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サマエルが現れた訳…
悪魔サマエルが蘇る時…
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1週間が経過した。あの日以来、小宮君をイジメていた3人は登校して来ない。ずっと欠席したままだ。クラスメイトは3人が欠席していても話題にもしない。むしろ3人がいないことでクラスの雰囲気は良好だ。
幸いだったのはあの日のことは、小宮君たち以外は誰も知らないということだ。だから他のクラスメイトは3人がなぜ欠席しているのか本当の理由を知らない。もしかしたら先生も…
小宮君は思う…
(3人が学校へ来ないのは僕への恐怖ではなく、精神が壊れてしまったからだろう…もし、身体の傷が問題になっているのなら、事件性が疑われる…あんな変な怪我だから…だとしたら警察が介入して僕に事情を聴きに来てもいいはずだ…だが1週間経ってもその気配はない…)
と…
とりあえず今、小宮君をイジメる生徒はいなくなった。が、相手をする生徒もあまりいない。必要最低限のことしか話しかけてこない。それでも小宮君にとっては平和な毎日だ。独りは昔から慣れている。
この1週間、サマエルについてネットや書物でいろいろと調べてみた。もちろん、サマエルを呼び出してもいない。
悪魔の存在自体が不確定だから、調べても明確な答えは出てこない。ただサマエルについては、色々調べた中で、共通して書かれていることがいくつかあった。
① 堕天使であること
② 毒及び死に関連していること
③ サタン・ルシファーと同等な最上位悪魔であるということ
④ 盲目であるということ
⑤ 蛇の化身であるということ
そして悪魔を呼び出す方法も調べてみた。
悪魔を呼び出すには【召喚魔術】という手法を用いるらしい。その方法は年代によって変わってくるようだが、捧げ物をしたり、己の精神に負担をかけてみたりと大変なようだ。
だが小宮君は召喚魔術など用いていない。ただ誰かに助けて欲しくてお願いしただけだ。そしてサマエルが現れた…
小宮君はサマエルの言ったあの言葉を時折、思い出していた。
『我としたことが忘れていたか…』
(忘れていたとは、いったい何をどう忘れていたというのだろうか…)
と…
召喚魔術を使わないで現れたのも、それに何か関係しているのだろうか…
その辺りはぜひとも調べてみたい。
(その方法は…)
悪魔について思い出したことがある。それは高校1年生の世界史だった。先生が、中世ヨーロッパの授業中に思想と悪魔について話していたことを思い出した。
(そうだ、あの世界史の先生に訊いてみよう…)
翌日の放課後、小宮君は教職員室の世界史の先生を訪ねた。世界史の先生は50代後半で、授業もいろいろな要素を取り入れてわかり易く説明してくれた記憶がある。先生は自分の回転いすに座り、小宮君は隣の空席の先生の椅子を借りて向かい合うようにして座った。
「先生が中世ヨーロッパの思想と悪魔について授業していたのを思いだしたので、訊きたいことがあるんです」
「質問かい?」
「先生はサマエルという悪魔をご存じですか?」
「サマエル…もちろん知ってるよ」
「どういう悪魔なんですか?」
「なんだ、悪魔に興味があるのか?」
「と言うより、悪魔を呼び出す方法についてです」
「悪魔を呼び出す方法?随分とマニアックだな」
「ちょっと興味がありまして…」
「通常は召喚魔術というものを使うらしい。特に黒魔術系らしいが先生も詳しくは知らない…ネットとかで調べれば出て来るんじゃないかな?」
そう、小宮君はすでに調べ済みだ。
ここからが質問の核心だ。
「それ以外の方法で呼ぶ方法はありますか?」
ネットでも見つけられなかったことだ。
「それ以外の方法でか……」
先生は腕組みをして、ちょっと考え込む様な仕草をみせた。
「う~ん…うろ覚えだから自信はないけどな」と前置きした後、
「さっきのサマエルを例にとってみると、サマエルはサタン・ルシファーに次ぐ最上位悪魔なんだな。もしサマエルを召喚魔術以外で呼び出せるとしたら、本人か本人の祖先の誰かがサマエルと接触したことがあるからだろうな。何かの約束を交わしたのか、あるいはサマエルの遺伝子を受け継いだのか…
だがもし本当にそれでサマエルを呼び出せたとすれば、恐らくサマエル以下の能力の悪魔はすべて呼び出せるということになるんだと思う…まぁ、悪魔の存在自体が否定も肯定もされていないわけだから、この話も信憑性に欠けるがな…先生はこう思うんだ。悪魔とは人間の心の中に潜んでいる悪の化身なのではないかと…」
確かにそうかも知れないが、今の話は、目からうろこだった。
『我としたことが忘れていたか…』
(僕の先祖の誰かがサマエルと接触したことがあるんだ…だからサマエルが現れ、何かを思い出し、僕を主としたんだ…)
どういう経緯で接触し、何をしたのかは調べてもわからないだろう…もしかしたら、数百年前かも知れない…たださすがに僕がサマエルの子孫ということはないだろう…それではアニメの世界になってしまう…
ただ、なぜサマエルが突然現れたのか、その理由が少しわかったような気がした。
サマエルが現れた訳… 完
幸いだったのはあの日のことは、小宮君たち以外は誰も知らないということだ。だから他のクラスメイトは3人がなぜ欠席しているのか本当の理由を知らない。もしかしたら先生も…
小宮君は思う…
(3人が学校へ来ないのは僕への恐怖ではなく、精神が壊れてしまったからだろう…もし、身体の傷が問題になっているのなら、事件性が疑われる…あんな変な怪我だから…だとしたら警察が介入して僕に事情を聴きに来てもいいはずだ…だが1週間経ってもその気配はない…)
と…
とりあえず今、小宮君をイジメる生徒はいなくなった。が、相手をする生徒もあまりいない。必要最低限のことしか話しかけてこない。それでも小宮君にとっては平和な毎日だ。独りは昔から慣れている。
この1週間、サマエルについてネットや書物でいろいろと調べてみた。もちろん、サマエルを呼び出してもいない。
悪魔の存在自体が不確定だから、調べても明確な答えは出てこない。ただサマエルについては、色々調べた中で、共通して書かれていることがいくつかあった。
① 堕天使であること
② 毒及び死に関連していること
③ サタン・ルシファーと同等な最上位悪魔であるということ
④ 盲目であるということ
⑤ 蛇の化身であるということ
そして悪魔を呼び出す方法も調べてみた。
悪魔を呼び出すには【召喚魔術】という手法を用いるらしい。その方法は年代によって変わってくるようだが、捧げ物をしたり、己の精神に負担をかけてみたりと大変なようだ。
だが小宮君は召喚魔術など用いていない。ただ誰かに助けて欲しくてお願いしただけだ。そしてサマエルが現れた…
小宮君はサマエルの言ったあの言葉を時折、思い出していた。
『我としたことが忘れていたか…』
(忘れていたとは、いったい何をどう忘れていたというのだろうか…)
と…
召喚魔術を使わないで現れたのも、それに何か関係しているのだろうか…
その辺りはぜひとも調べてみたい。
(その方法は…)
悪魔について思い出したことがある。それは高校1年生の世界史だった。先生が、中世ヨーロッパの授業中に思想と悪魔について話していたことを思い出した。
(そうだ、あの世界史の先生に訊いてみよう…)
翌日の放課後、小宮君は教職員室の世界史の先生を訪ねた。世界史の先生は50代後半で、授業もいろいろな要素を取り入れてわかり易く説明してくれた記憶がある。先生は自分の回転いすに座り、小宮君は隣の空席の先生の椅子を借りて向かい合うようにして座った。
「先生が中世ヨーロッパの思想と悪魔について授業していたのを思いだしたので、訊きたいことがあるんです」
「質問かい?」
「先生はサマエルという悪魔をご存じですか?」
「サマエル…もちろん知ってるよ」
「どういう悪魔なんですか?」
「なんだ、悪魔に興味があるのか?」
「と言うより、悪魔を呼び出す方法についてです」
「悪魔を呼び出す方法?随分とマニアックだな」
「ちょっと興味がありまして…」
「通常は召喚魔術というものを使うらしい。特に黒魔術系らしいが先生も詳しくは知らない…ネットとかで調べれば出て来るんじゃないかな?」
そう、小宮君はすでに調べ済みだ。
ここからが質問の核心だ。
「それ以外の方法で呼ぶ方法はありますか?」
ネットでも見つけられなかったことだ。
「それ以外の方法でか……」
先生は腕組みをして、ちょっと考え込む様な仕草をみせた。
「う~ん…うろ覚えだから自信はないけどな」と前置きした後、
「さっきのサマエルを例にとってみると、サマエルはサタン・ルシファーに次ぐ最上位悪魔なんだな。もしサマエルを召喚魔術以外で呼び出せるとしたら、本人か本人の祖先の誰かがサマエルと接触したことがあるからだろうな。何かの約束を交わしたのか、あるいはサマエルの遺伝子を受け継いだのか…
だがもし本当にそれでサマエルを呼び出せたとすれば、恐らくサマエル以下の能力の悪魔はすべて呼び出せるということになるんだと思う…まぁ、悪魔の存在自体が否定も肯定もされていないわけだから、この話も信憑性に欠けるがな…先生はこう思うんだ。悪魔とは人間の心の中に潜んでいる悪の化身なのではないかと…」
確かにそうかも知れないが、今の話は、目からうろこだった。
『我としたことが忘れていたか…』
(僕の先祖の誰かがサマエルと接触したことがあるんだ…だからサマエルが現れ、何かを思い出し、僕を主としたんだ…)
どういう経緯で接触し、何をしたのかは調べてもわからないだろう…もしかしたら、数百年前かも知れない…たださすがに僕がサマエルの子孫ということはないだろう…それではアニメの世界になってしまう…
ただ、なぜサマエルが突然現れたのか、その理由が少しわかったような気がした。
サマエルが現れた訳… 完
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