異世界の叔父のところに就職します

まはぷる

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第七章

ただ今、絶賛彷徨中です 2

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「うあ~……いくらなんでもありえないでしょ……はぁぁ~……」

 ちょっとのつもりが、盛大に寝入ってしまっていた。
 スマホの時刻を確認すると、なんとたっぷり4時間ほども経過している。

 油断したつもりはなかった、なんて言い訳も利かないほどの爆睡だった。
 暗闇の中、スポットライトばりに燦々と日光を浴びた状態で、無防備で寝息を立てる獲物――狩る側にとっては、これほど据え膳なシチュエーションもなさそうだ。
 無事でいられたのは幸運としか言いようがない。

 猛省するも、結果としてはここ3日間でもっとも長く深く取れた睡眠だった。
 硬い地面の上だけに身体の節々は若干強張っているが、疲労回復の面ではこれまでと段違いだった。
 さっきまでの自分が、いかに疲れていたのかよくわかる。

 上空から差し込んでいた陽光もすでになく、外界ではすでに日が暮れたらしい。
 穴倉だけに時間経過の判断はしづらいが、スマホに表示された時刻では20時を回っている。
 充電率は50%、これでなんとか命は繋がった。

 いつまでも、ここにこうしてもいられない。
 動ける今のうちに、少しでも先に――というか上に進みたい。

 最後に胸いっぱいに大欠伸をする。
 冷たい空気を吸い込むことで、寝ぼけた頭も冴えてきた。意識が覚醒していく。

(あれ……これ、光ってないか?)

 抱いたまま寝てしまっていた卵の存在に、今さらながらに気づいた。
 卵自体がぼんやりと光を放っている。しかも、なにやらほんのり温かい。
 日が落ちて寒さが厳しくなる中、熟睡に貢献してくれたらしい。

 実際、なんの卵だろうね、これ。
 普通なら真っ先に浮かびそうな疑問だが、さっきまではそんな余裕すらなかったから仕方ない。
 脳が休まって、いくぶん判断力が増した頭であらためて考察してみる。

 卵生の生物といえば、思い浮かぶのは鳥か爬虫類。ここに来てから鳥には出会ってないので、後者の可能性が高い。
 ただ、浅い知識では、トカゲなどの卵は柔らかかったと思う。この卵の殻はいかにもな硬質で、以前に見たことあるダチョウの卵に近い気がする。

 ひとつしかないのも変だ。
 捕食者に狙われやすい生物は、生存率を上げるために一回の産卵で多くの卵を産むはず。
 周囲に孵化した形跡もないからには、産み落とされたのはこれひとつだけなのだろう。

 背筋が凍るのでぞっとしないが、もしやあの地竜の卵だったり?
 それならいろいろ頷けるし、親竜を恐れてこの巣(?)に他の生物が近寄らないとも考えられる。

 とりあえず、卵を持ち掲げてみた。
 重さはボウリングの球くらい? せいぜい5キロ程度。大きさはバスケットボールちょっとほど。
 果たしてこのサイズから、あの巨大な生物にまで成長できるものか悩みどころだ。

 卵の表面をぺしぺし叩いてみるが、当然のように反応はない。
 耳をくっ付けても、なにも聞こえない。

「ふむ……」

 しばらく悩んでから、これを持っていくことにした。
 なにも興味本位だけのことではなく、スマホの充電も炎の魔法石も節約したいこの現状で、カンテラとカイロ代わりになる卵はそれだけで有用だった。

 倫理面ではどうかという気がしないでもないが、置かれた状況が状況。
 もし孵化しそうになったり、危険があるようなら、置き捨てればいい話だと割り切ることにした。

 せっかくなので移動前に簡単な食事を取り、保温バッグの空いたスペースに卵を押し込んでみると、測ったようにおあつらえ向きのジャストフィットで、卵はバッグにきれいに収まった。
 これなら肩かけで重さも気にならないし、明かりを消したいときにはバッグの蓋を閉めればいい。

 事態は好転とまではいかないが、横ばい程度までには回復した。

 そろそろ出発しようかと、保温バッグを担ぎ直したそのとき。

 どぉぉぉん……

 空気が震え、地響きと共に、もはや聞き慣れた崩落音がした。
 反響具合からして、やってきたのとは反対側の方向で、距離もさほど遠くはないようだ。

 崩落現場なら、落ちた瓦礫を利用して上手いこと上層に登れる可能性もある。
 闇雲に上へ繋がる道を探すよりは、効率としては幾分マシだろう。ただし、地竜などが一緒に落ちてきてなければの話だが。
 こればかりは運に頼るしかない。

 スマホの充電に余裕が出たので、景気づけにちょっとだけ、スマホのおみくじアプリを起動してみた。
 出た結果は――小吉。うん、びみょー。

 ○願望 心配多くして其功すくなく急ぐな
 ○待人 来るとも遅し 思わぬ処より
 ○失物 届けられる 隣人より
 ○旅行 計画を十分にたてよ
 ○商売 利あり 売るによし
 ○学問 雑念多し全力を尽せ
 ○争事 勝がたし 時をまて
 ○恋愛 深入りするな
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