腹ペコ海香のひとりぼっち料理帖

黒猫

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3品目 いつだってカルボナーラ

誓いのキス! しちゃうんですか?!

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 いよいよ挙式です。
 結局というかやはりというか、サンドイッチを食べてる時間はありませんでした。
 係の人の案内で、挙式のためのチャペルに移動しました。わたし、実はサンドイッチが大好きなんです。好物です。
 天井が高くて、ステンドグラスがあって、とても雰囲気のいいチャペルでした。具材はわりとなんでもいけちゃいます。
 いかにも教会って感じです。映画やドラマなんかでよく見るあれです。フルーツサンドも好きです。
 通路を挟んで、新郎勢と新婦勢とで二つに分かれて座ります。しっとりしてて甘くない食パンの向こうから、甘いホイップと果物が出てくるあの感じがいいんです。
 その後で、お姉ちゃんや涼太郎さんのお友達の皆さんが入ってきました。自分ではサンドイッチは作りません。
 さあ、いよいよです。入口のドアが閉じられました。サンドイッチとは、謙虚にその恩恵にあずかるべき食べ物なんです。

 音楽の演奏が始まりました。ピアノとヴァイオリンの生演奏でした。チャペル中に音が広がって、よく響きました。嫌みにならないくらいにほどよく表情をつけてて、なんだか雰囲気が、一気にそれっぽくなりました。
 うん、まずいです。
 サンドイッチのことを考えてごまかしてましたが、わたし、もう泣いちゃいそうです。
 隣のお母さんを見たら、ハンカチを出して目を拭ってました。お父さんは鼻をすすってました。早くもそんなことになってるの、うちだけでした!

 ドアが開かれて、涼太郎さんが! まず、登場しました。
 かっこいいです!
 がっちり体型なので、タキシードに負けてません。とても似合ってます!
 堂々を胸を張って、ゆったりと歩を進めて、ちょっと照れ気味ですが、すごく晴れやかな顔をしています!
 ああ、お姉ちゃんいいなあ、こんな素敵な人が旦那さんなんだ。
 すごくうらやましいですし、涼太郎さんにとても感謝したい気持ちになりました。
 ちょっとだけですけど、涙がこぼれました。

 祭壇の前まで来た涼太郎さんは、そこで立ち止まって、振り返りました。
 いよいよ、お姉ちゃんの登場です。

 出ました!
 ああ!
 お姉ちゃん、すっごく綺麗です!

 間違いなく、今まで見た中で、一番綺麗なお姉ちゃんでした。
 やっぱりというかなんというか、感動です。
 ちっちゃい頃から一緒にいたお姉ちゃんが、今、これからまさに、結婚するんです。素敵な人と巡り会って、沢山の人に祝福されて、幸せに包まれて、ああもう、全然うまく言えません……。
 わたしはもう、号泣です。でした。
 ちょっと緊張してるっぽいですが、お姉ちゃんは笑顔でした!
 笑顔で、ゆっくりと、真っ白なウェディングドレス姿で、薄いヴェールを下ろして、バージンロードを歩いてきます。
 あのドレスも、きっと涼太郎さんと二人で選んだんですよね。すっごく似合ってます。お友達にでしょうか、歩きながら何度も、目を細くしてさらに笑いかけているうちに、緊張の色は無くなりました。笑顔が弾けて、さらにお姉ちゃんは綺麗になりました!
 一番前の列のところまで来てわたしとお父さんお母さんを見た時には、こんなぐしゃぐしゃの顔のわたしたちを見て一瞬、もらい泣きみたいに表情が崩れかけたように見えましたが、涼太郎さんと目を合わせるとすぐに、お姉ちゃんはとても幸せそうな顔になりました。
 そんな様子を見て、お父さんもお母さんもわたしも、さらにぼろぼろ泣きました。泣きますよね? 普通ですよね?

 二人が選んだのは、いわゆる人前式でした。
 牧師さんではなく司会者のおじさんが、開式を宣言しました。美声です。
 続いて、なにやら白い宣言文のボード? ファイル? みたいのを持って、二人で結婚の宣言をします。
 他に何の音もしないチャペルで、みんなの見守る中、お姉ちゃんと涼太郎さんが、それぞれ、そして一緒に、宣言文を読み上げます。
 もうね、すごく特別な空気が、雰囲気が、時間が、ありました。流れてました。なんだかずっと涙が止まりませんでした。神父さんの問いかけに答えるんじゃなくて、自分たちで誓いの言葉を言う、というのがすごくいいです。証人は、列席してるわたしたちなんだそうです!
 そして、指輪の交換です。交換というか、列席者から男の子がひとり呼ばれて、指輪をなにかお皿みたいのに載せて、二人のところに行きます。リングボーイって言うんだそうです。子供サイズのかっこいいベストを着て、半ズボンにハイソックスと革靴で決めてます。きっと涼太郎さんの甥っ子です。とってもかわいいです。
 お互いに指輪を相手の指に通させ合います。涼太郎さんがお姉ちゃんのヴェールを上げます……えっ?!
 えっえっ。もしかして、人前式でも、キス、しちゃうんですか!? うそうそ! えっ? 本当ですか?
 あっ、
 わっ、
 わわっ!
 わーーっ!!


 …………あっ。

 おでこでしたね。

 はあー…………いえ、でもちょっとやっぱり、見てるこっちも恥ずかしい気がしましたです…………ドキドキしました。ぎゃひー……。

 そんなわたしをよそに、式は進行していきます。証人のサインを、列席者を代表して両家のお父さんが厳かに済ませまして、みんなで承認の拍手です!

 これで二人は夫婦です!
 夫婦!
 なんて素敵な響きなんでしょう! 夫婦!
 
 そして、お姉ちゃんと涼太郎さんに、グラスに入った白ワインが運ばれてきて、それを二人で乾杯して、みんなで今度は祝福の拍手です!
 ここ一番の最高のタイミングで晴れやかな音楽が演奏されて、本当に、本当に、最高です!

 お姉ちゃん!
 涼太郎さん!
 おめでとうございます!

 チャペル内にいる人の数のわりに大きな拍手と、それに負けまいとするピアノとヴァイオリンの人の本気の演奏の中、お姉ちゃんは涼太郎さんのエスコートポーズを取った左腕に右手をかけて、そして二人でゆっくりと退場していきます。

 ああ……いつの間にか、わたしもお父さんもお母さんも、涙は引っ込んでました。
 そして、あったかい幸せな気持ちになって、二人を見送りました。



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