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第1章 ビザールサーカス
#02 : 廃墟と尻尾(後編)
しおりを挟む「今日のメインはコレっす。まあマニアなのも撮りますが、そっちは一般受けしないですから。」
ワゴン車の後部が、アタシにとっての即席のメイク室になる。
カメラマン君は大きな紙袋を開く。
中から映画バットマンに登場したキャットウーマン似のPVCスーツが出てくる。
キャットスーツの"キャット"の呼称はキャットフィッシュ(ナマズ)から来たという説があるそうだ。
その理由としてはナマズの見た目が黒くて光沢があってヌメッとした質感から、らしい。
ただし、実際のところは不明というか、別に判っても判らなくても困らず、多くの人にはたいした問題ではない。
で、一般的に理解しやすいのでは、バットマンの登場キャラクターであるキャットウーマンが着用していたボディスーツだからという説。
アタシはバットマン映画が、みんな好きで、最近ではマット・リーヴス監督の『ザ・バットマン』がお気に入り、何と言ってもブルースを演じるロバート・パティンソンががたまらない。
そういえば塁君は松田優作とロバート・パティンソンを足して2で割った感じなんだけど…。
「ナ~ニ、PVC製かぁ、、一般受けたって、どうせこのビデオ、普通の市場に流通しないんだからPVCなんかよりラバーでもいけたんじゃない?見るのはヘンタイさんばかりでしょ。今やベテラン女優の深キョンだって本物のレザーでコス作ってもらう時代なんだよ。コスがモノホンでも行けるって。」
カメラマン君は「まったく同感ですね。でも、今回の安っぽい衣装について文句があるならクライアントに言ってくれ」って表情を浮かべてる。
「コスの素材なんかどうでもいいそうです。問題はこっちですね。見る方はこれを見たいわけだから。本気でやります?何とでも演出で誤魔化せますけど。」と言いながら見せてくれたのが尻尾付きバイブ。
ペニスの部分が真っ黒で血管も浮いちゃってて結構リアル。
「廃墟に彷徨うニューハーフのキャットウーマンに尻尾付きバイブ、、、本音でいうと、そんなの、陳腐なエロすぎて撮りたくないんでしょ?」
カメラマン君の目は図星ですよと笑ってる。
でもあたしのような崩れたエロ写真のモデルに「本気でバイブ咥えちゃいます?」とか聞いてくるあたりが御曹司らしいとゆーか、塁君はやはりお坊ちゃまだ。
「やるわよ。倶楽部じゃいつでもどんな時でもスィッチ入るんだから。本気になり過ぎてフォトジェニックに撮れない方を注意したほうがいいわよ。それに今日はその坊やがいるからもっと凄く乱れるかも。」
アタシ達の側に常にへばりついてる助手君が顔を真っ赤にした。
この時は、坊やの「赤面」を恥じらいだと勘違いしてたんだけど(笑)。
「ごめん。スイッチを入れ忘れてた。」
突然お尻に入ったバイブのスイッチを入れられてアタシはのけぞり驚く、その表情を彼が撮りまくる。
彼もカメラを握るとそれなりのプロになるわけだ。
「や・・・やだ・・・止めて・・・」
薄汚れたコンクリートの上で四つん這いになって、お尻をつきだし、プルプルと震えているキャットマスクのアタシ。
長く垂れた尻尾も当然震えている。
「本気だしたら駄目。Kさんも猫なんだから、ニャォ~ンって鳴かないと。ほれ次のアクション行くよ。」
その声を合図に、助手君がおずおずと手を伸ばして、キャットスーツの両乳房に付けられたジッパーの開口部からまろびでたアタシの両方の乳首を指でぎゅっとつまむ。
アタシは目を見開いて「に、にゃあぉ~~ん」と鳴いてみる。
「そうそう。」
助手君が生意気にも、乳首をつまんだまま、指の腹でこすってくるので「に、に、にゃあ・・・あん・・・」と喘いでしまう。
なんなのこの子?
続いて助手君はアタシを仰向けにして、菊花に刺さった尻尾バイブをズニュニュニュと動かした。
「にゃあん・・・いにゃあ・・・。」
一番奥に入れたところで、手をとめ、我慢汁があふれ出しているクリペニを、スーツの股間から引っ張り出して、助手君が愛嬌のある顔でちろちろと猫がミルクを舐めるようにていねいに舐める。
「あ・・・にゃ・・・あああ・・・なん・・・」
レロレロと舐めながら、クリペニを指でいじって来るので、鳴き声をいっそう激しくする。
なにこの子、ホントに見かけと全然違う。
もしかしてカメラマン君のおホモ達?でもカメラマン君は完全なヘテロの筈、、ケドケド、フツーの男の子はいくらませててもいきなり男のファロスは口に含めない筈。
「にゃ・・・にゃあん・・・ああん・・・」
カメラマン君は「メイン」の写真を早々に取り終え「おまけ」の撮影になると、急に生き生きとし始め、アタシの衣装替えまで手伝ってくれる、っと言っても今度のラバースーツは確かに一人で着装するにはヘビーな代物ものだった。
ダイビングスーツと言っても通用するぐらいのものだ。
こーゆーのを自前で所持してるワケだからヤッパリ塁君は相当なラバーフェチだ。
で、気がつくと今までカメラマン君の影みたいにぴったりくっついていた助手君の姿がない。
どうやらアタシ達の周辺に人の気配を感じて見張りに出ていったらしい。
こういう"現場"は知らぬ間に覗き見される場合が結構ある。
「あの坊や、何者なの?」
「はぁ…力丸ですか。ひょんな切っ掛けで知り合いましてね。何故か随分懐かれちゃって、どこでも付いてくるもんだから雑用させてるんですよ。・・・セックスだけオールマィティなんですよ、力丸は。僕が奴を見つけたのもそういった場所ってか場面なんですけどね。奴はそこで大勢が見てる前、堂々とオナニーしてましたよ。他はほとんどナニをさせても、、て言うか、頭を使う複雑なことは一切任せられない。…まああの身体だから喧嘩は強いですよ。だいたいは一発で相手を張り倒しちゃう。」
他人が見てる前でオナニーはアタシだって出来るけど、と言いかけて口をつぐむ。
それに「セックスだけ上手」ってことは本当はあり得ない。
セックスは一種のコミュニケーションだからそれが上手だって事は、他でも何か上手くやれる事があるはずだ。所謂、色情狂でない限りには、、。
「最近の若い奴らにはそう云うのが増えてますね。それか妙に何でも判ってて出来る奴か、、真ん中のふつーの奴が少ない。力丸の場合なんかホントナニ考えてるのかよく分かんない。指示したら複雑な事以外なら、今日みたいにAV男優まがいのことや、ヤバい事でもやる。…謎みたいに見えるけどホントは犬属性が根底にあるのかも知れない。」
この若いカメラマン君に「最近の若い奴は」とは言って欲しくなかったけど、味は完全装着間際のラバーでジワーっと来始めてたから、その感覚を話で紛らわすために「それは彼が貴男を信頼してるからでしょ。」と接ぎ穂を入れてみる。
そして塁君がホモソーシャルな世界に引き込まれないように願う。
塁君はアタシなんかが判らないような、何かを追い求めている所がある。
それは映像クリエイターとして成功したいとか、そういう表面的なもの意外のものだ。
「信頼?そうかなぁ、、僕はそこまで他人に忠義を尽くすなんて事は絶対ないから、よく判りませんね。」
カメラマン君は両手にガスマスクとラバーマスクを持ってどちらにしますかと無言のウチに聞いている。
こんな状態で全頭タイプなんかを被らされたら直ぐに行っちゃいそうなのでガスマスクにする。アタシの場合、密閉より呼吸制御の方がまだ意識を保っていられる。
「この前なんか奴、糞の付いたオンナのヒールのつま先跪いて舐めたんですよ。僕は只、冗談で、そんな場面もあっていいんじゃないって周囲に提案しただけなのに。気がついたら力丸、もう即実行って感じで。」
ガスマスクのバンドを調整して貰って完全に顔面の前の空間が遮断されたら、ペコンってアタシの世界は内側に反転した。
「それは、廃墟の世界ね、、。」
「ぇっ、今なんて言いました?」
アタシの言葉はくぐもって意味不明だったに違いない。
アタシは何でもないという風にカメラマン君に対して首を振った。
異界と現実との境界は、村境や橋などの空間的な境界と時間的な境界の二つがあるそうだ。
夕方の薄暗くなり、昼と夜の移り変わる時刻は逢魔時と呼ばれ、異界と現実世界を繋ぐ時間の境目とされ、魔物や妖怪がうごめき始めて災いが起きると考えられてきたらしい。
都会では"廃墟"がそうなのかも知れない。
でアタシは人妖と呼ばれるように、どちらかというと魔物や妖怪の側なので、こんな時には"廃墟"になるまで自分の精を出し尽くしてみたいと考えるのだ(笑)。
そして塁君には、何時までも"その光景"を撮るアーティスト側にいて欲しいと思っているのだ。
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