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プロローグ 勇気ある者
プロローグ1.勇者の認定2
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呆気に取られる王。そして大臣たち。
「ふはははは!そうかそうか!余はな、不安だったのだ!『転生者』とて、人の子。他国や他勢に囲われることも懸念していた。我が忠臣といえど権謀術数に巻き込む輩もいよう。よい。よいぞ。余が許す」
「王よ!それは!」
大臣が慌てて止めに入るも、もう遅い。
王はじっ、とこっちを見据えたまま満足げに頷く。
今代の王は愛妻家という噂は本当だったらしい。
「我が名、シヴ・サワトーマ・サタニオノ・四世に誓おう。貴殿の功績を讃え、その願いを叶える。汝、ジェダ・イスカリオテとルーア・ユトピアの婚姻には誰も一切の口を挟まさせず、汝らの生活は安息たるものとなるように協力する」
王の言葉とともに、私と王が淡い光に包まれる。
契約の魔法だ。口約束といえど違えること叶わず、その覚悟と決意が光となって現れる。
その光はやがて収束し、光の糸となって私の指と王の指を繋ぐと、パッと消え去った。
言の葉から出ずる真実。
それこそが魔法。
思いは想いとなり、言の葉と萌えるものが魔法となって咲く。
魔王が言っていた台詞だ。
「ありがたき幸せ。つきましては私も契約の魔法で答えさせていただきます」
「ほう」
精神を集中する。
心を無にする。
自分は物だと言い聞かせる。
そして、出会ってきた仲間や見てきた民たち、なにより愛しいルーアを思い浮かべ、誓う。
ちらりと脳裏に過ぎった魔王の顔を振り払いながら。
「我が名、ジェダ・イスカリオテの名において誓う。我が知は民のため、決して私利私欲に走らず、この世の平和と安寧、国の発展のために。そして、我が愛しきルーアと子孫たちのために。」
いい終わるその瞬間、私の身体から光が溢れ出る。
その場にいたもの全員が、その眩しさから顔を逸らし、しかし見逃すまいと薄目を開けて耐える。
溢れ出た光は大きなうねりを描いて、光の奔流となり天井を抜けていく。
空高く舞い上がると、一気に霧散して流星の如く散っていく。
そうして降り注いだ光は、一部が再び王の間に戻ってきて、各々の指に繋がる。
何万という極細の朝露に濡れた絹糸を束ねたような光の束はやがて、私の指に収束していき、契約は完了した。
「ふはは!なんという決意か。皆のもの、文句はないな?」
呆然とする一同はこくこくと頷く。
それを見て満足そうに頷き返す王。
「これほどまでの決意、我々も身を引き締めなければならん。ジェダ・イスカリオテよ。これからもその知恵を頼りにさせてもらうぞ」
「御心のままに」
そうして、私は勇者として隠居生活を始めたのだ。
嫉み、僻み、憎しみを隠そうともしないで突きつけてくる、集まった人々の視線は忘れない。
私利私欲に権謀術数を走らせ、人の命は金貨より安い。
魔王を退けた今だからこそ、強く感じる。
この国は、腐敗している。
だからこそ、もっと豊かにならなければならない。富まなければならない。
魔王を退けたことは間違いではない。
迷うことももちろんあった。
しかし、争いの火種は消しておかねばならない。
私たちは過去には生きられないのだから。
そんな思いで戦ってきた。
変えるのならば、上からだ。
そのために私は魔王を退けたのだから。
そして、私は平和と愛を手に入れたのだ。
「ふはははは!そうかそうか!余はな、不安だったのだ!『転生者』とて、人の子。他国や他勢に囲われることも懸念していた。我が忠臣といえど権謀術数に巻き込む輩もいよう。よい。よいぞ。余が許す」
「王よ!それは!」
大臣が慌てて止めに入るも、もう遅い。
王はじっ、とこっちを見据えたまま満足げに頷く。
今代の王は愛妻家という噂は本当だったらしい。
「我が名、シヴ・サワトーマ・サタニオノ・四世に誓おう。貴殿の功績を讃え、その願いを叶える。汝、ジェダ・イスカリオテとルーア・ユトピアの婚姻には誰も一切の口を挟まさせず、汝らの生活は安息たるものとなるように協力する」
王の言葉とともに、私と王が淡い光に包まれる。
契約の魔法だ。口約束といえど違えること叶わず、その覚悟と決意が光となって現れる。
その光はやがて収束し、光の糸となって私の指と王の指を繋ぐと、パッと消え去った。
言の葉から出ずる真実。
それこそが魔法。
思いは想いとなり、言の葉と萌えるものが魔法となって咲く。
魔王が言っていた台詞だ。
「ありがたき幸せ。つきましては私も契約の魔法で答えさせていただきます」
「ほう」
精神を集中する。
心を無にする。
自分は物だと言い聞かせる。
そして、出会ってきた仲間や見てきた民たち、なにより愛しいルーアを思い浮かべ、誓う。
ちらりと脳裏に過ぎった魔王の顔を振り払いながら。
「我が名、ジェダ・イスカリオテの名において誓う。我が知は民のため、決して私利私欲に走らず、この世の平和と安寧、国の発展のために。そして、我が愛しきルーアと子孫たちのために。」
いい終わるその瞬間、私の身体から光が溢れ出る。
その場にいたもの全員が、その眩しさから顔を逸らし、しかし見逃すまいと薄目を開けて耐える。
溢れ出た光は大きなうねりを描いて、光の奔流となり天井を抜けていく。
空高く舞い上がると、一気に霧散して流星の如く散っていく。
そうして降り注いだ光は、一部が再び王の間に戻ってきて、各々の指に繋がる。
何万という極細の朝露に濡れた絹糸を束ねたような光の束はやがて、私の指に収束していき、契約は完了した。
「ふはは!なんという決意か。皆のもの、文句はないな?」
呆然とする一同はこくこくと頷く。
それを見て満足そうに頷き返す王。
「これほどまでの決意、我々も身を引き締めなければならん。ジェダ・イスカリオテよ。これからもその知恵を頼りにさせてもらうぞ」
「御心のままに」
そうして、私は勇者として隠居生活を始めたのだ。
嫉み、僻み、憎しみを隠そうともしないで突きつけてくる、集まった人々の視線は忘れない。
私利私欲に権謀術数を走らせ、人の命は金貨より安い。
魔王を退けた今だからこそ、強く感じる。
この国は、腐敗している。
だからこそ、もっと豊かにならなければならない。富まなければならない。
魔王を退けたことは間違いではない。
迷うことももちろんあった。
しかし、争いの火種は消しておかねばならない。
私たちは過去には生きられないのだから。
そんな思いで戦ってきた。
変えるのならば、上からだ。
そのために私は魔王を退けたのだから。
そして、私は平和と愛を手に入れたのだ。
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