285 / 299
イルヴルヴ
12
しおりを挟む大地が割れ、青年の叫び声の中に人々の叫び声と建物の叫び声が混ざる。傷を負い逃げ惑う人々がアシャと聖茄を押しのけて、そして破壊されていく。アシャと聖茄は青年と同じように立ち尽くしていた。
空から風を裂く悲鳴が響いてきて、地響きが起こる。
空を覆い隠すユヤがビルに影を落としながら現れ、緑色に輝く光線が網状から扇状に滑り発射され町を大量の光と砂塵が包む。
町は次々と破壊され、赤い煙と黒い煙が風に攫われていった。
アシャ、聖茄、青年。
彼ら以外の、その場にいた人々も建物も全て消滅した。
「やあ6号。私は3号。叫ぶ者だ。名前はクィネジュ・バラン、よろしく」
「……アシャだ」
「君に名前があったのか」
3号は真っ黒な髪と、真っ黒な瞳に、白い実験服とアンバランスな服装をしていた。彼には黒が似合いそうだ。褐色の肌が特徴的な青年だった。
「噂には聞いていた。君は相当に美しいと。……でも」
細い目から黒い瞳孔が覗く。
「隣の子は聖茄ちゃんかな。君より価値がありそうだ」
「この子は男の子だ」
「なるほど、聖茄くんだったか……」
3号・クィネジュが聖茄に微笑みかけるので、アシャは聖茄を背に隠す。とたん、アシャの後ろから人影が現れ、彼らに声を掛ける。
「3号。貴様はひっこんでいる筈じゃなかったのか」
「……っ!!」
アシャは弾かれるように振り返る。
まったく気配がなかった……。
「予定では俺が6号と子をつくる筈だった。だからわざわざ迎えに行けと命令が下った」
白い肌と、黒い髪、青い瞳が特徴的な美青年だった。
顔立ちはルイスと似ている気がする。ルイスより少し目の端が吊り上がっていて、強い瞳でアシャたちを見ている。
アシャにはその顔の良さが分かる、少しだけ胸を高鳴らせて訳も分からず何となく焦る。
アシャたちのすぐ傍を緑の光線が通り過ぎていく。
アシャは聖茄と共に光線から逃がれようとしたが、それを3号ではない青年がアシャの肩を掴んで止める。
光線はアシャたちの一歩先を通過して行った。
アシャは青年を見上げる。
「俺たちが地上にいる間は、ユヤの攻撃もルートが決められている。俺たちはそれを記憶している。離れるな」
「2号!! 重要な情報を与えてはダメだ!!」
「……こいつは俺の子供を産むと決まっている。ユヤの攻撃で消し飛ばされたら困るだろ」
「困るね……。でも、確かに君は候補に挙げられていたが、私がダメと言うことはないだろう?」
「…………」
悪魔のような瞳でクィネジュを睨み付ける2号。
不服と言いたいのがよく分かる。
「共有する気はない」
「私だってしたくはないさ」
アシャは自分の話を蚊帳の外で話されていることに無性に腹が立った。
「私は君たちと子供など作る気はない」
「…………」
「……………………」
アシャの言葉が届かないのか、冷酷な表情を浮かべて、二人は睨み合う。
――――とたん、同時に地面を蹴り、互いの距離を縮めて。
二人は唇を引き延ばし、口を大きく開ける。
「うおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアおおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアああおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアああぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアあああああぁぁぁぁぁおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアああぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアあああああぁぁぁぁぁおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアああぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアあああああぁぁぁぁぁおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアああぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアあああああぁぁぁぁぁおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアああぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアあああああぁぁぁぁぁおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアああぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああああおおおおおおおああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあああああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアあああああぁぁああアアアアアアアアアアアアアアアアああアアあああああッ!!」
⦅おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ――――…………⦆
二つの声が重なり不協和音が生まれる。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる