82 / 94
82 世間知らず
しおりを挟む
僕達が喜んで帰ろうとしたら墓守さんに言われた。
事はそんなに簡単じゃないと。
どうしてか聞いたら、事件は審議官が有罪か無罪かの裁定を決定する。その審議官の裁定ひとつで人の生死がどうにでもなる。責任は重い。だからこそ徹底的に事件について調べなければいけないのに、証人の言う事だけを信じて罪も無い人を処刑にしてしまい、ましてや真犯人が出たとなると、『あいつはミスして罪も無い人間を殺した』と叩かれるらしく、『無罪証明書』を出す審議官が少ないとの事だ。この『無罪証明書』は冤罪判決をした審議官本人が出さなければいけない。それは自分のミスと向き合うことでもあり、真犯人が逮捕されても自分の間違いを認められない審議官が、自分可愛さに無罪証明書を出さない事も有るからだった。
取り敢えず、僕は無罪証明書を出してもらうように番所に申請した。
番所は休みの日でも誰か彼かいるので、申請できた。
まずはここからだ。
居間の長椅子で、弟に凭れてまったりしてると弟は機嫌が良い。
「兄さんの野望に近づいたね」
「うん、時間は掛かるかもだけどな。ちょっとづつ進めばいんだ」
「俺、やっぱり兄さんと住みたい」
「はぁっ!? それは絶対反対! ちゃんと学校は卒業しないと! せっかく高い金払ったのに、途中で辞めるなんてダメだよ?」
「もちろん、今すぐの話じゃないよ。学校卒業して就職したらの話だよ」
「それならいいけど、南の領地の仕事って……仕事は沢山あるけど、平民向けの仕事だよ? いっぱいあるのは」
「俺等だって、今平民じゃん?」
「ほんと、お前って世間の事が分かってないよね? まぁ、僕らは扱い的には平民だけど、魔力があるから、貴族落ちとしてそこそこ高い賃金の貰える仕事にも就けるんだよ。魔力が無いのと有るのじゃ、賃金が凄く違うからね? そこ大事!」
「そっか」
「だから……南の領地で働くなら、アルフォード公爵家に召抱えられるのが一番良いと思う。もしくは他の貴族に召抱えられるとか?」
「う~ん」
「ただ、お前の場合、面接で落とされそう! 世間の事を知らな過ぎる! 今僕が話した事も世間では常識だから」
「まじで?」
「まじでっ!」
「なんか、俺、働ける気がしない……」
「ニートを養ってやる甲斐性なんて僕には無いからね? それともまた身体を売って稼いでくれってこと?」
「俺、ちゃんと働くから! 兄さんに苦労させない! 絶対幸せにするから!」
「セドリック? なんかプロポーズみたいな言い方になってるよ?」
「はっ!!」
弟は長椅子に足を伸ばして、上半身起こした。
その足の間に僕を挟んだまま、ぎゅうっと後ろから抱きつく。苦しいけど全然厭じゃない。むしろ心地良い。僕が天井を見上げるように弟を見ると目が合った。
凄く愛しい者でも見るような目だ。
「やっぱり、ぎゅっとしたいと思ったら、出来る距離にいるのがいい」
そう言って、僕にキスした。
それから僕と弟は何度も愛し合い終春節を過ごした。
弟と性行為はしたけど、僕の穴は使っていない。
それだけは人としてダメだと思ったから、徹底的に拒否した。
弟は我慢してるようだった。だけど、ちゃんと僕の気持ちを優先させてくれた。
昔とは違って、ちょっとは成長したんだなと改めて思った。
僕も体が疼いたりしたけど、自分で慰める事はしなかった。
やっぱり僕は淡白みたいだった。
弟とする性行為はとても気持ちが良くて、穴に挿れなくても満足感が一杯だったからだと思う。一緒にいるだけで安心するんだ。
エルズバーグさんとはあの後、弟を含めてお茶した。
友人関係をそのまま続けて行きたいとはっきり伝えた。『男色家じゃない』と嘘を付いてしまったけど、弟が一緒に付いてきてたから、エルズバーグさんはそれ以上は何も言わなくて、『今まで通り頼むよ』と言った。
それから僕は南の領地に戻り、7月初めの2週間の夏休みにまた王都の自宅に戻った。
そして弟とまた体の関係を持った。
弟は僕の事を好きだの愛してるだのよく言うが、僕は弟にそんな事を言ったことは無かった。ただ、言ってはいなかったけど、凄く大切に思っている。
兄弟なのに、兄貴の僕が弟に愛してるなんて言っちゃったら、何かが終わる気がしたからだ。
事はそんなに簡単じゃないと。
どうしてか聞いたら、事件は審議官が有罪か無罪かの裁定を決定する。その審議官の裁定ひとつで人の生死がどうにでもなる。責任は重い。だからこそ徹底的に事件について調べなければいけないのに、証人の言う事だけを信じて罪も無い人を処刑にしてしまい、ましてや真犯人が出たとなると、『あいつはミスして罪も無い人間を殺した』と叩かれるらしく、『無罪証明書』を出す審議官が少ないとの事だ。この『無罪証明書』は冤罪判決をした審議官本人が出さなければいけない。それは自分のミスと向き合うことでもあり、真犯人が逮捕されても自分の間違いを認められない審議官が、自分可愛さに無罪証明書を出さない事も有るからだった。
取り敢えず、僕は無罪証明書を出してもらうように番所に申請した。
番所は休みの日でも誰か彼かいるので、申請できた。
まずはここからだ。
居間の長椅子で、弟に凭れてまったりしてると弟は機嫌が良い。
「兄さんの野望に近づいたね」
「うん、時間は掛かるかもだけどな。ちょっとづつ進めばいんだ」
「俺、やっぱり兄さんと住みたい」
「はぁっ!? それは絶対反対! ちゃんと学校は卒業しないと! せっかく高い金払ったのに、途中で辞めるなんてダメだよ?」
「もちろん、今すぐの話じゃないよ。学校卒業して就職したらの話だよ」
「それならいいけど、南の領地の仕事って……仕事は沢山あるけど、平民向けの仕事だよ? いっぱいあるのは」
「俺等だって、今平民じゃん?」
「ほんと、お前って世間の事が分かってないよね? まぁ、僕らは扱い的には平民だけど、魔力があるから、貴族落ちとしてそこそこ高い賃金の貰える仕事にも就けるんだよ。魔力が無いのと有るのじゃ、賃金が凄く違うからね? そこ大事!」
「そっか」
「だから……南の領地で働くなら、アルフォード公爵家に召抱えられるのが一番良いと思う。もしくは他の貴族に召抱えられるとか?」
「う~ん」
「ただ、お前の場合、面接で落とされそう! 世間の事を知らな過ぎる! 今僕が話した事も世間では常識だから」
「まじで?」
「まじでっ!」
「なんか、俺、働ける気がしない……」
「ニートを養ってやる甲斐性なんて僕には無いからね? それともまた身体を売って稼いでくれってこと?」
「俺、ちゃんと働くから! 兄さんに苦労させない! 絶対幸せにするから!」
「セドリック? なんかプロポーズみたいな言い方になってるよ?」
「はっ!!」
弟は長椅子に足を伸ばして、上半身起こした。
その足の間に僕を挟んだまま、ぎゅうっと後ろから抱きつく。苦しいけど全然厭じゃない。むしろ心地良い。僕が天井を見上げるように弟を見ると目が合った。
凄く愛しい者でも見るような目だ。
「やっぱり、ぎゅっとしたいと思ったら、出来る距離にいるのがいい」
そう言って、僕にキスした。
それから僕と弟は何度も愛し合い終春節を過ごした。
弟と性行為はしたけど、僕の穴は使っていない。
それだけは人としてダメだと思ったから、徹底的に拒否した。
弟は我慢してるようだった。だけど、ちゃんと僕の気持ちを優先させてくれた。
昔とは違って、ちょっとは成長したんだなと改めて思った。
僕も体が疼いたりしたけど、自分で慰める事はしなかった。
やっぱり僕は淡白みたいだった。
弟とする性行為はとても気持ちが良くて、穴に挿れなくても満足感が一杯だったからだと思う。一緒にいるだけで安心するんだ。
エルズバーグさんとはあの後、弟を含めてお茶した。
友人関係をそのまま続けて行きたいとはっきり伝えた。『男色家じゃない』と嘘を付いてしまったけど、弟が一緒に付いてきてたから、エルズバーグさんはそれ以上は何も言わなくて、『今まで通り頼むよ』と言った。
それから僕は南の領地に戻り、7月初めの2週間の夏休みにまた王都の自宅に戻った。
そして弟とまた体の関係を持った。
弟は僕の事を好きだの愛してるだのよく言うが、僕は弟にそんな事を言ったことは無かった。ただ、言ってはいなかったけど、凄く大切に思っている。
兄弟なのに、兄貴の僕が弟に愛してるなんて言っちゃったら、何かが終わる気がしたからだ。
0
あなたにおすすめの小説
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟第10回BL小説大賞(2022年)奨励賞。2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞での応援ありがとうございました!
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後
結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。
※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。
全5話完結。予約更新します。
無自覚人たらしマシュマロ令嬢、王宮で崇拝される ――見た目はぽっちゃり、中身は只者じゃない !
恋せよ恋
ファンタジー
富豪にして美食家、オラニエ侯爵家の長女ステファニー。
もっちり体型から「マシュマロ令嬢」と陰口を叩かれる彼女だが、
本人は今日もご機嫌に美味しいものを食べている。
――ただし、この令嬢、人のオーラが色で見える。
その力をひけらかすこともなく、ただ「気になるから」と忠告した結果、
不正商会が摘発され、運気が上がり、気づけば周囲には信奉者が増えていく。
十五歳で王妃に乞われ、王宮へ『なんでも顧問』として迎えられたステファニー。
美食を愛し、人を疑わず、誰にでも礼を尽くすその姿勢は、
いつの間にか貴族たちの心を掴み、王子たちまで惹きつけていく。
これは、
見た目はぽっちゃり、されど中身は只者ではないマシュマロ令嬢が、
無自覚のまま王宮を掌握していく、もっちり系・人たらし王宮譚。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 エール📣いいね❤️励みになります!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!
迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる