今日もダンジョンでレベルアップ!貧乏無課金でも金持ちを蹴散らし、ざまぁ復讐そしてハーレムを作る!?

まめたろう

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14章「新たな仲間と思惑」

第143話「裏の手(鷹見視点)」

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#第143話「裏の手(鷹見視点)」

 ほんと、司さんはおもしろい。いや、正確に言えば――滑稽だ。
 社長の息子とは思えないほどに、どうしようもない愚鈍なクズである。本当に社長の息子なのかと疑うばかりだ。社長の息子ということを抜きにしてもここまでひどい人間はそうはいないだろう。

 “何とかさぼりたい。仕事したくない”というオーラを全身から放っていたから、

「インフルエンザを口実にすれば休めますよ」

「患者に寄り添う医者を知っています」

「もちろん嘘は駄目ですけどね」

 と耳打ちしたら、速攻だった。まるで犬のように食いついてすぐに動いた。
 その瞬間、こいつの扱い方が完全に分かった。本当に正真正銘のダメ人間だから楽な方に誘導すればいいだけだ。自分が楽ができるとなると多少おかしな話でも飛びついてくる。詐欺とかにあう典型的なダメ人間だ。

 本当に社長の息子なのか? 信じられないほど頭が軽い。
 おまけに、あれから一か月もサボり続けている。いくらサボるにも限度ってものがあるだろうに。どこまでこいつは凄いのだ。その胆力だけは認めるべきだろうか。

 さすがにそれ以上サボるのはまずい、下手すればクランから追放されると思っていたら相談しにきた。それぐらいの知恵と空気を読む能力はあるらしい。まあ別にクランを放出されても俺に痛手はない。どうでもいいから放置はしていたのだが。
 それでも一応は相談に来たので俺は少し考え1つの案を出した。

 ――代理の人間を立てるという案だ。

「とりあえず……さすがにそのままクランを休み続けるのはまずいでしょう。そのまま離脱したとして追放される可能性さえもあります。人を雇い代理として派遣してはどうでしょうか。そうすればその貢献でぎりぎり大丈夫かと」

「どういうことだ? 人を雇うなんて金がかかるだろうが。俺は数百万円とか出せないぞ」

 はあ、司さんには本当に困ったものだ。派遣と言えばレベリング人材のことしか頭にない。ハンター業界について少しは知っているようだがその知識は表面だけ、実態はほとんど理解していない。ならば仕方がない、説明をするか。
 そこで俺は、レベル4の人間を派遣することについてその詳細も含めアドバイスしてた。

「4階層でレベリングするならばレベル5相当の実力が必要ですが、3階層での人材育成程度ならレベル4でも全く問題ありません」

「そのレベル4のハンターは4階層での討伐がぎりぎり。そうなると1日中リスクを負って2万円程度がせいぜいです。だから収入を落としてでも3階層で安全に稼いでいる人間が多い。そういう連中なら数時間5000円、1か月30日計算としても15万円程度で雇えます」

 ここまで説明したらようやく納得したようだ。ここまで話する内容のレベルを落として説明するのが面倒くさいが仕方がない。

「でも、その人選はどうするんだ?」

「人選は任しておいてください。伝手はいくらでもありますので。もちろん、しばしのお時間はいただきますが数日のうちに用意できるのでお待ちください」

 司さんには人脈もないだろう。それも読み通りだ。俺の方で人選して派遣する。もちろん、派遣するのは俺の息がかかった人間だがな。
 俺は司さんと話を終えた後、良さそうな人間をピックアップした。さすがにそれなりにできる人間でないとまずいので対象は絞られるが仕方がない。馬鹿を派遣したら司さんと一緒にバカ騒ぎするだけだから駄目だからな。
 そうなると……こいつとこいつあたりか。声をかけよう。

「うまくいけば企業系クランのトップに立てるかもしれん。1日数時間の拘束で月に15万程度は出る。まずはバイト感覚で初めてみないか」

「そんなおいしい話があるのですか?是非やってみたいです。でもレベル3ばっかりなんですね。しょぼいクランのトップですか……」

 普通にレベル4のザコが食いついてきた。とは言えそれなりに頭が回るやつだ。クランの状況を説明したらそんなクランのトップに立っても旨味が無いとやや渋っているっぽい。

「嫌なら他の人間に回すだけだけどいいのか?この依頼は社長の息子からという形になる。人脈にもなるし、恩を売ればその後もおいしい思いもできるかもしれんのにな。せっかく良い話を持ってきたのに残念だな」

「いや、すいません。是非、やらせてください。やります!」

 一応は企業系クランだし社長の息子をうまく乗せておけば楽して稼ぐことができる可能性は高いぞと説明したらやはり食いついてきた。
 まあ即断するしか無い状況にすればたいていはそんなものだ。それなりに頭の回る人間でもこの程度、世の中は馬鹿が多くて楽だ。しかも弱みも握っているから後からどうとでも動かせる。

 これで一応は司さんの顔を立てつつ、現実には派遣した人間にクランの主導権を握らせることができそうだ。クランを掌握してしまえば後は何とでもできる。
 どうするかはその後の状況次第だ。クランを適当に潰すのもありだろう。俺の功績として育てて大きくするのもありだろう。

 育てるとなると短期的には石動の点数にもなる可能性が高いのが難点だが、俺が操る人間が主導権を握ればいろいろ手がある。
 石動のやり方がぬるいから俺が陰から手を打ったということにして俺の功績にするのは無理ではないだろう。ただし石動も遠からず誰がバックにいるのか気が付くだろう。その時にどうするかも考える必要はあるか。

 ともかくこれで司さんにも一応は“恩”を売れた。これで社長筋にも顔が立つ。
 とりあえず陰で動かしていけばいい。

 定期的なチェックは必要だろうが司さんも、クランの連中も、能力はお察しレベル。操るのは簡単な仕事だ。

 ――とはいえ、クズは何をしでかすか分からないのだよな。想像を超える馬鹿をしでかすことも。イレギュラーはそれなりに起きる。だから油断はできない。
 そもそもハンター業界なんて最近できたばかりのもの、この先に何が起こるか誰にも読めない。何があっても問題がないように動く必要はある。それだけは確かだ。

 だからこそ、俺は情報を握る。大きく動くのはその時の風を見てからだ。
 どちらにでも転がせるように――感覚を研ぎ澄ます。
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