今日もダンジョンでレベルアップ!貧乏無課金でも金持ちを蹴散らし、ざまぁ復讐そしてハーレムを作る!?

まめたろう

文字の大きさ
152 / 157
15章「大人の世界と自分の正義」

第150話「大人社会の恐ろしさ」

しおりを挟む
#第150話「大人社会の恐ろしさ」

 定期報告の後、俺はひより、ルナと一緒にクラン『白嶺』のオフィスへ向かった。
 入口をくぐった瞬間、思わず感心する。
 ――おお、まるで普通の会社みたいだ。
 机が並び、資料棚が整理されスタッフらしき人たちが忙しそうにパソコンを操作している。その姿は真剣そのもの。見た目に仕事ができる人達という印象だ。

 『暁の牙』のオフィスはマンションの一室を改装したような雰囲気だったから、随分と印象が違う。
 このあたりはトップの好みの問題なのかもしれないな。俺も将来的にはこういったオフィスを作ることになるのだろうか?それはさすがに気が早すぎか。

 そんなことを考えていると、エリナさんから話しかけられた。
「朝倉さんのことで、何か聞きたいことがあるのよね?」

「はい。ちょっと失礼な話かもしれませんが……どこまで信用していいのか、少し迷っていて」
 俺がそう言うと、ルナが隣で軽くうなずく。

 エリナさんは少し目を細めて、ため息をついた。
「それはルナからの助言かしら?」

「はい、そうです」とルナが答える

「そう……やっぱり、あなたから出た話なのね。でも、そろそろそういった話をしようと思っていたところだから丁度良かった。正直に言うわ。朝倉さんは“信用しない方がいいわよ”」

「えっ?」

 あまりに即答だったので、思わず声が漏れた。
 エリナさんは朝倉さんと一緒にいることが多いから普通に仲間だと思っていた。まさかそんな言葉が返ってくるとは。一体、どういうことなのだろう?

 エリナさんは腕を組み、ゆっくりと言葉を選びながら続けた。
「まず誤解させるといけないから言うけど私は“朝倉さん側”の人間で間違いないわ。詳しくは少しずつ話するけど私は私の考えで彼の側についているの」

「ハンター協会の内部はね、以前少し話をしたかと思うけど大きく二つに分かれているのよ。一つは“企業側”。企業側は自由化を進め、ダンジョンの規制を緩めたい派ということになるわね。そしてもう一つは“公務員側”。公務員側は政府寄りで規制を維持しようとする派ね。そしてこれは朝倉さん側でもある。この2つは様々な点で対立しているけど、どちらが正しいとも言い切れない。そこは個々の判断に委ねられるわね」

 彼女はデスクの端に腰をかけ、視線を少し下げた。
「例えば、企業側が出している案のひとつには“13歳以上、すなわち中学生以上ならダンジョン入場を認めるべき”というものがあるの。早いうちからダンジョンに慣れれば成長が早くなり、安全に討伐ができるようになる、更には子ども向け装備の販売も増え経済も回る。少子化で行き詰まっている日本経済の起爆剤になる。それによって多くの人が救われる。理屈としては理解できるでしょ? 良いこと尽くめだし」

「そうですね。いい案だと思います……いや、でも、それは危険じゃないですか?13歳ではさすがに早すぎると思います。1階層ぐらいまでなら大丈夫かもしれませんが」

「もちろん危険よ。だから公務員側は危険だからダンジョン入場の低年齢化は許されないと否定するわ。でも一理あるから完全には否定できない。そして意見がぶつかる。こうして、理屈と正義がぶつかるのが“ハンター業界の現実”なのよ。他にも企業側は様々な形で自由化を求めているわ。それは一見正しそうに見える提案だけど見極めは慎重にしないと駄目ね」

 エリナさんの声には苦味があった。
「朝倉さん個人が悪いとは思う必要はないわ。でも彼が公務員側の重職にいる以上、政治家など影響力のある人たちの意向を無視できない。それがおかしな意見でもお世話になってきた人ならば賛同しなければいけないケースもあるでしょうね。大人の世界では正義よりも“利害”が優先されることも多いの。札束が飛び交う、そんな汚い世界でもあるの」

「でもその人達も家族があって守るものがある。上の意見がおかしいからと言って簡単に反発すると最悪クビになり大切な家族さえも守れない。そのため基本的には従わざるを得ない。これまでの言動と矛盾していても押し通すケースもある。家族を守るためなら、それを全て否定するのもおかしな話。結局、何が正しいのかなんて誰にも分からないもの。最終的に多少、安易な方向に流れても仕方がないのね。その決断は責められるものでもない」

 俺は息をのんだ。
 ルナが言っていた「大人は自分の正義のために裏切る」という言葉が、頭をよぎる。その正義も多種多様だ。人によって違うのだろう。
 となるとその判断が間違っているとも言い切れない。そしてそのために俺は裏切られる可能性もあるかもしれない。

 でもそんなことを言い出したら俺は誰を信用したらいいのだ?朝倉さんでも信用できないならばエリナさんを信用すればいいのだろうか?
 俺はもしかしてとんでもない世界に入ってきてしまったのだろうか?

 そう思っていたらエリナさんが会話を続けた。それは更に俺に考えを求めるものだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...