【完結】疎まれ軍師は敵国の紅の獅子に愛されて死す

べあふら

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平穏で波乱な日々② ※

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「フェリ……そなたは、誠に、愛らしいな」

 信じられないことを言う。

「あ、……そんな、こと…」

 あるはずがない。フェリは醜い。フェリにとっては、それが全てで、真実だったから。

「案ずるな……そなたの、望まぬことは、絶対にしない」

 そして、深く甘い口づけが与えられた。強引にフェリの唇を割る舌は、泣きたいほどに優しい。言葉通りにフェリの反応を伺うように、歯列を、上顎を柔らかく撫でる。舌が擦れ合うと、フェリはもう何も考えられなくなった。

 ジグムントは、容赦なくフェリの素肌を暴く。きゅっと胸の先端を摘ままれて、フェリの身体が跳ねた。ころころと、転がすように弄ばれて、フェリはじっとしていられなくて、身を捩る。

「んん、…あ、…んぁっ」
「どうだ。気持ちいいか?」
「わかり、ません……あ、わからな…っ」

 フェリの腰を抱く力強い腕が、ジグムントと触れる肌をより密着させる。口づけを離れた唇が、首筋に触れ、そして鎖骨をなぞり、胸元に強く吸い付いた。

「ああ。そなたの肌は白いな。……簡単に、痕が残る」
「もう、……お許し、ください…」
「許す…?何も、責めてなどいない」

 ぬるり、といつの間にかフェリの服の下に侵入したジグムントの手が、フェリの兆していた陰茎に触れる。
 芯をもち、起ち上っていた薄紅色の陰茎を、ジグムントは指でなぞった。その刺激に、ぴくりと意志を持ったように震え、鈴口からは透明の露が伝っていく。

「あっ……なに、を……そのようなところ……」
「ふっ。そなたは、こんなところも、健気だな」

 フェリの全てがジグムントの手に包まれて、ぶるりと悪寒のような、けれど寒気とは違う感覚が走り抜けた。

「フェリ。受け入れよ」

 熱っぽい吐息が、甘く命じる。
 自分から溢れたもので、湿った中心を、ジグムントはゆるゆると扱いた。

「あ、ん…きたない、…手が、汚れて……んんっ」
「構わぬ」

 大きい手の硬い皮膚に擦られて、フェリのそこにはあっという間に快感が溜まっていく。

「あ…あつい…あつ、い…とけて、しまいます…っ」

 白く細い肢体をくねらせて、喘ぐ姿は扇情的で、ジグムントの欲も滾った。先ほどの愛撫で起ち上っていた胸の突起は、まるで甘い果実のようで、たまらず口に含む。

「あっ…あ、あぁ…そんな、…あっ」

 舌で弾き、こねると、フェリの声は一層甘くなり、花芯からも蜜がたらたらと溢れた。

「名を、呼んでくれないか。ジグ、と」

 胸にかかる吐息が擽ったい。熱いはずの吐息が、濡れた乳首にふれて、ひやりとした。

 呼吸と嬌声によって、言葉にできず、フェリはふるふると首を振る。畏れ多いことだと、フェリは思った。

「呼べ。フェリ」
「あ、あぁっ!」

 かり、と乳首を甘く噛まれ、陰茎をひときわ強く擦り上げられて、フェリの身体が反った。

「あ、…あぁ…ジグ、さま…」
「そうだ。もっと、呼べ」
「ジグさま…ん、ジグ…さまぁ…」

 名を呼べば、フェリはさらにジグムントでいっぱいになった。
 直接触れる肌と肌が、しっとりと汗ばんで、自分がまるで、自分ではなくなるような心地だった。

 甘い香りが鼻孔をくすぐる。乳香の香りだ。そして、ジグムントの汗の匂いと混じって、フェリを包み込んでいる。

「あ、…あぁ……もう、や……はな、してください」

 渦巻く快感が、体中に駆け巡り、下腹部にずんと重く溜まる。それが、今にも溢れてしまいそうだ。
 ジグムントの手をどけようと、腕を掴むが、微動だにせず、むしろ縋っているようにすら思えてくる。湿った音と共に、ジグムントの手が容赦なく、フェリを責め立てる。

「あ、…あ…でる……なにか、でてしまいます……んっ」
「達するのだ」
「わから…あ、あぁ…よごして、しま…」
「よい。だせ」
「んん―――っっ!!」

 ぎゅうっと強く、先端を刺激され、フェリは抗う術もなく、極まった。
 びくびくと身体が勝手に慄き、白濁が零れるのを、全身に力を込めて耐える。溶けるような快感に視界が霞む。どっと汗が噴き出して、今度は身体が弛緩した。

 ぐったりと脱力するフェリの瞳は潤み、まるで蜂蜜のように蕩け、赤く染まった頬や目元が艶美で。自らの欲望で濡れる様は、この世のものとは思えぬほどに艶やかだった。

 ごくり、とジグムントは喉を鳴らした。

 ああ、もっと触れたい。そうジグムントが思った時、フェリの瞳からぼろぼろと涙が溢れた。

「すまぬ……フェリ。そなたが、あまりにも愛らしくて」

ジグムントは我に返り、欲は冷え、狼狽する。

「泣くな。たまらなくなる」
「ふっ…うぅ……私…粗相を…」

 たまらないのは、こちらの方だ。と、フェリは思った。この歳で、粗相をするなど、考えられない。

 フェリには、自分の身に何が起こったのか理解できなかった。

「安心しろ。粗相ではない」
「うぅっ……では、一体……」
「そなたは、閨事に関する知識が皆無なのだな」

 閨事。フェリは、あまりにも自分に無縁であった単語に、思考が停止した。
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