イジメの代償は、想像を絶する現実だった・・・

ゆきもと けい

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2章 言い知れぬ恐怖の始まり

イジメの代償は、想像を絶する現実だった・・・

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 翌日は通常通りに出勤した。
 そしていつものように外来診察からの1日が始まる。

 しかし、昨夜見た夢が何となく気になっていた。

 今改めて思えば、本条をいじめていたことは申し訳なく思う。

 だが、彼が自殺したこととは結びつけたくない。
 死んだのは彼自身の意思であり、自分とは関係ないと、勝手に理由づけをしようとしていた。

 それから1週間ほどが過ぎた。
 あれ以来、彼の夢は見ていない。
 忙しい毎日の中、当然のように彼の事は忘れていった。

 だが、ここ数日、ちょっとしたミスをするようになったのはなぜか・・・
 と言っても、取るに足りないようなミスだ。

 例えば、子供の患者が来た時に、子供の足を踏んだり、高齢者の患者の腕を強く引っ張って痛がられたりとか・・・
 こうしたミスは、今までしなかった。
 だからと言って、看護師に不審がられるほどのことでもない。
 もちろん自分で意識しているわけでもない。

(なんか俺、疲れているのかな・・・)

 疲れをとる漢方薬を自分で処方し、飲んでみることにした。


 その夜、又、夢を見た。

 本条が現れた。
 そして唐突にこんな言葉を投げかけてきたのだ。

『おい坂本、最近、何か変だろう・・・
なぜだかわかるか・・・』

(・・・夢・・・)

『俺がやってるからさ・・・
お前の無意識の中で・・・
まぁ、ちょっとした遊びだけどな・・・』

(お前、何言ってんだよ・・・
これは単なる夢だろうが・・・)

『夢か・・・
ハハハ・・・』

(何がおかしいんだよ)

『夢じゃねえよ
お前の中に存在してるんだよ。
だからお前と会話ができんじゃねえか。
この間言ったろ・・・
長い付き合いになるってさ・・・』

(つまりは俺に憑りついた幽霊ってわけか・・・
だったらお祓いするまでの話だよ・・・
それで終わりだ・・・)

『ハハハ・・・
馬鹿だな・・・お前は・・・
俺は幽霊なんかじゃねえよ・・・
お前の無意識の中に存在しているお前の別人格さ・・・
わかり易く言うと、二重人格ってやつだな・・・
お前、医者だろう・・・
専門外でもそれくらいはわかるだろう・・・』

 本条は楽しそうに語る。

(馬鹿な・・・
解離性同一性障害はその人の人格の中でしか作られない障害だぞ・・・
他人が入ることなどあり得ない・・・)

『なるほど・・・そうなんだ・・・
じゃぁ、厳密に言うと違うのかもな・・・
俺の存在は・・・』

(なんでそんなことができるんだよ
お前が自殺して15年も経つというのに・・・)

『そうか・・・ウンウン・・・
まずはその話からしないといけないな・・・』
 
 そう言うと本条は一人で頷いている。その表情は楽し気で穏やかだが、その目の奥は冷たく、どこか不気味で恐怖すら感じる。自分の記憶にある、弱気な本条とは全く違う別人だ・・・

(本当にあの本条なのだろうか・・・?)

 そんな疑問が頭をよぎる・・・

 だが彼はそんな疑問を払拭する恐ろしい話を始めた。


  2章 言い知れぬ恐怖の始まり 完 続く
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