりし腐って、俺に語り聞かせ、悦に浸ってるだけだ。……。で、俺がちょっとばかりレイプして教育してやったくらいで、なんだ?キレて、今度は八つ当たりか?大人げない。ふふふ、笑っちまうぜ。嫌なんだったら最初から手放さなければいいんだ。」

「……お前、」

その時、人混みをかき分けて、二人の方に近づいてくる人物がいた。



「誰、その人。」

すぐ横で、美里の知らない声がした。美里より一回り小さい女が泥棒猫でも見るように美里を見、それから神崎を見据えていた。神崎がつい最近ひっかけ、ラブホ巡りにつきあわせた女だった。

美里の目の前で神崎の集中が一瞬だけ途切れ、女の方を見た。横目で女を見て、彼と彼女の関係性を悟った。そのままもたれかかるように、身体を神崎の方に倒し、口をつけた。今度は神崎が目を見開いて美里を見、美里は挑発するように女を見続けた。

女が何か言いながら割り込んでくる。周囲の注目が集まる感じがした。神崎は危険な拳銃をしまわざる得ないだろう。美里は身を起こし、女をどける代わりに、テーブルの上に置かれた酒と料理を、腕で払い除け床に落とした。場の空気を裂く瓶や皿が割れる音が立って、さらに注目が集める。美里は、口元を親指で拭いながら立ち上がり、神崎を見降ろした。呆気にとられた顔をして美里を見上げる表情に、また霧野のことを重ね、思い出してしまう。
「……」
はやくここから去らなければ。太ももの痛みを無視して、近場の椅子を、テーブルを勢いよく床に蹴り倒す。
神崎が、美里に一歩遅れて立ち上がった。神崎と美里の間に女が入り込み、手を伸ばす神崎を止める。美里は神崎に微笑みかけ、今とばかりに、彼らに背を向けて走り始めた。

「誰かソイツを!!」と神崎が叫んでいたが、女の格好をしていたこと、誰がどう見ても痴話げんかのもつれにしか見えないことが功を奏し、誰も押さえつけようとはしてこない。躊躇っている暇はない。人混みをかけ分けるようにして脱兎のごとく店の外に転がり出、フォークを引き抜き、路上に捨てた。

「ぐっ……ぅ、くっそ……」

脚の痛みに耐えながら、人をおしのけ、とにかく走った。罵声、悲鳴が背後から聞こえたが、関係なかった。女物の靴はどうしてこんなに走りづらい。靴を脱ぎ、片手に持ち、ずり落ちかけるウィッグを抑え、走った。

大通りに出た。靴を履きなおし、ウィッグを整えてタクシーを捕まえようとするが、なかなか捕まらない。こうしているうちにも、神崎が背後から迫ってくるような気がして気が気でない。

彼をなめていなかったというと嘘になる。組織の中にいる人間と比較して、あまりにぬるいと感じていた。それは居心地のよさでもあったが、美里の中ではぬるさと変換されていた。

警察の尋問を受けるのは初めてではなかった。しかし、所詮こけおどしというか、よくて声を荒げる、胸倉をつかむ、陰で暴行をする程度。組織の中のやり方とは比較にならない。それに比べ、神崎のやり方は、どことなく気持ちが悪く、初めての感じであった。どちらかといえば、こちら側に近いのかもしれない。最後の方はつい、ムキになってしまった。

何とか捕まえたタクシーに急ぎ乗り込み、とにかく走らせた。着替えの服を預けておいたコインロッカーに立ち寄り、車内でさっさと着替えを済ませ、化粧を落とした。運転手は、女の格好をしていた美里に機嫌良さげに話しかけ、完全に無視されてからむっつりと黙っていたが、美里のロングスカートの女から、柄シャツの輩姿への変貌を見てからは、視線を合わすことをやめた。

携帯の電源を切り、タクシーをシマの管轄内の繁華街へ走らせた。万が一にでも神崎につけられている可能性を考えると、このまま自宅や姫宮のところに行くのは得策ではない。穿たれた傷を姫宮に診てもらいたくもあったが仕方がない。

タクシーを降り、薬局で消毒液や包帯を買い、簡易な治療を行った。出血は止まっていたが、傷が深く、鬱血し、徐々に穴の周りに濃い青痣が広がり始めていた。また、霧野のせいでしなくていい怪我をする羽目になった。美里の頭の中に神崎と霧野の顔が浮かんで消えた。とんだ暴力警官共だ。アレで警官とは。神崎の奴が育てたから霧野はああなったのではないか。とにかく、この代償をどう払わせてくれようか。美里は霧野を次はどう責めてやろうかと考えながら入り組んだ路地を歩きまわった。

霧野をどうしてやろうかと考えることは美里の気を晴れさせたが、それ以上に、痛みとさっきまでの出来事のショック、苛立ちで人相と顔色が悪くなり、格好も手伝って、美里が歩くと人は道をあけた。

組でケツもちをしている店、馴染みの店を梯子して夜を過ごした。霧野のせいで、しばらく繁華街で遊ぶことが無かった。店を訪れる毎に店のオーナーやキャスト、馴染み客に絡まれ、可愛がられ、気がまぎれた。美里ちゃん、亮二君と声をかけてくる者さえいる。しかし、こちらの立場をわかっている人間達、それに店でしか会わない人間達だから、気兼ねも無く、下手な絡みはしてこず、居心地が良かった。

明日も丸一日急ぎの仕事は無い。霧野の世話のことも、姫宮が預かっているおかげでいちいち気にしなくていい。ペットを飼育する大変さがよくわかる。いつまでもアレをアソコにいれておくと仕事が増えて心底だるい。

川名にそう言おうものなら、一度責任を持つと言ったことを放棄するのかと、やはりペットの飼育を放棄した子供のように怒られるだろうか。お前が自分で責任を持って捨てて来いよとでも言われるだろうか。山肌に土が露出した山が浮かぶ。

一体いつまでこんなことをしなければいけないんだ、と苛立つ時がある。わざわざ食事を用意してアソコに行き、タイミング悪く奴が排泄したばかりの時など部屋に臭いがこもっていて、非常にイライラする。構造上、換気窓が無いのだ。こういうことなら外で飼えばいいのに、と一瞬本当に彼のことを動物か何かと間違う。重しを半ば開けたドアの元において換気していると、たまに、彼が外に出たがる犬のように鎖を鳴らした。気分が多少おさまるというものだ。「外でお散歩したいのか?」と声を掛け、引っ張り出そうとすれば今度は拒絶する。なんともあまのじゃくである。

美里の経験上、組織の中で上手く立ち回るには、冷酷であること、支配的であること、策略的であることの三つが必要だった。どれも美里にとって、苦ではなかったが、たまに気を抜く場を必要とした。ここ最近は、組の中のごたごた、というか、主に霧野のクソ馬鹿のことで自分の時間を持つことが無かった。

そういえば、神崎と一緒の時、今日の別れ際に関しては最悪でしかなかったが、ただ話をする時、昼間のようにどこかに行ったりした時などはどこか気が抜けていたように思えた。そこをまんまと突かれたわけだが。不思議な男だ。

最後に立ち寄った店のソファで仮眠をとらせてもらい、朝を迎えた。警戒しながらも自宅に戻る。
周囲に神崎らしき人間がいないか注意深くあたりを見まわした。神崎が来るかもしれないと思うと、家の中にこもっている気は起きない。すべて忘れて、海にでも行って風にあたるのがいいと思った。そして、これからの身の振り方を考えるのだ。まだ酒が抜けていないが、少しくらい問題ないだろう。

運転席に乗った瞬間に、何か嫌な感じがして車のドアに手をかけた。その瞬間、ドアを外側から引っ張られ、そのまま強い力で腕をとられて、落ちるように車から降りさせられた。背後でバン!と車のドアが閉められる。神崎か?!と腕を引いた主を見上げた。

「なんだ、お前か……焦って損した、」

先に安堵の声を出してから、取り繕うように「何でお前が俺の家にいるんだよ。」と腕をふりほどいた。腕は意外とあっさりとふりほどけた。間宮が、両手を上にあげて「わかってるだろ?俺がここにいる理由くらい。一体、誰と間違えたんだか。」と言ってにやにやと笑っていた。

比較的派手な装いの美里に対して、間宮は全身黒い衣服で包まれ、影のようであった。
この張り付いたような、中身のない笑顔が嫌だ。朝から不快を通り越して笑ってしまう。よくもこの前、あれだけ人前で醜態を晒しておいて自ら顔を見せられる。

「わかってる?一体何が?わかるわけがねぇな。お前が、自分のスカスカな脳みその中身が他人に伝わると思っている電波野郎だということは改めてよくわかったが。クソ馬鹿電波が伝染るから、近寄らないでくれるか?それともあれか、わざわざ俺の家まできて、お前の面白いブツをまた見せてくれようっていうんか?露出狂のデカチンストーカー君。」

美里は間宮を振り切ろうとするが、間宮は車に手をついて美里が逃げないように追い詰めた。

「おい。指紋が付くからべたべたと人の車に触るんじゃねぇよ。お前は自家用車さえ持ってねぇらしいからな、わからないか?コレだから貧乏人は嫌だぜ。」

間宮が猫背ぎみに屈むようにして美里に顔を近づけた。

「いいの?さっきからそんなこと俺に言って。お前が皆に黙ってパパ活してたことを言いふらしちゃおうかな。」

美里の脳内に一瞬で神崎が浮かびあがり、掻き消した。美里の表情から何か読み取ったか、彼はさらに口角を上げた。

「何のこと、」
「とぼけんの?ふーん、情報売っていくらもらってんの?神崎さんから。俺にも分けてくんない?」
間宮の口から神崎の名前が飛び出て、美里は激しく動揺しそうになり、咄嗟に視線を下に向けた。
「知らねぇ、そんな奴。」
「そっか、わからない?じゃあ神崎さんに直接聞きに行ってこようかな。組長と一緒に。あの人は自分に危険が及ぶ可能性があっても重要な場面には自分で出たがる傾向があるからな。たまには俺も点数稼ぎというものをしてみてもいいかもしれない。あの人は、俺本体は置いておいて、俺の持ってくる情報については意外と信頼してくれるから。」
「……。」

しばらくの沈黙が流れた。神崎ならば、彼らに責められたとて、うまく立ち回るのではないかという気がした。

「ふん、刑事と話してたからって、それがなんだよ。お前だって警官に嗅ぎまわられたことくらいあるだろうが。」
「あ、そ。じゃあ最初からそう言えばいいのに、何で誤魔化したのかな。」
「てめぇが、回りくどく、面倒くせぇからだよ。」
「あいつ、例のホテルで霧野さんのこと嗅ぎまわってたけどな。」

あの野郎!何見られてんだよ!と美里は心の中で激しく神崎を罵倒したが、元はと言えば自分が悪い。

「……。知らない、俺と関係が無い。」
「お前の方が面倒くさいな。いいか、はっきり言おう。お前がばらさない限り関係者以外誰もアソコにはたどり着けんのだ。他の証拠も見せてやろうか。」

再び沈黙が流れる。今になって感情的になって行動した自身のうかつさを悔いた。しかしもう遅い、これからどうするのかが常に問題だ。悔いていては、沼に嵌ったまま、何も進まない、とにかく何であれ前進することが大事だ。当ってようが間違ってようが、脚を止めることが一番駄目、沈むだけ沈んでいく。

「……望みは何だ?上に報告もせず、俺に直接言いに来るってことは、何かあるんだろ。言えよ。金か?」
「何だろうね、俺は何を望んでるんだろう……。ねぇ、何だと思う……?あ、そうだ、俺はお前の車を一度、運転してみたかったんだよ。ちょっと運転させてもらってもいいかな。」
「……」



車内は沈黙に満ちていた。

間宮は、美里の本来座るはずの運線席に座り、美里を助手席に座らせていた。そもそも、車の運転は退屈で好きではなかった。あまりにも単調すぎる。たまに二条に運転をまかされるが、退屈過ぎて、わざと、下手すぎない、絶妙に下手くそな運転をしたくなり、そうして隙を見せて、彼に罰してもらうのが癖になった。

しかし、退屈さは抜きにして、美里の、本人に似合わぬこの黒のヴェルファイアを一度運転してみたかった。助手席と運転席の境がフラットで、解放的な創りだ。身体が大きい人間でも悠々と乗っていられる。

助手席に例のごとく素知らぬ顔をした美里が、足を投げ出すようにして座って外の景色を眺めていたが、内心相当に焦っているはず。

間宮がじと、と美里を見据えていると、気味が悪そうな、見下した冷めた瞳で美里は間宮の方を見かえした。間宮の少し癖のある垂れ目がちな目と対称的に、美里は目は軽く端が吊り、人を寄せ付けない感じ。しかし、吊りすぎず、良い具合に形の整った目だった。可愛さと美しさの違いのひとつは、人に親近感を抱かせるか否かである。親近感だけで言えば、間宮の顔の方が湧きやすい。

「……」

間宮は美里の顔を眺めながら、やはり、その顔の皮膚を削るか、焼くか、剥がしてやりたいと燃えた。自分の容姿に自信がある人間ほど顔に何かされたときにショックは大きいし、何より剥がすのが愉しい。釣りをしていて、良い物がとれると魚拓を摂りたくなる。それと同じだ。釣り?釣りになど、いつ行ったのだろうか?記憶が無い。記憶にないのに記憶にあることを思い出そうとすると頭が痛くなるので、考えるのを止めた。もしくは宦官にでもなぞらえて去勢してやるのが愉快だろう。間宮が脳内で美里を拷問していると目の前で彼の薄い唇が開き、間宮を想像の世界から現実に引き戻した。

「聞いてるのか?おい、運転がしてぇんだろ?集中しろ。事故らせるなよ。ちょっとでも擦ったら許さねぇからな。修理代だけでお前の給料の一年分くらい吹っ飛ぶんじゃねぇのか??」
「……。舐めてくんない?」
「あ?」

間宮は左手で器用にペニスを取り出し、露出させた。美里が一瞬驚愕の眼差しを一物にそそぎ、それから顔を赤くして強い怒りの眼差しを間宮に向けた。

「車貸してやったくらいで、調子にのんなよ!変態が!何を言って、」

「……じゃあ、このまま一緒に事務所に行こうね。お前を突き出してやるよ。組長はお前には甘いとはいえ、流石に今回はタダでは済まされないだろうな。もしかしたら霧野さんと同じところにいれられちゃうかもしれないね?お前にとってはそれはそれでハッピーか?そうしたら一緒に可愛がってやるから楽しみにしとけよ。」

間宮は無理やり事務所に向かう方の道へハンドルを切った。複数のクラクションが鳴り響き、愉快な気分になりながら、そのまま進んだ。アクセルを強く踏む。

「てめぇ……っ、」

直後に信号が赤になり、急ブレーキを踏む。車が止まる。間宮の腕が、美里の派手な色あいをしたシャツの胸倉を素早く掴んで引き寄せ、それから後頭部を掴み、自身の股の方に持っていく。半ば抵抗し、座席に手をついて、震える美里の身体を一気に抑え込み、一物を顔に近づけさせていった。今度は間宮が冷めた目で美里を見降ろすばんだった。
「……。」
「う……っ、…」
唇より先に、美里の首からぶら下がっていた銀色のアクセサリーが揺れながら一物の表面を撫で、彼の吐く息が、亀頭の表面を濡らした。

「できないか?ちょっと口にいれるだけだぜ。簡単なことじゃない?お前みたいなのにとっては。」
「うるせぇな……」
「どうすんだよぉ……どっちでもいいんだぜ、俺は。」

美里の口元が、主張するように、葛藤し、開いたり、閉じたりして、小さく開いた唇、小ぎれいに並んだ小さな歯の隙間から舌先をだし、女性器のような潤いを見せ始めた。

信号が青になった。間宮は車のサイドブレーキを押し込む要領で美里の頭を思い切り下に押し込み、穢れた肉の塊を無理やり彼の中に押し込ませた。先端から半ばまでが、ずぼっ!と勢いよくきれいにはまり込み、粘膜で覆われた。
手の下で暴れる美里の頭蓋が、模様の入った外国産の大きな蜘蛛のように開かれた手に鷲掴まれ、押し込まれていく。そのまま車を走らせる。事務所から再び目的地を別の場所に変えて。

「んんんん゛っ!!!!!!んんっ……!ふ、うぐ……」
「目的地につくまでその調子でやってな。こうしてればお前のしょうもないウザい顔も見なくて済むし、うるさいこと言われないし、気持ちがいいし、一石三鳥だな。」
「んごっ……、うう……!!!!」

美里の左腕が座席を爪を立てて掴み、身体を起こそうとし、視界が狭いため、空を掻くようにしていた右腕が間宮に掴みかかろうとする。舐めながら咳き込む美里の頭を、慰めるようにしばらく撫でていたが、抵抗が止まらない。美里の爪が間宮の顔を引っ掻いた。薄皮が擦れ、薄っすらと頬に血が流れ、ハンドル操作がおぼつかなくなる。また、背後で大きくクラクションが数度鳴らされた。間宮は冷めた目でさりげなくバックミラーを見て、背後の車のナンバープレートを確認、記憶し、再び美里の世話に戻った。

「いって…、はぁ……まだ暴れる。お前の口が小さくて可哀そうだから、善意で全部挿れないでおいてやったのに、全部挿れて欲しいらしい。欲張りだなぁ。死んでも知らないよ。その前に事故って死にそうだが。お前がしっかりしないから運転できないんじゃないか。ちゃんとやれと言ったのはどっちかな。」

力をこめ、頭蓋を更に下へ下へとゆっくり押し込むと、意外にも一物は太い蛇が細い蛇を飲み込むようにずるずると喉の奥まで入り込んでいく。曲がりながらも、器用に一物のすべてがスムーズにはまっていく感じがあった。

「ふふふ……」

美里の口の中いっぱいから、喉の器官まで、ぴったりと肉の蓋をされる形になる。断面図にしてみれば、細い器官をごりごりと押し開くように、みっちりと肉がつまっている状態だろう。その細い管がキュウと肉を締め上げる。

切羽詰まった、溺れかけような息遣いが車内に溢れ、全力で押さえつけられた美里の首から下の部分が、苦しそうにもがき、上下していた。間宮は、それを見ながら、首を捥いでも動き続ける動物が連想させられると思った。肉が空洞いっぱいにつまり、さっきまで聞こえていた声が、殆どほとんど聞こえなくなる。声を出す器官に空気の通るスペースがほとんどないこと、圧迫感がつらいだろう。しばらくそうして沈めていると、流石におとなしくなった。
「……。」
間宮の美里の頭を押し込んでいた手の力が少し抜け、彼の髪の毛を弄び、梳かし、指で軽く頭を掻くようにし、それから優しく撫で始めた。その下で、必死に鼻腔が呼吸していた。

「んふふ、流石に大人しくなったね。チンポで窒息して死ぬのは嫌だったかな?本職さんだけあってちゃんと入るじゃない。こうやって組長の機嫌の悪い時には慰めてやってんのか?なんとも楽な仕事だねぇ。俺と変わってもらいたいくらいだ。」

「う……、……」

「おや……?」

優しく頭を撫でていた手が、爪を立てるようにして美里の頭を鷲掴んで、強くひき、それから一気に押し込んだ。叫び声と呻き声が混ざったような汚らしい声が一瞬大きく車に響き、静かになり、大量の粘液と小さな嗚咽がじわじわ、と溢れ出ていった。普段の美里の喉から出るような声ではなく面白かったため、間宮はもう一度やろうかと考えて、止めた。

「お前今、苛々して我慢できず軽く歯を立てただろ。オナホ1号みたく初っ端から嘔吐しないのは褒めてやるが、頭の悪さ、自制心の無さで言ったらお前の方が上かな。次やったらやった分だけ奥から歯を抜く。勝手に口から出しても同じだ。お前はやったことないだろうが、麻酔無しの抜歯はマジで想像以上に痛いぜ、やったことがある俺が言うのだから本当のことだ……『集中しろ。ちょっとでも擦ったら許さねぇからな。』、あはははっ!!どうだよ!結構似てただろ。なあ!」
「……、」
返事の代わりに、じゅぅぅ、と果実でもすするような音がたった。
「とっても似てるって?そうだろう。ねぇ……、さっきから、すっごいじゅるじゅる言ってるよ?ねぇ、聞こえる?車のエンジン音に負けてない。卑猥な奴だねぇお前は……。そんなにしゃぶりたいなら最初からそう言ってくれればいいのに。俺のを初めて見た時から口の中を涎いっぱいにしていたんだろ?はしたないねぇ、そんなに美味しいの?俺の『ギネス級』のペニス。良かったねぇ。ゆっくり味わいな。」

間宮の股座で何を言い返すわけでもなく、必死に、散々自分で馬鹿にした一物を吸っている男を見ると気分が良かった。信号で止まるたびに、頭を押し込むか、頭を動かして奥を突いてやると、小さな呻き声と一緒に身体が苦しさに反応していた。それでも脅しが効いたか、もがき自ら抜こうとすることは止め、大人しくしゃぶり続けている。

繁華街付近の大通り沿いに車を止めた。運転席の窓を大きく開け、腕を突き出した。車が止まったことに美里が反応して動いたが、頭を押し込んでおいた。沿道から角度によって見える。テナントの多数入ったビルの窓やベランダからも見えるには見える。

何といっても場所がポイントだ。間宮自身はシマの民間人と接触のある仕事をほとんど任せられていなかったが、美里はそうではない。ある意味顔が広いのである。それが、こんなところで日中堂々と男の一物を口でしごいていたところを見られては、顔が立たなくなる。店の人間でも、客でもいい、繁華街と昔からの下街の入り組んだ場所だ。すぐに内々に知られるだろう。朝帰りの者や店の片づけをしている者がちらほらと見える。

「さっきから、全然気持ちよくないんだよ。咥えてるだけで、お前独り愉しんでるつもりか?お前が頑張りを見せない限りここに停まり続けるからな。お前がいつまでも調子に乗るから悪いんだ。」

美里の頭を掴んでいた手を離し、シャツの襟首を掴んで顔をあげさせた。彼の口から透明な糸を引きながら、ぬぽぉっという卑猥な音と共に、一物がぼろんと抜け出た。

放心したような、いつも以上に死んだような顔つきのくせに、呼吸がろくにできていないせいで紅潮し、口からだらしなく涎を垂らして、血色のいいピンク色の粘膜を光らせて、ぜぇぜぇしていた。

きらきらと場違いに、呼吸に合わせてペンダントが揺れていた。その視線が車の外をまたぼんやりとさまよっていたが、一瞬だけ、唾を飲み込むような呼吸をして眉をひそめ、誤魔化すように視線を下げた。襟首をつかまれ項垂れているその様子は、まるで猫が首元を掴まれて持ち上げられているみたいだと間宮は思った。

また、容赦なく顔を埋めさせる。水に頭をつけられたような呻き声を出した。少しの間があって、じゅるじゅるいう音に加えて舌を絡ませるような、空気を孕んだ、じゅぽじゅぽという音を出し始めた。

「ふふ、いいじゃん、最初からそうすりゃいいんだよっ」

ただ粘膜に覆われ呼吸に合わせて吸い付いていただけの肉が、中で複数のミミズが蠢くように動き出し、巨魁を覆いつくし始める。それは確かに心地よく、巨魁の表面を配線のように巡るド太い血管がビンビンと脈打った。

「ん…っ…そうだな、調子出てきたじゃんかよ……。でももうちょっとかな?俺が好きな部分を当ててみてよ。お前ならできるだろ、そういうことが……な。」

美里は間宮を無視するように一定の感じで舐め続けた。間宮は指を美里の顔の前に持っていき鼻をつまみ、呼吸を止めさせた。

「!!!」
「できるんだろ。」

頭が軽く動き、身体をがくがく震わせながら、喉の辺りや舌が痙攣するように動いて器用に、必死に、裏筋から亀頭の辺りを刺激した。その技術自体ももちろんいいが、呼吸ができないせいで、喉の器官が無駄なのに美里の意志と関係なく、本能的に空気を求めるように締まり、美里自身は余計に苦しいというのに、間宮を天にも昇るほど良い気持ちにさせた。十秒ほどで鼻から指をどけると、ものすごい勢いで呼吸をし、臭気にまいったのか、咥えながらむせ始めた。白く泡だった涎がだらだらと口の肉棒の隙間からこぼれ出ていく。再び頭の上に手を乗せて撫で上げた。

「できるじゃん……よくできました。そろそろ出発させてあげる。」

多少人に見られる分にはいいが、変に噂が広まって二条の耳に届くと大変だ。

片手を彼の頭の上に乗せたまま、空いている方の手でハンドルを切った。手の下でもぞもぞと動いているそれの毛束を軽く掻いてやると小さく高い声で呻く。頭皮には繊細な神経が張り巡らされ、丁寧に刺激してやると気持ちが良い物だ。美容室のシャンプーやマッサージが気持ちよいのと同じ原理。人によっては絶頂するほど。

しばらくそうしてから、手で押さえつけるのをやめて両手でハンドルを握っても、彼はそのままの姿勢で舐めていた。物理的刺激が気持ちがいいのはもちろんだったが、何よりこの眺めがよかった。

信号待ちの間など、彼は到着したのかとそわそわして、1人勝手に盛り上がっている。それを指摘してあげてもよかったが、彼が人間ではなく、物として機能するように、徹底的に無視した。その時偶然、一台の光沢のある真っ黒な大型バイクが、隣の車線に止まった。

「海堂?」

間宮は窓を開けてバイクの持ち主に話しかけた。持ち主は、フルフェイスヘルメットを押し上げ、その顔を見せた。タトゥースタジオの主、海堂が、間宮は一瞥し「よぉ、珍しいな、お前が車移動とは。」とエンジン音に負けぬような大きな声を出した。間宮の股の間で美里がうーうーと呻き始めた。

騒ぎ立てる美里の首を後ろから間宮が掴み上げ、喉の奥をつかせ大人しくさせた。コツ、コツ、と先端が、ぬるぬるした肉にあたる。あの小さい口に良く入るものだと思う。間宮の手の下に凄まじい熱がこもっていた。間宮は美里を眺めてから、未だ変わらぬ信号を見、運転席のドアを開けて見せた。一陣の大きな風が吹き抜けた。海堂は困ったような笑顔をして二人を眺めた。

「なんだ、そういうこと。お楽しみ中なわけでしたか。今度俺も混ぜてくれよ。」
「どこ行くんだ?」
「見てわからないか?釣りだよ、向こうで合流するんだ。お前、興味ないって言ってたろ。」
「覚えてない。……ごめん。」
「……また忘れたのか?まあいい、お前が暇なら後ろのっけてやって一緒に行っても良かったけど。ま、行きたきゃまた今度だな。お忙しそうなことですし。」

信号が変わる。海堂は「またな。」と言ってヘルメットをしめた。間宮も扉を閉め、再び車を走らせた。

平日の昼間だけあって、走りやすい。この男が気分転換のために、一人、高速や海岸沿いに出かけているのを知っていた。霧野を横に乗せて事務所に戻ってくるところも度々見かけた。全部穢してやる。

「ここに乗るたびに思い出せるな、俺のこと。」



「う゛ぇっ……げほっ、げほっ」

頭を掴まれ引き上げられ、美里は激しく咳き込んだ。口の中に不快な臭いが湧きたってとれない。まだ苦しい。視線を間宮の方に向けると満足気に笑っており、腹が立った。肉棒の残滓で口の中がざらつく。

さっきまで中に入っていた化け物は赤黒く、隆々と天を突いたままであった。あっ、と思った時には濃い大量のスペルマが勢いよく美里の顔面目掛けて噴出され、べったりとした汁を吐きかけた。強い精の臭いが閉め切られた車内に充満した。

美里の頬を、髪を、首筋を、ぬめぬめと白濁液がつたい落ちて、シートを穢す。濃度が高く、牛乳寒天かなめくじのように黒いシートの上にこびりついている。……気持ちが悪い。自身の顔にも同じものがべったりとついていると思うと悪寒が走る。呼吸をする度、鼻が馬鹿になりそうで、脳が精で充満した。視界がおかしくなる、息をしたくない。浅い呼吸をしているとみるみる顔が赤くなり、咳き込んでしまう。

「アヘ顔晒して、恥ずかしい奴め。ずっとそんな顔して俺のを咥えてたのか?ん?」

終わったというのに、間宮の視線の元、淫らな表情を晒してしまっていた。間宮がうっとりした表情をして顔を赤らめてさえいるのを見るとさらに腹が立った。

「おお、さらにイイ。初めてお前の顔を良いと思ったよ。今のお前の顔を写真に撮って引き延ばし、ポスターにして事務所の目立つところに飾っておいてやりたいくらいだ。次々お前に突っ込んでくれるだろうな。お前の本職の良い宣伝になる。」

文句を言う代わりに激しい咳と気持ちの悪い体液が出た。間宮を振り払うようにして、身体を起こし、助手席に引っ込んだ。背を預けて呼吸し、窓の外を眺めた。中型のアパートの駐車場であった。身体ががくがくと震えていた。止めなければと思う程激しく震え、右手で左手首を掴み、力をこめた。止まれ、止まれと。

「散々雑な運転してやったのに、まったく歯があたらなかったし、嘔吐きもしない。流石だね。えらいえらい。」

事故りはしないような、絶妙に雑な運転、舗装の整っていない道をワザと迂回し、その度、喉の奥深くに化け物が侵入して突き上げたのだった。美里は言い返そうと口を開いたが、声が出ていかない。

「……!」

巨大雄物を長時間口の中に挿れられていたせいで、顎が外れたかのように痛く、まともに話せないのだった。痛みに喉元を抑えると、開きっぱなしになってしまった喉が不自然な、肉のこすれ合うような不自然な音をきゅるきゅる立てた。自分が、人間ではなく、道具か何かになってしまったようだ。代わりに殺意を持った瞳を間宮に向けると、彼は一層嬉しそうな顔をする。

「んふ、何言ってるか全くわからないけど、可愛い声で啼いてるね。悦んで、しゃぶらせてもらったお礼でも言ってるの?良かったね。どういたしまして。」

美里は間宮の方を見るのをやめて、顔をシャツで拭い、放心したように目の前のくたびれたアパートを眺めた。呼吸を整え、混乱しながらも状況を整理しようとする。しかし、かき乱されて、何も考えられない。横にいる男を消したい。許さない。殺す。横から間宮の笑いの混じった愉しげな声が聞こえる。

「そうだ、お前に選択肢を与えてやるよ。好きな方を選びな。選択肢1、俺と一緒に組長及び二条さん辺りに神崎の動いている件を報告して、消す方向にもっていく。この際、お前が刑事と連絡をとっていたのはあくまで、報告ありきの情報収集のためとする。だから、お前が何か罰せられることももちろん無いし、点数稼ぎ的な意味では俺とお前の両方の手柄となり、メリットがあるわけだな。霧野さんの前とかで解体ばらしたらいいんじゃないかな、お前が、また。ふふふ……いよいよ頭おかしくなるよあの人。一体どれだけ自分の責任で人を殺せば気が済むんだろうね。そう思わない?俺とお前であの人を徹底的に壊してやろうじゃないか。」
「……」
「精神を上書きするなんて無理なんだよ。精神を嬲り、一度殺さなければ。元を徹底的に壊さないと育たない。これも、俺が言うのだから間違いがない。」
「……」
「選択肢2、この件について、今までのように一切黙っておいてやる。その代わり、今後お前は俺の要求を一切断れない。これはお前に何のメリットも無い、本来ならば、絶対に選ばないはずの選択肢だね。…………。そうだろ??」
「……」

車のドアが開く音がし、運転席の方を向く。間宮が車を降り、笑顔でこちらに手を振っていた。

「次会った時に答えを聞くから、考えておいて。車貸してくれてありがとね。」

ドアが勢い良くしまった。間宮がアパートの方に向かって歩いていくのを、ただただ眺めていた。
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