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38話 臭いタヌキ
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突然、隊長室にロドリス団長がやって来た。
「どうだ?調子は?」
ジルヴィスは驚いたが、顔色ひとつ変えなかった。
「はい。全て順調です。」
そう返事をすると、ロドリスは部屋の中央にあるソファーに、どさっと座った。
ジルヴィスは立ち上がり、対面にあるソファーまで移動し、腰掛ける。
ロドリスは葉巻に火をつけた。
ジジ…っと、葉巻に火が付き、煙を吐き出す姿を静かに見守る。
「なぁ、ジルヴィス。」
「はい。」
「おまえは、よくやっている。」
「ありがとうございます。」
葉巻を吸い、ふうーっと、吐き出しながら、脂っこい目でジルヴィスを見つめてくる。
そして言った。
「おまえを、隊長に昇格したのは、この私だ。」
「……はい。ありがとうございます…」
「おまえには、使命がある。」
「………」
「反政府組織を、おまえは知っているか?」
反政府組織。
現在の王のやり方に、意義を唱えている者はそれなりに存在する。しかし、愚痴のようなものだ。
王は、御年75歳だが、妃が32人もいる。3年前に産まれた王子が居るというから、お好きなのだろう。そんな王のせいで、この国は貞操観念が壊れていると言う評論家が昔いたが、いつだったか謎の死を遂げている。まぁ、消されたのだろう。王に盾突く者は、消される。国民は、そう信じている。
反政府組織は、存在すると聞いたことがあるが、神官でもある王族を守る聖騎士達が目を光らせ、取り締まりを強化しても、見つけ出せたことは無い。だから、一時は存在していたが、今は大きな組織ではない。脅威ではないという議論で終わったことがある。
「何か動きが、ありましたか?」
ジロリと、ジルヴィスを見ると、顔を近づけてきて言った。
「反組織は、おまえを立太子させたがっているのだ。」
「!」
ロドリスは、体を乗り出して顔を近づけたままで言った。
「おまえは、裁量がある。文武に長け人望もある。そのおまえを、立太子させ国を変えようという志有る者達が、密かに動き出している。」
ジルヴィスは、注意深くロドリスを観察した。
ガッと、ロドリスはジルヴィスの肩を掴んだ。
「ジルヴィス。おまえの中には、王族の血が流れている!民の為に国を変えろ!おまえなら出来る!皇太子と国王を暗殺するんだ。」
微動だにせず、ジルヴィスは目を細めて、ロドリスを見た。
ジルヴィスの目には、キラリと光るものがあり、ロドリスは不適に笑う。
「私が手助けしてやる。反組織と通じて、時を待つんだ。その時が来たら、おまえは国王になる!」
ロドリスは手を離し、ソファーに深く座り直した。
そして、葉巻に火をつけて、深く吸い込み、煙を吐き出した。部屋の中は、独特のにおいでいっぱいになり、甘い空気がまとわりつく。
再度煙を吐きながら、ロドリスは夢見心地で言った。
「この国も、何もかもがおまえのモノになる。今まで、おまえを蔑んで来た者達は、おまえに平伏すだろう。そして、何もかもが思い通りだ。」
その言葉を静かに聞きながら、ジルヴィスは黙ったままでロドリスを見ていた。
「さぁ、私の手を取れ。一緒にこの国を変えてみないか?そして、全てを手に入れる!」
その脂ぎった手を見つめてから、ジルヴィスは、暫く黙っていた口を開けた。
「その、反組織は、誰です?」
「………まだ、言えん。おまえからの返事を聞いてからだ。」
「そうですか。では、考えさせてください。」
「………いいだろう。」
「ありがとうございます。」
ロドリスは、灰皿に葉巻を押し付けると、立ち上がった。
やっと帰るのかと、気を緩めた時だった。突然、振り返り言われた。
「あぁ、そうだ。もし、この話が上手くいけば、王子を身ごもったアニエスは王妃にすればいい。」
ロドリスの言葉に、また、一瞬、何を言われたのか理解に苦しむ。
「は?」
「驚いたか?私は何もかも知っているぞ。アニエスの子は、お前の子だろう?」
アニエスの子が……俺の子?!?!
ジルヴィスは、目を見開いて驚愕した。
「なぁに、世間も理解を示すだろう。かつて幼馴染で恋人同士だった2人が、悲恋の末に結ばれるのだ。なかなかの、民衆が好きそうなストーリーだろう?」
ガハハハと、笑いながら、ロドリスは部屋を出て言った。
頭がおかしくなりそうだ。
少し眩暈がして、ソファーにドサッと座り込んだ。
天井を見上げると、葉巻の煙が、まだゆらゆらと漂って、渦を巻いていた。
暫くして、
トントンっと、扉をノックする音がする。
なんとなく、その叩き方で誰か分かる。
「入れ」と返事をすると、リオンが入ってきた。続いてダンも入って来る。
2人は、部屋に入るなり、眉をしかめて扉を閉めた。
「くせぇな!団長が来てたのか。」
ダンがそう言って愚痴り、視線を移すと、ジルヴィスはソファーに深く座ったまま、目に手を置いたままで答える。
「臭いタヌキだ…」
「ははっ、違いねぇ。まぁ、色々と情報が集まったから、報告だ。」
ダンがそう言うと、リオンもソファーに座って、3人で話を始めた。
そして、ある程度話が進んだ時だった。
リオンが、思い出したように、付け加えて報告する。
「そう言えば、ミレイが…」
突然、思いもよらない人物の名前が出て、ジルヴィスは眉をしかめた。
「…なんだ?」
「ミレイが、この話を聞いていたんです」
「!!何?!なぜ、そんな事になった?」
「それが、突然部屋に入ってきたんです!」
「は?ミレイが?」
「はい。本当に突然。」
「あー、あの時は、本当に驚いたな。このナイーブな俺様の心臓が止まったかと…」
ダンの言葉を無視して、ジルヴィスはリオンに聞く。
「それで、どうした?」
「はい。口止めはしたんですが、気になって後を追いました。それで…」
リオンは少し言いずらそうにしてから、言った。
「ミレイは、王都で役者をやっている男と、個室で会っていたみたいです。とても親しい感じで、家まで送ってもらってました。」
「ミレイが、男と……?」
「どうだ?調子は?」
ジルヴィスは驚いたが、顔色ひとつ変えなかった。
「はい。全て順調です。」
そう返事をすると、ロドリスは部屋の中央にあるソファーに、どさっと座った。
ジルヴィスは立ち上がり、対面にあるソファーまで移動し、腰掛ける。
ロドリスは葉巻に火をつけた。
ジジ…っと、葉巻に火が付き、煙を吐き出す姿を静かに見守る。
「なぁ、ジルヴィス。」
「はい。」
「おまえは、よくやっている。」
「ありがとうございます。」
葉巻を吸い、ふうーっと、吐き出しながら、脂っこい目でジルヴィスを見つめてくる。
そして言った。
「おまえを、隊長に昇格したのは、この私だ。」
「……はい。ありがとうございます…」
「おまえには、使命がある。」
「………」
「反政府組織を、おまえは知っているか?」
反政府組織。
現在の王のやり方に、意義を唱えている者はそれなりに存在する。しかし、愚痴のようなものだ。
王は、御年75歳だが、妃が32人もいる。3年前に産まれた王子が居るというから、お好きなのだろう。そんな王のせいで、この国は貞操観念が壊れていると言う評論家が昔いたが、いつだったか謎の死を遂げている。まぁ、消されたのだろう。王に盾突く者は、消される。国民は、そう信じている。
反政府組織は、存在すると聞いたことがあるが、神官でもある王族を守る聖騎士達が目を光らせ、取り締まりを強化しても、見つけ出せたことは無い。だから、一時は存在していたが、今は大きな組織ではない。脅威ではないという議論で終わったことがある。
「何か動きが、ありましたか?」
ジロリと、ジルヴィスを見ると、顔を近づけてきて言った。
「反組織は、おまえを立太子させたがっているのだ。」
「!」
ロドリスは、体を乗り出して顔を近づけたままで言った。
「おまえは、裁量がある。文武に長け人望もある。そのおまえを、立太子させ国を変えようという志有る者達が、密かに動き出している。」
ジルヴィスは、注意深くロドリスを観察した。
ガッと、ロドリスはジルヴィスの肩を掴んだ。
「ジルヴィス。おまえの中には、王族の血が流れている!民の為に国を変えろ!おまえなら出来る!皇太子と国王を暗殺するんだ。」
微動だにせず、ジルヴィスは目を細めて、ロドリスを見た。
ジルヴィスの目には、キラリと光るものがあり、ロドリスは不適に笑う。
「私が手助けしてやる。反組織と通じて、時を待つんだ。その時が来たら、おまえは国王になる!」
ロドリスは手を離し、ソファーに深く座り直した。
そして、葉巻に火をつけて、深く吸い込み、煙を吐き出した。部屋の中は、独特のにおいでいっぱいになり、甘い空気がまとわりつく。
再度煙を吐きながら、ロドリスは夢見心地で言った。
「この国も、何もかもがおまえのモノになる。今まで、おまえを蔑んで来た者達は、おまえに平伏すだろう。そして、何もかもが思い通りだ。」
その言葉を静かに聞きながら、ジルヴィスは黙ったままでロドリスを見ていた。
「さぁ、私の手を取れ。一緒にこの国を変えてみないか?そして、全てを手に入れる!」
その脂ぎった手を見つめてから、ジルヴィスは、暫く黙っていた口を開けた。
「その、反組織は、誰です?」
「………まだ、言えん。おまえからの返事を聞いてからだ。」
「そうですか。では、考えさせてください。」
「………いいだろう。」
「ありがとうございます。」
ロドリスは、灰皿に葉巻を押し付けると、立ち上がった。
やっと帰るのかと、気を緩めた時だった。突然、振り返り言われた。
「あぁ、そうだ。もし、この話が上手くいけば、王子を身ごもったアニエスは王妃にすればいい。」
ロドリスの言葉に、また、一瞬、何を言われたのか理解に苦しむ。
「は?」
「驚いたか?私は何もかも知っているぞ。アニエスの子は、お前の子だろう?」
アニエスの子が……俺の子?!?!
ジルヴィスは、目を見開いて驚愕した。
「なぁに、世間も理解を示すだろう。かつて幼馴染で恋人同士だった2人が、悲恋の末に結ばれるのだ。なかなかの、民衆が好きそうなストーリーだろう?」
ガハハハと、笑いながら、ロドリスは部屋を出て言った。
頭がおかしくなりそうだ。
少し眩暈がして、ソファーにドサッと座り込んだ。
天井を見上げると、葉巻の煙が、まだゆらゆらと漂って、渦を巻いていた。
暫くして、
トントンっと、扉をノックする音がする。
なんとなく、その叩き方で誰か分かる。
「入れ」と返事をすると、リオンが入ってきた。続いてダンも入って来る。
2人は、部屋に入るなり、眉をしかめて扉を閉めた。
「くせぇな!団長が来てたのか。」
ダンがそう言って愚痴り、視線を移すと、ジルヴィスはソファーに深く座ったまま、目に手を置いたままで答える。
「臭いタヌキだ…」
「ははっ、違いねぇ。まぁ、色々と情報が集まったから、報告だ。」
ダンがそう言うと、リオンもソファーに座って、3人で話を始めた。
そして、ある程度話が進んだ時だった。
リオンが、思い出したように、付け加えて報告する。
「そう言えば、ミレイが…」
突然、思いもよらない人物の名前が出て、ジルヴィスは眉をしかめた。
「…なんだ?」
「ミレイが、この話を聞いていたんです」
「!!何?!なぜ、そんな事になった?」
「それが、突然部屋に入ってきたんです!」
「は?ミレイが?」
「はい。本当に突然。」
「あー、あの時は、本当に驚いたな。このナイーブな俺様の心臓が止まったかと…」
ダンの言葉を無視して、ジルヴィスはリオンに聞く。
「それで、どうした?」
「はい。口止めはしたんですが、気になって後を追いました。それで…」
リオンは少し言いずらそうにしてから、言った。
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