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8話 ハンナ
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一夜が開けて、目を覚ます。
目の前には、昨日会ったばかりの男性が寝息を立てていた。
体がだるくて、腰も重い。おなかの奥に違和感を感じるけれども、動けない程ではない。
隣で眠る男性を、あらためて見つめる。
やっぱり、怖い人には見えない。ものすごく激しかったけれど、嫌じゃなかった。
なんとなく、流れでしてしまったけれど、後悔はない。むしろ、やっと人並みに経験ができた安心感すらある。
なんか、もの凄く喉が渇いたので、そうっとベッドを降りる。
思ったよりも、立つと膣内の違和感と、筋肉痛のような足の痛みを感じたけれど、なんとか部屋を出る。
1階に降りると、キッチンから物音がした。
誰もいないはずなのに??
ガタゴトと、誰かがキッチンで、何かを始めた様子だった。私は、恐る恐る、キッチンを覗いてみた。
「よいしょっと」
年配の女性が、持ってきた荷物を置いて、エプロンをかけた。そして、戸棚から鍋などを出して、どんどん準備を始めていく。
……あれ?
1人暮らしって言って無かったっけ?
うーん、でも、そんな事よりも、私は奴隷なわけだから、家事をしなければならないだろう。でも、知らないお婆ちゃんが料理を初めてしまっているのだ。どうしたものか?まずは挨拶か?でも、待って。突然私が出て行ったら、それは驚くのではないだろうか?タイミングを見計らって…。
タイミングって、いつ?
あ、階段から降りてくる所から、やり直す?誰かが歩いて来る足音って大事だよね?だって、相手は年配だし、声かけるタイミング間違えて驚かせてしまって、ひっくり返っても怖いし、それで、なんて挨拶するの?「私は奴隷です?」‥‥うーーーーん?それでいいのかな?
などと、戸惑っていたら、なんと、老婆と目が合った。
「……」
「……」
「あっ、あの、おはようございます!私は、怪しい物ではございません!私、名前はミレイと申します!驚かせてしまって、申し訳ございません。あの、昨晩、ジルさんに買われた奴隷でございます!で、ですから!家事を任されておりまして、ですが、勝手がわからず困っておりまして、突然、貴方様がいらっしゃったので、どうしたものかとですね?」
老婆は、私をジーーっと見てから言った。
「奴隷?」
「はい!ただの奴隷でございます!」
「……坊ちゃまは?」
坊ちゃま?
「あ、えーと、ジルさんでしたら、2階でお休みです!」
「ジル、さん?」
「はっ!いいえ!様!ジル様です!!」
「奴隷なら、ご主人様と言うべきじゃないの?」
ガーーン!そうゆうの、解りませんから!
「そうでしたか!大変失礼いたしました!私、無知で失礼なことを!申し訳ございません!よろしければ、気がつかれた所は、容赦なく、ご教授いただければと!!」
もはや、焦って何を言っているのか自分でも解らん。すると、老婆は笑った。
「あっはっはっはっは!面白い娘さんね。よく分からないけど、ともかく、その恰好で人前に出ない方が良いね。着替えておいでなさい。」
そう言われて、私は、困惑した。
そして、恥じらいながら、奴隷なので自分の服が無いのだと説明すると、老婆は家を出て行き、下着から何から一式そろえて持って来てくれた。
そうして、服を着ると、気持ちも落ち着いて来た。
早速、老婆にコンロのつけ方や、食材の扱い方、二日酔いに良いスープの作り方を教わる。食材を買う市場の場所なども、紙に書いてくれた。
「あなたの手、とても綺麗だし、話し方も丁寧。異国人だし、何か事情がありそうだね?」
そう言われて、本当の事を言いたいけれど、なんて言ったらいいのか戸惑う。異世界からやってきました?
私が黙っていると、老婆は言った。
「私は、ハンナ。坊ちゃまが小さい頃からのお世話係よ。坊ちゃまが、この屋敷にお住まいになってから、時々見に来て世話をやいていたの。」
ジルさんは、騎士なので、夜勤や戦場に行くことになって家を空けるときなど、家の掃除を定期的にしていたらしい。戦場から帰って来た日は、食べものも無くて困るだろうと考えて、こうして食事の準備に来たのだと言う。
「そうでしたか。私、頑張って働きますので、色々と教えてください。よろしくお願いします!」
二つに折れ曲がるようにお辞儀をすると、階段が軋む音がした。
そして、キッチンをヒョッコリとご主人様が覗き込む。
「おはようございます。坊ちゃま。」
「ハンナか。おはよう。来てくれて助かった…二日酔いで頭が痛いんだ。スープが飲みたい。」
「はいはい、今お持ちしますよ。」
「頼む……」
……私に、チラリと目を向けたけれども、さっさと行ってしまった。
明るい陽射しが差し込むリビングには、8人掛けのテーブルと椅子がある。そこに腰掛けて、ボーーッと外を眺める、ご主人様の姿があった。
「温かいスープをお持ちしました。」
そう言って、六本木のレストランで見た定員のマネをしてみる。こんな感じだった気がする~。スプーンを、こうして置いて、こんな感じでスープを置いて、そんでもって、こんな感じに水を注いで、お辞儀して下がるみたいな。
はじめてのウェイトレスごっこ。でも、本番だけどね。
すると、ジルさんは、私の方を見て小さい声で言った。
「‥‥体は、大丈夫か?」
驚いたことに、奴隷の心配をしてくれるらしい。やっぱり、ご主人様はこの人で良かったと、改めて思った。
「はい。なんとか。」
照れながら、にへらっと、笑って答える。だって、なんか恥ずかしい。
すると、また眉間に皺を寄せて、難しい顔をされた。
ご主人様は、スープを少しだけ口にして、それからシャワーを浴びて、仕事に行ってしまった。
二日酔いの薬。という、ハンナさん特製の青汁?は、本当に嫌そうな顔をしながら、一気飲みしていた。その姿が可愛らしかった。
それから、私は、ハンナさんの教えてくれた通りに、家事をこなした。掃除、洗濯、買い出し、1日で終わるのか不安になりつつも、なんとかこなした。
目の前には、昨日会ったばかりの男性が寝息を立てていた。
体がだるくて、腰も重い。おなかの奥に違和感を感じるけれども、動けない程ではない。
隣で眠る男性を、あらためて見つめる。
やっぱり、怖い人には見えない。ものすごく激しかったけれど、嫌じゃなかった。
なんとなく、流れでしてしまったけれど、後悔はない。むしろ、やっと人並みに経験ができた安心感すらある。
なんか、もの凄く喉が渇いたので、そうっとベッドを降りる。
思ったよりも、立つと膣内の違和感と、筋肉痛のような足の痛みを感じたけれど、なんとか部屋を出る。
1階に降りると、キッチンから物音がした。
誰もいないはずなのに??
ガタゴトと、誰かがキッチンで、何かを始めた様子だった。私は、恐る恐る、キッチンを覗いてみた。
「よいしょっと」
年配の女性が、持ってきた荷物を置いて、エプロンをかけた。そして、戸棚から鍋などを出して、どんどん準備を始めていく。
……あれ?
1人暮らしって言って無かったっけ?
うーん、でも、そんな事よりも、私は奴隷なわけだから、家事をしなければならないだろう。でも、知らないお婆ちゃんが料理を初めてしまっているのだ。どうしたものか?まずは挨拶か?でも、待って。突然私が出て行ったら、それは驚くのではないだろうか?タイミングを見計らって…。
タイミングって、いつ?
あ、階段から降りてくる所から、やり直す?誰かが歩いて来る足音って大事だよね?だって、相手は年配だし、声かけるタイミング間違えて驚かせてしまって、ひっくり返っても怖いし、それで、なんて挨拶するの?「私は奴隷です?」‥‥うーーーーん?それでいいのかな?
などと、戸惑っていたら、なんと、老婆と目が合った。
「……」
「……」
「あっ、あの、おはようございます!私は、怪しい物ではございません!私、名前はミレイと申します!驚かせてしまって、申し訳ございません。あの、昨晩、ジルさんに買われた奴隷でございます!で、ですから!家事を任されておりまして、ですが、勝手がわからず困っておりまして、突然、貴方様がいらっしゃったので、どうしたものかとですね?」
老婆は、私をジーーっと見てから言った。
「奴隷?」
「はい!ただの奴隷でございます!」
「……坊ちゃまは?」
坊ちゃま?
「あ、えーと、ジルさんでしたら、2階でお休みです!」
「ジル、さん?」
「はっ!いいえ!様!ジル様です!!」
「奴隷なら、ご主人様と言うべきじゃないの?」
ガーーン!そうゆうの、解りませんから!
「そうでしたか!大変失礼いたしました!私、無知で失礼なことを!申し訳ございません!よろしければ、気がつかれた所は、容赦なく、ご教授いただければと!!」
もはや、焦って何を言っているのか自分でも解らん。すると、老婆は笑った。
「あっはっはっはっは!面白い娘さんね。よく分からないけど、ともかく、その恰好で人前に出ない方が良いね。着替えておいでなさい。」
そう言われて、私は、困惑した。
そして、恥じらいながら、奴隷なので自分の服が無いのだと説明すると、老婆は家を出て行き、下着から何から一式そろえて持って来てくれた。
そうして、服を着ると、気持ちも落ち着いて来た。
早速、老婆にコンロのつけ方や、食材の扱い方、二日酔いに良いスープの作り方を教わる。食材を買う市場の場所なども、紙に書いてくれた。
「あなたの手、とても綺麗だし、話し方も丁寧。異国人だし、何か事情がありそうだね?」
そう言われて、本当の事を言いたいけれど、なんて言ったらいいのか戸惑う。異世界からやってきました?
私が黙っていると、老婆は言った。
「私は、ハンナ。坊ちゃまが小さい頃からのお世話係よ。坊ちゃまが、この屋敷にお住まいになってから、時々見に来て世話をやいていたの。」
ジルさんは、騎士なので、夜勤や戦場に行くことになって家を空けるときなど、家の掃除を定期的にしていたらしい。戦場から帰って来た日は、食べものも無くて困るだろうと考えて、こうして食事の準備に来たのだと言う。
「そうでしたか。私、頑張って働きますので、色々と教えてください。よろしくお願いします!」
二つに折れ曲がるようにお辞儀をすると、階段が軋む音がした。
そして、キッチンをヒョッコリとご主人様が覗き込む。
「おはようございます。坊ちゃま。」
「ハンナか。おはよう。来てくれて助かった…二日酔いで頭が痛いんだ。スープが飲みたい。」
「はいはい、今お持ちしますよ。」
「頼む……」
……私に、チラリと目を向けたけれども、さっさと行ってしまった。
明るい陽射しが差し込むリビングには、8人掛けのテーブルと椅子がある。そこに腰掛けて、ボーーッと外を眺める、ご主人様の姿があった。
「温かいスープをお持ちしました。」
そう言って、六本木のレストランで見た定員のマネをしてみる。こんな感じだった気がする~。スプーンを、こうして置いて、こんな感じでスープを置いて、そんでもって、こんな感じに水を注いで、お辞儀して下がるみたいな。
はじめてのウェイトレスごっこ。でも、本番だけどね。
すると、ジルさんは、私の方を見て小さい声で言った。
「‥‥体は、大丈夫か?」
驚いたことに、奴隷の心配をしてくれるらしい。やっぱり、ご主人様はこの人で良かったと、改めて思った。
「はい。なんとか。」
照れながら、にへらっと、笑って答える。だって、なんか恥ずかしい。
すると、また眉間に皺を寄せて、難しい顔をされた。
ご主人様は、スープを少しだけ口にして、それからシャワーを浴びて、仕事に行ってしまった。
二日酔いの薬。という、ハンナさん特製の青汁?は、本当に嫌そうな顔をしながら、一気飲みしていた。その姿が可愛らしかった。
それから、私は、ハンナさんの教えてくれた通りに、家事をこなした。掃除、洗濯、買い出し、1日で終わるのか不安になりつつも、なんとかこなした。
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