私と騎士様の危い愛

月野さと

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17話

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「これは驚いたな。どこの令嬢かと思ったわ!」
 ダンは、ミレイをマジマジと見つめる。
「こんにちは。その節は、お世話になりました。」
 取りあえず会釈をして、社会人としての挨拶をする。人間、きちんとした服を着ると、気持ちも落ち着いて、立ち居振る舞いまで冷静さを保てるものなのである。
 それを見たダンは、ますます目を丸くした。
「俺も、一緒にココ座っていいか?」
 そう言いながら、空いてる椅子に座る。
「他に行け。座っていいとは言ってないぞ。」
「硬いこと言うなって。で?名前は?まだ聞いてなかったよな?」
 ダンは、人の好さそうな顔で話しかけて来る。
「ミレイです。よろしくお願いします。」
「俺は、ジルと同期で騎士をしている、ダンだ。よろしくな!」
 そう言って、手を差し出されたので、私はおずおずと握手をした。
 すると、彼は私の手を掴んだままで、もう片方の手で私の手を撫でる。
「?‥‥あの?」
「ミレイ、手がモチモチのスベスベだな。」
 思わず、思いっきり力を入れて、手を引っ込めると、ダンは笑った。その時、ジルヴィスはダンを睨みつけた。
「おまえ、何しに来た?」
「ははは。そんな怒るなって。ジルが女連れで歩いてるって、あちこちで噂になってるぞ?俺も、用事があって町に来たらさ、偶然、見つけちゃったんだから、仕方ないだろ?で?もう注文はしたのか?」
 料理の話になって、私は、その変な雰囲気を忘れてしまう。
「それが、どれも美味しそうで、迷ってしまって…」
 メニューをダンに見せながら言うと、彼は一緒に見ながら言った。
「ここの料理は、どれを選んでも絶品だぜ?でも、そうだなぁ、今だと旬の魚料理がオススメだな。」
「じゃぁ、これにします!全部食べてみたくて困ってたんです!」
「また、何度でも連れてきてもらえば良いじゃないか。」
「そんな!めっそうもない!居候の分際ですから。」
「ふーん?居候ねぇ。じゃぁ、俺の所に来る?何でも買ってやるし何でも食わせてやるぜ?宝石でも服でも何でも。」
 ダンは、ミレイに顔を近づけた。そしてジルヴィスの様子を伺う。ジルヴィスは、それを見て不機嫌そうな顔をしたままだった。
「あ、そうゆうのは要らないです!私、出来るだけ早く自立できるようにしたいので。」
「自立?」
 ジルヴィスとダンは、2人とも驚いたように声をそろえた。
「?はい。だって、いつまでもジルの家で厄介になるわけにも行かないですし。」
 ダンが、ジルヴィスの方を見る。すると、ジルヴィスが言った。
「ミレイ。暫くは俺の家に居て良い。焦って先の事を考える必要はない。」

 すると、ダンがミレイの手を握って言った。
「だったら、俺の嫁になるか?一生楽させて可愛がってやるぞ?」
 え?!
 急にニコニコ微笑みながら言われて、驚いて、頭が真っ白になる。だって、それってプロポーズでしょう?
 そこへ、スパコーーーン!!とジルヴィスが、メニューブックでダンの頭を思いっきり叩いた。
「なんだよ?良いだろう?お前が要らないなら、くれって言っただろ?」
「うるさい。おまえは悪ふざけが過ぎる。」

 ジルヴィスは、店員を呼んで3人分の注文を済ませると、ダンの方を向いて言った。
「おまえ、食事を済ませたら、さっさと仕事に戻れ。」
「あ、そう言えば、隊長就任、おめでとう!ジル隊長!」
 ダンはニヤニヤと笑って言う。そして、水の入ったグラスをカチンと合わせた。
 隊長?
「ジル、隊長に就任したんですか?」
 隊長って、昇進したってことだよね?
「おめでとうございます!それじゃ、お祝いしなきゃですね!」
 とは言ってみたものの、文無しで何も出来ないわけなのだけれど。
「前隊長が戦死したからな。お祝いなどという感じでは無い。」
 ジルヴィスが少し冷たい言い方をしたので、きっと本当にお祝いムードじゃないのだろうと察した。
「そうなんですね…」
「おいジル!なんだよ、そんな言い方ないだろ?せっかくお祝いしてくれようとしてるんじゃねーか。」
「いいんです!お祝いしたいですけど、プレゼントも用意できないし……」
 申し訳なさそうにすると、ジルヴィスは微笑んで言った。
「ミレイ。ありがとう。気持ちだけでいい。」
 優しく微笑んでくれたのを見て、なんだかホッとする。小さく頷いて、私も微笑み返した。

 そんな2人を見て、数秒後に、ダンは言った。
「………何も無くは無いぞ!ミレイ。自分自身にリボン付けて、はい♪私がプレゼントよ♡って…」
 バキィッ!!!
 ジルヴィスの鉄拳がダンの頬を直撃する。
「おまえ、いい加減にしないと、今すぐ追い出すぞ。」
「いってぇ~っ。マジで殴んなよなぁ~。」
 2人を見ていて、なんとなく、仲良しなんだろうなぁ~と思った。というか、ジルは面倒くさそうにしてるけど、信頼してる感じがする。だから、ダンは悪い人では無いのだろう。
 そんなふうに思えたので、私もなんとなく心を許せた。

 そして、食事が運ばれてくると、私は目を輝かせた。
「うわぁ~!!美味しそう♪」
 香りも最高によくて、思いっきり息を吸って、肺一杯に美味しい匂いを嗅ぐ。たぶんこれ、アクアパッツァ♪
 口いっぱいに頬張って、味わう。
「むふぅ~♪最高~♡ほっぺた落ちちゃう。」
 料理を味わっていると、ダンが笑って言った。
「ミレイ。本当に美味そうに食べるなぁ?人が食べてる姿見て、そそられたの初めてだ。」
 変な事を言うので、思わず口に手を当てて、眉をしかめてダンを見る。
「モゴモゴ…変な事、言わないでくださいよ。」
 つい赤面してしまう。
「いやぁ、なんか一緒にいて楽しくなるなぁ。」
 ダンは、そう言ってニヤニヤしながらジルヴィスを見る。ジルヴィスはダンを無視して、ミレイに言った。
「ミレイ、1口やろうか?」
「えっ、いいんですか?」
 ジルが選んだ、美味しそうなお肉が気になっていた私は、その言葉にワクワクしてしまう。見ると、まだ食べていなかった様子で、お肉の端っこを切り取ってフォークに刺したばかりだったようだった。
 私は、遠慮してその端っこを貰おうと思い、ジルの手を握って、彼が握っているフォークを自分の口に運んだ。
「いっただきまーす♪」
 口の中に入ったお肉は、ジューシーで美味しい♪しっかり味わってから、2人を見ると………。
「……」
「……」
 ジルは赤面していて、ダンは、ジルを可笑しそうに見ていた。少し考えてみてから、私はハッとする。
「え…?あっ!ごめんなさい!ジルのフォークから食べちゃって!」
 これじゃ、間接キスになっちゃうじゃん!
「コホンッ…まぁ、いい。気にするな。」
 ジルは、顔を少しだけ赤くしたままで、何事も無かったように食事を始めた。 
 ダンは、面白そうな顔をして、「おれのも食べる?」と言っていたけれども、それは丁重にお断りした。

 こうして、3人で仲良く?食事をしたのである。


  
    





 
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