~嵌められた愛~ 貧しかった僕は侯爵様の愛人になり、いつの間にか弟とデキていた【R18】

鷹月 檻

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73 別れ

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 閨事が終わったあと、さっぱりするためにお風呂に二人で入った。
二人でお風呂に入るのもこれが最後だ。
そう思うとしんみりする。
侯爵様も同じように考えていたようで、僕に言った。

「契約を……再契約してくれないか? ルイス」
「それは無理。僕、就職が決まったんだ。アルフォード公爵家に諜報の者として雇ってもらう事になった。勤務地がずっと南なんだ」
「勤務地が遠いだけが理由か? 私は君を愛している。君も私を愛してくれていると思っていたが……?」
「フォルカー、……僕が今までフォルカーに『愛してる』って何度も言ってたのは皆『オプション』だから。……だからそこに、愛情なんて無いんだよ」

 侯爵様の目が一瞬虚ろになって、正気に戻ったかと思うと、フッと苦笑いした。

「思えば君の一番大切な人はもういたな」
「え?」
「君は弟の為にその体を売ろうとした。私が週末全部会いたい、もっと金を出すからと言っても、弟と一緒の時間を過ごしたいからと、月に二度しか逢瀬をしてもらえなかった。君の中では一番優先度が高いのは……君の弟だ。まったく、羨ましくて憎たらしいよ、君の弟が」
「……侯爵様、今まで僕の事を愛してくれてありがとう」
「私は君を……君の人生を滅茶苦茶にしてしまったのに……。君はそれでも……私にお礼を言うのか?」
「僕が苦しかった時、いつも助けてくれたのはフォルカー、貴方だ。心から感謝してます。本当に……ありがとうございました」

 侯爵様は僕に微笑んだ。
それは優しい笑顔だった。





 自宅に戻ると豪華な料理が並べられていた。そして弟が僕を迎える。

「兄さん、おかえりー!」

 ぎゅううっと抱きついて頬にちゅっとしてくる。

「おまえさー、僕がいっつも節約節約って言ってるの分かる? なんでこんな夕食が豪華なんだよ! 二人しかいないのに食べきれないよ」
「余ったら明日食べればいいでしょ? そんなに怒らないで、これは兄さんが愛人契約を終えたお祝いなんだから!」
「今までお疲れ様でした、兄さん、これからは俺とちゃんと出来るね!」
「はぁ? 出来るって、何が出来るんだよ? 何の事だ?」
「もちろん決まってるでしょ? もう~俺に言わせないでよ!」
「……?」

 正直弟が何の事を言ってるのか分からない。でも弟は機嫌が良くて、僕にフルーツワインを注いだ。いい香りがして、飲んでみると甘くて美味しい。僕が飲んでグラスを空にするとどんどん注いで来る。

「あっ、そうだ。セドリックに言い忘れてた事があるんだけど、僕、仕事決まったから」
「え? どこどこ?」
「アルフォード公爵家で諜報の者として働く事が決まりました! はい、拍手!」

 弟がパチパチと拍手して、僕も自分で拍手する。

「でね、勤務地が王都じゃなくて、南の領地になったんだ。だから4月の中旬からあっちに移動するから」
「えええっ!? じゃあ、ここは? どうするの?」
「お前はまだ学校があるんだからここに住んで? 当たり前でしょ?」
「兄さんと離れ離れになるなんて……」
「前に家出してたんだから大丈夫だろ?」
「週末には帰ってきてよ~!」
「無理だよ、南の領地って、行くのに召喚獣の風竜を使っても3日間掛かるんだよ? まぁ、終春節とかは帰ってくるよ」
「……そんなぁ……兄さんと1年に1回しか会えないなんてやだ!」
「7月の夏休みにも帰るさ。年に2回だな」
「……就職の事、僕に相談して欲しかった……」
「いずれは兄ちゃんだって、お前だって、所帯を持つんだぞ? 早く兄ちゃん離れしろって」
「……兄さんは何も分かってない」

 怒った様子なのに弟は僕のグラスにフルーツワインを何回も注いだ。おかげで酔っ払ってしまった。

「兄さん、お風呂入ろう~」
「いいけど、僕、酔っ払ってて、お前の背中も洗えないぞ?」
「いいよ、自分で洗うし、兄さんの体も洗ってあげる」
「僕は侯爵様の所で入ってきたんだけどね」
「いいから、いいからっ」

 僕は弟にお風呂に連れて行かれた。足元がふらふらしていると横抱きにされた。

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