女神なんかじゃない

月野さと

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10話 もう一つの力

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 アーサーが王様になり、美しく平和で豊かな大地が広がっている。
 空には魔法陣が浮かんでいて、外側に魔獣が飛んでいる。
 広大な大地が、自然豊かに輝いている。

 この国に来て、何度も同じ夢を見た。
 夢に出てくる赤い山は、トルネ山なのだと分かった。おそらく、これは夢なんだけど、これから起こる事なのだろうと思っていた。

 王様になってから、宣言通り多忙なアーサーには、会えない日が続いた。
 私は暇を持て余し、図書館に入りびたり、この国の歴史とかを学び始めた。現代の事は、先生をつけてもらって学び始めた。まぁ、現役高校生なだけあって、勉強は慣れてるのでサクサク勉強をすすめられた。
 魔法についても、少し学び始めたけど、こればかりは、私にはファンタジー過ぎて理解に苦しんだ。

 いつものように、魔法省へ行った時だった。レオン団長が待っていた。

「あれ?いつもの先生は・・・・」

「今日は私から、お教えすることがありますので。」
 相変わらずの、つんけんした言い方だったけど、なんか前とは少し違う感じがした。
 なんというか、心を開いてくれた感じ。気のせいかもしれないけど。

「それで、今日は何が知りたいのですか?」
 レオン団長が言うので、ちょっと戸惑った。
「えーと、あ、そうだ。私を元の世界に帰す方法は見つかりましたか?」
 その言葉を聞いた瞬間に、レオン団長は見るからに不機嫌オーラが漂う。
「まだです。」
「あー、そうでしたか!えっと、それでは本題に。」
 私は、そそくさとノートを取り出す。
「あの、まず、国を覆う魔法陣の作り方について。」
 そう言って、レオン団長を見ると、彼は片方の眉をピクリとさせた。
「国を覆う魔法陣ですって?それは、どこで聞いたんですか?」
 あれ?なんか言っちゃいけなかった?
「いえ、聞いたわけではなく、見たんです。夢で。」
「夢?」
「はい。何度も見る夢なんですけど、空に魔法陣が浮かんでいて、外側に魔獣が飛んでいる。広大な大地が、自然豊かに輝いて、平和な領土が広がっているんですよ。きっと誰かが魔法陣を作るんだと思うんですけど、早めにそうしたほうが、国の為でしょ?」

「・・・」
 レオンは黙った。

 数分後、右手を上げて、ピッと縦に光の線が走ったかと思うと、大きな本を空中から取り出した。
「?!・・・魔法!凄い!!」
 サラが驚いているのを無視してレオンが話す。
「今の話は、女神の神話に登場します。」
「神話?」
 サラに見えるように、本を空中で広げる。ぷかぷかと、本は浮いたまま。挿絵に女神が描かれていて、謎の文字が連なっていた。
「女神がこの国に出現すると間もなく、王が神に匹敵するほどの地上最強の魔力を得るのです。そしてその魔力で国を覆い、魔獣から国を守り、緑豊かな国が誕生するのだと。それは100年ほど続くとのことです。」
 100年!
「凄い。まさに私が見た夢とかぶりますね~。」
 サラは、軽く他人事のように言い、レオンはジッと見つめてから口を開いた。
「それで、今日、私がここに来たのは、この神話にある女神の能力が、あなたに有るかを確かめたかったからです。」
「神話にある女神の能力?」
「はい。確かめさせて頂いてもよろしいですか?」
 レオンがそう言うと、サラは即答する。
「無いですよ。」
 サラは首と手を振って、苦笑いしながら言う。
「私は女神じゃないです!そんな力とか能力とか無いですから!調べるまでもありませんよ!」

 レオンは、絶句した。
 なんか話すの面倒だなと思って、右手をサラの前に出す。
「調べさせていただきます。」
 呪符を唱えたかと思うと、サラの頭はボウっとしてきた。

 そして、レオンの声が空から響き始める。

「さぁ、あなたは夢の中にいるのです。何が見えるか包み隠さすに、私に告げなさい。」

 すると、目の前が真っ暗になった。

 薄暗い場所から、ゆらりと蝋燭の火が見えるてくる。
 男の声が響いてきた。

「兄上を殺すんだ。女神を手に入れる!」

「女神の力を、手に入れる方法が解りましたぞ。」

「マクベス侯爵。娘をアーサー王の所へ送り込むんだ。」

 黒い影は、なにか不穏な話を続ける。
 そして、暗闇の中で、アーサーが浮かび上がる。

「アーサー王を殺せ!!」
 暗闇の中で男たちが騒ぐ。

 真っ黒い手が、無数に伸びてきて、アーサーを捕まえる。
 髪の長い、亡霊のような黒い人影が、アーサーをベッドに押し倒して、剣を振り上げた。

 「ダメ!!アーサーー!!」  

 自分の叫び声で、目が覚める。
 目の前には、レオンが平然と椅子に座っていた。私は、全身に汗をかいて、レオンの前で椅子に座ったまま夢を見ていたようだった。全力疾走したかのように、大きく呼吸する。

 レオンが言う。
「今、あなたに夢を見てもらったんです。」
「ゆ・・夢?」
「女神は、夢で未来を読むそうです。」
「未来を?」
 これから起こるってこと?
「じゃぁ、アーサーが!」
「大丈夫です、手を打ちます。今後も、女神の力を利用させて頂きますよ。」
「・・・」
 これが女神の力?夢を見て、先手を打てば、未来を変えられるってこと? 
「それは、いつでも、自分で自由に見ることはできますか?」

 組んでいた腕をほどいて、レオン団長は姿勢を正す。
「あなたが、1人で自由にですか?」
「はい!だってそれが本当なら、私だって利用したい。それは可能なのでしょうか?」
 ジーっとレオン団長は、サラを見る。もともと、怖い人なので、ちょっと緊張する・・・。
「レオンさんが居なくても、力を借りなくても自分でなんとかしたいです。」
 夢を見ている時の、自分を見られるのが、ちょっと恥ずかしいし・・・。
「わかりました。それでは魔道具を用意させましょう。」
「魔道具?」
 思わず、乗り出して質問する。
「はい。それを使えば、あなたは1人でも夢見をすることが可能になります」
 思わず立ち上がって、歓声をあげてしまう。
「ありがとうございます!さすがは、魔術師団長!!すぐ解決ですね!」
 やったーーーー!と喜ぶ私を、少し困った顔で見守るレオン団長。

「夢見をして、何を知りたいのです?」
 ため息をつきながら、団長が聞いてくる。
「アーサーの役に、たてないかなって。」

 レオン団長が、顔を上げる。

「お飾りの女神だけど、アーサーが言ってくれたの。居てくれるだけで、助かったって。」
 微笑みかけながら、私は続けた。
「存在を認めてもらえるって、やっぱりうれしいし、何か力になりたいなって。確かに、私が望んだことじゃないかもしれないけど、今、私ができること、頑張ってみようって思ったから。」

 ヘラヘラと笑って、私は立ち上がった。
「お忙しい中、団長自ら、本当にありがとうございました。魔道具の件、よろしくお願いします。」
 そう、言い残して立ち去ろうとすると、団長が座ったまま「待ってください。」と言った。

 振り返ると、団長は少し言いずらそうに、少しの沈黙があった。

「レオン団長?」

「もう一つ、あなたには力があります。」
 目を合わせずに、団長は続けて言った。
「あなたは、体をかさねることで、相手に強力な魔力を渡すことができます。」

「・・・・え?」

 カラダヲカサネル?

 からだ・・・・!?!?

 



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