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ディーヴァ
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こんな感じのことを考えていたから、彼が次に出す言葉など、思い付きもしなかった。
「結婚とかするわけ?」
「────………………………、……ふぇ!?」
『…………──結婚か……』
譜王の顔が、奏の方へ向いた。フードのせいで表情はよく見えない。
──…………フード邪魔よぉ。
『──……させられることは確かだろうな……』
「え!? ほんとに!? わぁぃ」
『……? 何で喜んでるんだ奏?』
「よ、喜んでましぇん……!!」
『大丈夫か? 顔が赤いぞ奏』
「大丈夫です! 逆に大丈夫すぎです!!」
『なら良かった』
結婚て、どうすればいいのよ勘違いだってわかったのに!!
「そ、奏……やっぱりある病に……っ……ヴッ……」
「──……!! カナタ……!!」
隣で表情を暗くしていたカナタが、力が抜けたかのように奏の上へ倒れかかる。
彼の身体に押され、奏も一緒に地面へ倒れこむ。
「しっかりして……!」
「──ん……ごめん……ゴホッゴホッ……奏……すぐ退くから……」
「う、う、うん手伝うよ……!!」
「お前らはこの戦場の中なぁにいちゃこらいちゃこらとやってんだよ……」
「黙れバカッ!!」
「カナタッ!! 触れるなって言ってんだろッ!!」
奏とカナタがもみ合っているとミドノの怒声が聞こえてくる。奏が叫んだ。
「いちゃこら何てしてないこのバカ!!」
「なんで俺!?」
それに反応したのはラドだった。
自分がバカだと理解しているのか。
ミドノはズボンのポケットへ手を突っ込み、それを引き出した。
──黒く、甲にトゲのある手袋だった。
それを付け、さっき投げ捨てた銃を拾い、あの人に向けた。あの人はそれを見て、しらけた顔をした。
『本気を出せと言ったはずだが……』
「うるせぇんだよ……」
ミドノは先ほど投げ捨てた銃を拾い、銃口から複数の弾を発射させる。
2つの銃の的を譜王に固定し、無数の弾を、当たるまで撃ち続けた。
譜王はそれすべてを軽々と避ける。
譜王はミドノのように武器は持っていない。
なぜなら譜王は身体全部が武器のようなだからだ。
「うっ……ぐぁっ……」
譜王はミドノの右肩に手刀を貫通させ、薙ぎ倒した。その手はミドノから離れた時、ラメのようにキラキラと輝く血で赤く染まっていた。
ミドノは傷を押さえることもなく、血を噴出させたまま立ち上がる。右腕はもはや使い物にならない。それでも立つ彼の姿は、まるで奏とは正反対だった。
「まだ左がある」
『懲りない奴だ……』
ミドノは譜王に、拳を振り上げる。
先ほどの、棘のある手袋を装着したままだ。
だが、あの人はするりとそれを避け、隙あらばミドノの体に拳を入れる。
ミドノはその重圧な拳が急所に入る度、口から赤く輝く血液を吐いた。
ミドノはそれでも揺るがない。
彼は血を見て笑った。
今までの柔らかい笑みでも黒い笑みでもない、それは、あの、狂った笑い。
「アッハッハッハッハ──!! さすがディーヴァの王子だなぁッ!!」
ミドノはあの人に突進する。
あの人は身体を横に反らそうとする──だが……
「どこ行くんだよ……?」
彼の身体が動く方角へミドノの姿は現れた。
────確かに、今まで何度もあった光景だが、それよりも何倍も速い動きで、まるで人間でないかのような、そんな化け物のような動きだった。
ミドノは風のように舞い、彼の肩へ銃を突き付ける。空を刺す銃声が周りの音と紛れ、こちらには何も聞こえなかった。
彼の腕から血飛沫が上がった瞬間、奏たちは息を飲む。そして再び、その事実を噛み締めた。
────ミドノは……とてつもなく強い。
「──これは……俺の右腕の分な……」
『──!!』
ミドノはもう次の攻撃に備え、最高の位置へと移動していた。
左の肘が譜王の鼻筋にめり込むと、次は口に加えたナイフで腹部の肉を裂く。左手が地面を強打し、ミドノの身体は宙へ浮いた。
そしてそのまま引き裂いたばかりの譜王の腹の中心へ両足を投げ入れる。
接触した直後、肉の間から押し出された血飛沫が、キラキラと太陽に反射した。
その血はまるで炎のように赤かったが──……それはまさしく、人間とは違う、美しすぎる血色だった。
太陽の光に当たった部分だけが星空のように輝く。とても綺麗だが──……この状況を見れば、きっとそんなことを思っている暇はないだろう。
「なんで闘わないんだよ……そっちの趣味か……?」
息1つあげていないミドノが、つまらなそうにその言葉を放った。
けれど、ミドノの力は他とは違う。余りの屈強さに不死身と言えるほどの譜王でも、KTB最速の猛襲を避けることもできず、身体中に生傷として残存する傷口を治癒することもできない。
ミドノは一気に不機嫌な顔になり、目を鋭く尖らせて譜王を睨んでいた。まるで憎しみを込めた目だった。
譜王はそれに平常に返答する。奏やカナタが恐怖したその目を微動だにせず、ただそう告げた。
『お前は……保護すべきたいしょ――――……』
譜王の顎に、ミドノの棘の付いた拳が入る。
吹っ飛ばされた譜王の姿を見て、奏たちは絶句する。
決して人間業ではできない芸当だ。
奏は両足に力を込め、地面をしっかりと、一歩一歩踏みしめる。
ミドノは残念そうな顔をしていたが、奏が足を一歩踏み出した瞬間、口元がぐにゃりと歪んでいた。
これは誰かに託していい問題ではない。
――――生死と、感情と関係と、過去と現在、何もかも、私たちが抱えた問題。
────分かっていた。
あなたたちに殺されそうになった時から分かっていたのだ。
──ミドノ、あなたとは、私が闘わなくてはならない。
「ミドノ、やろう……!」
膝が笑う、汗が滴る。
「ああ、奏……これでバラバラにしてやるよ……」
ミドノは笑った。
呆れたような、喜んでいるような。
ミドノは銃に弾を充填する。
その銃は今まで、たくさんディーヴァを殺してきたのだろう。血がべっとりと錆び付き、まるで苔がはびこっているかのようだった。
私だけじゃない。ミドノに殺されるのは、私だけじゃない。
「ミドノ……私だけを殺して。他の人は殺さないで」
「奏──!!」
カナタが叫んだ。
ミドノが一瞬目を潤ませた。
「まあ簡単に殺されるつもりはないけど!!」
ラドが微笑みながら目を閉じた。
譜王はただ見ている。
私を傷つけるならいい。もう、誰かが傷つく姿は見たくない。
カナタ、お兄ちゃん、譜王様、ミドノも。
皆血を流して、この戦場に立ったのだから。
今度は私が血を流して、この戦場に立つべきだ。
「──条件がある……」
ミドノがあの冷たい目に力を込め、真剣な顔で奏を見てくる。
「何……」
「俺と本気で殺し合ってくれよ……それなら、殺してやってもいい」
殺し合う?
「奏……ダメだ……やめろ! 一緒に生きるって言っただろ……!! それに、それなら……俺が一緒に……死んでやるから……、ミドノにだけは……」
カナタが必死に奏の背へ手を伸ばす。
「カナタ」
伸ばされたカナタの手を、握りしめる。久しぶりのカナタの手だ。
暖かくて優しくて……そして何となくカナタの手って感じで。
その隣へ来たラドが奏の手を取って言う。
「奏……お前はバカだ。バカなんだよ。何でバカなんだ? もうただのバカだろ。もうお前は救いようがねえな朽ち果てた脳ミソだな。ったくよぉ、何でお前らこんなことになってんだよ……。俺がどれだけ……どんな思いで今までずっと…………もうわけわかんねえよ」
「オイコラお兄ちゃん」
頬を伝うお兄ちゃんの涙を、掬い取るように拭いた。久しぶりのお兄ちゃんの涙だ。前半の事は後で覚えておけよ。
あの頃のお兄ちゃんはよく一人泣いていた。何もかも一人で抱え込んでよく泣いていた。
カナタ、お兄ちゃん、そんな顔しないで! 何てったって!! これ以上ミドノに、人を殺させちゃいけないのっ!!
もっともっと、おかしくなっちゃう!! ミドノのためなら死んでも止める!!
そう!! ……あなたと同じ。
カナタ、あなたがしてくれたように、私は友達となら一緒に死ねる。
私が死ななくてもミドノを戻す道があるのなら、そのために手を尽くそう。
ラド、あなたが共存を望んだように、私は幸せな道を選びたい。
けど、その道があるかどうかも、一緒に死ぬべきかどうかも私には分からない。
だから、命が尽きるまで、すべての人生ミドノのために戦うと決めたわ。
『──やりたいならやるんだ……奏。俺は止めたりしない』
覚悟はできた。
「死のう、私……!」
「奏……さっさと死ねバカ」
「奏、しっかれやれよバカマヌケ」
ほんと、二人とも……
…………殺すぞ。
いやいや、分かってるよ、自分達の不安を隠すためにわざと言ってくれたんでしょ、なかなか、優しいじゃない。
────私も優しくありたい。あなたたちに教えてもらった大事な感情だから。
「はやくくたばれアホ」
「パンチラ希望」
この腐れ外道共ッ!! 折角手前等の為に綺麗にまとめてやろうとしたのにッ!
きちがいな2人から逃げるように、ミドノの前へ立つ。
──匿われていてはダメだ。私のことだ。私でやらなきゃ。
「いいのかよ……あいつらのこと」
冷たい目をしたミドノが告げた。
蔑んだ目をして彼らを見て奏が言った。
「いいよ」
「そうかよ」
ミドノは上空へ銃を構えた。疑問に思うが、それはすぐに答えを示す。
弾が放たれ、銃声と言う名の脅迫が、ミドノの手から吐き出された。
「邪魔すんじゃねえぞ……こいつは俺の獲物だ……」
周りのKTB団員達は、ミドノの美しい脅しに戦慄する。
1歩下がって、3歩下がって、ミドノを残して自分たちの持ち場に戻って行く。────……いや、彼らは避難したのだろう。
──やはりKTBの中でも、ミドノは実力があるようだ。
そう自覚しても、もう、恐怖が身を震わせることはなかった。
「やろうぜ、奏……」
「ミドノぉ、お前を快楽のハネムーンへ送ってやるぜぃ。来いやこらほれほら来いやほら」
「お前もう少しかっこいいこと言えないのか……」
「言ってるだろ!?」
「結婚とかするわけ?」
「────………………………、……ふぇ!?」
『…………──結婚か……』
譜王の顔が、奏の方へ向いた。フードのせいで表情はよく見えない。
──…………フード邪魔よぉ。
『──……させられることは確かだろうな……』
「え!? ほんとに!? わぁぃ」
『……? 何で喜んでるんだ奏?』
「よ、喜んでましぇん……!!」
『大丈夫か? 顔が赤いぞ奏』
「大丈夫です! 逆に大丈夫すぎです!!」
『なら良かった』
結婚て、どうすればいいのよ勘違いだってわかったのに!!
「そ、奏……やっぱりある病に……っ……ヴッ……」
「──……!! カナタ……!!」
隣で表情を暗くしていたカナタが、力が抜けたかのように奏の上へ倒れかかる。
彼の身体に押され、奏も一緒に地面へ倒れこむ。
「しっかりして……!」
「──ん……ごめん……ゴホッゴホッ……奏……すぐ退くから……」
「う、う、うん手伝うよ……!!」
「お前らはこの戦場の中なぁにいちゃこらいちゃこらとやってんだよ……」
「黙れバカッ!!」
「カナタッ!! 触れるなって言ってんだろッ!!」
奏とカナタがもみ合っているとミドノの怒声が聞こえてくる。奏が叫んだ。
「いちゃこら何てしてないこのバカ!!」
「なんで俺!?」
それに反応したのはラドだった。
自分がバカだと理解しているのか。
ミドノはズボンのポケットへ手を突っ込み、それを引き出した。
──黒く、甲にトゲのある手袋だった。
それを付け、さっき投げ捨てた銃を拾い、あの人に向けた。あの人はそれを見て、しらけた顔をした。
『本気を出せと言ったはずだが……』
「うるせぇんだよ……」
ミドノは先ほど投げ捨てた銃を拾い、銃口から複数の弾を発射させる。
2つの銃の的を譜王に固定し、無数の弾を、当たるまで撃ち続けた。
譜王はそれすべてを軽々と避ける。
譜王はミドノのように武器は持っていない。
なぜなら譜王は身体全部が武器のようなだからだ。
「うっ……ぐぁっ……」
譜王はミドノの右肩に手刀を貫通させ、薙ぎ倒した。その手はミドノから離れた時、ラメのようにキラキラと輝く血で赤く染まっていた。
ミドノは傷を押さえることもなく、血を噴出させたまま立ち上がる。右腕はもはや使い物にならない。それでも立つ彼の姿は、まるで奏とは正反対だった。
「まだ左がある」
『懲りない奴だ……』
ミドノは譜王に、拳を振り上げる。
先ほどの、棘のある手袋を装着したままだ。
だが、あの人はするりとそれを避け、隙あらばミドノの体に拳を入れる。
ミドノはその重圧な拳が急所に入る度、口から赤く輝く血液を吐いた。
ミドノはそれでも揺るがない。
彼は血を見て笑った。
今までの柔らかい笑みでも黒い笑みでもない、それは、あの、狂った笑い。
「アッハッハッハッハ──!! さすがディーヴァの王子だなぁッ!!」
ミドノはあの人に突進する。
あの人は身体を横に反らそうとする──だが……
「どこ行くんだよ……?」
彼の身体が動く方角へミドノの姿は現れた。
────確かに、今まで何度もあった光景だが、それよりも何倍も速い動きで、まるで人間でないかのような、そんな化け物のような動きだった。
ミドノは風のように舞い、彼の肩へ銃を突き付ける。空を刺す銃声が周りの音と紛れ、こちらには何も聞こえなかった。
彼の腕から血飛沫が上がった瞬間、奏たちは息を飲む。そして再び、その事実を噛み締めた。
────ミドノは……とてつもなく強い。
「──これは……俺の右腕の分な……」
『──!!』
ミドノはもう次の攻撃に備え、最高の位置へと移動していた。
左の肘が譜王の鼻筋にめり込むと、次は口に加えたナイフで腹部の肉を裂く。左手が地面を強打し、ミドノの身体は宙へ浮いた。
そしてそのまま引き裂いたばかりの譜王の腹の中心へ両足を投げ入れる。
接触した直後、肉の間から押し出された血飛沫が、キラキラと太陽に反射した。
その血はまるで炎のように赤かったが──……それはまさしく、人間とは違う、美しすぎる血色だった。
太陽の光に当たった部分だけが星空のように輝く。とても綺麗だが──……この状況を見れば、きっとそんなことを思っている暇はないだろう。
「なんで闘わないんだよ……そっちの趣味か……?」
息1つあげていないミドノが、つまらなそうにその言葉を放った。
けれど、ミドノの力は他とは違う。余りの屈強さに不死身と言えるほどの譜王でも、KTB最速の猛襲を避けることもできず、身体中に生傷として残存する傷口を治癒することもできない。
ミドノは一気に不機嫌な顔になり、目を鋭く尖らせて譜王を睨んでいた。まるで憎しみを込めた目だった。
譜王はそれに平常に返答する。奏やカナタが恐怖したその目を微動だにせず、ただそう告げた。
『お前は……保護すべきたいしょ――――……』
譜王の顎に、ミドノの棘の付いた拳が入る。
吹っ飛ばされた譜王の姿を見て、奏たちは絶句する。
決して人間業ではできない芸当だ。
奏は両足に力を込め、地面をしっかりと、一歩一歩踏みしめる。
ミドノは残念そうな顔をしていたが、奏が足を一歩踏み出した瞬間、口元がぐにゃりと歪んでいた。
これは誰かに託していい問題ではない。
――――生死と、感情と関係と、過去と現在、何もかも、私たちが抱えた問題。
────分かっていた。
あなたたちに殺されそうになった時から分かっていたのだ。
──ミドノ、あなたとは、私が闘わなくてはならない。
「ミドノ、やろう……!」
膝が笑う、汗が滴る。
「ああ、奏……これでバラバラにしてやるよ……」
ミドノは笑った。
呆れたような、喜んでいるような。
ミドノは銃に弾を充填する。
その銃は今まで、たくさんディーヴァを殺してきたのだろう。血がべっとりと錆び付き、まるで苔がはびこっているかのようだった。
私だけじゃない。ミドノに殺されるのは、私だけじゃない。
「ミドノ……私だけを殺して。他の人は殺さないで」
「奏──!!」
カナタが叫んだ。
ミドノが一瞬目を潤ませた。
「まあ簡単に殺されるつもりはないけど!!」
ラドが微笑みながら目を閉じた。
譜王はただ見ている。
私を傷つけるならいい。もう、誰かが傷つく姿は見たくない。
カナタ、お兄ちゃん、譜王様、ミドノも。
皆血を流して、この戦場に立ったのだから。
今度は私が血を流して、この戦場に立つべきだ。
「──条件がある……」
ミドノがあの冷たい目に力を込め、真剣な顔で奏を見てくる。
「何……」
「俺と本気で殺し合ってくれよ……それなら、殺してやってもいい」
殺し合う?
「奏……ダメだ……やめろ! 一緒に生きるって言っただろ……!! それに、それなら……俺が一緒に……死んでやるから……、ミドノにだけは……」
カナタが必死に奏の背へ手を伸ばす。
「カナタ」
伸ばされたカナタの手を、握りしめる。久しぶりのカナタの手だ。
暖かくて優しくて……そして何となくカナタの手って感じで。
その隣へ来たラドが奏の手を取って言う。
「奏……お前はバカだ。バカなんだよ。何でバカなんだ? もうただのバカだろ。もうお前は救いようがねえな朽ち果てた脳ミソだな。ったくよぉ、何でお前らこんなことになってんだよ……。俺がどれだけ……どんな思いで今までずっと…………もうわけわかんねえよ」
「オイコラお兄ちゃん」
頬を伝うお兄ちゃんの涙を、掬い取るように拭いた。久しぶりのお兄ちゃんの涙だ。前半の事は後で覚えておけよ。
あの頃のお兄ちゃんはよく一人泣いていた。何もかも一人で抱え込んでよく泣いていた。
カナタ、お兄ちゃん、そんな顔しないで! 何てったって!! これ以上ミドノに、人を殺させちゃいけないのっ!!
もっともっと、おかしくなっちゃう!! ミドノのためなら死んでも止める!!
そう!! ……あなたと同じ。
カナタ、あなたがしてくれたように、私は友達となら一緒に死ねる。
私が死ななくてもミドノを戻す道があるのなら、そのために手を尽くそう。
ラド、あなたが共存を望んだように、私は幸せな道を選びたい。
けど、その道があるかどうかも、一緒に死ぬべきかどうかも私には分からない。
だから、命が尽きるまで、すべての人生ミドノのために戦うと決めたわ。
『──やりたいならやるんだ……奏。俺は止めたりしない』
覚悟はできた。
「死のう、私……!」
「奏……さっさと死ねバカ」
「奏、しっかれやれよバカマヌケ」
ほんと、二人とも……
…………殺すぞ。
いやいや、分かってるよ、自分達の不安を隠すためにわざと言ってくれたんでしょ、なかなか、優しいじゃない。
────私も優しくありたい。あなたたちに教えてもらった大事な感情だから。
「はやくくたばれアホ」
「パンチラ希望」
この腐れ外道共ッ!! 折角手前等の為に綺麗にまとめてやろうとしたのにッ!
きちがいな2人から逃げるように、ミドノの前へ立つ。
──匿われていてはダメだ。私のことだ。私でやらなきゃ。
「いいのかよ……あいつらのこと」
冷たい目をしたミドノが告げた。
蔑んだ目をして彼らを見て奏が言った。
「いいよ」
「そうかよ」
ミドノは上空へ銃を構えた。疑問に思うが、それはすぐに答えを示す。
弾が放たれ、銃声と言う名の脅迫が、ミドノの手から吐き出された。
「邪魔すんじゃねえぞ……こいつは俺の獲物だ……」
周りのKTB団員達は、ミドノの美しい脅しに戦慄する。
1歩下がって、3歩下がって、ミドノを残して自分たちの持ち場に戻って行く。────……いや、彼らは避難したのだろう。
──やはりKTBの中でも、ミドノは実力があるようだ。
そう自覚しても、もう、恐怖が身を震わせることはなかった。
「やろうぜ、奏……」
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