リクゴウシュ

隍沸喰(隍沸かゆ)

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コノカ

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 蘭が連絡を入れている頃、アリシアは化け物の入った大量の丸いカプセルを見つけていた。緑色の液体の中に何本もの管をつけられて上からぶら下げられている。
 その光景の中にある一角のテーブルに気が付き、資料があることを確かめる。目的の資料を探していくが見つからない。しかし彼女はその知識全てを飲み込んでいく。
「あら?」
 連絡が来ていることに気が付き、蘭と話すと彼女は倉庫を後にして頭伎の元までやって来た。
「私が介抱するから貴方達は資料を探しなさい」
「それならここに、どの資料か分からなかったから全部持ってきたゾ」
「良くやったわね。これだけの資料をどこで見つけたの?」
 初めて褒められて、蘭は目を見開いて固まって驚く。
「聞いてる?」
「あ、あア。冷凍庫の奥に……多分情報室だと思うんだが」
「いいえ、冷凍庫と見せかけた秘密の部屋よ。本当に偉いわ……でもこの資料じゃないわね。USBもおそらくこの資料が入ってるわ。帰って見てみないと分からないけど……」
「違うのカ……」
 資料が違うことより褒められたことに頭が集中していて帰れないぞと言われていることに気づけない皆。
「あら……?」
 アリシアの通信機がキャッチしたことを知らせる音がなり、彼女が出ると音と耳が割れそうな程の叫び声が聞こえてきて、彼女は1回切ってしまう。
「今の声……」
 蓮兄さんだ……と蘭が考えたとたん、またキャッチの音が何度も何度も鳴り、ようやくアリシアはそれに出る。
『何故出ないんだ冷酷女!!』
「貴方うるさいのよ静かにして。化け物達が集まってくるじゃない」
『それより資料を見つけた確認を頼む』
「どうやって?」
『読む。地下の各個室に実験体を――』
「それよ。皆に連絡するわ、もし、他のチームに会ったら合流してそのまま外に出なさい。それじゃ」
『ちょ、待て――ッ――ッ』
 ―――ブツッと蓮からの連絡を切ってしまうアリシアに、蘭やそこにいた者は、本当にアリシアは蓮が怖くないんだな、と勇気なんていらない人間なんだと考えた。
 それから自分たちも他のチームを見つけながら避難し、任務は無事に終えることが出来た。



        ◇◇◇



 施設にある自分達の部屋に戻り、しばらく経った頃だった。
みんな怪我や精神的ダメージなどの疲労でぐったりしている時だと言うのに、あの女はやって来てこう言った。
「次の任務が決まったわ。直行するから早く準備して」
 みんながみんな、もうこの女に何を言っても意味が無いことくらい分かっていた。だから、ただ彼女に従った。
「次の作戦は潜入調査よ。あるパーティ会場に、旧施設にいた重要な研究者を捕まえることが任務よ。みんな着いたら直ぐに正装してもらうわ。今回は炎を操らないよう注意して。決して怪しい行動はしないで。以上よ」
 シティアが手を挙げると「どうぞ」とアリシアから返事が返ってくる。
「あの、チームはもういいんですか? 頭伎さんがいないんですけど……」
「チームで動いたら怪しまれてしまうわ。頭伎は重症なの、ウイルスに感染していたわ。処置が出来ないところまで来ていたの……だから今彼は隔離されているわ」
「か、隔離……」
 蘭はシティアが、自分達がはぐれたせいで、と思っているのだろうと考えた。ウイルスに感染してしまったなら隔離されてしまうのは仕方がないと思う。それほど厄介なウイルスなのだ。
 アリシアが「準備を済ませたら玄関ホールに集まりなさい」と言って部屋を後にし、蘭は直ぐに蓮の元へ向かった。
「蓮兄さん、話があるんだ」
「あの女……俺が資料を見つけたのに何も言わなかった」
「に、兄さん?」
「蓮お兄様、先の任務で妙に気合を入れておりましたの……ですけれど、あの女は今までの教育係のように報酬を与えてくれるとは思えませんわ」
 蔘の言葉を聞いて、蕁は「そうかな?」と妙なことを言い始める。
「アリシアはオレタチを、マモったトキもあったじゃないか」
「あれは足手まといと、思われたから力を貸したのではなくって?」
「チガうとオモうよ」
 蕁はアリシアが出ていった部屋を同じように出ていき、その後を追った。
シティアはそれを見て同じように追おうとしたが、少し休んでからにした方がいいと考えて留まった。何より蕁がおそらく彼女に聞きたいことがあるのだろうと考え、それを待つことにした。



        ◇◇◇



 蕁がアリシアを追うと、彼女は他の教育係に囲まれ、一人の男の教育係に襟を掴み上げられ、壁に押し付けられていた。
「アリシア!」
 蕁がそう呼ぶと、教育係達はとたんに笑顔になり、彼女を離す。
「この時間に生徒が出歩いてちゃダメだろう」なんて言われて、アリシアが「私が呼んだのよ」と答え、蕁を背に庇うように立った。
それから彼らは笑顔を崩さずそれぞれの部屋へ向かっていく、中でもアリシアを酷く睨み付けていた者――彼女を壁に押し付けていた者にアリシアが言った。
「あの時のこと、報告してもいいわね?」
「あはは、さっきのは冗談だよ」
「そう」
 互いににこやかだが明らかに向こうの方は動揺している。汗を流し、笑顔は引き吊り、動きもぎこちない。
彼が去っていくのを見送ってから、アリシアは蕁に向き直った。
「本当に何をしてるのよ、貴方」
「タスけてあげたんだから、カンシャのコトバでもクれればイいのに」
 額を押さえて、はぁ、と息をつく蕁を見て、アリシアは口元を緩める。
「ありがとう。それで、何か用があったんでしょう?」
「やっぱりヤサしいんだね。アリシアは」
「私は教育係よ、まあいいわ。呼び捨てくらい許してあげる」
「イマまでシんできたヒトタチって、いや、キミがトオマワしにハイジョしてきたセイトたちやキョウイクガカリたちはボクタチフツウのセイトをマモるタメにしてきたコトだよね?」
「あら。随分と楽観的な考えね」
「キミはウソがヘタだよね」
「…………貴方は少し違うようね。私と同じ、間違いの道を選ぶ人間だわ」
「マチガいのミチ……? ホカのヒトにはってこと?」
「そうよ。私達にとっては正解の道」
「やっぱりキミはヤサしいよ」
「大勢殺して何が【優しい】よ。いいから部屋に戻りなさい」
「ワかったよ」
 蕁が部屋に戻ると、すぐに、シティアが出ていき、蕁はナニもナければイいけど……と他人事のように頭を掻く。まあ彼にとっては他人なので仕方が無いのだが。
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