今日もダンジョンでレベルアップ!貧乏無課金でも金持ちを蹴散らし、ざまぁ復讐そしてハーレムを作る!?

まめたろう

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9章「使役モンスターの更なる進化」

第91話「首輪と報告書(司視点)」

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#第91話「首輪と報告書(司視点)」

(少し話はさかのぼります)

 先日、父から初めて真正面から殴りつけるような言葉を受けた。本当にむかついた。

「このまま結果が出ないならクランは解散。当面の予算は打ち切り。これからは報告書なしに一切の支出は認めない」

 ――首輪。そんな単語が自然に浮かんだ。
 父から信用されていない。本当にむかつく。喉の奥が焼けるみたいに熱くなるのを感じた。何でここまで言われなきゃならない?

 そして追い打ちだ。相談役が付くらしい。これがまた面倒くさい男だった。
 現れたのはスーツに地味なネクタイの男。名は石動慎一(いするぎ しんいち)。低い声、抑揚が少ない。

「司さん、報告書の期限はすぐです。最初の一枚でも今日中に仕上げてください」

 くそっ、こいつは初対面でいきなり命令かよ。だが出さなければ金が下りないのも事実だ。こいつの言うことは間違っていない。結局、俺は机に向かった。

 報告書――とりあえず考え付くことを並べた。

・俺に一億円を。そのお金で短期でレベル6にレベリングする。
・メンバーのレベル3を4へ引き上げるため発破をかける。そのために三階層で頑張らせる。
・強くなった実績でスポンサーを付ける。

 うん。完璧だ。これで俺のクランは強くなる。こいつもぐうの音も出ないだろう。

 とりあえず相談役の石動に報告書を提出した。

「おい、これでどうだ。完璧だろう」

「ありがとうございます。確認させていただきます」

 石動は無表情で読み、溜息をひとつ。
「司さん、全く駄目です。全部書き直しです。話になりません」

「は?何が悪いというんだ?完璧な報告書だろうに」

「何が悪いと言えば……まあ、全てですね。とりあえず、司さんのレベリング予算は完全に却下。優先順位が完全に逆です」

「何様のつもりだ。指図する権限が――」

「私は全権を預かっています。御影社長から。場合によっては司さんを私が切ることも可能です」

「何を勝手なことを!」

 喉が詰まった。つまり、俺はこいつの言うことを聞くしかない?そうしないとクランは解散させられるのか?なんでこんな奴のいいなりにならないといけないんだ!

 その後、石動は語り始めた。

「最優先は司さん以外のメンバーをレベル4に到達させることです。それも最短で。ただしレベリングはしない方がいいでしょう。それでは実戦の力が身に付きません」

「だから俺の案通りだろ。最初の一億の話を引けば同じ話だろうに――」

「全く違います。あなた自身が“機能するリーダー”になってメンバーのレベルを引き上げる。これからは毎日、ダンジョンに入ってください。そして計画的にメンバーの実力を高めてください」

「は? 毎日って何の冗談だ。今のご時世、週休3日は必要だろ、お前は何を言っているんだ?」

 石動は二度目の溜息を吐いた。
「はぁ、どうしようもないですね、司さん。どこの常識の話をしているのか知りませんが、いつの時代もリーダーに休みがないのは当たり前ですよ。社長も毎日仕事されています」

「しかも、レベル3で踏ん張ってるメンバーは日中働いて、空き時間にダンジョンに潜っています。いうなれば、彼らもほぼ毎日仕事しているのです。
 ――あなたの部下の方が、あなたより働いている。こんな馬鹿な話はありません。リーダーは“メンバー以上”に働くのが当然です。だからこそ信用して人が付いてくるのですよ」

「ふざけるな。指示を出すのがリーダーだ。働くのはメンバーだろ。何でリーダーがメンバー以上に働くんだよ。無茶を言うな!」

「あなたの理想のリーダー像は分かりました。でもそれは世の中の優秀なリーダーとは全く異なります。リーダーが引っ張るからこそメンバーは動く。働かず命令だけするリーダーの組織はすぐに崩壊します。あなたが前に立って“最低基準”を作る必要があります」

 石動は端末を俺のほうへ滑らせる。そこには修正指示が箇条書きになっていた。

・最低でも週6以上はダンジョンに潜る(各日最低3時間)。
・何らかの武術を身に付ける(毎日3時間以上のトレーニング)
・最優先はメンバーのレベルアップ(レベル3⇒レベル4を優先)
・3か月後にメンバーの最低1人はレベル4に引き上げる
・可視ログ(入退場時刻・討伐数・撤退判断)を毎日提出。
・武術の稽古状況を1週間に一度以上レポート提出。
・相談役との朝ミーティング8時から毎日15分
・メンバーとのミーティング(当日アジェンダ:目標体数/撤退基準/担当役割の確認など)。

「いきなり毎日は無理でしょうからまずは軽めで。とりあえず週6、ダンジョンとトレーニングで最低6時間稼働にしておきましょう――ここまでやるなら、予算は段階的に出します。やらないならゼロですね」

 喉の奥で笑ってやった。
「……折衷案だ。週5で潜るで報告書を出す。それでどうだ?」

「はぁ。分かりました。どうぞ。ただしそれぞれの数字は残ります。結果が出なければ予算が通らなくなりますのでそのおつもりで。最低でも3か月後にレベル4の人間を1人出す。そして司さんが一定レベルの武術を身に付ける。この最低目標を忘れないでくださいね」


 再提出した報告書は、石動があっさり通した。まあ石動が提示した内容をほぼそのまま写したのだから当然と言えば当然か。
 必要経費も、最低限だが下りた。これでまずは遊びに行くか。
 ――これでうまくいく。俺はそう思った。

 週5潜ると書いたが、こんなものはどうにでもごまかせるだろう。
 この中では朝のミーティングが一番面倒だな。早起きする必要があるが……これは形だけやっていればいい。ログも適当にごまかしてやる。
 あとは発破をかけて誰かをレベル4にすればそれで終わりだ。

 石動 慎一――相談役。
 名前は覚えた。報告書案をこいつに適当に作らせればあとはすんなり通るだろう。相談役など最初は嫌だと思ったが、面倒な報告書を作ってくれる人間だと思えば悪くない。うまくこき使ってやる。
 
 さすが俺だな。やっぱりトップに立つのは俺のような人間だ。
 そう、この時の俺はこれで全てうまくいくと思っていた。
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