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11章「世間の評価とリーダー論」
第113話「リーダーはく奪その2(司視点)」
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#第113話「リーダーはく奪その2(司視点)」
俺は昼飯のあとが一番好きだ。うとうとと昼寝するのもいい。だがな、俺ほどになると違う。様々な時間の使い方がある。
今日の昼食後はソファに横になってポテチをぽりぽり、親指でスマホをはじいてゲーム三昧だ。レベリング人材申請の仕事は終わった。受付がおかしなことを言っていたがほぼ完璧だ。一仕事終えた後のこのひとときは最高だ。あとはハンターの世界でトップを目指すのみ。もちろん、そのリーダーは俺だ。
そして俺は現実世界だけでなくゲームの中でもトップだ。
ゲームのイベント周回は単純作業で面倒だが、俺は課金でだけでクリアだ。面倒なことをする必要がない選ばれた人間。
ふふふ、ゲームランキングの“王冠“がまぶしいぜ。俺は選ばれし者なんだ——それは現実世界でも同じ。面倒なことは金を出して他の人間にやらせればいいだけだ。これで完璧だ。
そんな俺の楽しい時間を邪魔する奴がきた。なんと石動はノックもなくドアを開けてきやがった。本当に失礼な奴だな。
そして硬い声で言い放ちやがった。
「司さん。残念ながら“1か月”の期間さえも不要でしたね。——リーダー降格、これはもう決定事項になりました」
「は? 何言ってんだお前。約束は“1か月でレベル4を1人出す”だろ。話が違う。相談役とかで偉そうにするなら、せめて約束ぐらい守れよ!」
「はぁ。司さんは本当に困った人ですね。目的を達成しようとする努力だけは認めましょう。でも、そのためにカード限度額まで借りて借金で資金を作る——は、論外です。しかも相談役への相談なし、計画なし。リーダー降格は言うまでもありません」
「何言っているんだ目的に至る手段なんてどうだっていいだろ! 結果が出りゃ全て正義だ! 例えばビジネスするにしたって借金はするだろう。その後で結果が出れば全て大丈夫なはずだ!」
「ビジネスの借り入れは“計画”と“信用”が前提です。きちんとした事業計画があるからこそ銀行はお金を貸すのです。一方で司さんには計画も信用もありません。使っているのは“社長の信用”だけ、そこに何ら実力はありません。もちろんその後の計画性もゼロ、擁護する部分は皆無です」
くそ。こいつ、言葉の刃で切ってくるタイプだ。理詰めでくるからやりにくい。そして話が難しすぎる。こうやってもっともらしいことを言ってごまかすとか酷い奴だ。
「——ふざけんな。ならお前は相談役から解任だ! お前はもういらん。出ていけ。俺は俺のやり方でやる」
「それはできません。私は“社長の命”で動いています。私の言葉はそのまま社長の言葉、命令だと思ってください。なので私の決定に文句があるなら社長に直接どうぞ言ってください。社長が私を解任すると言えばそうなりますが、司さんの言葉では何も動きません」
「そしてリーダー交代は本日付です。夕方6時に会議室にて、佐藤くんのリーダー就任ミーティングを行います。だから出席だけはお願いしますね。出席しなかったらクランからの追放となりますのであしからず」
「……!」
喉の奥で言葉がからんだ。石動の命令がそのまま親父の命令だとすれば俺にはどうしようもない。
しかもクランからの追放だと?そんなことになったら、俺は本当にどうしようもないじゃないか。こいつは俺のこれまでの努力をどうしてくれるんだ!でも石動はさらに、淡々と追い打ちをかけてきた。
そうそう社長からの伝言もあります——『クレジットカードは全て止めた。銀行カードも止めた。今後の小遣いは現金手渡しのみだ。小遣いは月3万。あとは自分で何とかしろ』とのことです。
「はぁ? ふざけるなよ親父。そんなはした金でどうやって生活しろってんだ」
「“勝手に借りる”生活は、今日で終わりです。お金が欲しかったら働いてください。これは一般常識で当たり前の話です」
石動はそう言い捨てて踵を返していった。閉まるドアの音がやけに静かだった。
——くそ、なんてことを。石動はああ言えばこう言うの典型じゃねぇか。そこに正義は何もない。俺の何が悪い。結果がすべてだろ。手段なんてどうだっていいだろうに。細かいことにこだわりやがって。
ポテチの袋を握りつぶす。塩の粉が指に張り付く。スマホ画面の王冠が、急に安っぽく見えた。
とりあえずリーダー降格が決まってしまった。今後はどうする。かなり悔しいがミーティングにはとりあえず出なくはいけない。出ないとクランからの追放まで言われてしまったからこれは決定事項だ。これで俺はもう終わりなのか?
いや、大丈夫だ。まだ終わりじゃない。さすが俺だ、いいことを考えた。表のリーダーが誰でも影から操ればいいだけじゃないか。
佐藤なら真面目でおとなしく従順だから操縦しやすいし丁度良い。指示役は俺、看板はあいつ。不満は多少なりともあるが、これでクランの実権は守れる。そして後からリーダーに返り咲いたらいい。うん、計画はこれで完璧だ。
仕方がない。とりあえず今はこれで妥協してやろうじゃないか。石動よ、今に見ておけ。今に俺が実権を取って首にしてやるからな。
——って、でも腹が立つな。自由に使える金がほとんどねぇ。せっかくクレジットの限度枠まで銀行口座に引き出した金も銀行カードを止められたことで使えなくなってしまった。俺の金なのに、みんなして勝手しやがって。
クランは影で実権を握るということで決まった。でも金はどうする。胸の奥がざわつく。
そしてゲームの通知がぴこぴこと鳴った。
ゲームランキングの“王冠“は輝かしく光っているのに、現実では俺からリーダーの“王冠”が外されてしまった。まだ大丈夫のはずだが不安な気持ちで一杯になった。
俺は昼飯のあとが一番好きだ。うとうとと昼寝するのもいい。だがな、俺ほどになると違う。様々な時間の使い方がある。
今日の昼食後はソファに横になってポテチをぽりぽり、親指でスマホをはじいてゲーム三昧だ。レベリング人材申請の仕事は終わった。受付がおかしなことを言っていたがほぼ完璧だ。一仕事終えた後のこのひとときは最高だ。あとはハンターの世界でトップを目指すのみ。もちろん、そのリーダーは俺だ。
そして俺は現実世界だけでなくゲームの中でもトップだ。
ゲームのイベント周回は単純作業で面倒だが、俺は課金でだけでクリアだ。面倒なことをする必要がない選ばれた人間。
ふふふ、ゲームランキングの“王冠“がまぶしいぜ。俺は選ばれし者なんだ——それは現実世界でも同じ。面倒なことは金を出して他の人間にやらせればいいだけだ。これで完璧だ。
そんな俺の楽しい時間を邪魔する奴がきた。なんと石動はノックもなくドアを開けてきやがった。本当に失礼な奴だな。
そして硬い声で言い放ちやがった。
「司さん。残念ながら“1か月”の期間さえも不要でしたね。——リーダー降格、これはもう決定事項になりました」
「は? 何言ってんだお前。約束は“1か月でレベル4を1人出す”だろ。話が違う。相談役とかで偉そうにするなら、せめて約束ぐらい守れよ!」
「はぁ。司さんは本当に困った人ですね。目的を達成しようとする努力だけは認めましょう。でも、そのためにカード限度額まで借りて借金で資金を作る——は、論外です。しかも相談役への相談なし、計画なし。リーダー降格は言うまでもありません」
「何言っているんだ目的に至る手段なんてどうだっていいだろ! 結果が出りゃ全て正義だ! 例えばビジネスするにしたって借金はするだろう。その後で結果が出れば全て大丈夫なはずだ!」
「ビジネスの借り入れは“計画”と“信用”が前提です。きちんとした事業計画があるからこそ銀行はお金を貸すのです。一方で司さんには計画も信用もありません。使っているのは“社長の信用”だけ、そこに何ら実力はありません。もちろんその後の計画性もゼロ、擁護する部分は皆無です」
くそ。こいつ、言葉の刃で切ってくるタイプだ。理詰めでくるからやりにくい。そして話が難しすぎる。こうやってもっともらしいことを言ってごまかすとか酷い奴だ。
「——ふざけんな。ならお前は相談役から解任だ! お前はもういらん。出ていけ。俺は俺のやり方でやる」
「それはできません。私は“社長の命”で動いています。私の言葉はそのまま社長の言葉、命令だと思ってください。なので私の決定に文句があるなら社長に直接どうぞ言ってください。社長が私を解任すると言えばそうなりますが、司さんの言葉では何も動きません」
「そしてリーダー交代は本日付です。夕方6時に会議室にて、佐藤くんのリーダー就任ミーティングを行います。だから出席だけはお願いしますね。出席しなかったらクランからの追放となりますのであしからず」
「……!」
喉の奥で言葉がからんだ。石動の命令がそのまま親父の命令だとすれば俺にはどうしようもない。
しかもクランからの追放だと?そんなことになったら、俺は本当にどうしようもないじゃないか。こいつは俺のこれまでの努力をどうしてくれるんだ!でも石動はさらに、淡々と追い打ちをかけてきた。
そうそう社長からの伝言もあります——『クレジットカードは全て止めた。銀行カードも止めた。今後の小遣いは現金手渡しのみだ。小遣いは月3万。あとは自分で何とかしろ』とのことです。
「はぁ? ふざけるなよ親父。そんなはした金でどうやって生活しろってんだ」
「“勝手に借りる”生活は、今日で終わりです。お金が欲しかったら働いてください。これは一般常識で当たり前の話です」
石動はそう言い捨てて踵を返していった。閉まるドアの音がやけに静かだった。
——くそ、なんてことを。石動はああ言えばこう言うの典型じゃねぇか。そこに正義は何もない。俺の何が悪い。結果がすべてだろ。手段なんてどうだっていいだろうに。細かいことにこだわりやがって。
ポテチの袋を握りつぶす。塩の粉が指に張り付く。スマホ画面の王冠が、急に安っぽく見えた。
とりあえずリーダー降格が決まってしまった。今後はどうする。かなり悔しいがミーティングにはとりあえず出なくはいけない。出ないとクランからの追放まで言われてしまったからこれは決定事項だ。これで俺はもう終わりなのか?
いや、大丈夫だ。まだ終わりじゃない。さすが俺だ、いいことを考えた。表のリーダーが誰でも影から操ればいいだけじゃないか。
佐藤なら真面目でおとなしく従順だから操縦しやすいし丁度良い。指示役は俺、看板はあいつ。不満は多少なりともあるが、これでクランの実権は守れる。そして後からリーダーに返り咲いたらいい。うん、計画はこれで完璧だ。
仕方がない。とりあえず今はこれで妥協してやろうじゃないか。石動よ、今に見ておけ。今に俺が実権を取って首にしてやるからな。
——って、でも腹が立つな。自由に使える金がほとんどねぇ。せっかくクレジットの限度枠まで銀行口座に引き出した金も銀行カードを止められたことで使えなくなってしまった。俺の金なのに、みんなして勝手しやがって。
クランは影で実権を握るということで決まった。でも金はどうする。胸の奥がざわつく。
そしてゲームの通知がぴこぴこと鳴った。
ゲームランキングの“王冠“は輝かしく光っているのに、現実では俺からリーダーの“王冠”が外されてしまった。まだ大丈夫のはずだが不安な気持ちで一杯になった。
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