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8 令息と靴と
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翌日、サブリナは屋敷の行く先々で、使用人達から同じ事を言われた。
「オーランド様がお探しですよ」と。
恐らく不在だった間の母親の変化を聞きたいのだろう。そう言う事であれば、報告をしに行くのだが、誰に聞いても「探してる」で終わり、「お呼びなので、どこそこへ行ってください」とはならない。
こちらからウロウロ令息を探すのも時間がもったいない。サブリナの一日は忙しい。
だから、呼ばれなければ急ぎでないだろう、と、サブリナは取り敢えずみんなから言われるその言葉を、軽く無視をしその日をやり過ごした。
夜、夫人の世話も終わり、シャルも自室に戻った後、今日一日が無事に終わったことに安堵しながら、サブリナは夫人の部屋から見える中庭に来た。
さすが宰相公爵家の庭、中庭であってもサブリナの屋敷の庭より大きく、さまざまな種類の草花が植えられ、丁寧に手入れされている。
特に夫人が好きだと言うたくさんの珍しい品種のバラと、常緑樹や低木を刈り込んだトピアリーが見事だ。
夜の誰もいない時間、この庭園を散歩しながら頭の中を空っぽにして、リラックスするのが最近のサブリナのお気に入りになっている。
今も月明かりの下、花の香りを楽しみながら散歩する。
はしたないと思いつつも気持ちの良い芝生の感触に、靴を脱ぎ素足でぶらぶら歩いていると「おい」と声を掛けられた。
ひっ!と驚いて、恐る恐る振り返ると、顰めっ面をしたオーランドがいる。
「ごっ!ご令息っ!?」
思わず口に出してはまずいことを口走り、サブリナはアワアワと口を押さえた。手に持っていた靴が芝生に落ちるが気づかない。
今の彼は近衛騎士団の制服ではなく、シンプルなブルーのシャツに茶のズボンという出で立ちで歳相応の青年に見える。
とはいえ、悲しいかな下級貴族の性《さが》。否、身に染み付いた使用人気質。サブリナは慌てて、きっちり腰を90度曲げて頭を下げた。淑女の礼は・・・出なかった。
ここで何と挨拶すべきか・・・サブリナは脳内をフル回転させ貴族の記憶を掘り起こすと、もごもごと挨拶をした。
「ご、ご機嫌麗しゅう、ウィテカー公爵卿」
「・・・挨拶は不要だ。顔を上げろ」
頭上から不機嫌極まりない低い声で、そう言われても・・・と迷っていると、今度は苛立ったように「おい!」と言われたので、サブリナはようやく顔を上げた。
目の前にはいい男台無しの、不機嫌面の令息と、一歩後ろに執事長のエイブスが笑いを堪えたような渋面で控えている。
どういうわけか、まじまじと顔を見つめられ、不自然な沈黙が続いたが、ようやくオーランドは口を開いた。
「疲れているところすまないが、母について少し話がしたい。いいか?」
そう言いながら、彼は身を屈めた。
・・・そういえば、探してるって言われてた、とぼんやり思い出したところで、身を屈めた彼が手にしたものを認識した瞬間・・・サブリナはいやぁーーーー!!!!!と叫びそうになった。
彼が起き上がった時に持っていたのは、地面に落ちていたサブリナの靴だった。
上品な薔薇の香りを漂わせる紅茶に、口をつけて良いものか悩みながら、サブリナはオーランドを眺めた。
中庭にある四阿に案内された。月はもう四阿の真上に昇り、夜も更けてきている。
二人でテーブルを挟んで向かい合って座っている。下がったところでエイブスが恭しくサブリナの履き込まれたヨレヨレの靴を持って控えていた。
ああ、私の靴・・・いつ返してもらえるのかしら・・・?曲がりなりにも男爵家の令嬢だが、気持ち良さに負けて素足で歩いていたことを激しく後悔していた。
何も履いてない足が心許なく、スカートの中でこっそりすりすり擦り合わせながら、心の中でため息を吐く。
オーランドが紅茶に口を付けたのを見て、やっとサブリナもカップを手に持った。芳醇な香りを吸い込み、それを飲もうとした時、彼の低い声が耳に入る。
「・・・色々・・・すまなかった」
ポツリと言われた思いがけない謝罪に、サブリナはぽかんとすると、カップをソーサーに戻した。
「・・・謝っていただくようなことは何も・・・」
何もございません・・.謝罪なんて恐れおおすぎると、そう答えようとしたところ、オーランドが最後まで言わせずに続けた。
「初日に何も分かっていなかったくせに、君に無礼な言動をした・・・それに、本来なら自分が君たちに協力すべきだったが、勤めがあったとはいえ、全く・・・役に立っていない・・・」
気まずそうに視線を伏せがちにして、誠実に謝る姿にサブリナはうっすらと微笑んだ。
「とんでもないことでございます。どなた様でも最初は同じ反応をされます。知らないから当然なんです」
そう言うと、オーランドは驚いたように眼を見開いた。
このお方は本当に良いお方だ。
夫人が一心に愛情を与えて育てた結果なのだろう、と思う。
真面目で真っ直ぐで、取り繕うことをしないその性格は好感が持てた。
そして公爵家の嫡男でありながら、己の行動を反省し、謝ることが出来る。この国でそんな事ができる貴族の嫡男なんて見たことない。
サブリナは自分も言わなければ、と続ける。
「私《わたくし》こそ大変ご無礼を致しました。過ぎた態度と反省しております」
そう言って、短気なものですから、と笑って言うと、彼もやっと硬かった表情を緩めた。
「今日の母の姿を見て驚いた・・・起き上がって声を掛けてもらえるなど、この数ヶ月は思いもよらなかった。父も喜ぶだろう。感謝する」
治る見込みのない病、日々衰弱していく姿は絶望しかない。どれだけの辛さを抱えていたのか。
サブリナは笑みを浮かべる。
「まだまだ、です。公爵夫人はもっともっと、色々なことができるようになります」
きっぱりと言うサブリナにオーランドは瞳を眇めた。
「母の病は治らない・・・確実に死に向かう」
彼の口からポツリと出た言葉に、サブリナは、はい、と同意した。
王宮医術師のローリングからは、夫人の身体の中には腫瘤がいくつも出来ており、それが全身に広がっている、と聞いている。
難治の忌まわしい病だ。末期には身体の中のそれが破裂して激しい痛みを伴うこともあると言う。夫人はそれが心臓に近いところにあるらしい。
今後、どのように夫人の容態が変わるかは誰にも分からない。
「だが・・・君達の看護は間違いなく我々に希望をくれた」
静かな表情で、ありがとう、と言われてサブリナはにこりとした。
貴族社会に広まっている噂から、看護に対して良い印象を持っていなかったお方だが、評価されたのはとても嬉しい。
「神様から与えられた時間を大切に、思うように過ごしたい、私はそう思います」
サブリナは全身全霊を掛けて、夫人を看護する。誰に対しても、そこに救いの手が必要な病人がいれば、ラファエル・ナーシング・ホームの信念はブレない。
ですから、とサブリナはオーランドへ頭を下げて願った。
「どうぞお母様と一緒に、たくさんのことをして差し上げてください。そのために、私達がいるのですから」
サブリナの言葉にオーランドはハッとすると、顔をあげた彼女の目を真っ直ぐに見つめ、すぐに力強く頷いたのだった。
「オーランド様がお探しですよ」と。
恐らく不在だった間の母親の変化を聞きたいのだろう。そう言う事であれば、報告をしに行くのだが、誰に聞いても「探してる」で終わり、「お呼びなので、どこそこへ行ってください」とはならない。
こちらからウロウロ令息を探すのも時間がもったいない。サブリナの一日は忙しい。
だから、呼ばれなければ急ぎでないだろう、と、サブリナは取り敢えずみんなから言われるその言葉を、軽く無視をしその日をやり過ごした。
夜、夫人の世話も終わり、シャルも自室に戻った後、今日一日が無事に終わったことに安堵しながら、サブリナは夫人の部屋から見える中庭に来た。
さすが宰相公爵家の庭、中庭であってもサブリナの屋敷の庭より大きく、さまざまな種類の草花が植えられ、丁寧に手入れされている。
特に夫人が好きだと言うたくさんの珍しい品種のバラと、常緑樹や低木を刈り込んだトピアリーが見事だ。
夜の誰もいない時間、この庭園を散歩しながら頭の中を空っぽにして、リラックスするのが最近のサブリナのお気に入りになっている。
今も月明かりの下、花の香りを楽しみながら散歩する。
はしたないと思いつつも気持ちの良い芝生の感触に、靴を脱ぎ素足でぶらぶら歩いていると「おい」と声を掛けられた。
ひっ!と驚いて、恐る恐る振り返ると、顰めっ面をしたオーランドがいる。
「ごっ!ご令息っ!?」
思わず口に出してはまずいことを口走り、サブリナはアワアワと口を押さえた。手に持っていた靴が芝生に落ちるが気づかない。
今の彼は近衛騎士団の制服ではなく、シンプルなブルーのシャツに茶のズボンという出で立ちで歳相応の青年に見える。
とはいえ、悲しいかな下級貴族の性《さが》。否、身に染み付いた使用人気質。サブリナは慌てて、きっちり腰を90度曲げて頭を下げた。淑女の礼は・・・出なかった。
ここで何と挨拶すべきか・・・サブリナは脳内をフル回転させ貴族の記憶を掘り起こすと、もごもごと挨拶をした。
「ご、ご機嫌麗しゅう、ウィテカー公爵卿」
「・・・挨拶は不要だ。顔を上げろ」
頭上から不機嫌極まりない低い声で、そう言われても・・・と迷っていると、今度は苛立ったように「おい!」と言われたので、サブリナはようやく顔を上げた。
目の前にはいい男台無しの、不機嫌面の令息と、一歩後ろに執事長のエイブスが笑いを堪えたような渋面で控えている。
どういうわけか、まじまじと顔を見つめられ、不自然な沈黙が続いたが、ようやくオーランドは口を開いた。
「疲れているところすまないが、母について少し話がしたい。いいか?」
そう言いながら、彼は身を屈めた。
・・・そういえば、探してるって言われてた、とぼんやり思い出したところで、身を屈めた彼が手にしたものを認識した瞬間・・・サブリナはいやぁーーーー!!!!!と叫びそうになった。
彼が起き上がった時に持っていたのは、地面に落ちていたサブリナの靴だった。
上品な薔薇の香りを漂わせる紅茶に、口をつけて良いものか悩みながら、サブリナはオーランドを眺めた。
中庭にある四阿に案内された。月はもう四阿の真上に昇り、夜も更けてきている。
二人でテーブルを挟んで向かい合って座っている。下がったところでエイブスが恭しくサブリナの履き込まれたヨレヨレの靴を持って控えていた。
ああ、私の靴・・・いつ返してもらえるのかしら・・・?曲がりなりにも男爵家の令嬢だが、気持ち良さに負けて素足で歩いていたことを激しく後悔していた。
何も履いてない足が心許なく、スカートの中でこっそりすりすり擦り合わせながら、心の中でため息を吐く。
オーランドが紅茶に口を付けたのを見て、やっとサブリナもカップを手に持った。芳醇な香りを吸い込み、それを飲もうとした時、彼の低い声が耳に入る。
「・・・色々・・・すまなかった」
ポツリと言われた思いがけない謝罪に、サブリナはぽかんとすると、カップをソーサーに戻した。
「・・・謝っていただくようなことは何も・・・」
何もございません・・.謝罪なんて恐れおおすぎると、そう答えようとしたところ、オーランドが最後まで言わせずに続けた。
「初日に何も分かっていなかったくせに、君に無礼な言動をした・・・それに、本来なら自分が君たちに協力すべきだったが、勤めがあったとはいえ、全く・・・役に立っていない・・・」
気まずそうに視線を伏せがちにして、誠実に謝る姿にサブリナはうっすらと微笑んだ。
「とんでもないことでございます。どなた様でも最初は同じ反応をされます。知らないから当然なんです」
そう言うと、オーランドは驚いたように眼を見開いた。
このお方は本当に良いお方だ。
夫人が一心に愛情を与えて育てた結果なのだろう、と思う。
真面目で真っ直ぐで、取り繕うことをしないその性格は好感が持てた。
そして公爵家の嫡男でありながら、己の行動を反省し、謝ることが出来る。この国でそんな事ができる貴族の嫡男なんて見たことない。
サブリナは自分も言わなければ、と続ける。
「私《わたくし》こそ大変ご無礼を致しました。過ぎた態度と反省しております」
そう言って、短気なものですから、と笑って言うと、彼もやっと硬かった表情を緩めた。
「今日の母の姿を見て驚いた・・・起き上がって声を掛けてもらえるなど、この数ヶ月は思いもよらなかった。父も喜ぶだろう。感謝する」
治る見込みのない病、日々衰弱していく姿は絶望しかない。どれだけの辛さを抱えていたのか。
サブリナは笑みを浮かべる。
「まだまだ、です。公爵夫人はもっともっと、色々なことができるようになります」
きっぱりと言うサブリナにオーランドは瞳を眇めた。
「母の病は治らない・・・確実に死に向かう」
彼の口からポツリと出た言葉に、サブリナは、はい、と同意した。
王宮医術師のローリングからは、夫人の身体の中には腫瘤がいくつも出来ており、それが全身に広がっている、と聞いている。
難治の忌まわしい病だ。末期には身体の中のそれが破裂して激しい痛みを伴うこともあると言う。夫人はそれが心臓に近いところにあるらしい。
今後、どのように夫人の容態が変わるかは誰にも分からない。
「だが・・・君達の看護は間違いなく我々に希望をくれた」
静かな表情で、ありがとう、と言われてサブリナはにこりとした。
貴族社会に広まっている噂から、看護に対して良い印象を持っていなかったお方だが、評価されたのはとても嬉しい。
「神様から与えられた時間を大切に、思うように過ごしたい、私はそう思います」
サブリナは全身全霊を掛けて、夫人を看護する。誰に対しても、そこに救いの手が必要な病人がいれば、ラファエル・ナーシング・ホームの信念はブレない。
ですから、とサブリナはオーランドへ頭を下げて願った。
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