私と騎士様の危い愛

月野さと

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19話 誘惑

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 その日の夜。
 夕食を2人で作って、一緒に食べた。お風呂に順番に入り、自分の部屋に戻る。
 なんだか穏やかで、まるで新婚みたいな?同棲している感じがしてしまう。
 って、いやいや、これは居候!!勘違いしちゃダメだよ!と心の中で自分に言い聞かせる。
 改めて、部屋を見渡してみる。
 この家で1番狭い部屋だけれど、とても綺麗だし、東京の1人暮らしをしていた部屋よりも大きい。机やクローゼットも大きめのがあって、荷物などもたくさん置ける。これを、家事だけで無償で提供してくれるという。
 完全に甘えてしまっているけれど、できるだけ早めに家を出た方が良いだろう。
 でも、どうやって自分で仕事を探そう?
 そんなことを考えながら、ベッドの布団の中に入る。

「………」

 そして、ふと起き上がる。
 なんか……落ち着かない。眠れない。
 なんで?
 どこか、物悲しいというか、寂しいというか、うずうずしてくると言うか……うずうず?
 この世界に来て、色々とあって、はじめて男性と体の関係を持った。それが……想像していたモノよりも、ずっと良くって……。しかも、次の日も、あんなに……すっ~ごく良かったし!そう、私は、セックスの快感を知ってしまったのだ。
 やだ……どうしよう?
 思い出したら、ドキドキしてきちゃった。
「~~~!!」
 ダメだ!
 考え出したら止まらない!!
 だって、ジルは上の部屋で寝てるんだよ?一つ屋根の下で、2人で生活してるんだよ?彼の部屋に行けば、あの屈強な体があって、優しい大きな腕が……そこにあって……。

 ミレイの妄想は、エッチな方向に膨れ上がった。
 
 部屋に行っても良いかな?
 誘ってもいいかな?
 断られたら…どうしよう…。

 そんな不安を抱えながらも、我慢できなくなってしまい、自室を出る。
 そうっと2階に上がって行って、彼の部屋の前に立つ。
 大きく息を吸って、ゆっくりと吐いてから、私は部屋のドアをノックした。
「………ミレイか?」
 少しだけ間があってから、ジルの声がする。
「あ、はい。入っても良いですか?」
 また、少しだけ間があってから「どうぞ」と声がした。
 部屋の中は薄暗く、ベッドサイドの電気がついているだけだった。そして、ジルは既にベッドの中にいた。本を手にしていて、寝る前の読書をしていた様子だった。
 顔を上げて、私の方を見ると、彼は言った。
「どうした?」
「もう寝る所ですか?」
 私は、声をかけながら、ドアを閉めてベッドのほうに歩み寄って行く。
「…あぁ。明日からの仕事は立場も変わるしな。早めに寝ておこうと思ったんだ。」
 そっか、明日から隊長として初日のお仕事になるんだ。それなら、邪魔しちゃいけない。そう思うんだけど…。
 ベッド脇まで近づいてから、彼を見つめる。
 昨日も一昨日も、私を抱いた、その腕が目の前にある。それだけでドキドキして、お腹の奥がキュンとする。
 こうゆう時って何て言えばいいのだろう?どうゆうふうに誘ったら、いいのかな?
 もじもじしていると、ジルが言った。
「どうした?」
「あ、あのっ、ですね。」
 完全に、顔を赤らめて、目が泳ぐ。
「なんだ?言いづらい事なのか?遠慮しなくていいぞ?」
「あ~、あの!」
「うん。」
「寝たいんです!」
 なんとか、直接的な言葉を避けて、それとなく伝えようとする。
「………」
「寝ませんか?」
「一人じゃ眠れないのか?」
 ポカンとした顔をされて、全然伝わってないのが分かる。
「そうゆう意味じゃなくて、したいんです!」
 私は思い切って、ベッドの上に上がり込む。そして、ジルの太腿に触れた。
 すると、ジルの体がビクリと反応する。
「ミレイ。奴隷として扱うつもりは無いと言っただろう?心配しなくても、何もせずここに居ていい。」
「うん。だから、奴隷としてでは無くて。ただ、凄く、良かったので。」
「は…?」
「だから…凄く気持ち良かったから!もう一回したいの!」
 言った私自身が、火が出る程に赤面した。
 ジルヴィスも、頬を染めた。
 胸は高鳴り、体が熱くなる。つい先日まで処女だった女が、何を言っているのか分からなかった。
「な、何を言ってるんだ!?」

 ミレイは、羞恥心と欲望に葛藤した。
 自分がとんでもなく、はしたないことを言ってるって分かってる。だけど、正直な気持ちなんだもん!
「だめ?ジルは良くなかった?私としたこと、後悔してる?」

 ジルヴィスは、目のやり場に困った。上目遣いで、薄手のシンプルな就寝着に身を包むミレイは、それだけでも色気がある。チラリと見える胸元。艶のある目と唇。その、ふわふわの大きな胸がどんなに柔らかくて触り心地良いのか知っている。昨晩、その綺麗な指が、自分自身に優しく触れて、気持ち良くさせたかと思うと、必死に縋り付いて背中に爪を立てた。しっとりと吸い付くような肌と、魅惑的な指。
 ジルヴィスは、目を閉じて生唾を飲み込む。
「ミレイ、ちょっと待て…良かったかどうかではなくてだな。婚約も結婚もしていない男女がだな…」
 体が反応してしまい、ジルヴィスは自分を制するのに必死になった。そして、頭を整理しようとした。

「そんなの、もう、しちゃったんだから、今更でしょ?」
 身もふたもないようなことを、ズバッと言う。ジルヴィスの建前も、何もかもを破壊する勢いだった。
「私はね、処女だったけど、子供じゃない。ジルに責任なんてとって貰おうなんて微塵も思ってない。むしろ、処女を貰ってくれて、ありがたいと思ってるよ。」
 そうだよ。このままじゃ、一生男女の営みってのを知らずに、おばあちゃんになってたよ。
「ジルに、好きな人とか恋人がいないなら、そうゆう相手ができるまで、セフレの関係って事でどうかな?」

 私は、そんな提案をしてしまった。

 
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