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17話 今、出来る事
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「陛下。我々の目的をお忘れではないですよね。」
ゴードンの言葉に、ウィルが狼狽える。アーサーとゴードンを交互に見て、オロオロしていた。
アーサーは、ゴードンを睨みつけて言った。
「忘れたわけではない。ただ、サラは普通の娘だ。責任を押し付けるわけにはいない。」
「しかし、本人からの申し出です。」
「あいつは、解っていない。だいたい、女神は魔力を私に与え続けて、あいつ自身は無事でいられるのか?その後は?女神という理由で、覚悟も何もないあいつを、王妃にでもするつもりか?」
「ええ。そのつもりです!」
ゴードンが即答した。アーサーは目を大きくする。
「あの方は、確かに覚悟が無いでしょう。王妃になるには教養も全てが足りません。この国の事も何もわかっていない。言動はまるで幼子。しかし、本人にヤル気があれば、私が教育しましょう。」
「・・・ゴードン。どうしたんだ?」
アーサーは、こめかみを押さえる。
ゴードンは溜息を吐く。
「ハッキリ申し上げて、陛下がこのように女性に振り回されるとは思いませんでした。」
「な・・!」
アーサーは赤面する。
「以前、陛下は仰られてました。自分の王妃には、理想通りの女性でないとならないと。物事を見定める目、そして自制心、自戒心。統制のとれる人間でなければならないと。」
執務室の窓から、オレンジ色の夕日が入り込んでくる。
そうなのだ。この国を作り上げる為に、必要なもの。王妃となる人間は、完璧でなければならない。同じ方向を向き、王と同じように考えられなければならない。
「サラ様は、偏りない目をお持ちです。」
ゴードンが不適に笑う。
「私が、教育致しましょう。立派な理想の王妃となるべく。」
ウィルが、それを聞いて満面の笑みで繋げる。
「私も、サラ様は賛成です。人種も関係なく誰にでもお優しい。陛下に対して遠慮のない発言ができるのも、利点です。」
サラの数々の、暴言を思い出して苦笑いをする。
昨日、
サラが行方不明だと聞いて、我を失った。
塔に灯りがあったのを不信に思い駆けつけた時、サラが、襲われている所を見て、その場で弟を刺し殺してしまっていた。
媚薬のせいとは分かっていても、甘い声で誘うその姿に抗うことは出来なかった。サラを傷つけたくないという気持ちと、自分のものにしたいという気持ちが葛藤する。
あの時、好きだと言われて、自分が王であることも忘れた。
あんなに激しく愛し合って、もう、手放せるはずもない。
しかし、傍に置くということは、妃として必然的に重責を背負わせてしまうことになる。加えて、この先ずっと女神として存在することの重荷。
あの子に責任を負わせたくない。あの、あどけない笑顔も、まっすぐな眼差しも、雑念のない言葉も、そのままでいて欲しい。辛い事からも、汚い世の中からも、遠ざけて・・・・。
しかし、それは無理だ。
どうするべきか、ずっと考えていたのだ。
バタン!と、執務室の扉が開く。
本来、王が居る執務室で、そんな扉の開け方をしたら、国によっては即座に死刑かもしれない。
そんなことは露ほどにも考えた事の無いサラは、ズカズカと執務室に突入してくる。
「アーサー!」
全員、その前代未聞の状況を見守る。
サラは、アーサーの目の前まで来ると、怒った顔で告げた。
「私は、このお城を出て行くわ!」
ゴードンは思った。このジャジャ馬を教育するのは骨が折れそうだ。と。
先に、冷静さを取り戻したのはアーサーだった。
「その軽率な言動を、なんとかしないか。城を出て行くことは容認できない。」
ちょっと声が裏返ってゴードンが続ける。
「まったくです!あなたは女神なのですぞ!ここから出て行くなどと。」
サラは腰に手を当てて、偉そうに言う。
「その女神様が決めたの!これから、魔術師団の所でお世話になるわ!」
アーサーとゴードンは、キョトンとする。
「魔術師団だと?」
「そうよ!考え無しで軽率で?何にも解って無い女神様は、この国の事を理解するために、魔法省に行くわ!」
その言葉に、ゴードンがニヤリと笑い、先に答える。
「良いお心がけですな!それでは、さっそく、わたくしから魔法省へ連絡しましょう。魔法だけではなく、国の全てを学んでいただきたいですね。」
そうゆうことになった。
翌日、魔法省に行くことになった。
テルマさんは、荷造りでバタバタしていた。
サラは決意する。
魔法省に行って、色々な事を学ぼう。その次は、地理。それから騎士団。それから法務省。政治。
そんな事を考えてから、夜空を見上げる。
この国の星空は、本当に綺麗。
星が落ちてきそうとは、こうゆう事なのかと思う。
暫くは、アーサーと会えないのかなと思うと寂しい。
アーサーは怒っているだろうか?呆れただろうか?
お願いだから嫌いにならないで欲しい。
あなたが好きだよ。傍に居させて欲しい。
ダメだと言われても、無理だったとしても、
あなたの隣に立つために、努力したい。
不可能を可能にしたい。
人間、死ぬ気でやれば何とかなるはず!
王妃というのは、同じ人間がしていることだ。だから、私にだって出来るはずなんだ。
必死に自分を鼓舞して、前に進むより他に無かった。
それが、今の私にできる精一杯だった。
ゴードンの言葉に、ウィルが狼狽える。アーサーとゴードンを交互に見て、オロオロしていた。
アーサーは、ゴードンを睨みつけて言った。
「忘れたわけではない。ただ、サラは普通の娘だ。責任を押し付けるわけにはいない。」
「しかし、本人からの申し出です。」
「あいつは、解っていない。だいたい、女神は魔力を私に与え続けて、あいつ自身は無事でいられるのか?その後は?女神という理由で、覚悟も何もないあいつを、王妃にでもするつもりか?」
「ええ。そのつもりです!」
ゴードンが即答した。アーサーは目を大きくする。
「あの方は、確かに覚悟が無いでしょう。王妃になるには教養も全てが足りません。この国の事も何もわかっていない。言動はまるで幼子。しかし、本人にヤル気があれば、私が教育しましょう。」
「・・・ゴードン。どうしたんだ?」
アーサーは、こめかみを押さえる。
ゴードンは溜息を吐く。
「ハッキリ申し上げて、陛下がこのように女性に振り回されるとは思いませんでした。」
「な・・!」
アーサーは赤面する。
「以前、陛下は仰られてました。自分の王妃には、理想通りの女性でないとならないと。物事を見定める目、そして自制心、自戒心。統制のとれる人間でなければならないと。」
執務室の窓から、オレンジ色の夕日が入り込んでくる。
そうなのだ。この国を作り上げる為に、必要なもの。王妃となる人間は、完璧でなければならない。同じ方向を向き、王と同じように考えられなければならない。
「サラ様は、偏りない目をお持ちです。」
ゴードンが不適に笑う。
「私が、教育致しましょう。立派な理想の王妃となるべく。」
ウィルが、それを聞いて満面の笑みで繋げる。
「私も、サラ様は賛成です。人種も関係なく誰にでもお優しい。陛下に対して遠慮のない発言ができるのも、利点です。」
サラの数々の、暴言を思い出して苦笑いをする。
昨日、
サラが行方不明だと聞いて、我を失った。
塔に灯りがあったのを不信に思い駆けつけた時、サラが、襲われている所を見て、その場で弟を刺し殺してしまっていた。
媚薬のせいとは分かっていても、甘い声で誘うその姿に抗うことは出来なかった。サラを傷つけたくないという気持ちと、自分のものにしたいという気持ちが葛藤する。
あの時、好きだと言われて、自分が王であることも忘れた。
あんなに激しく愛し合って、もう、手放せるはずもない。
しかし、傍に置くということは、妃として必然的に重責を背負わせてしまうことになる。加えて、この先ずっと女神として存在することの重荷。
あの子に責任を負わせたくない。あの、あどけない笑顔も、まっすぐな眼差しも、雑念のない言葉も、そのままでいて欲しい。辛い事からも、汚い世の中からも、遠ざけて・・・・。
しかし、それは無理だ。
どうするべきか、ずっと考えていたのだ。
バタン!と、執務室の扉が開く。
本来、王が居る執務室で、そんな扉の開け方をしたら、国によっては即座に死刑かもしれない。
そんなことは露ほどにも考えた事の無いサラは、ズカズカと執務室に突入してくる。
「アーサー!」
全員、その前代未聞の状況を見守る。
サラは、アーサーの目の前まで来ると、怒った顔で告げた。
「私は、このお城を出て行くわ!」
ゴードンは思った。このジャジャ馬を教育するのは骨が折れそうだ。と。
先に、冷静さを取り戻したのはアーサーだった。
「その軽率な言動を、なんとかしないか。城を出て行くことは容認できない。」
ちょっと声が裏返ってゴードンが続ける。
「まったくです!あなたは女神なのですぞ!ここから出て行くなどと。」
サラは腰に手を当てて、偉そうに言う。
「その女神様が決めたの!これから、魔術師団の所でお世話になるわ!」
アーサーとゴードンは、キョトンとする。
「魔術師団だと?」
「そうよ!考え無しで軽率で?何にも解って無い女神様は、この国の事を理解するために、魔法省に行くわ!」
その言葉に、ゴードンがニヤリと笑い、先に答える。
「良いお心がけですな!それでは、さっそく、わたくしから魔法省へ連絡しましょう。魔法だけではなく、国の全てを学んでいただきたいですね。」
そうゆうことになった。
翌日、魔法省に行くことになった。
テルマさんは、荷造りでバタバタしていた。
サラは決意する。
魔法省に行って、色々な事を学ぼう。その次は、地理。それから騎士団。それから法務省。政治。
そんな事を考えてから、夜空を見上げる。
この国の星空は、本当に綺麗。
星が落ちてきそうとは、こうゆう事なのかと思う。
暫くは、アーサーと会えないのかなと思うと寂しい。
アーサーは怒っているだろうか?呆れただろうか?
お願いだから嫌いにならないで欲しい。
あなたが好きだよ。傍に居させて欲しい。
ダメだと言われても、無理だったとしても、
あなたの隣に立つために、努力したい。
不可能を可能にしたい。
人間、死ぬ気でやれば何とかなるはず!
王妃というのは、同じ人間がしていることだ。だから、私にだって出来るはずなんだ。
必死に自分を鼓舞して、前に進むより他に無かった。
それが、今の私にできる精一杯だった。
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