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後日談・番外編
【番外】娘と鳥と、謎の青年
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それが「異世界トリップ」というものであることを、私は最初から知っていた。
「ひあ!?」
「――!?」
ばふ!
胃が持ち上がるような落下の感覚があって、一瞬、気が遠くなった。
――七緒
名前を呼ばれたような気がして、目を開けた。
誰かの胸の上にうつぶせになっている。その誰かの黒い服の上に、私の着ている白地の浴衣の袖が重なっていた。
おそるおそる視線を上げる。詰め襟に、ライオンの顔みたいなマークのエンブレム。
さらに視線を上げて、私はポカンとしてしまった。
私よりたぶんちょっとだけ年上くらいの、濃い青の瞳の青年だった。綺麗なあごのライン、すっきりした鼻筋、形の良い唇。
彼は驚いた顔のまま言う。
「△△? ※○☆×?」
何を言ってるのかわからない。英語じゃないみたい。
青年は、昔の学生みたいな帽子をすっぽりかぶっている。髪の色は見えないけど、とにかく、文句ナシに、すっごくカッコ良かった。
「うわぁ、王子様だ……」
思わずつぶやく。
青年は、パッと笑顔になった。そして、自分を指さして言った。
「オット! オット!」
「へ?」
何で「夫」?
はっ。これはまさか、異世界トリップファンタジーの王道では? 王子様の上に落っこちて、妻になれって言われるアレ!
ぎょぎょっ、気がついたらここはベッドの上じゃないの!
私はマッハで彼の上から降り、ざざざと後ずさって壁に背中をつけた。文庫に結んだ山吹色の帯が、壁と背中に挟まれてつぶれる。
あっ、カザプカがいない! 私を連れてトリップしといてどこ行ったのよ!?
てっきりマミちゃんのいる所に連れてってくれるんだと思ったのに!
そこでやっと、部屋の全景が目に入った。
……王子様の部屋にしては、質素ね……。
板張りの壁と床、梁の見える天井、極めつけは土間に鉄のストーブ。
すぐ横の窓からは馬小屋みたいなものが見え、その向こうは草原らしい。
の、農家の王子様?
彼はベッドから足をおろして座り、こちらをニコニコと見ている。詰め襟の上着は、裾が少し長めの学生服みたいな感じで、ズボンも靴も黒だった。
もしかしたら、王子様パターンじゃなくて騎士様パターンなのかもしれない。
青年は、洗練された動作で立ち上がった。玄関らしいドアに近づいて開けると、私の方を向いて手を軽く振る。外へどうぞ、みたいな感じ。
私はおそるおそる彼に近づくと、ドアの外へ足を踏み出した。
ドアはさっきの馬小屋とは反対の方に開いていて、目の前には草を踏み分けたような小道がある。小道を目でたどっていくと、だんだん家が増え、向こうの方は街になっていた。ここは街のはずれらしい。
そして、街の向こうは丘になっていて、丘の上に小さな美しいお城があった。
アイボリーの壁が目に優しくて、三角屋根の尖塔がいくつかある。
私が見とれていると、馬のいななきのような声が聞こえた。
振り向くと、さっきの王子様が、カモシカみたいなインパラみたいな動物の手綱を引いて、馬小屋から出したところだった。ひらりと一動作でまたがる。
やっぱり見とれていると、彼は私を見ながら自分の前を指さした。
ええ? 王子様の前に乗れって? 何で?
私が躊躇していると、彼はお城を指さしてこう言ったのだった。
「マミ、アッチ」
は……恥ずかしい……。
私は青年と一緒に、さっきのカモシカみたいな動物の背に揺られて街の中を進んでいた。浴衣姿なので、引っ張り上げてもらって横向きに座っている。
異世界で浴衣なんて、絶対目立つだろうなーああイヤ……と思っていたら、街道を行く人々はみんなすごく奇抜な格好をしていた。身体や服に動物の耳や翼をつけたり、風船やリボンをつけたり、仮面をつけてる人もいる。街路には電飾が張り巡らされていて、どう見てもお祭りだ。
偶然だな、私もお祭りに行こうと思って浴衣を着込んでたんだよね。叔母の小彩(彩姉)が十六歳のお祝いに買ってくれて、用事があって彩姉の所に行くからお披露目を、と思って……。
まあ、その前後になんだかんだあって、トリップしちゃったんだけど。
私はちょっと色々と思いだしながら、桔梗の柄の入った浴衣の袖を引っ張っていた。
お城の入り口は、蔦の絡まる瀟洒な銀色の門になっていた。
門の前に兵隊さんみたいな人がいて、青年と全く同じ格好をしていた。あれ、兵隊さんの制服なんだ。じゃあこの青年も兵隊さん?
青年がその人になにやら話しかけてる間に、私はちょっと辺りを見回した。
すると、門柱の上に、見覚えのある大きな白い鳥が。カザプカだ。
「カズ! もう、どこ行ってたのっ」
私が突然大きい声を出したので、青年も兵隊さんもびっくりしてこっちを見てる。
青年は門柱を見上げ、ああ、という顔をしたけど、兵隊さんは私たちと門柱を見比べて不思議そうな顔をしていた。どうもこの子が見えてないらしい。
カザプカは大きく羽ばたくと、私の腕の中に飛び込んできた。大きさの割に軽いんだよね、この子。
「――の娘さんだよ、この女の子」
そのとたん急に、青年が兵隊さんに話しかけている言葉がわかるようになった。
腕の中を見ると、カザプカがこちらを見上げている。ああ、この子のおかげか。
「はい、星心印」
青年が私の左手をひょい、と取って、兵隊さんに見せた。
いつのまにか、左手の薬指に不思議な文字が刻まれている。あ……私の名前だ、これ。一目でわかった。
あっさり、お城の中に入れた。さっきので身分証明になったらしい。
綺麗に手入れされたアプローチを歩きながら、青年をちらっと見ると、ニコッと笑いかけてくれる。
ちょっと不思議な雰囲気の人だ……カザプカが見えてるみたいだし、なんて言うか、この鳥と同じにおいがする。
渡り廊下をいくつか渡り、お城のかなり奥まで来た。高い天井に、二人分の足音が響く。
突き当たりの両開きのドアが開いていて、中から数人の話し声が聞こえていた。
青年はその部屋の前で立ち止まり、
「びっくりさせてやろうっと」
とつぶやくと、私にウィンクして言った。
「ここで、ちょっとだけ待ってて」
そして、一人で中へ入っていった。
私は腕の中のカザプカと、顔を見合わせた。
「お帰りなさい。いいですね、似合ってますよ」
落ち着いた、静かな男性の声に、青年が応える。
「ありがとう。制服の場所、すぐにわかったよ」
「非番だからって、制服を他人に貸していいのか? 護衛士が」
今度は渋い男性の声が、ちょっと茶化すように言う。
「護衛士は王子を守るのが仕事だから、王子のためになることならいいんじゃないですか」
また違う声。笑い含みだけど、涼やかな感じの。
青年の声が応えた。
「護衛士の振りしてれば、街の人に色々突っ込まれずに小梅とお祭りデートできるかなって思ったんだけど……実は、意外な人に会ったから連れてきちゃったんだ。小梅は?」
マミちゃんの名前が聞こえて、心臓の音がだんだん大きくなる一方で、私はその単語を聞き逃さなかった。
この若い青年とデート……だとう!?
青年が、ドアからひょっこり顔を出した。
「ナナ、もうすぐ……あ、来た」
彼の視線を追って振り向くと、廊下の先で人影が足を止めたところだった。こちらを見ている瞳が見開かれ、口元を両手で押さえるようにして、つぶやく。
「七緒……!」
私はカザプカをそっと降ろしてから、一直線に人影に向かって走り出した。
「マミちゃん!!」
私は真っ直ぐ、数年ぶりに会う母親の胸に飛び込んだ。
ずっと、手紙のやり取りはしていたので、こちらの世界の様子は知っていた。でも本当は、そんなのどうでも良かったんだ。
マミちゃんの笑顔が見たくて、私の笑顔を見せたくて。それが一番の望みだったんだ。
でもいざ再会したら、二人ともぼろぼろに泣いてしまって、それどころじゃなかったよ。
さて。知らない場所に来たという緊張感から、マミちゃんよりも私の方が立ち直りが早くて、色々周りの男性陣の話を聞いたところによると。
「オージ殿下、もしかしてナナオは殿下のことを知らないのでは?」
「えー? でも、会った時に僕を見て『オージ』って言ったよ? それに僕もちゃんと日本語で言ったし。ナナの『オット』だって」
「……それを言うなら『オトート』」
「あれ? 先生、じゃあ『オット』ってどういう意味?」
「夫婦の、男の方」
「あっ、そうか。それじゃ、僕はナナの『オトート』で、小梅の『オット』になるオージです、が正解?」
「それって決定なのか?」
マミちゃん。色々と私に話してないことがあるようだね?
私の肩におでこをつけてまだグスングスンやっているマミちゃんを、私は後でがっつり問い詰めてやることに決めたのだった。
【娘と鳥と、謎の青年 完】
というわけで、『美しい娘と白い鳥』の続編であるのと同時に、『パラレル王子編』の続編でもあるお話でした。
「ひあ!?」
「――!?」
ばふ!
胃が持ち上がるような落下の感覚があって、一瞬、気が遠くなった。
――七緒
名前を呼ばれたような気がして、目を開けた。
誰かの胸の上にうつぶせになっている。その誰かの黒い服の上に、私の着ている白地の浴衣の袖が重なっていた。
おそるおそる視線を上げる。詰め襟に、ライオンの顔みたいなマークのエンブレム。
さらに視線を上げて、私はポカンとしてしまった。
私よりたぶんちょっとだけ年上くらいの、濃い青の瞳の青年だった。綺麗なあごのライン、すっきりした鼻筋、形の良い唇。
彼は驚いた顔のまま言う。
「△△? ※○☆×?」
何を言ってるのかわからない。英語じゃないみたい。
青年は、昔の学生みたいな帽子をすっぽりかぶっている。髪の色は見えないけど、とにかく、文句ナシに、すっごくカッコ良かった。
「うわぁ、王子様だ……」
思わずつぶやく。
青年は、パッと笑顔になった。そして、自分を指さして言った。
「オット! オット!」
「へ?」
何で「夫」?
はっ。これはまさか、異世界トリップファンタジーの王道では? 王子様の上に落っこちて、妻になれって言われるアレ!
ぎょぎょっ、気がついたらここはベッドの上じゃないの!
私はマッハで彼の上から降り、ざざざと後ずさって壁に背中をつけた。文庫に結んだ山吹色の帯が、壁と背中に挟まれてつぶれる。
あっ、カザプカがいない! 私を連れてトリップしといてどこ行ったのよ!?
てっきりマミちゃんのいる所に連れてってくれるんだと思ったのに!
そこでやっと、部屋の全景が目に入った。
……王子様の部屋にしては、質素ね……。
板張りの壁と床、梁の見える天井、極めつけは土間に鉄のストーブ。
すぐ横の窓からは馬小屋みたいなものが見え、その向こうは草原らしい。
の、農家の王子様?
彼はベッドから足をおろして座り、こちらをニコニコと見ている。詰め襟の上着は、裾が少し長めの学生服みたいな感じで、ズボンも靴も黒だった。
もしかしたら、王子様パターンじゃなくて騎士様パターンなのかもしれない。
青年は、洗練された動作で立ち上がった。玄関らしいドアに近づいて開けると、私の方を向いて手を軽く振る。外へどうぞ、みたいな感じ。
私はおそるおそる彼に近づくと、ドアの外へ足を踏み出した。
ドアはさっきの馬小屋とは反対の方に開いていて、目の前には草を踏み分けたような小道がある。小道を目でたどっていくと、だんだん家が増え、向こうの方は街になっていた。ここは街のはずれらしい。
そして、街の向こうは丘になっていて、丘の上に小さな美しいお城があった。
アイボリーの壁が目に優しくて、三角屋根の尖塔がいくつかある。
私が見とれていると、馬のいななきのような声が聞こえた。
振り向くと、さっきの王子様が、カモシカみたいなインパラみたいな動物の手綱を引いて、馬小屋から出したところだった。ひらりと一動作でまたがる。
やっぱり見とれていると、彼は私を見ながら自分の前を指さした。
ええ? 王子様の前に乗れって? 何で?
私が躊躇していると、彼はお城を指さしてこう言ったのだった。
「マミ、アッチ」
は……恥ずかしい……。
私は青年と一緒に、さっきのカモシカみたいな動物の背に揺られて街の中を進んでいた。浴衣姿なので、引っ張り上げてもらって横向きに座っている。
異世界で浴衣なんて、絶対目立つだろうなーああイヤ……と思っていたら、街道を行く人々はみんなすごく奇抜な格好をしていた。身体や服に動物の耳や翼をつけたり、風船やリボンをつけたり、仮面をつけてる人もいる。街路には電飾が張り巡らされていて、どう見てもお祭りだ。
偶然だな、私もお祭りに行こうと思って浴衣を着込んでたんだよね。叔母の小彩(彩姉)が十六歳のお祝いに買ってくれて、用事があって彩姉の所に行くからお披露目を、と思って……。
まあ、その前後になんだかんだあって、トリップしちゃったんだけど。
私はちょっと色々と思いだしながら、桔梗の柄の入った浴衣の袖を引っ張っていた。
お城の入り口は、蔦の絡まる瀟洒な銀色の門になっていた。
門の前に兵隊さんみたいな人がいて、青年と全く同じ格好をしていた。あれ、兵隊さんの制服なんだ。じゃあこの青年も兵隊さん?
青年がその人になにやら話しかけてる間に、私はちょっと辺りを見回した。
すると、門柱の上に、見覚えのある大きな白い鳥が。カザプカだ。
「カズ! もう、どこ行ってたのっ」
私が突然大きい声を出したので、青年も兵隊さんもびっくりしてこっちを見てる。
青年は門柱を見上げ、ああ、という顔をしたけど、兵隊さんは私たちと門柱を見比べて不思議そうな顔をしていた。どうもこの子が見えてないらしい。
カザプカは大きく羽ばたくと、私の腕の中に飛び込んできた。大きさの割に軽いんだよね、この子。
「――の娘さんだよ、この女の子」
そのとたん急に、青年が兵隊さんに話しかけている言葉がわかるようになった。
腕の中を見ると、カザプカがこちらを見上げている。ああ、この子のおかげか。
「はい、星心印」
青年が私の左手をひょい、と取って、兵隊さんに見せた。
いつのまにか、左手の薬指に不思議な文字が刻まれている。あ……私の名前だ、これ。一目でわかった。
あっさり、お城の中に入れた。さっきので身分証明になったらしい。
綺麗に手入れされたアプローチを歩きながら、青年をちらっと見ると、ニコッと笑いかけてくれる。
ちょっと不思議な雰囲気の人だ……カザプカが見えてるみたいだし、なんて言うか、この鳥と同じにおいがする。
渡り廊下をいくつか渡り、お城のかなり奥まで来た。高い天井に、二人分の足音が響く。
突き当たりの両開きのドアが開いていて、中から数人の話し声が聞こえていた。
青年はその部屋の前で立ち止まり、
「びっくりさせてやろうっと」
とつぶやくと、私にウィンクして言った。
「ここで、ちょっとだけ待ってて」
そして、一人で中へ入っていった。
私は腕の中のカザプカと、顔を見合わせた。
「お帰りなさい。いいですね、似合ってますよ」
落ち着いた、静かな男性の声に、青年が応える。
「ありがとう。制服の場所、すぐにわかったよ」
「非番だからって、制服を他人に貸していいのか? 護衛士が」
今度は渋い男性の声が、ちょっと茶化すように言う。
「護衛士は王子を守るのが仕事だから、王子のためになることならいいんじゃないですか」
また違う声。笑い含みだけど、涼やかな感じの。
青年の声が応えた。
「護衛士の振りしてれば、街の人に色々突っ込まれずに小梅とお祭りデートできるかなって思ったんだけど……実は、意外な人に会ったから連れてきちゃったんだ。小梅は?」
マミちゃんの名前が聞こえて、心臓の音がだんだん大きくなる一方で、私はその単語を聞き逃さなかった。
この若い青年とデート……だとう!?
青年が、ドアからひょっこり顔を出した。
「ナナ、もうすぐ……あ、来た」
彼の視線を追って振り向くと、廊下の先で人影が足を止めたところだった。こちらを見ている瞳が見開かれ、口元を両手で押さえるようにして、つぶやく。
「七緒……!」
私はカザプカをそっと降ろしてから、一直線に人影に向かって走り出した。
「マミちゃん!!」
私は真っ直ぐ、数年ぶりに会う母親の胸に飛び込んだ。
ずっと、手紙のやり取りはしていたので、こちらの世界の様子は知っていた。でも本当は、そんなのどうでも良かったんだ。
マミちゃんの笑顔が見たくて、私の笑顔を見せたくて。それが一番の望みだったんだ。
でもいざ再会したら、二人ともぼろぼろに泣いてしまって、それどころじゃなかったよ。
さて。知らない場所に来たという緊張感から、マミちゃんよりも私の方が立ち直りが早くて、色々周りの男性陣の話を聞いたところによると。
「オージ殿下、もしかしてナナオは殿下のことを知らないのでは?」
「えー? でも、会った時に僕を見て『オージ』って言ったよ? それに僕もちゃんと日本語で言ったし。ナナの『オット』だって」
「……それを言うなら『オトート』」
「あれ? 先生、じゃあ『オット』ってどういう意味?」
「夫婦の、男の方」
「あっ、そうか。それじゃ、僕はナナの『オトート』で、小梅の『オット』になるオージです、が正解?」
「それって決定なのか?」
マミちゃん。色々と私に話してないことがあるようだね?
私の肩におでこをつけてまだグスングスンやっているマミちゃんを、私は後でがっつり問い詰めてやることに決めたのだった。
【娘と鳥と、謎の青年 完】
というわけで、『美しい娘と白い鳥』の続編であるのと同時に、『パラレル王子編』の続編でもあるお話でした。
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