私と騎士様の危い愛

月野さと

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33話 ※

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 夜のジルは、甘くて優しい。

 頬にキスから始まって、額、耳、首筋、鎖骨と愛撫してキスをしていく。それだけで、私は期待に息が上がってしまい、心地良さにもだえる。
「あっ…!ん!」
 思わず声が漏れ出てしまう。
 ゴツゴツとした大きな手は、私の体を優しく撫でる。
 その大きな両手で、両胸を捕らえ、先端を舌で転がされると、心臓がドクドクと脈打って、たまらなくなる。
 もっとと言わんばかりに背中を反らし、吐息を漏らすと、そのままジルは、色っぽい視線を向けてくる。
 ジルの、その色っぽく細めた目が、好き。
 ゴツゴツしていて、太くて長い、その指も好き。
 何もかもが好き。ジルが好き。大好き。
「はぁ…あっ、ん!」
 いつもよりも、声が出てしまう自分に驚く。それに、ジルも気がつく。
「どうした?今日は、感じやすくなっているな…」
 …恥ずかしい。でも、止められない!
「欲しい…ジル…もう、いれて…」
 今日は、はじめてジルから誘ってくれたからかもしれない。
 嬉しくて、胸がときめいて、期待に体が熱くなって、もう…ダメ。
「あっ!あ…あぁ…!」
 期待して待っていた部分に、熱くて太いそれを埋め込まれる。ジルと1つになれる、この瞬間が好き。
 気持ち良くて、堪らないのと同時に、1つになれる一体感が、安堵感に変わる。
 肩も腕も腰も、しっかりと引き締まり、鍛え抜かれた熱い体が、波打つようにして私を責め立てるのを、うっとりと眺めてしまう。
 私を押しつぶさないようにして、しっかりと優しく抱きしめてくれる。
 そう、ジルは、情事の時は、ずっと、ずっと私から目を反らさない。私の反応を、確かめながら、優しく優しく抱いてくれる。
 だから、この瞬間だけは、誤解していられる。

 愛されている。私だけを大切にしてくれている。 
 この瞬間は、私だけを見てくれる。
 抱き合っている、この時だけは、ジルは私だけのもの。
 
 本当は違っても、そう、思わせてくれる。
 
 セフレだなんて、言ったことを後悔してる。
 
 ジルは、私を、どう思っているのだろう?そう考えると、とても怖い。セックス好きの女? 
 今日は、はじめて、ジルから誘ってもらえて嬉しかったのに。私を好きだからじゃないんだと思った瞬間、ただ、したかっただけなのか?って思った瞬間に、辛くなる。
「んっ、んっ、はぁ…ん…ふぅ…うっ…」
「…ミレイ?どうした?」
 その時、急に腰の動きを止めて、頬を撫でられる。
「え?」
 いつの間にか、私は、涙を流していた。
「あ…わたし…」
「……嫌だったか?」
 ジルは、腰を引いて、抜こうとする。
「違う!ダメっ!待って!……き…気持ち良いから…抜かないで…」
「しかし…」
 私は、必死にジルにすがりついた。
「お願いっ、もっと、もっとして欲しいの。今日…気持ち良すぎて、なんか…ヘンに、なってる。おかしくなりそう…」
 抱きついて、ジルの首すじにキスをする。
 あなたが好きだと、愛されたいと、言ってしまいたくなる。
「抱いて!お願い、朝まで抱いて!」

 こんなことは言えるくせに、好きだとは、どうしても言えない。
 
 この関係を壊したくない。
 独り占めしている、この瞬間も、この生活も、手放したくない。

 きっと、今が1番、幸せだから。   










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