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40話
しおりを挟むミレイは、町を徘徊していた。
仕事が終わって、ジルに置手紙を書いてから、行く当てもなく町をフラフラとしていた。
「だって、面と向かって言えるわけないじゃない…」
あなたの好きだった女性が、今もあなたを思っていて、待っているから行ってあげて?とか、そんなドラマみたいなセリフ、言える気がしない。
好きな人が、他の女性の所に行く姿なんて、見たくも無い。
きっと、泣いちゃう。
はぁ~~~。
大きな溜息をついて、歩き続けていく。
夕方には、お店がどんどん閉まって行き、暗くなってしまった今では、ホテルなどの宿屋か、居酒屋、そして娼館しか明かりが灯っていないかった。
なんとなく、東京のネオン街を思い出す。
「まぁ、新宿と比べれば、ここは趣深いって感じかなぁ?」
独り言なんか言いながら、歩いて行くと、突然、腕を掴まれた。
グイッ!!と、引っ張られて、驚いて振り向く。
振り向きざまに、頭上から声がした。
「お~の~れ~はぁ~!こんな時間に、こんな所で、何をしてる?また奴隷に戻りたいんかい!」
目の前には、なんと、ダンが居た。
そんでもって、隣に、ちょこんっと、リオンも居た。
「…あ~、えーと、ダン?どうしてここに?」
よく見ると2人とも、なにやら見たことも無い恰好だ。スーツを着込んで、ダンは眼鏡をかけている。
「あ!来ましたよ!隠れて!」
リオンが言うので、3人で建物の物陰に隠れる。
2人が見ている方向を、私も目で追って見つめた。
すると、ある娼館の前で、馬車が停車し、馬車から出て来たオジサンは、真っ直ぐに店の中に入って行く。
「あらぁ~♡お待ちしておりましたぁ♪団長さまぁ♡」
「今日はぁ、女の子たち、みぃ~んなで、楽しみにしていたんですよぉ♡」
「団長さまぁ~♡はやくぅ♪」
………団長?
私は、そこで気がつく。
こいつが、あの、悪ダヌキで、ジルの上司の団長か!!
思わず、追いかけようとすると、リオンが私の首根っこを引っ張って、抑えた。
「なにするの!」
「どこに行く気です?!」
「決まってるじゃない!アイツでしょ?悪代官!」
「…悪ダイカン…?ともかく、落ち着いて!貴方が行って、何ができるんです!」
「ぐっ……そうだけど!」
つい、緊急事態でタメ口で話してしまっていた。
ダンが、私の前に立ち、真っすぐに見て言った。
「俺達が行く。ミレイは早く帰れ!今日は、重鎮達が集まる。何か重要な情報が手に入るかもしれないんだ。邪魔だから帰れ。」
「……」
「そうですよ。娼館に女性が入れるわけもないです。とにかく、危ないですから、帰ってください。ジルはどうしたんです?」
「……アニエス様の所です。」
「?!」
「!!」
2人は、顔を見合わせる。
私は何か変なことを言っただろうか?と、3人で黙った時だった。
お店の方から声がした。
「ちょっとぉ!マリーナはどうしたのよ?ラヴィは?」
「それが、ママ!食当たりだって言うんです。」
「なんてことなの!2人も居ないんじゃ、今日は団長様から、とびっきりの女を集めておけっていわれているのに!お偉いさん方が来るのよぉ!もぉ!」
「どうしましょう…」
私はとっさに、飛び出して行った。
「あ、あの!」
ダッシュで、お店の入り口に立つ。そして、上着を脱いで体のラインを見せつけながら言った。
「私!代わりになりませんか?」
ジロジロと店主と、女性達に体と顔を交互に見られる。
「……なにあんた……おっぱい、でかっ!」
店主は、ニカっと笑った。
ダンとリオンは、顎が外れる程に口を大きく開けて、目をひん剝いた。
その間にも、次々と、重鎮たちが現れた。
もはや2人は、ミレイを止めることは出来なかったのである。
◇
ミレイは、娼婦の服に着替えて、部屋の扉を開けた。
「おおっ‥‥‥‥」
「これは…なんと」
「女将、その子は?新人か?」
部屋に居た男性陣が、全員こちらを見た。
「おほほほ。そうなんですよぉ。今日から入ったばかりの新人ですわぁ。みなさまよろしくお願いいたします~」
どっと、沸き立ち、奥に居た男が言った。
「おうおう、こちらへ来なさい!さぁ、団長様の隣だ。」
そう言われて、私はシズシズと向かう。
団長と言われた男は、頬を赤くしてニヤリと笑う。
「お~!イイ女だ。ここに座りなさい。」
「はい…」
周囲の人間が、私を舐めるように見る。座ったとたんに、団長の手が肩に置かれ、引き寄せられた。
「あっ!」
つい、小さい声を上げてしまい、周囲がそれに敏感に反応する。
「おお~~!声も良いですなぁ~。今すぐに押し倒してしまいたいですな!」
「神官長は、手が早い!まだまだ、始まったばかりですぞ。」
「がははは。綺麗で柔らかい肌だ。」
そう言うと、団長は、私の肩から腕、腕から手までを撫でまわした。
‥‥‥‥おえっ!気持ち悪いっ!
っていうか、既になんか臭い!
~~~~我慢!我慢よ!ミレイ!私は娼婦なの!おさわりくらい我慢だから!
私は必至に、我慢した。
こうして、女性が男達の間に入り、酌をしながら肩を抱かれ、宴会は始まった。
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