9 / 23
第9話
しおりを挟む
その夜、眠れなかった。
ベッドから降りて、窓のカーテンを開けると、雨が降っていた。しとしとと、霧雨だ。
雨に呼ばれるように、部屋を出て、中庭に隣接している廊下を歩いてみる。
1度、城内を警備している騎士に会ったけれど、何も言われなかった。
「うー--ん。静かな夜。」伸びをして深呼吸する。
雨の匂いと湿った空気が肺に入り込んでくる。
人の気配で振り向くと、廊下の前方からフィリックス皇太子が歩いてきた。
この人とは、本当によく合うなぁ~とウンザリする。広いお城なのに、どうして会いたくも無いのに会うのかなぁ~。
「あれ?レオノーラ嬢じゃないか。こんな夜更けにどうしたの?」
側近のロンだけ連れている。
「こんばんは、殿下。少し眠れなくて。」
「そっかぁ。じゃ、僕と一緒に寝る?」
「・・・ご冗談を。」
棒読みで返答する。
はぁ、と目をそらした先に、なにかキラリと光る。
中庭の木の陰。再びキラリと光った。
目をこらして・・・・あ!
「殿下!!!」
とっさにフィリックス皇太子に思いっきり体当たりをして、引っ張り倒す。
そのまま、2人で倒れこむ。
ビュン!!という鋭い音とともに、矢が飛んでくる。
それと同時に、3人の黒ずくめの男が飛び出て来た。
「曲者!!」
ロンが応戦する。
レオノーラは驚いていた。まさか・・・・刺客??
フィリックスも剣を引き抜き、素速く立ち向かう。
レオノーラも頭が真っ白になりながら、近くにあった鎧の置物から剣を抜き取る。
2人同時にフィリックスに飛び掛かるのを見て、加勢する。
すぐに皇太子の背後について、振り下ろされる剣を、剣で払う。
受けた剣の重さに、相手の殺気を感じて怖気づきそうになった。
やっと、騒ぎに気が付いた城の兵士たちが、数名走ってくきて声を上げた。
「何者だ!!曲者ー---!!!」
それを見て、刺客は「ち!」と言い残して逃げていく。
レオノーラは、逃げていく3人を見えなくなるまで、呆然と見送る。
「レオノーラ嬢。」
レオノーラの心臓はバクバクと破裂しそうなほどの動悸だった。
「レオノーラ嬢?」
さっき受けた剣の重さで、痺れて腕がビリビリする。
生まれてはじめて、あんな剣を受けた。私を本気で殺す気だった。
「レオノーラ!」
ビクリとして振り返ると、皇太子が心配そうにこちらを見ている。
「殿下・・・大丈夫ですか?お怪我は?」
皇太子の腕に触れる。一応、背中も確認する。
側近のロンが、レオノーラに声をかける。
「ありがとうございます、レオノーラ嬢。あなたのおかげで助かりました。しかし、本当に驚きました。剣を手に刺客に立ち向かうなど、並みの女性では咄嗟に難しいでしょう。」
震えが止まらない腕を、自分の手で掴む。
バクバクと動機が治まらない。深呼吸をして落ち着かせる。
「いえ・・・本当に、無事でよかったです。私も本当の闘いなんて、初め・・・」
話してる途中で、フィリックス皇太子に抱きしめられた。
「?!」
「ありがとう。レオノーラ。」
いつもの、お調子者のひょうきんな声ではなくて、真面目な声で、お礼を言われたのでビックリした。
その後は、お城の騎士たちを増員して警備に当たるよう支持をして、こちらを見る。
皇太子が「部屋まで送るよ。」と言って聞かないので、ロンと3人で歩き出す。
「こうゆう事って、よくあるんですか?」
と、レオノーラが質問する。
「・・・いや、今までは無かったかな。」
フィリックスは、少しだけ考えて返答した。
「そうですか。・・・ロンだけじゃ心もとないのでは?」
「え・・・レオノーラ様!!それはどうゆう!!」
ロンが慌てる。
それを見て、少し訂正する。
「人数の問題ですよ。もう少し護衛を増やした方が良いという意味です。この国を統べる皇太子なのですから、今後は護衛を増やしたほうが良いかと!」
「まぁ、それは確かにそうですね。」
「じゃぁ、レオノーラが妃として僕の隣に、ずっといればいいんじゃない?」
ニコニコと、いつものチャラい皇太子に戻っている。
いつの間にか、呼び捨てになってるし・・・。まぁ、私の口出す問題じゃないか。
「そうだ、殿下にお願いがあります。」
「ん?何々?添い寝してあげる?」
「・・・(ったく、アホか。)護身用の短剣が欲しいです。」
男2人がポカンとする。
「今日みたいに何かがあった時に、武器は必須ですよ。今日はたまたま剣を見つけましたが、いつもというわけには行きません。」
ニヤリとフィリックスは笑う。
一歩前に踏みでて、壁にレオノーラを追い込み、囲う。
「頼もしいな。これからも、君が身を挺して守ってくれるの??私の為に?もしかして、私を好きになってしまった?」
息を感じるほどに殿下の顔が間近にせまる。
瞬間に皇太子の綺麗な鼻を、思いっきり力を込めて摘まむ。
「いたたたたたた!」
「もう!ふざけないで下さい!」
ではお休みなさい!とドアを閉めて部屋に入る。
フィリックスは、おかしそうに笑いだす。
ロンが、声をかける。
「殿下、あまりからかうのは良くないかと。しかも、地が出て『私』と言ってしまってましたよ。」
笑いながら、鼻を押さえて、壁に背を付ける。
「ははは・・・はぁ、・・・そうだね。自分でもびっくりしたよ。あんな子は初めてだよ。」
フィリックスは自分の中に込み上げてくる感情に、戸惑っていた。
レオノーラの強く凛々しい姿に魅了されて、ふと見せる涙に愛しさを感じていた。
このまま彼女を無理やり自分のものにすれば、おそらくエドワードとの間に軋轢が生じる。
彼女が欲しいとう感情と、政治的な問題の狭間で葛藤する。
手の届かぬ物ほど、魅力的に見えるのだろう。
フィリックスは、なんとか自分に言い聞かせた。
ベッドから降りて、窓のカーテンを開けると、雨が降っていた。しとしとと、霧雨だ。
雨に呼ばれるように、部屋を出て、中庭に隣接している廊下を歩いてみる。
1度、城内を警備している騎士に会ったけれど、何も言われなかった。
「うー--ん。静かな夜。」伸びをして深呼吸する。
雨の匂いと湿った空気が肺に入り込んでくる。
人の気配で振り向くと、廊下の前方からフィリックス皇太子が歩いてきた。
この人とは、本当によく合うなぁ~とウンザリする。広いお城なのに、どうして会いたくも無いのに会うのかなぁ~。
「あれ?レオノーラ嬢じゃないか。こんな夜更けにどうしたの?」
側近のロンだけ連れている。
「こんばんは、殿下。少し眠れなくて。」
「そっかぁ。じゃ、僕と一緒に寝る?」
「・・・ご冗談を。」
棒読みで返答する。
はぁ、と目をそらした先に、なにかキラリと光る。
中庭の木の陰。再びキラリと光った。
目をこらして・・・・あ!
「殿下!!!」
とっさにフィリックス皇太子に思いっきり体当たりをして、引っ張り倒す。
そのまま、2人で倒れこむ。
ビュン!!という鋭い音とともに、矢が飛んでくる。
それと同時に、3人の黒ずくめの男が飛び出て来た。
「曲者!!」
ロンが応戦する。
レオノーラは驚いていた。まさか・・・・刺客??
フィリックスも剣を引き抜き、素速く立ち向かう。
レオノーラも頭が真っ白になりながら、近くにあった鎧の置物から剣を抜き取る。
2人同時にフィリックスに飛び掛かるのを見て、加勢する。
すぐに皇太子の背後について、振り下ろされる剣を、剣で払う。
受けた剣の重さに、相手の殺気を感じて怖気づきそうになった。
やっと、騒ぎに気が付いた城の兵士たちが、数名走ってくきて声を上げた。
「何者だ!!曲者ー---!!!」
それを見て、刺客は「ち!」と言い残して逃げていく。
レオノーラは、逃げていく3人を見えなくなるまで、呆然と見送る。
「レオノーラ嬢。」
レオノーラの心臓はバクバクと破裂しそうなほどの動悸だった。
「レオノーラ嬢?」
さっき受けた剣の重さで、痺れて腕がビリビリする。
生まれてはじめて、あんな剣を受けた。私を本気で殺す気だった。
「レオノーラ!」
ビクリとして振り返ると、皇太子が心配そうにこちらを見ている。
「殿下・・・大丈夫ですか?お怪我は?」
皇太子の腕に触れる。一応、背中も確認する。
側近のロンが、レオノーラに声をかける。
「ありがとうございます、レオノーラ嬢。あなたのおかげで助かりました。しかし、本当に驚きました。剣を手に刺客に立ち向かうなど、並みの女性では咄嗟に難しいでしょう。」
震えが止まらない腕を、自分の手で掴む。
バクバクと動機が治まらない。深呼吸をして落ち着かせる。
「いえ・・・本当に、無事でよかったです。私も本当の闘いなんて、初め・・・」
話してる途中で、フィリックス皇太子に抱きしめられた。
「?!」
「ありがとう。レオノーラ。」
いつもの、お調子者のひょうきんな声ではなくて、真面目な声で、お礼を言われたのでビックリした。
その後は、お城の騎士たちを増員して警備に当たるよう支持をして、こちらを見る。
皇太子が「部屋まで送るよ。」と言って聞かないので、ロンと3人で歩き出す。
「こうゆう事って、よくあるんですか?」
と、レオノーラが質問する。
「・・・いや、今までは無かったかな。」
フィリックスは、少しだけ考えて返答した。
「そうですか。・・・ロンだけじゃ心もとないのでは?」
「え・・・レオノーラ様!!それはどうゆう!!」
ロンが慌てる。
それを見て、少し訂正する。
「人数の問題ですよ。もう少し護衛を増やした方が良いという意味です。この国を統べる皇太子なのですから、今後は護衛を増やしたほうが良いかと!」
「まぁ、それは確かにそうですね。」
「じゃぁ、レオノーラが妃として僕の隣に、ずっといればいいんじゃない?」
ニコニコと、いつものチャラい皇太子に戻っている。
いつの間にか、呼び捨てになってるし・・・。まぁ、私の口出す問題じゃないか。
「そうだ、殿下にお願いがあります。」
「ん?何々?添い寝してあげる?」
「・・・(ったく、アホか。)護身用の短剣が欲しいです。」
男2人がポカンとする。
「今日みたいに何かがあった時に、武器は必須ですよ。今日はたまたま剣を見つけましたが、いつもというわけには行きません。」
ニヤリとフィリックスは笑う。
一歩前に踏みでて、壁にレオノーラを追い込み、囲う。
「頼もしいな。これからも、君が身を挺して守ってくれるの??私の為に?もしかして、私を好きになってしまった?」
息を感じるほどに殿下の顔が間近にせまる。
瞬間に皇太子の綺麗な鼻を、思いっきり力を込めて摘まむ。
「いたたたたたた!」
「もう!ふざけないで下さい!」
ではお休みなさい!とドアを閉めて部屋に入る。
フィリックスは、おかしそうに笑いだす。
ロンが、声をかける。
「殿下、あまりからかうのは良くないかと。しかも、地が出て『私』と言ってしまってましたよ。」
笑いながら、鼻を押さえて、壁に背を付ける。
「ははは・・・はぁ、・・・そうだね。自分でもびっくりしたよ。あんな子は初めてだよ。」
フィリックスは自分の中に込み上げてくる感情に、戸惑っていた。
レオノーラの強く凛々しい姿に魅了されて、ふと見せる涙に愛しさを感じていた。
このまま彼女を無理やり自分のものにすれば、おそらくエドワードとの間に軋轢が生じる。
彼女が欲しいとう感情と、政治的な問題の狭間で葛藤する。
手の届かぬ物ほど、魅力的に見えるのだろう。
フィリックスは、なんとか自分に言い聞かせた。
0
あなたにおすすめの小説
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
アダルト漫画家とランジェリー娘
茜色
恋愛
21歳の音原珠里(おとはら・じゅり)は14歳年上のいとこでアダルト漫画家の音原誠也(おとはら・せいや)と二人暮らし。誠也は10年以上前、まだ子供だった珠里を引き取り養い続けてくれた「保護者」だ。
今や社会人となった珠里は、誠也への秘めた想いを胸に、いつまでこの平和な暮らしが許されるのか少し心配な日々を送っていて……。
☆全22話です。職業等の設定・描写は非常に大雑把で緩いです。ご了承くださいませ。
☆エピソードによって、ヒロイン視点とヒーロー視点が不定期に入れ替わります。
☆「ムーンライトノベルズ」様にも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる